EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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第四話 強きSNIPE!

四月七日、晴れ日。

 

 

「にゃー」

 

「うふふ、にゃーん」

 

「にゃー!」

「にゃーん♪」

 

「・・・・・・」

 

五河 士道の目の前で、黒い髪の女の子が芝生に座り猫を抱えている。その表情はすごく幸せそうだ。

 

彼がいるのは、栞と出会ったあの公園だ。そこでCRによった帰り道でこの光景を目撃。気になって寄ってみたのだ。

 

だが、士道に気付かないあたり、猫に夢中になっているみたいだ。

 

人なつっこいのか、人に慣れているのか。

 

「猫、可愛いでしょう?」

「あ・・・」

 

ある程度近付いた所で、女の子が声をかけてきた。微笑みながら士道を見ている。

 

黒く、フリルのついた服を着ていて、左目を長い前髪で隠しているが、それがミステリアスな感じにマッチしているみたいだ。

 

 

「あ、あぁ。可愛いよな」

「えぇ。わたくし、猫が大好きですの」

 

「この猫は・・・」

 

「野生ではありませんわ。猫好きな女の子の一家が飼っている飼い猫ですわ。」

 

「だから人に慣れてるのか・・・」

「その一家とは猫好きとして交流がありまして。こうして面倒を見ることがありますの」

 

猫を慈しむようにそっと撫でる少女。その姿からは、本当に猫が大好きという気持ちが伝わってくる。

 

穏やかな時間が流れている。しかし、それは突然の轟音と悲鳴が打ち破ってしまう。

 

女の子は、驚いた猫が逃げないように抱きしめて音のした方角を見る。

 

 

「・・・・・・」

女の子は無言で音のしたほうに向けて走りだし、士道も慌てて後を追いかける。

 

現場にたどり着くと、そこでバグスターユニオンが現れていた!

 

銃の形をしていた。夫婦らしき二人を睨むように見つめている。

 

 

「やめろおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

士道はガシャコンブレイカーを呼び出して、ハンマーのままユニオンに向けて投げた。

 

それは命中。ユニオンは倒れた。

 

 

「大丈夫ですか!?」

「は、はい!しかし、娘が突然大きな怪物に・・・!」

 

あのバグスターユニオンは、夫婦の娘らしい。その話を聞いた少女が前に出る。

 

 

「わたくしにお任せくださいませ」

 

「あ・・・・・・狂三(くるみ)さん!」

 

「さぁ、この子を連れて安全な所へ。それと、天宮総合病院に連絡を!急いで!」

「「は、はい!」」

 

猫を抱えて、避難する夫婦。

 

 

そして、狂三と士道はゲーマドライバーを取り出して装着した。

 

「あら・・・あなたもですの?」

「あぁ。一緒に戦ってくれるか?」

 

「えぇ、えぇ。よろしいですわよ。あの子は猫好き仲間。必ずお助けいたしますわ」

 

狂三はガシャットを銃のように持って起動させた。

 

 

《バンバンシューティング!》

 

ゲームエリアが広がり、ドラム缶が複数展開する。

 

バンバンシューティング。開発中止になったシューティングゲームだ。

 

 

「変身」

 

ガシャットを回転させて、ゲーマドライバーに入れ変身した。

 

《ガシャット!》

 

《レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!?》

 

《アイム ア カメンライダー!!》

 

 

《ガシャコンマグナム!》

 

 

「仮面ライダースナイプ。ミッションスタート」

 

四人目の仮面ライダー、スナイプは武器のガシャコンマグナムを持ってユニオンに立ち向かっていく。

 

《マイティアクションX!》

 

「変身!」

 

士道もエグゼイドに変身。ガシャコンブレイカーを呼び出して、剣にしてユニオンへ走り出す。

 

士道がジャンプしながらユニオンを斬っていき、狂三はガシャコンマグナムを撃ちながら、動き回りユニオンを撹乱していく。

 

 

時折、狂三がマグナムを打撃武器のように使って殴ることもあった。

 

ユニオンは一発の銃弾を撃つが、狂三はそれをかわすと、エネルギーを纏って銃弾のようになってユニオンに向けて体当たりをくり出した!

 

それが止めになってユニオンは撃破され、感染者の女の子が落ちてくるが、狂三がキャッチしてくれた。

 

「我、誕生!」

 

バンバンシューティングの敵キャラ、リボルが現れた。

 

「しかし、誕生したらすぐに撤退するように指示を受けている。ここはベースへと退却する!」

 

リボルはそう言うとすぐに消えてしまった。

 

女の子を見ると、体も時折透けて、苦しそうだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後、女の子はCRに搬送された。ご両親と狂三も付き添っている。

 

その様子を、士道と呼び出された栞と折紙も上階から見つめる。

 

 

「あの人が、スナイプ・・・」

「鳶一は、会うのは初めてか?」

 

「うん、話を聞いたことあるくらいかな」

 

「・・・・・・」

「栞?どうした?」

 

「いえ、何でも無いのです・・・」

 

栞は複雑そうな表情で狂三を見ていた気がしたが・・・あまり聞くのも野暮だと思い、聞かずにおいた。

 

女の子は、両親や狂三と話したり猫と触れあったりしているが、ゲーム病は改善しない。

 

やはり、リボルを倒さないといけないのだ。

 

 

その時、CRの職員から連絡が入り、リボルを発見したとのこと。

 

狂三を含めた四人で現場に急行する。ちなみに、すでに自己紹介は済ませている。

 

狂三のフルネームは、「時崎 狂三(ときさき くるみ)」というらしい。

 

 

ーーーーー

 

 

たどり着いたのは、取り壊し予定のマンション。その中に、複数の戦闘員を従えているリボルの姿があった。

 

「敵兵の侵入を確認!これより、排除作戦を開始する!作戦開始!!」

 

リボルの掛け声に合わせて、戦闘員達が襲いかかってきた。

 

四人は襲いかかってくる戦闘員達をかわしながら、ゲーマドライバーを装着。

 

 

《マイティアクションX!》

 

《爆走バイク!》

 

《タドルクエスト!》

 

《バンバンシューティング!》

 

 

「「「「変身!」」」」

 

 

四人同時に変身。更に、レベル2になる。

 

 

「第二変身!」

「セカンド・ギア!」

「ステージ2!」

 

 

「第弐弾」

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

《ババンバン!バンババン!バンバンシューティング!》

 

 

四人揃ってレベル2になる。

 

 

士道は栞に乗って、ガシャコンブレイカーを持ち、走りながら攻撃。

 

折紙はガシャコンソードを構えて、襲いかかってくる戦闘員を正確に切り裂いていく。

 

狂三も、ガシャコンマグナムで正確にウィルス達を撃ち抜いていく。

 

ガシャコンマグナムのAボタンを押して「ズ・キューン!」の音声とともにスコープ付きのライフルモードに変形する。

 

出現したスコープを覗きながら狙いを定めて、強力な弾丸を発射。その一発でたくさんのウィルス達が倒される。

 

《マッスル化!》

《高速化!》

 

士道は栞にエナジーアイテムのマッスル化を修得させて、折紙は高速化を修得。

 

攻撃力を増した栞の車体でウィルス達に体当たりを食らわせて一気に倒す。

 

折紙は高速移動を繰り返して、剣で次々と切り裂いていく。

 

そこでまたウィルス達が現れたが、そいつらが次々とリボルに変わっていく!

 

「リボルが、たくさん!?」

 

「バンバンシューティングは、雑魚キャラを乗り越えてリボルを倒すのが目的の3Dガンシューティング方式のゲームですわ。

 

ですが、時間経過によって雑魚キャラがリボルの分身とまで言えるほどに強化、増殖する上に本物のリボルは透明化して姿を隠してしまいます」

 

「開発中止になったのは、そういう理由かもしれないな!」

 

 

驚く折紙に士道と狂三さんが解説をしている間も、どんどんリボルは増えていく。

 

リボル達が一斉掃射してくる。弾丸をかわしながら、対処方法を考えていると・・・。

 

「見つけましたわ」

 

狂三さんが呟くと、弾丸の雨の中立ったまま、ガシャコンマグナムを一点に向けて・・・・・・。

 

「ばぁん」

 

一発の銃弾を放った!その銃弾は、何もない所へ。しかし、そここそがリボルがいる場所だった!

 

リボルの透明化が解けて、姿を現す。

 

 

「ぐあぁ!何故わかった!?」

「答える義理はありませんわ」

 

狂三は、ドライバーからガシャットを抜いて、ホルダーへ入れる。そしてスイッチを二回押す。

 

 

《ガシャット!キメワザ!》

 

《BANBAN CRITICAL STRIKE!!》

 

 

狂三の足にエネルギーが集中。弾丸の形をしたエネルギーを右足に纏って跳び蹴りをくり出した!

 

それは狂い無くリボルに命中。断末魔の叫びを上げてリボルは倒された。

 

 

《GAME CLEAR!》

 

 

音声と共に、バンバンシューティングの絵と、GAME CLEARの文字が出てきた。

 

ウィルス達を的確に倒し、隠れていたリボルを正確に見つけ出して倒してしまった。

 

 

時崎 狂三は・・・・・・強い。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その後、CRに戻った士道達。女の子の様子を見てみると、ゲーム病も消えて、元気になっている姿が見えた。

 

両親も喜んでいて、狂三も嬉しそうだ。

 

 

「今回、私達はあまり役に立てなかったね・・・」

「そういう時もあるのです。めげずに頑張りましょう!」

 

「うん、ありがとう栞ちゃん」

 

 

栞と折紙が仲良く話しているなか、士道は狂三と話す。

 

 

「ありがとう。君のお陰で助かった」

「礼には及びませんわ。わたくしはやりたいようにやっただけ。ですが・・・」

 

狂三は、士道に近づいて耳元で・・・。

 

 

 

 

 

「あまり情けない様でしたら・・・・・・わたくし、あなたの持つガシャットをいただいてしまいますわよ?」

 

「!?」

 

「うふふ・・・・・・ではごきげんよう、士道さん」

 

狂三は士道から離れて、CRから出ていった。

 

 

 

可愛い女の子だが、耳元で囁かれた時には寒気を与えるような冷たさも感じられた。

 

 

とりあえず、わかったことは一つ。

時崎 狂三は、強くて不思議な女の子・・・・・・ということだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

リボルバグスターとの戦いが終わったその日の夜。狂三は天宮市の高層ビルの屋上に座っていた。

 

 

「・・・やはり、仮面ライダーはわたくし一人にするべきでしょうか」

 

狂三は呟く。誰にも聞かれないとわかっているから。

 

「いいでしょう、やってみせましょう。わたくし自身の目的のため、バグスターウィルスを根絶するため」

 

狂三が立ち上がると、その体が光に包まれ変わった。

 

黒とオレンジの神秘的なドレスのような服。そして、髪型がツインテールになったことで左目が見えた。

 

その左目は、金色の時計の文字盤となっていた。

 

「そして・・・士道さんのために・・・・・・」

 

自分自身を抱き締めるように腕を組む狂三。

 

トクン、トクンと胸が高鳴る。それは決して悪い物ではない。むしろ・・・心地いい。

 

内側から涌き出る衝動を抑えるように。それでも、抑えきれなくて、笑ってしまうけど。

 

 

「きひひ・・・・・・きひひひひひひひひひひひひひひ!!」

 

 

己の目的のため、止まらない。進む、進むしかない。

 

 

「士道さん・・・必ずあなたは・・・」

 

 

 

それこそが、そう・・・それこそが。

 

 

精霊《ナイトメア》、時崎 狂三なのだから。

 




次回から、原作一巻の話に入る予定です。

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