EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~ 作:エルミン
都合上、よしのんを探すシーンはカットしてしまいました。申し訳ございません。
士道、栞、折紙、狂三の四人は天宮総合病院から離れた所に来ていた。
士道と狂三は真剣な表情で。栞と折紙は辛そうな表情で。狂三は無表情で歩いていた。
そして、目的地に到着した所で、士道は皆と向き合う。
「皆・・・・・・ごめん、こんな事を頼んで。でもこれは必要な事なんだ」
「士道・・・・・・嫌だよ、こんなの・・・」
「士道君・・・もっと他の方法を探そうよ・・・ね?」
栞は涙目・涙声で首を横に降り、折紙も何とか別の方法を探そうとするが、士道は首を横にふる。
「駄目だ。ドラゴナイトハンターZの"もう一つの機能"を使えるようにするには、これしかないんだ」
「全く・・・・・・士道さん、お体を大事にしませんと。まだ昨日の疲労とダメージは完全に抜けておりませんわよ」
「狂三の言うとおりだけど、今回は・・・な」
士道が三人に自分と戦うように言った理由。それはドラゴナイトハンターZの"もう一つの機能"・・・四人プレイモードを使えるようにするためだ。
既に少女達には詳細を説明した上で、戦うことを要請した。栞と折紙は猛反対したが、狂三が賛成して二人を説得。
今も納得しきれていない二人に、狂三が声をかける。
「・・・・・・お二人共、反対なのはわかりますが士道さんの仰った事が一番確実な方法でしてよ。
今は時間が無いのも事実。早くしないとハーミットがどうなるかもわからない。ならば・・・やるべきですわ」
「「・・・・・・」」
狂三の言うことは正しい、頭ではわかっていても心が納得してくれないという感じだ。
雨が降り始めた。先程から曇りだったが、本格的に降ってきた。
すると・・・・・・。
「・・・やるのかやらないのか、ハッキリしろよ!!」
士道の目が赤く光り、口調が荒くなる。『S』の人格になったのだ。まだゲームもしておらず、ガシャットを起動していないにも関わらず。
驚く栞達を無視して、士道は続ける。
「四糸乃のこれからが決まる大事な時だ。俺は四糸乃のヒーローになるって約束した。その為に、今こうして無茶してるんだよ」
士道はゲーマドライバーを装着し、マイティアクションXとドラゴナイトハンターZを持って、起動した。
《マイティアクションX!》
《ドラゴナイトハンターZ!》
「行くぞ」
二つのデータが表示され、ハンターゲーマが現れる。
《バンバンシューティング!》
《ジェットコンバット!》
狂三も同じように、ドライバーを付けてガシャットを起動した。
「第五変身!」
「第三弾、変身!」
士道はエグゼイド・レベル5に、狂三はスナイプ・レベル3に変身した。
一方、栞と折紙は士道と戦う事の抵抗感を捨てる事が出来ず、変身出来ずにいた。
「栞さん!折紙さん!いつまでそうしているんですか!士道さんの話した理由を忘れましたか!?」
「「・・・っ!」」
狂三の叫びで栞と折紙は、士道の話した理由を思いだし、ドライバーを付けてガシャットを起動し、栞はレーザー・レベル3に、折紙はブレイブ・レベル3に変身した。
「さぁ、行くぞぉ!」
士道が体に稲妻を走らせながら、雄叫びの様に叫んで高速で接近、右手のブレードで切り裂く。
狂三は飛んで回避して、ガトリングを放ち士道に連続でダメージを与える。
しかし士道はダメージを無視して走り、狂三に向けて飛ぶ。
「あらあら、あなたも飛べますの!」
「おらあぁぁぁぁぁぁ!!」
左手から強力なエネルギー弾を放つ。狂三は飛びながら回避するが、それを連続で撃ち続ける。
地上では士道が狂三に夢中になっている隙をついて折紙がドレミファビートのエネルギーを、ガシャコンソードに乗せる。
栞もガシャコンスパローに矢型エネルギーを溜めて・・・。
「士道君・・・ごめんなさい・・・!」
「ごめんね・・・士道・・・っ!」
折紙と栞は、本当に辛そうに・・・士道に謝りながら攻撃する。
地上からの攻撃が命中し、士道が地面に落ちる。
「どうした・・・?もう終わりかよ?」
士道は難なく立ち上がり、軽く挑発する。
「やれやれ、手のかかる殿方ですわね!」
狂三は地面をスレスレで飛んで、士道のすぐ近くまで接近して至近距離でガシャコンマグナムを連射。
「ぐっ・・・」
「今ですわ!」
倒れた士道に向けて、狂三はAボタンを押してガシャコンマグナムをライフルモードにし、Bボタンを連打して弾を連射する。
一点集中したエネルギー弾は士道にダメージを与えて、小さな爆発が起こった。
すると、ハンターゲーマが士道から分離してドラゴンの姿になった。士道のライダーゲージは、残り半分位だ。
「今だ!あのゲーマを全員で攻撃するぞ!」
士道は叫んで、痛む体に鞭打って立ち上がる。
士道はガシャコンブレイカーを呼び出して、ソードモードにして構える。
狂三もガシャコンマグナムを、栞と折紙も急いでガシャコンスパローとガシャコンソードを構える。
そして、四人はガシャコンウェポンにガシャットを入れて、必殺技を発動する。
《MIGHTY!》
《JET!》
《DOREMIFA!》
《GIRIGIRI!》
《CRITICAL FINISH!!》
四人のキメワザ・・・栞、折紙、狂三の射撃の後の士道の斬撃で殴りつける攻撃でハンターゲーマは倒された。
その時、光がドラゴナイトハンターZガシャットに集まり、ガシャットがゲーマドライバーから離れて四つに分離した!
そして、四つに分離したガシャットの後ろにディスプレイが表示され、そこにはこう書かれていた。
《四人プレイモードが解禁されました》
「やった・・・」
士道は変身を解除して地面に寝転がる。自分の考えが正しかった事による安心感からだった。
やはりというか、体は傷を負っている。炎が出て傷は癒えたが、疲労などは抜けていない。
「士道!」
「士道君!」
変身を解いた栞と折紙が、士道に駆け寄り抱きしめた。
「士道、ごめんね・・・痛かったよね」
「ごめんなさい、士道君。必要だとわかってても・・・」
「ごめん・・・ありがとう。二人は何も悪くない。悪いのはこんなことを強制した俺なんだから」
二人の頭を優しく撫でて、安心させようとする士道。実際、栞と折紙は泣いていて、体も震えていた。
「本当に、無茶をしますわね」
「狂三もごめん、それとありがとう」
「いえいえ、大丈夫ですわ」
何故士道が栞達に自分と戦うように言ったのか。それは、この四人プレイモードを使えるようにするためだ。
ドラゴナイトハンターZは最大四人でプレイする、強力なドラゴン達を討伐するハンターゲーム。
しかし、最初から四人プレイが出来るわけではない。
まずは一人でプレイし、チュートリアルを受ける必要がある。操作方法を学び、そこからスタートになる。
そしてイベントが進み実際にドラゴンと一人で戦うが、倒すとイベントシーンが流れる。
倒した筈のドラゴンが起き上がり、プレイヤーを倒そうとするのだ。その時、仲間のハンターが合流しプレイヤーを助けるというイベントだ。
この流れを経て、初めて四人プレイモードが使えるようになるのだ。
今士道が栞達に戦うように言ったのも、四人の仮面ライダーでハンターゲーマを倒すことが四人プレイモードを解禁する条件だと仮説を立てて、今それが見事に証明された。
「先程出たガシャットは・・・」
「四人プレイ用の、仮想ガシャットだろうな」
オリジナルの他に三つ増え、合計四つになっているドラゴナイトハンターZガシャット。
増えた三つは仮想ガシャットであり、二人~四人で使うときに出現する物である。
仮想ガシャットが消えて、浮いていたオリジナルが士道の手元に落ちてくる。
士道はそれを難なくキャッチして、ガシャットを見つめる。
すると、士道達の所に神無月が走ってやって来た。手にはよしのんのパペットがある。無事に発見できたようだ。
「士道君!皆さん!」
「神無月さん!」
「よしのんを発見しましたよ!いやぁ、私を含むスタッフ達で頑張りまして・・・って士道君傷だらけじゃないですか!?」
「あぁ、これは・・・」
「大丈夫ですか士道君!?あぁ、その痛みを私が代わりに全てを請け負いたい!そうすれば私のドMも満たされて士道君の傷が癒されるという一石二鳥だというのに!」
神無月のドM発言に、士道と栞と折紙は苦笑して、狂三は少し引いていた。
「コホン。さて士道君・・・こちらがよしのんですよね」
「はい、間違いないです。ありがとうございました」
「いえいえ、士道君が頼ってくれて私やスタッフの皆も喜んでいますよ」
先程と違って穏やかに語る神無月。その姿はまさに良き大人だ。これでドMでなければ・・・とは周りの誰もが思うことだ。
すると、士道と神無月のインカムに琴里からの通信が入る。
『士道、神無月!ハーミットが街中に出ているわ。しかもASTが彼女に攻撃している!』
「空間震は出てないのに!?」
「静粛現界でしょうね。そして運悪くASTに見つかってしまい攻撃を受けている・・・という所でしょう」
神無月が真剣な表情で推察する。そして、その推察は当たっていた。これで本当にドMでロリコンでなければさぞモテモテであっただろう。
「琴里、よしのんは神無月さんから受け取った。次はよしのんを四糸乃の元に届ける!」
『わかったわ!』
「では士道君、私もフラクシナスに戻ります。ハーミット・・・四糸乃さんの事をお願いいたします」
「はい!」
神無月がフラクシナスにワープで転送された。士道が栞と折紙の手を取って立ち上がったその時、天宮市の中心に大きな竜巻が発生した!
それは吹雪の竜巻であり、サイズも大きい。士道はすぐにわかった。あれは四糸乃が出したと・・・。
ーーーーーーーーーー
竜巻が発生する少し前。
運悪くASTに見つかってしまった四糸乃は、一方的にASTからの攻撃に必死に耐えていた。対精霊用のライフルやミサイルでの集中砲火である。
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
対精霊用ロケットランチャーが四糸乃に命中。現場を指揮するAST隊長の燎子が隊員に指示を出す。
「総員、攻撃の手を休めないで!」
ASTの猛攻撃に四糸乃は恐怖心が現界を越え、守護天使の名前を叫んだ。
「
四糸乃が手のひらを地面に叩きつけたその時、地面から白く巨大なウサギが現界した。
これが四糸乃の守護天使『氷結傀儡』だ。
氷結傀儡は口から更なる冷気を放つ。
ASTの隊員は
「怯むな!!!」
領域すらも凍らせる冷気に怖じ気づいた隊員達に喝を入れるように叫ぶ燎子。その一言にASTの隊員たちは撃ち続ける。
四糸乃は氷結傀儡の背中に乗ってただひたすらに逃げ回っているだけ。しかしASTのメンバーは攻撃を続けた。
(怖い・・・怖い・・・怖い!)
四糸乃の心は、ボロボロだった。涙も流れていた。
よしのんもいない。士道もいない。今、四糸乃には敵しかいない。
(・・・助けて、よしのん・・・・・・助けて、士道さん!)
その時、四糸乃の心の現界を感じた氷結傀儡が立ち止まり大きく吠えた。
瞬間、急激な気温変化によって建物が凍っていく。
四糸乃の周りでは冷気がどんどん強くなっていき四糸乃を中心に吹雪が広がる。
それが氷の粒へと変化し、吹雪の竜巻となって吹き荒れる。
AST隊員達の目の前には、半径十数メートルほどの猛吹雪で出来た冷気の結界が出来上がっていた。
内部は氷の弾丸が無数に飛び交っており、突入も困難であった。
「隊長!どうしますか!」
「流石にこの中に突っ込むのは自殺行為ね。そしたら・・・」
燎子が指示を出そうとしたその時!
「そこまでだ!!」
斬撃が燎子に襲いかかる!間一髪で回避した燎子が見た先にいたのは、宙に浮かぶ少女だった。
来禅高校女子の制服と一体化したような、不完全ながらも霊装を身に纏っている。
そして天使の
「これ以上、あの精霊に手出しはさせないぞ!悪の組織、メカメカ団め!!」
名を、夜十神 十香という精霊《プリンセス》だった!
(精霊の力を出そうとしたが、時間が掛かりすぎてしまった。シドー、私が必ずメカメカ団を足止めする。四糸乃とやらを頼んだぞ!)
鏖殺公を持って突撃する十香。
「誰が悪の組織よ!?後メカメカ団じゃなくてASTっ!!総員、目標をプリンセスに変更!!」
AST隊員達は、十香に攻撃をしていく。十香は宙を飛びながらかわし、攻撃を加えていく。全ては、士道と四糸乃の為に!
ーーーーーーーーーー
吹雪の竜巻に向かっている途中、琴里から十香がASTと戦闘に入った事を告げられる。
十香を信じ、士道と栞と折紙と狂三は四糸乃の元に向かう。そして、ついに四糸乃のいる吹雪の結界近くに到着した。
近くで見ると圧巻の一言。その様子を士道は真剣な表情で見ていた。
「四糸乃・・・今行くぞ!」
次回予告
四糸乃を救い、グラファイトを倒す為に士道達は戦う。その結末は・・・。
第六話 悲しい雨からのRelease
「決着を付けよう」
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ドラゴナイトハンターZの四人プレイモードについては、オリジナル設定になります。