Q:並行世界のブリテンがより歪んでしまったら?
A:神頼みならぬ邪神頼み
殴り書きな上に設定が曖昧、さらにクトゥルフはpixiv百科事典頼りです。注意。
―それは雷鳴轟く豪雨の中で起こった出来事だ。
いあ! いあ! はすたあ!
―扉を強く叩く。扉越しに男の声が響く。
「王! 王よ! 私です、ベディヴィエールです! 返事をしてください!」
はすたあ くふあやく
―さらに扉を強く叩く。扉の向こうの男は我慢の限界だった。
「王……っ! 扉を破ります! 無礼をお許しください!」
ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
―扉は一閃によって切り開かれ、銀腕の騎士が駆け付ける。
「王-っ!」
あい! あい! はすたあ!
円卓の騎士ベディヴィエールが最後に目撃したのは、黄のローブを来た女性を背に乗せた、蜂のような不気味な翼竜であったという。
最も……その姿は瞬く間に消え去ってしまったのだが。
―――
藤丸立香は夢を見る。彼は昨年にも、天下一の剣豪との旅路という奇妙な夢も見て、夢に出た剣豪……宮本武蔵をカルデアに招き入れた事があった。
今年は邪神をも屈させる画工と出会う夢を見て、その画工を降臨者という意味合いのクラスを持った英霊として呼び出した。
しかし画工を召喚した夜には、解り易いまでの悪夢を見てしまった。
場所は黄昏に染まり真っ黒な影が幾多も伸びる何処かの城。いずれも寂れており、人の気配が全くと言っていい程に感じさせない。
「忘れるものか。忘れるはずがない……ここは
傍らに立つはモードレッド。ただし彼女はバーサーカーとしての……アーサー王の正当な後継者であるモードレッド・ペンドラゴンの方だった。
何故そう思うのかを問えば、彼女は無言で指さす。その先には、やはり黄昏色に染まっている庭園があり、その中央に置かれた枯れた噴水。
目を凝らして見て見れば、その噴水の中央には、何かの鞘が刺さっている。その鞘は、赤と黒に染まった空間の中で存在を主張するように輝いている。
「あれは
不敬かもしれないだろうが、確かに煌びやかに輝く鞘があのような場所に飾られていれば、騎士だろうが兵士だろうが目に焼き付くだろう。忘れ形見、という奴か。
ということは、ここは間違いなくブリテンの城であり、
しかし何なのだろう、この不気味なまでの静けさは。
「此処がオレの居たブリテンなのは確かだが……マスターも感じているか? ここは静かだ……静かすぎる……」
狂化(といってもキャストリア絡みだが)されてなお理性を保つ勇モー王ですら、立香と同様の感覚を味わっているようだ。
味わったことは無いが、まるで深海にでもいるようだ。自らが発する僅かな足音ですら安心感を得られる程、静寂と重圧が心身共に浸食していくようで。
しかしながら、それは杞憂に終わった…… 黄昏の城にて立香と勇猛王を待っていたは、狂った6人の円卓の騎士であった。
「愛している愛している愛あいアい哀あイ藍あいいあ、いあ。いあ! いあ!」
狂愛のランスロット。愛によって狂った彼は、王の妻を、王を、円卓を、そして己の罪ですら愛する道化と化した。
「おおおおぉぉぉぉぉ! ランスロットォォォ! 何故ぇぇ! 何故に王は奴をぉぉぉ!?」
憎悪のガヴェイン。兄弟を、そして王の妻を奪われた彼は、復讐と憎悪と拒絶で燃え続ける黒い太陽と化した。
「王は心が解らぬのか!? 王はよもや人の皮を被った魔物ではないのか!? ああ、私は恐ろしい、恐ろしい。解っていながら解ろうともせぬ王が恐ろしい!」
侮蔑のトリスタン。王の人柄を嘆き、王の心を悲しみ、その果てに王を化物と罵る狂気と化した。
「あい! あい! はすたあ! あい! あい! はすたあ! 黄衣の王よ、王をどうか! どうか!」
狂乱のベディヴィエール。普段の彼を知れば考えられぬ程に発狂し、何かに向けて何かを願い続ける宣教師となった。
「……」
無心のアグラヴェイン。虚ろな目で、しかし精密な動きを持ってブリテンに侵入せし敵を排除する機械となった。
そして。
「ぎぎ、いぎ、あー、さぁ。民を、捧げ、よぉ。捧げろぉ。捧げるぞぉぉぉ」
「オレかよ……」
生贄のモードレッド。追い求め続けた王が居なくなった。なら誘き寄せればいいとブリテンの民を殺し続ける殺戮者となった。
いずれも、元来のアーサー王伝説にも並行世界の勇猛王伝説にも記された、円卓の不和が悪化したかのような現象だ。
城の外を見れば血肉と異形の死骸が広がる地獄絵図となっていた。これは余りにも酷い光景だ。強靭なメンタルを誇る立香ですら吐き気を覚える。
「なんなんだよ……なんなんだよ、ここは!?」
霊基を貫かれながらも凶悪な笑顔を浮かべて消えるモードレッドを見送った後、勇モー王は悲痛の叫びを上げる。勇猛の王と呼ばれし彼女ですら、この異端なブリテンに恐怖していた。
城下町は腐蝕と黒血で満ち溢れ、城は狂った騎士達で満ち溢れている。無心のアグラヴェインを除いた全ての騎士は、死に際が訪れようとも怪しげな呪文を唱え続けていた。
―ここで藤丸立香は思いつく……自分は似たような呪文を聞いた事がある……?
「ここは、私の夢です。外の世界へ逃げ出した、私の」
コツコツと静かな足音と声がした。藤丸立香は咄嗟に振り向き、勇猛王は剣を向けて身構えた。
「私は確かに外なる神に逃げたいと願いました。そして閉じ籠ろうとした私を鍵として並行世界を乗っ取る算段だったのでしょうが……あのような神、信頼していた円卓の醜い部分を見て来た私にとっては、恐れも蝕みもありません。
闇のように黒い影から現れ、黄昏の光に照らされて現れたのは奇妙な騎士だった。
白を基調とし黄の装飾が施されたバトルドレス。顔を隠し全身を覆う黄の外套。手に持つ剣は蜂をそのまま剣に変えたような不気味な獲物で、死にかけの昆虫のように時節蠢いている。
何よりも恐ろしいのは彼又は彼女の背から伸びる翼……らしきナニカだ。竜の翼のようにも見えるが、皮膜は昆虫の羽を束ねており、それら1枚1枚が七色の光沢を放つ。
「外なる神は、本来のブリテンの並行世界……私が逃げ出したブリテンの、さらに並行世界のブリテンに目を定めました。並行世界の並行世界という遠く細い回り道を辿りながら、貴方と
つまり、あの円卓の騎士は全て、この者の夢が生み出した想像の産物ということか。あのような悍ましい物を見て、それを夢という形に昇華させたのがあの騎士だというのなら、アレは……。
「嘘だろ……?」
「お久しぶりです。モードレッド」
驚愕し硬直する勇猛王を前に、騎士は黄衣のフードを脱いで姿を晒す。
彼女こそは
「ウガアアァァァァ!」
勇猛王が吠える。彼女はカルデアという別世界で
それは騎士王としての父を超えるという無念であり、騎士王としての父に認められず、騎士王としての父に逃げられた……並行世界の
故に……勇猛王を最大限に狂化させるには十分すぎた!
「カルデアのマスターよ……私を全力で止めてください。この身に宿す神の力は、あと少しの力が加われば収まります」
魔力放出を持って高速で突撃する勇猛王だが、いつしかアルトリアは当たり前のように藤丸立香の眼前に立っていた。
吹き荒れるのは魔力放出が起こした風だけ。物理法則を無視した、しかしテレポートですら感じさせない何かを、眼前のアルトリアから感じさせる。
「
モードレッドが反転、真っ赤に染まる目でアルトリアを睨み、今度は跳躍だけで肉薄する。
アルトリアは視線を立香に向けたまま、片手で剣を振う……それだけで肉薄したはずのモードレッドは吹き飛ばされた。
振り上げた剣はまるで生き物のように……それこそ蝉のように刃そのものが振動し、蜂の羽を象った剣格が羽ばたいている。
「どうか、私に救いを。どうか、貴方の世界に救いを。
遥か彼方から激突音が響く。目の前のアルトリアに敵意が湧き出てくる。目の前のアルトリア
それでも藤丸立香の心は折れない。アルトリアの意志と
―令呪を持って命ずる! 戻って来い、バーサーカー!
令呪が刻まれた手を翳し、敢えてクラス名を叫ぶ。藤丸立香とアルトリアの合間に勇猛王が瞬時に現れ、牙を向ける。
アルトリアはそんな僅かな瞬間に微笑み、
背より生えし、蜂の羽を皮膜代わりとした竜の翼が羽ばたく。両手で握られし、蜂のような竜のような異形の剣が奇怪な叫びを上げる。
その騎士に宿りし異形の名は……ビヤーキー。外なる神の化身たる黄衣の王の下僕。
その異形を見に宿した騎士は……本来の力にビヤーキーの力を掛け合わせた、異端の英霊。
「
悪夢を乗り越えろ、カルデアのマスター。
この後、なんとか悪夢を脱して外なる神の野望を阻止した藤丸立香。アルトリアは扉の番人と会合した後、再び異次元に引き籠り続けた。
もし立香が召喚を行えば、もしかすると現れし英霊は……出会えるかは彼の運次第だが、出会えば間違いなく彼女は力を貸すだろう。
●イベントクエスト「黄衣の騎士王」
全7クエスト。作中の騎士6名+
別名「キャメロットの悪夢再び」。第六特異点程ではないが凶悪なギフトを持ったバーサーカー6名を倒さなければならない鬼畜クエ。
難しいのは道中だけで、ラスボスである
●アルトリア=ペンドラゴン(フォーリナー)
・性別:女性
・属性:混沌・善
・イメージカラー:白と黄
・特技:超高速の逃走
・好きなもの:スッキリしたもの
・嫌いなもの:ドロドロしたもの
・天敵:ジル・ド・レェ
●所有スキル
・領域外の生命EX
・神性B
・騎乗B
・狂化B
・魔力放出(邪)A:自身のBusterカード性能をアップ+自身のNPを増やす
・カリスマ(邪)A:味方全体の攻撃力をアップ+相手全体の防御力をダウン
・黄衣王の嘲笑A:敵全体のチャージを高確率で減らす+自身のNPを増やす
●解説
見た目はキャストリアにセイバーの恰好をさせ、蜂と竜を掛け合わせた翼と剣を持たせ、黄色の衣を被せた感じ。モチーフはまんま「黄衣の王」。
円卓の騎士との不和が最高潮に達した、並行世界の更に並行世界より降臨したアルトリア=ペンドラゴン。異次元に引き籠っていた。
モルガンの入れ知恵で魔導書を手にしてしまい、全てから逃げ出したい一心で外の世界の神の僕を呼び出してしまった。
邪神の顔を見てしまったにも関わらず「滅びゆく未来と自分の醜い心に比べればマシ」とネガティブに走り邪神に屈しなかった、ある意味で究極の頑固者。
光を超す速度で飛行するビヤーキーと一体化した事で自らを宝具化し、超高速と異次元を渡る術を手に入れた。
●宝具
・
対軍宝具。呪文を唱えて光を超す速度で抜刀、次元をも走る真空波があらゆる障害物を切り裂き、特に騎士には拒絶の意志を込めて次元ごと切り裂く。
カード性能はBuster。全体に強力な攻撃+防御力をダウン+「騎士」に対し特攻効果(オーバーチャージで効果アップ)
「ぶるぐとむ、ぶぐとらぐるん……ぶるぐとむ! 風来せし黄衣の王よ、この一撃を持って御身に供物を捧げ奉らん……
以上、設定ガバガバな自分勝手な
それだけ北斎が来てくれたのが嬉しかったねん。いいよね江戸っ娘(笑)
いっそのこと
少しでも楽しんで貰えれば幸いです。また変なのが浮かんだら書くと思います。ではでは。