汚い艦娘を見つけたので虐待することにした   作:konpeitou

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正義の提督が再来。
しかし悪に屈した彼女にはどうすることも出来ないのであった。


第二十二話 合同演習と正義

 

「ふんふ~ん、しゅっしゅしゅ~♪」

 

 占守っす!

 今日も潜水艦を倒しまくって、ご機嫌っす。

 

 それもこれも、司令のおかげなんすよねぇ。

 クナと一緒に、お世話になってるっす。

 

 司令はまだ若い女の人だけど、凄い人っす。

 どんどん鎮守府を盛り上げて、戦果を上げていっているっす。

 

 それに、とても慎重派。

 絶対に沈ませないと、皆の前で誓ってくれた事もあったっす。

 

 占守は良い司令に恵まれた、幸せ者っす。

 

「しゅしゅっ~……ん?」

 

 司令に報告しようと、執務室の前まで来たっす。

 そしたら、中から話し声が……。

 

 電話でもしてるんすかねぇ。

 こないだ行った、視察先の鎮守府の人かな。

 

「……だろう……かな……」

 

 うーん?

 盗み聞きはよくないっすけど……。

 

 ちょっと聞き耳立てちゃうっす!

 

「……全く、キミは本当に『虐待』が好きだな」

 

「!?」

 

 虐待!?

 一体何の話をしてるんすか!?

 

「ふふっ、分かってるさ。虐待はキミの趣味だもんな」

 

 虐待が趣味!?

 どんな提督っすか!

 

 ていうか司令はそんなとこに視察行ったんすか?

 なんで問題にしないんすか!?

 

「ん? ああ、予定通りだ。大丈夫」

 

「明後日そちらに向かうよ。うん……」

 

 向かう!?

 司令、そんな恐ろしい人のいる所へ行ってなにするんすか!?

 まさかそういうシュミだったんすか!?

 

「こっちは海防艦の娘を連れて行く。ああ、分かった」

 

 ……!?

 か、海防艦を……?

 

 まさか司令、そんな……。

 そんなディープなシュミに、占守達を巻き込むなんて……!

 嘘っすよね?

 

「ふふ、お手柔らかに頼むよ。じゃあ、失礼する」

 

 お手柔らかにって。

 手心を加えて、プレイしてやってくれって事っすか……!?

 

 海防艦は打たれ弱いんっしゅよ!?

 司令はそういうのに悦びを感じるタイプかもしれないっすけど、

占守達は嫌っす!!

 

「……司令」

 

「あ、占守。出撃結果はどうだった?」

 

 占守は、司令を信じていたっしゅ。

 優しくて、強い信念を持っている司令の事を。

 

 でも、それだけは……!

 

「私達は、巻き込まないでほしいっす……」

 

「? ……何のこと?」

 

「せめて! せめてクナと択捉は許してあげてほしいっしゅ~!!」

 

「ほ、本当に何言ってるの!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 湾内演習場に、四隻の艦娘が航行している。

 確か『海防艦』っつったっけな。

 

 駆逐並みかそれ以下の性能だが、対潜能力が高いらしい。

 うちにはいねえ艦娘だなぁ。

 

「ま、俺の兵器共のが勝つに決まってんだけどな!」

 

「いいや、僕の娘達の方が強いさ」

 

 設営された簡易休憩所で日差しを避ける、俺と視察官。

 

 まぁ、もう視察官ではないんだが、面倒くせえからこのままでいい。

 こいつもいいって言ってるしな。

 

「キミの所の潜水艦は、かなりの練度みたいだね」

 

「クク、俺の兵器だからなぁ。あれくらいは当然だぜぇ?」

 

 今日は、こいつの鎮守府との合同演習だ。

 こないだの口約束を、実現することにした。

 

 こいつに俺の艦娘共の力を見せつけてやりたかったしなぁ!

 

 ウチの潜水艦連中は、ゴーヤを筆頭に中々の曲者揃いだ。

 虐待耐性も高えし、戦力的にも申し分ない!

 

 特にイク、あいつはやべえぜ。

 俺に対して『何をしても怒らないから好き』なんて言うとはなぁ。

 

 流石に俺のことを舐め過ぎじゃねえか?

 ま、構わねえがな。

 

 あいつら、俺が来た頃は陸でもスク水のままで動き回ってやがった。

 だから俺が命令して、スカートとかを履かせるようにしてやったんだ!

 

 今まで開放的に、自由に過ごせていたのに、さぞ窮屈だったろうなぁ!

 俺の前でクルクル回って、うっとおしさをアピールとかしてたし!

 

 まるでピチピチの服を着せられた犬の様によォ!

 

「……国後が」

 

「クックック、流石だなイムヤよ」

 

 イムヤの雷撃が直撃したらしく、相手の一隻が大破判定になった。

 あいつはスナイパーの如く精密射撃が得意なのさ!

 

 FPSやってるときも、相当なエイム力で蹂躙していたな。

 ま、俺のが強いけどなぁ!

 

「む……」

 

「よし、こっちもやったぞ」

 

 イムヤがやられちまったか。

 魚雷を撃った直後の隙を狙われたようだな。

 

 海防艦の……占守つったか。

 かなり高精度な爆雷投射だ。

 

 だがイムヤ、あれは明らかに油断したなぁ?

 こいつは後で指導と言う名の『虐待』だな……。

 

 今日は新しい髪飾りを付けるように命令してやるか!

 俺の選んだ、センス最低の代物をなぁ!

 

  

 …………。

 

 

「……キミ、僕の事を男だと思っていたんだってね」

 

「香取め……あー、でもしょうがねえだろ! お前髪短いんだよ!」

 

「髪短い娘くらい幾らでもいるだろ!」

 

「声も低めだしよ、帽子も深めにかぶってたじゃねえか!」

 

「それは軍に入ったからだよ! 舐められないようにって!」

 

 クソ、なんだよその理由は!

 女ってだけで馬鹿にするような奴なんて、いるのかよ!?

 

「はぁ、わーったよ、もう間違えねぇから」

 

「当然さ。……キミみたいな人が提督だと、艦娘も大変だね」

 

「フン、おめえみたいな正義バカの方が大変そうだがなぁ」

 

「バカって言うな! キミの方がバカだろこのバカ!」

 

「はい馬鹿って言いすぎー! お前のが馬鹿なんだよなぁー!」

 

「うるさいこの虐待バカ! 馬鹿馬鹿!」

 

「んだとこのアホ! 阿呆阿呆!」

 

 

 …………。

 

 

「仲いいっすねぇ……」

 

「司令官とあれだけ言い合い出来るのもそう居ないわね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ……」

 

 演習終了後、僕の艦娘達を入渠させてもらった。

 お風呂を借りるなんて、初めての経験だったから、はしゃいでいたな。

 

 そして、何故か僕もお風呂に入っている……。

 

 広くて、色々あって楽しいっす! って言ってたから興味はあった。

 でも流石に悪いなと思っていたら、彼から提案してきたのだ。

 

 『ウチの虐待風呂、ご堪能あれ!』とか言ってた。

 意味がわからない。

 

 しかし、負けちゃったか……。

 相手の潜水艦……確かイクちゃんだっけ。

 

 彼女が最後まで逃げ切り、占守を中破判定にしたのだ。

 中々やっかいな娘だった。

 

 彼の艦娘、その強さ。

 それを少しでも分かることができたのなら、今回の演習は成功だろう。

 

 占守達も、いい経験になっただろうし。

 ただ、彼の影響は受けないでほしいけど。

 

 僕の所は今のままでいいんだよ、うん。

 

「……ここは何のお風呂かな?」

 

 大浴場には幾つか浴槽があった。

 普通の湯船、寝られる物、ジャグジー、水風呂……。

 

 これのどこが虐待風呂なんだか。

 

 僕は一番大きめの、ちょっと深いお風呂に入る。

 お湯は入浴剤でも入っているのか、乳白色に濁っている。

 

 ん?

 何か……泡が……?

 

「お湯の中からこんにちはー! ゴーヤだよ!」

 

「うわぁっ!?」

 

 突如、一人の艦娘が湯の中から飛び出してきた!?

 ゴーヤって、潜水艦の……。

 

「いひひ、視察官さん、いらっしゃいなのね~♪」

 

「視察官さんも潜ります? 潜っちゃいます?」

 

「き、キミ達……!?」

 

 ゴーヤちゃんだけでなく、他の潜水艦娘もいる!?

 みんなこの湯船に潜行していたのか?

 

 いつの間にやら、僕は彼女たちに取り囲まれる形になっていた。

 前後左右に、密着してくる!?

 

「アナタの所の海防艦達、強かったわ」

 

「五十鈴さん達と同じくらい上手だったよね、爆雷」

 

「あ、有難う……それで、あの、キミ達?」

 

 うちの娘を褒めてもらえるのは嬉しい。

 しかし、この状況は一体何だ!?

 

 ていうか君らも僕の事視察官呼びのままなのか。

 まあいいけど。

 

「お客さんを歓迎しよう……ということです」

 

「今日の演習のお礼参り、ですって!」

 

「使い方が間違ってるでち……いや合ってるのかも?」

 

 歓迎って……。

 あ、一緒にお風呂で語り合うとか、そういうやつかな?

 

「ふふっ……♪」

 

「よいしょっと……」

 

 あ、あれ?

 なんで皆僕の腕を掴むのかな?

 

 というか、腕だけじゃなくて全身押さえつけられている!?

 

「な、何をする気!?」

 

「だからぁ、『お礼』なのね……♪」

 

 潜水艦娘達が柔らかく、僕の身体を触る。

 か、艦娘は人間に危害を……!

 

「これは危害じゃなくて『接触』なのね~」

 

「スキンシップだよ、スキンシップ!」

 

 気がつけば両手両足とも、細腕に掴まれ動かせない。

 これ湯船にも潜ってる娘がいるな!?

 

「おおー、視察官さん、結構『ある』のね!」

 

「うひゃぁっ、ちょ、ちょっと!」

 

 背後から抱きついてきたイクちゃんが、僕の胸に手を当てる。

 そして……。

 

「本当ですね……はっちゃん以上……いや、イクよりも大きい?」

 

「ゴーヤより圧倒的にデカいでち……これは許されない」

 

 な、何なんだ一体!!

 ていうかイクちゃん、手つきが……!

 

「制服着てる時は無かったわよね、なんで?」

 

「そ、それは、んっ、サラシを巻いてたから……あっ」

 

 海軍に入って、周囲の男の目が気になりだした。

 余りにも遠慮なく見てくるので、こういう風に外へ行く時は、

サラシを巻いて偽装していたのだ。

 

 自分の鎮守府では普通にしてるけど。

 

「へぇー、でも苦しくないんですか?」

 

「け、結構、苦しい時も、あるけど……んっ!」

 

「夏は暑くて蒸れちゃいそうですって!」

 

 い、イクちゃん、いい加減に……!

 と思っていたら、他の娘まで手を!?

 

「じゃあ一杯慰めてあげませんと」

 

「お疲れ様でち~♪」

 

「ふぁ……や、やめてぇ……」

 

 力が抜けていく。

 皆に密着され、どんどん逃げ場がなくなっていく。

 

「イク達が癒してあげるの……♡」

 

「伊号潜水艦の恐ろしさ、見せてあげるわ♡」

 

「ろーちゃんも頑張ります! がるる~♡」

 

 な、なんということだ。

 これこそ虐待風呂の真実!

 

 そして、彼の艦娘の実力だったんだ!

 絶対この娘たちが勝手にやってることだろうけど!

 

 ……そして、このあとめちゃくちゃ労をねぎらわれた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「キミ……」

 

「お、どうした。顔が赤いぜ? のぼせたか、クックック」

 

「……本当に凄いね、キミの艦娘は」

 

「だろ? よぉく分かってるじゃねえか!」

 

「うん……身を持って知ったさ……」

 

 クク、今日の演習で俺の艦娘の凄さを思い知ったらしいな!

 いい気分だぜ!

 

 ……ん?

 こいつ、胸が……?

 

「気になるかい?」

 

「んぁ? おう、どうしたんだそれ」

 

「サラシを巻いてたんだよ。今は外してる」

 

 サラシだぁ!?

 こいつ、腰痛持ちだったのか?

 それとも内臓が飛び出すのを防ぐ機能を期待してたのか。

 

 もしそうだとしたらとんだ過激派だなぁ。

 

 まぁどうでもいいか。

 

「ふーん。まぁいい、ホレ、フルーツ牛乳飲むか?」

 

「……ふふっ、まぁいいって、それだけかい?」

 

「おう。なんだ? もしかして珈琲牛乳派か?」

 

 冷やしてあったっけな……。

 

「あははっ! キミは本当に、変な奴だよ!」

 

「ククク、今更気づいたのか? 俺は何時でも変なヤツだぜ」

 

「ふふ……はぁ。今度此処に来る時からは、サラシは必要無いみたいだね」

 

 どういうこった。

 俺に腹を切られる危険性を考慮して巻いてたのか?

 

 流石の俺もそんなことしねえよ!

 

「ほらよ、風呂上がりは牛乳に限るぜ!」

 

「ああ。ありがとう」

 

 

 ……この後、視察官と居酒屋で軽く飲んだ。

 そして、二度とコイツと一緒に飲む事はしないと心に誓った。

 

 マジでヤベー奴だぜ、視察官様よォ!

 

 




潜水艦娘は悪の手先になってしまっていた!


お風呂と居酒屋で起きた事は、闇に葬られました。

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