EX-AID・A・LIVE ~SPIRITS LOVERS~   作:エルミン

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グラファイトさん、あなたは立派な戦士でした!

今回でブレイブが登場します。




第三話 戦乙女なBRAVE!

モータスとの戦闘と、美九の秘密を知ってから三日後。四月五日。

 

三日間、バグスターウィルスの感染者が見つかったという報告も、バグスターが現れたという報告も無い。

 

 

その間に、士道はCRを訪れてバグスターに関する勉強をしたり、仮面ライダーの力を使う特訓をしたりしていた。

 

また、士道も正式にCRの一員として認められ、所属することになった。しかも、国家公務員と同じ扱いになり、給料ももらえるようになった。

 

高校生だから、それを考慮した金額だが、それでも普通にアルバイトをするよりずっと多い。

 

まぁ、そんな感じで。士道は栞の協力もあって、この三日間は結構充実している。

 

また、士道は自分の妹・・・正確には義妹の琴里にはバグスターの事や仮面ライダーの事は話していない。

 

CRに行くことも、全く別の事として話し、誤魔化している。

 

兄として、バグスターとの戦いに巻き込みたくない。そういう気持ちが強く、言い出せないのだ。

 

 

でも、もしかしたら、いずれは話さないといけないときが来るかもしれない。

 

因みに、士道は幼い時に母親に捨てられて五河家に引き取られた。

 

最初はショックで塞ぎこんでいたが、五河家の父と母、琴里のお陰で元気でいられるのだ。

 

 

士道は今、散歩をしていた。

 

今日は勉強も訓練も無し。ゆっくり出来るのだが、なんとなく散歩をしたくなって、こうして外を歩いているのだ。

 

「何も事件が起こらないってのは、ありがたい事なんだな・・・」

 

しみじみとした感じで呟いてしまう。でも、そう思うのも事実。

 

バグスターや空間震という人にとっての驚異。

それのみならず、事件や事故の無い平和な時は本当にありがたい事であると実感している。

 

 

 

「きゃっ・・・」

「っと!?」

 

考えながら歩いていたら、人とぶつかってしまった。

 

「すみません!大丈夫ですか!?」

「は、はい!大丈夫で・・・」

 

 

転んでしまった人は、士道を見て固まった。士道も固まった。その相手とは・・・。

 

「鳶一!?」

「五河君!?」

 

 

『白く、腰まで届くほどの長い髪』を持つ女の子で、士道が通っている高校のクラスメイト。

 

ぶつかってしまった事も、笑って許してくれる優しい女の子。

 

 

鳶一 折紙だった。

 

 

士道は折紙の手を取って立ち上がらせた所で、鳶一との出会いを思い出していた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

士道が折紙と出会ったのは、高校に入学し、新しいクラスに入ったとき。

 

士道の席の隣に座ったのが、折紙だった。

 

士道は軽く挨拶したのだが、肝心の折紙が驚いたのか、ビクッとなって顔を赤くして士道を見て、頷いただけだった。

 

いきなり男子に話しかけられて、緊張しているのか?そう思っていた。

 

 

 

 

士道が一人で、帰り支度をしていると折紙が声をかけてくる。

 

 

「あ、あの!すみません・・・」

 

「ん?」

 

「さっき、挨拶してくれたのに、失礼な感じになっちゃってごめんなさい・・・」

 

「いや、俺は大丈夫だけど・・・もしかして、その事を謝る為に残ってたのか?」

 

「う、うん。そのままにするのは悪いかなって」

 

「俺は気にしてないよ。むしろ、俺が急に声をかけちまったから、驚かしてしまったかなって」

 

「そ、そんなこと無いよ!」

「そっか、それなら良かった。改めて、俺は五河 士道だ」

 

「鳶一 折紙です」

 

士道達は改めて自己紹介をしてから、また明日と挨拶して帰ったんだ。

 

 

 

「五河君・・・やっぱり、覚えてないか。でも、変わってない・・・優しいところとか」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

それが、士道と折紙の出会い。それから、あっという間に打ち解けて一緒に勉強したり遊んだりする仲になった。

 

「鳶一、今日はどうしたんだ?」

「散歩かな。五河君は?」

 

「奇遇だな、俺もだよ。家でじっとしてるのもなって思ってさ」

 

 

「じゃあ・・・もし良ければ、私と一緒にお散歩しない?」

 

顔を赤くしながら、訪ねてくる折紙。断る理由もないから承諾したら、嬉しそうに笑った。

 

 

それから二人は、並んで一緒に歩く。他愛の無い話をしながら街中を歩いていく。

 

途中で喫茶店に入って奥のテーブルに座って休憩している。そして、士道が一旦トイレに行って戻ってくると・・・・・・。

 

 

「・・・だめ・・・こんな事をしたら・・・で、でも」

 

折紙が、士道がケーキを食べるのに使っていたフォークを持って、それを舐めようとしていた。

 

「・・・・・・」

「・・・んぅ?・・・あぁ!?ち、違っ・・・・・・これは違うのぉ!」

 

 

気付いた折紙が、顔を真っ赤にして慌てる。

 

 

彼女はたまに、こういう時がある。

 

これまでにも、彼の所持品を勝手に持って何かしようとしていたのを、士道は知っている。

 

でも、本人は無意識にやってしまう事が多いらしい。

 

 

 

「だ、大丈夫だ・・・わかってるからな」

「うぅぅ・・・」

 

うつむく折紙の隣に座る士道。

 

 

で、士道は注文したアイスティー『愛すティー』を一口飲んでテーブルにおいた瞬間、折紙の右手が士道のアイスティーの入ったコップを掴んで自分で飲もうとしたが・・・。

 

 

 

「どうしてぇ!?」

 

折紙は左手で、右腕を抑えて止めていた。

 

 

「くっ・・・静まれ、私の右腕・・・!」

 

腕から黒い炎が出たりするのか?

 

そんなこんなで、「鳶一発作」(命名:士道)が収まり、やっと普通になった。

 

という訳で改めて散歩を再会。二人で歩いていたら、。

 

 

「ギャオォォォォォン!!」

突然、バグスターユニオンが現れ、咆哮を上げた。

 

「バグスター!」

「!?」

 

その時、折紙がバグスターの名前をハッキリと口にした。

 

「五河君、逃げて!あいつは私が何とかするから!」

 

そう言って、折紙はゲーマドライバーを取り出して装着し、ガシャットを持った。

 

 

《タドルクエスト!》

 

表示されるタイトル、展開するゲームエリア、配置されていく複数の宝箱。

 

タドルクエスト・・・剣と魔法の正当派RPGだ。

 

 

「変身!」

 

《ガシャット!》

 

《レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!?》

 

《アイム ア カメンライダー!!》

 

 

その姿は、水色の騎士。

 

「仮面ライダーブレイブ。切除開始!」

 

鳶一 折紙の変身した仮面ライダー、ブレイブは長剣を持ってバグスターに向かって攻撃していく。

 

軽やかな動きでバグスターを翻弄して、長剣で切り裂いていく。

 

バグスターは口から光線を放つが、折紙は左手の盾で防いで、長剣をバグスターの頭に突き刺した。

 

そして、バグスターユニオンは倒され、患者と分離した。

 

「フハハハ!我が魔力を味わいたいのか!」

 

魔法使いのキャラ、「アランブラ」を模したバグスターが出現した。

 

ユニオンとなっていた人物、OLの女性が倒れた。

 

そこに、栞が駆けつけた。

 

「士道!遅くなってしまってごめんなさい・・・あ、ブレイブです!折紙さんですね!」

 

「鳶一を知ってるのか?」

「はい。折紙さんが仮面ライダーになったときに、ご挨拶しました」

 

「栞ちゃん!五河君を安全な所へ!」

「その必要はねぇ!鳶一、俺も戦う!」

 

士道と栞もゲーマドライバーを付けて、ガシャットを起動して変身した。

 

《マイティアクションX!》

《爆走バイク!》

 

「「変身!」」

 

エグゼイド、レーザーに変身した二人は、折紙の隣に立つ。

 

「五河君も・・・仮面ライダー!?」

「なったのはつい最近!」

 

三人でアランブラを相手にしようとしたその時、一筋の光線が士道に直撃した。

 

 

「ぐあっ!」

「五河君!?」

「大丈夫ですか!?」

 

起き上がると、アランブラの隣に新たな仮面ライダーが並び立った。

 

それは、黒いエグゼイド。既にレベル2の姿だが、感じるプレッシャーはかなりの物。

 

「・・・・・・」

「私に引けと?・・・良いだろう」

 

黒いエグゼイドは、手を振ってアランブラは下がり、姿を消した。

 

 

「・・・・・・」

黒いエグゼイドは何も言わず、士道達を睨むように見つめる。

 

まるで、彼らの動きを抑えるかのように。

 

 

「・・・っ!」

「鳶一!?」

 

折紙が斬りかかるが、黒いエグゼイドは右手で掴んで止めて、更に力を込めてへし折ってしまった!

 

しかも、士道と栞にも襲いかかり、一撃で変身が解けてしまう程の大きなダメージだった。しかも、黒いエグゼイドの周囲からウィルス達が現れた。

 

黒いエグゼイドは姿を消し、ウィルス達が襲いかかってきた。

 

 

「しょうがない・・・いくぞ!」

 

「うん!」

「はいなのです!」

 

 

栞は一番前の一体の顔を蹴り、体を回転させて複数のウィルスの足を蹴って転ばせて、倒れたやつらにパンチを叩き込む。

 

折紙は杖で殴りかかってきたのをかわして、他のウィルス達には、自分から近づいて殴り、蹴り倒していく。

 

士道は走ってきたウィルスの腹を殴り、踏み台にしてジャンプして上から他のやつらを蹴りつけていく。

 

更に、落ちている杖を拾って次々と殴っていく。

 

 

そして、少ししてウィルス達を全て倒すことに成功したが、黒いエグゼイドもアランブラもいない。

 

一体、あの黒いエグゼイドは何者なのだろうか?

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その後、女性はCRに搬送。病状は進行していて、このままは危険ということらしい。

 

 

三人はアランブラを捜索することに。しかし、手分けして探しても見つからない。

 

一旦合流した三人は話し合う。

 

 

「さて・・・次はどこを探しましょうか?」

「他に探していない所って・・・」

 

「・・・・・・」

「士道?どうしたのですか?」

 

 

「・・・思い出した。タドルクエストのボス、アランブラと戦う場所を」

 

「そこって・・・?」

「教会だ」

 

「じゃあ、早速そこに行こう!早く患者さんを助けないと」

 

「・・・・・・鳶一」

「え、何かな?」

 

 

「何で仮面ライダーになってるかとか、聞きたい事はあるけど、今は一緒に戦ってくれるか?」

 

「うん、もちろんだよ!」

「私も一緒なのです!」

 

士道の差し出した手を、折紙は繋いでくれた。栞も二人の手に重ねるように置いた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

天宮市の奥にある唯一の教会。その中にアランブラはいた。

 

「待っていたぞ、勇者たちよ!我が魔法で倒してくれるわ!」

 

 

「患者の運命は、俺達が変える!」

 

「人を苦しめる者は許さない!」

 

「やっつけるのです!」

 

《マイティアクションX!》

 

《タドルクエスト!》

 

《爆走バイク!》

 

 

「「「変身!!」」」

 

 

三人とも仮面ライダーに変身。更に、レベルアップする。

 

「第二変身!」

 

「セカンド・ギア!」

 

士道と栞がレベル2になり・・・。

 

 

 

「ステージ(ツー)!」

 

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

《タドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト!!》

 

 

ブレイブもレベル2になった。それは、本物の騎士を思わせる凛々しい姿だ。

 

更に、黒いエグゼイドとの戦いで折れた剣を構える。

 

「この剣は、誰にも負けない強い剣だ!」

 

 

すると、折紙の決意に答えるように剣が光り、その姿が変わった。

 

《ガシャコンソード!》

 

炎のような刀身を持つ、タドルクエストに登場する伝説の剣、ガシャコンソードに変化した!

 

「ノーコンティンニューで、クリアする!」

 

「アクセル全開!」

 

「切除開始!」

 

 

まず折紙が斬りかかり、士道は栞に乗って縦横無尽に動き、翻弄していく。

 

「モエール!シビレール!・・・当たらない!」

 

「私を忘れないで!」

 

 

折紙はガシャコンソードのBボタンを連打。その分の連続攻撃・・・炎の剣で斬っていく。

 

 

《コ・チーン!》

 

Aボタンで、氷の剣に変わった。ガシャコンソードは、炎と氷、相反する二つの属性を持つ剣である。

 

冷気を纏ったガシャコンソードを地面に刺すと、冷気が炎を放つアランブラに向かっていく。

 

炎と冷気がぶつかり合って相殺されていくなか、士道はガシャコンブレイカーを剣にして、すれ違い様に一閃。

 

更に、折紙もガシャコンソードで一閃した!

倒れるアランブラ。折紙がトドメをさすべく動く。

 

折紙はガシャットを抜いて、ホルダーへ入れる。そしてスイッチを二回押す。

 

《ガシャット!キメワザ!》

 

《TADDLE 》

 

《CRITICAL STRIKE!!》

 

キメワザを発動。折紙は飛んできたアランブラに対して、左足を軸にして、エネルギーを纏った回し蹴りを当てる。

 

それによって、アランブラは倒された!

 

《GAME CLEAR!》

 

音声と共に、タドルクエストの絵と、GAME CLEARの文字が出てきた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

CRからの連絡が入り、女性のゲーム病は完治したという。

 

その後、折紙は士道に話してくれた。

 

 

折紙が仮面ライダーになったのは一ヶ月前。

 

黎斗が折紙を仮面ライダーにスカウトして、折紙はそれを承諾したという。

 

苦しんでいる人達を頬っておけない・・・折紙らしい理由だ。

 

 

「鳶一・・・」

「私はこう見えても鍛えてるし、慣れてるから大丈夫だよ。五河君は、大丈夫?」

 

「問題ねぇよ。栞もサポートしてくれているからさ」

 

「折紙さん!士道のサポートは私の仕事なのですよ!」

 

ぎゅっと俺の腕に抱きつく栞。

 

 

「・・・えいっ」

すると、折紙も士道の反対側の腕に抱きついてきた!

 

 

「鳶一!?」

「折紙さん!?」

 

「栞ちゃん・・・私も立候補するからね!」

 

 

「折紙さんも、士道の事・・・」

「うん・・・負けないよ!」

「私も、負けないのです!」

 

 

二人が何で争っているのかはわからないけど、嬉しいやら恥ずかしいやら・・・・・・そんな気持ちのまま、士道はされるがまま固まっていた・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

その日の夜。

ビルの屋上に二人の人影があった。

 

 

一人目は、ラフな格好でゲームで遊んでいる青年。二人目は、緑色のマフラーをつけた青年。

 

「なぁ、グラファイト。これから、このゲームはどうなっていくと思う?」

 

一人目の質問に、二人目、グラファイトが答える。

 

「このゲームは、仲間を増やしていくために必要なものだ、遊び感覚でやるな」

 

グラファイトは中央にモニターが、左右にAボタンと銃口・Bボタンとチェーンソーの刃が付いている取っ手付きのパットを持っている。

 

「やれやれ、まぁいいか。さぁ、ゲームの始まりだ!」

 

一人目、パラドが高らかに宣言すると、グラファイトはパットからオレンジ色の粒子を・・・・・・バグスターウィルスを散布した。

 

 

悪意は、ばらまかれ続ける。




次回予告


バグスターに向けて放たれる銃弾。それは、不思議で貞淑な少女の放ったものだった。


第四話 強きSNIPE!


「可愛いですわね・・・」


ーーーーーーーー


ブレイブに変身する折紙ですが、原作十一巻に出てきた、改変後の折紙となっています。

これは、私の好みが半分と、物語の設定が半分によって出来ています。


キバはもう少しお待ち下さい。

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