EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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エグゼイド最終話、すごく感動しました。同時にもっと続いてほしいと思うくらい、終わったことを寂しく感じました。




第二話 対話の為のTraining!

五河 士道がラタトスクの事を知った日の翌日。天気は快晴。

 

 

 

精霊を救うための手段として、士道は精霊とデートをすることになった。

 

この世界や交渉役となる士道に好感を持ってもらえば、この世界をどうこうする意思がなくなるだろう、との事。

 

しかも、心を開いた精霊とキスをすることで、精霊の力、霊力を封印することが出来る。

 

そう言う意味でも、デートは必要だという。

 

 

そんなわけで、士道は副担任として赴任してきた令音と、来禅に来ていた琴里と理科準備室で合流。

 

女心を学ぶため、『恋してリトル・マイ・シドー』(製作、ラタトスク)というゲームをやらされた。

 

 

「ギャルゲー・・・・・・リアルギャルゲーの為にギャルゲーをやるって・・・・・・」

 

「文句言わない。さっさとやるの」

 

 

「・・・では、シン。始めてくれ。普通のギャルゲーと同じく、会話を進め、選択肢が出たら適切だと思ったのを選ぶんだ」

 

 

(不安だ。琴里が開発に関わっている時点で不安しかない。今の琴里は、完全にドS。神無月さん大喜びなドS女王様なんだぞ?)

 

ロクでもない選択肢が用意されている、一見何でもないような選択肢でもそれを選んだら、罵倒と共にバッドエンド・・・そういった罠を想定しながらも、やらなければならない。

 

「ノーコンティニューで・・・クリア出来るといいなぁ・・・」

 

士道は弱音を吐きながらも、最後までやり通すべく、コントローラーを握る。

 

 

 

それからしばらくして。全てのヒロインの攻略を完了。全てのヒロインは、一発でクリアした。

 

理由としては、折紙や美九といった女の子と接してきた経験と勘によるものである。

 

すると、琴里はつまらなそうにしていた。

 

令音曰く、士道が『恋してリトル・マイ・シドー』でバッドエンドになる度に、中学生時代の黒歴史を暴露していくつもりだったらしい。

 

しかし、士道が全てのヒロインを一発クリアしたため、それが出来なくて拗ねてるのだ。

 

この事実に、士道は心の底から安心したように、重い溜め息を吐いたのであった。

 

 

 

しかし、ここで空間震警報が発令された。

 

 

「琴里!」

 

「全く、特訓の最中に出てくるなんて。士道、行ける?」

 

「自信があるとは言えないが、やってみる!」

 

「OK。一旦フラクシナスに来なさい、空間震が収まって精霊の出現を確認してから行くわよ」

 

「・・・では二人とも、人目のつかない所に」

 

 

三人は校舎の外に出て、フラクシナスへワープ。少しして空間震が発生し、校舎は半壊状態。

 

精霊が出現したのは、来禅高校の中、士道のクラスだった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

夕方。士道は半壊した校舎に向かう。

 

そして、士道のクラスに、精霊の少女はいた。出会い頭に士道は剣を突きつけられたが、恐怖は感じない。

 

バグスターとの戦いで、度胸が付いたのだろう。

 

 

「また貴様か・・・」

「覚えてくれていて光栄だ」

 

「・・・答えろ。貴様、何者だ」

 

 

ここで、耳に付けたインカムから、指示が飛ぶ。話によると、フラクシナスには高度なAIが搭載されていて、会話や好感度などから選択肢を選択するのだ。

 

『士道、まずはその子の名前を聞いて』

 

「それは無理だぞ、琴里。初めて会ったとき、自分に名前は無いって言ってたぜ」

 

『なんてこと・・・』

 

 

「俺は、五河 士道。殺す気は無い」

「そんな事言って、背後から襲うつもりか。信じられん」

 

 

「そうか、人間は全て敵・・・そう考えているのか?」

 

「それが当たり前だ。私が見てきた、人間の真実だ」

 

 

「・・・っ!人間は・・・」

 

士道は、わき上がってくる衝動を抑えられない。

 

人に襲われてばかりで、人を信じることが出来なくなり、誰かからの優しさ、温もりも無く、全てが敵の中で、否定され続け、たった一人で悲しみ笑顔を失い・・・。

 

 

 

(ふざけるな!!)

 

 

 

「人間はな・・・お前を傷つける奴だけじゃねぇよ!!」

 

「!?」

 

「お前は今まで敵意とか殺意とか・・・そんな悪いことしか知らなかったんだろ!でもな、人間はそんな奴ばっかりじゃ無い!」

 

「な・・・だが、しかし!」

 

「この世界にはな、優しい人間だっている。お前に優しい世界でもある。俺もその一人だ!」

 

「し・・・しかし、やはり・・・」

 

 

あぁ、そんな顔をさせたくない。絶望して、全てを諦めたような顔を止めてくれ!

 

そんな顔はしてほしくないから。君にはきっと、笑顔の方が似合うから。

 

 

 

「俺がここに来たのは、戦うためじゃない。話がしたいからだ」

 

「話・・・?」

 

 

「あぁ、話だ!内容はなんでもいい。気に入らないなら無視していい。だが・・・!」

 

『落ち着きなさい、士道!』

 

「でも、この言葉だけは信じてほしい!」

 

 

 

 

 

「俺は、お前を・・・・・・否定しない!!」

 

 

 

 

 

士道は一番伝えたかった事を、大きな声で伝えた。

少女はすごく驚いているのか、しばらく無言だったが・・・。

 

 

「シドー・・・シドーと言ったな」

「あぁ」

 

 

「さ、先程の言葉に嘘が無いと言うならば、今すぐ私と話をしてもらおう。

 

だが、勘違いはするなよ。これはあくまでも、人間に関する情報を得るためだからな。情報、超大事」

 

 

そう言う少女はそっぽを向いているが、嬉しそうなのが一目でわかる。

 

 

「ところで、君は・・・」

 

「シドー・・・お前に頼みがある」

「ん?」

 

 

「いつまでも君では不便だが、私には名前がない。という訳でシドー、お前が私に名前をつけろ」

 

 

(お、俺に名付け親になれというのかよ!?)

 

いきなりの申し出に、困惑してしまう。

ここで、琴里から名前のアイディアが来たのだが。

 

 

『トメ』

 

「却 下」

 

士道は即却下した。そして考え直した結果。

 

 

「十香・・・・・・十香っていうのはどうだ?」

「十香・・・?」

 

「あぁ」

 

 

士道が見本として黒板にチョークで名前を書いたら、少女・・・十香も真似をして書いた。ビームで。

 

 

 

 

「これが、私の名前・・・シドー、私の名前を、呼んでくれ」

 

「十香」

「うむ・・・シドー!」

 

「あぁ!十香!」

「・・・~~~~~っ!!」

 

 

名を呼ぶ度に十香は嬉しそうな笑顔になる。

 

因みに、士道が十香と名付けたのは、初めて会った日が四月十日だから。

 

この事実は墓場まで持っていくことを誓った。

 

 

『士道。プリンセス・・・いいえ、十香の機嫌はとてもいい感じよ。後は機嫌を損ねない様に気を付けなさい』

 

「プリンセス?十香の事か?」

『えぇ、人間が彼女に付けた識別名よ』

 

「ではシドー、早速話をしようではないか!」

「あ、あぁ!」

 

 

十香はそう言うと、紫色の結界のようなものを展開して、二人を包んだ。

 

少しして、校舎を囲んでいたASTが攻撃してきたが、士道と十香は無視して色んな事を話したら、いつの間にかデートの話になっていた。

 

 

「シドー。そのデェト、とは何だ?」

 

「ん~、男の子と女の子が一緒に出掛けて、遊んだりご飯を食べたり・・・要するに、男女二人で楽しい時間を共有する・・・って感じかな」

 

「男と女が二人で・・・ううむ?」

「わからないか?じゃあ、俺とデートしないか?」

 

「シドーと・・・デェト?」

 

士道からの提案に、十香は首をかしげる。

 

 

『あら、士道から自然と誘えるなんてね。てっきり恥ずかしがって言い出せないものだと思っていたわ』

 

『・・・いい感じだよ、シン』

 

『凄いです士道君、そのまま夜の遊びまで教えてぇぇぇむ!痛いのありがとうございました!』

 

『士道君、さらりとデートに誘えるなんて凄いですよ!』

 

『しかも会話において、女の子に不快感を感じさせない誠実さもあって、素晴らしいです!』

 

『ふむ、士道君にはハーレム王の素質があるかもしれませんね』

 

『素敵ですよ、士道君!』

 

『グッジョブです・・・!』

 

 

フラクシナスクルーの皆さまから高評価を貰った。

 

 

「そうだ、明日に・・・!」

 

その時、横の壁が崩れた数秒後、ASTの攻撃が激しくなってきた!何人かは剣を持って接近戦を仕掛けてくる。

 

 

十香は士道を掴んで・・・。

 

「逃げろ、シドー!」

 

後ろへ放り投げた!!

 

廊下に転がった士道は慌てて起き上がり教室を見たが、十香は戦っていて、話は出来そうにない。

 

 

『士道、ここは引き上げなさい。デートの約束を取り付けられただけ、上出来よ』

 

「・・・・・・わかった」

 

 

士道は外に出る前に、十香に向けて言った。

 

「十香!また明日な!」

「うむ・・・・・・また明日な、シドー」

 

士道の言葉に、十香は小さく、しかしハッキリと答えた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

同日、夜。

 

バグスターの幹部、グラファイトはいつものビルの屋上にいた。

 

更に、グラファイトは手に四つのガシャットを持っていた。赤、黄、黒、オレンジの四つだ。

 

グラファイトはワープして姿を消した。次にグラファイトが現れたのは、天宮市のどこかにある秘密の空間。

 

そこは窓がない、電気の明かりのみで照らされている空間。

 

「待たせたな」

「問題ねぇよ。さて、こいつらだ」

 

中には既に一人の人物がいた。金髪をツンツンにしている少年だ。

 

「これがそうか・・・」

「そうさ。魔術と錬金術によって作られた物だ」

 

少年がグラファイトに渡したのは、短剣。

 

赤い刀身に竜の鱗のような模様が付いていて、形も禍々しさが感じられるデザインになっている。

 

しかし、その短剣から感じる力はかなりの物だ。

 

「その短剣、貴重な材料もふんだんに使ってる最高の一品・・・らしい」

 

「らしい?」

「だって、これ造ったのは俺じゃあないし。俺の仲間と、俺達と手を組んでいる、人間の錬金術師だよ」

 

 

「パヴァリア光明結社、だったな」

「正解」

 

「・・・まぁいい。こいつは貰っていくぞ」

 

「おいおい、こっちへの報酬は?」

「わかっている、急かすな」

 

 

グラファイトはUSBメモリを取り出して渡した。

 

「お前達が望んだもの・・・バグスターウィルスだ」

「サンキュー」

 

バグスターウィルス入りのUSBメモリを受け取った少年は、笑顔で礼を言ってポケットにしまう。

 

「いやー、お前らの上司・・・あの黒い戦士には感謝だな。お陰で無傷でバグスターウィルスを手に入れる事が出来た」

 

「一つ聞かせろ。何故"ファンガイア"が、バグスターウィルスを欲しがる?」

 

「お前も知っての通り、俺達は人間との共存に反対している組織であり、戦いを続けている。

 

自分達の障害になるものをぶっ壊すためなら、何にでも手を伸ばすのさ」

 

「そうか・・・」

「それじゃあ、今後もご贔屓にー」

 

ワープして姿を消す少年。残ったグラファイトは、貰った短剣を見つめながら呟く。

 

 

「ファンガイア・・・終焉の革命団・・・パヴァリア光明結社か。まぁいい。俺は俺のやることをやるだけだ。バグスターが世界の支配者になるためにな」

 

グラファイトもワープして外に出る。貰った短剣が、月明かりを受けて怪しく光る。

 

 

右腕に持っている機械・・・ガシャコンバグヴァイザーに赤いガシャットを装填する。

 

《ガシャット!》

 

バグヴァイザーの銃口の部分を街に向けると、装填したガシャットのデータを含んだバグスターウィルスが一気に放出される。

 

「仲間の新しい形・・・『コラボ』。上手く出来るといいが・・・仮面ライダーが邪魔だな」

 

 

僅かな不安を抱きながらも、グラファイトは仲間を増やすために暗躍を続ける。

 

 




次回予告


対に始まる、精霊とのデート。果たして、無事にデートが出来るだろうか?


第三話 十香とDate!


「では行くぞ、デェトに!」


ーーーーーーーーーー


この小説は、私が連載しているもう一つの作品「紅牙絶唱シンフォギア」と世界観が共通しています。

シンフォギアの人物や用語が出てきたのもその為です。

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