カルデアに生き延びました。   作:ソン

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設定編です。これにてAfter3完了。何とかお届け出来ました。
しかし、急ピッチで文章を練り上げるとこうなるなぁ……。焦る必要も無いのになぁ……。

次回は口直しの激甘回を書きたい。
しかし、アランはハーレムが許されるオリ主なのだろうか……。


After3 特異点に関してのマテリアル

 

今回の特異点が生まれた経緯

 ロンドンでアランが魔術王と対峙した際に起こした奇跡。それは確かにこの世界に生きた全ての人々を呼び起こした。

 戦いの後、彼らは静かに眠りに戻るはずだったが外からの観測者の手により、聖杯に意志をくみ取られる。

 彼らが願った「この地獄を生きたい」「死にたくない」「多くでも一人が生き延びて欲しい」――それらから、自身の生存を望む意志だけを増悪化。彼らの魂を変質・変性させた。これはキャスターリンボの行っていた宿業に近い。そしてその自我を使い潰すために『第四次聖杯戦争を何度も繰り返し、特異点の中で行わせた』。地獄を何度も突きつけられた彼らは叫びをあげる事しか出来ない。――こうして彼らの願望は確かに狂わされていく。間違いなく被害者のカテゴリである。

 そして観測者には手駒が必要だった。いざとなれば他所から召喚するつもりであったが、それを行う必要はなくなった。ある一人の男が立ち上がったからだ。

 その願いは英霊を呼ぶには値しない。けれど彼らの叫びを無かった事には出来ない。――故にエミヤ・オルタは自ら召喚に応じた。

 それとほぼ同時期にカルデアがその特異点を観測。

 かくして、願いを否定する戦いが始まった。

 

何故アランだけが狙われているのか

 ロンドンで彼が宿した奇跡。その残滓は確かに残っている。つまり彼の体を奪えば、この世全ての人々に手が届き、観測者は降臨する事が出来る。

けれど、一人の全能の少女がそれを阻み続けており、手出しは容易では無かった。アランの意志を乗っ取る前に少女が彼を守るからだ。

 ――故に観測者は手段を変えた。彼の体を直接乗っ取るのではなく、その精神を絶望で挫く術に変えた。

 もし仮にエミヤ・オルタが勝利し、犠牲者達が彼の体に乗り移ったとしても、それは複数の魂が融合して既に歪な形に歪んでしまっており、自我が消滅するだけだろう。そうすればその体を奪う事は容易だ。

 だが英霊達がそれを阻み、今回は失敗に終わった。力を振るう事しか出来ない存在と侮っていたからだ。

 ――観測者との戦いは、まだ終わらない。ソレは自身が為しうる全てを以て、彼の心を砕きに来るだろう。

 

冬木市

 その都市自体が一種の空想概念として形成されている。そこにある何もかもが過去の夢に過ぎない。それはカルデアに存在を観測させ、本命であるアランを誘い込む囮でしかない。

 人理定礎には何の影響も無い、ただアランを絶望させるためだけの世界である。

 

 

Q今回の特異点タイトルはどういう意味?

A追想特異点 回帰願望都市冬木1994 アクセルゼロオーバー

 最初は空想にしていたのですが、亡くなった彼らの意志が利用された特異点であるため、変更を決意。追憶特異点とかしていましたが、語呂が悪いため追憶と同じ意味を持つ追想に変更。

 回帰願望都市とは、犠牲者達の生きたいと言う願い。そしてエミヤシロウと言う始まりが正義の味方になる事を選んだ「願望」。それを思い出し、また始まりの頃に戻ると言う意味で「回帰」。これらを合わせて回帰願望都市冬木と命名。またこの命名を考えた頃に、ぐだぐだ帝都聖杯奇譚のイベがあり、その名称にカッコよさを感じたため、1994をつける。

 アクセルゼロオーバーは、コラボイベのタイトルを弄った……だけではなく。Fate/zeroと言う作品ではタイトルが「-134:45:14」とか時間表記で進んでいきます。そしてとある一人の少年が抜け殻になった男と出会う時に「0:00:00」となるのです。ゼロと言う意味は犠牲者達が亡くなった時(実は少しずれますが……)とエミヤシロウの始まりの時です。そして犠牲者達の願いの一つでもあったである「生きたい」(あの災害が起きた時であるゼロを超えたい)という思い。そして地獄を生き延びた彼が何もかもを腐り果てて失った事を知り「始まり(ゼロ)に辿り着き、始まりを取り戻す事でかつての光景を取り戻し、救われて欲しい」という願い。それらの意味合いを含める為、ゼロオーバーとつけました。アクセルは彼らの「振り返らないで進んで欲しい」と言う願い。後、Fate/zeroコラボの名残を残したいと言う作者の願望です。

 そして追想特異点 回帰願望都市冬木1994 アクセルゼロオーバーと言うタイトルが完成。正直色々詰め過ぎて分かりにくいと思います……。もうちょっとシンプルにすればよかった。

 

Qギルガメッシュは何故傍観を選んだ?

Aぶっちゃけ扱いに困ったためです。今回の特異点では彼が主人公側に立てばそれだけで勝利はほぼ確定します。

 ただそれでは面白くない。逆風を与える物語と、苦しみ悩み足掻き葛藤しながら少しでも前に進む主人公こそが、私は主人公と言う括りにおいて最も好きな形だからです。そしてただ蹂躙するだけの存在はギルガメッシュでは無い。前に進み続ける者達を裁定し、その在り方に敬意を表すると言う存在が彼だと思っているからです。

 最初はエミヤ・オルタ&シャドウサーヴァント連合VSギルガメッシュで、彼が敗北すると言う形にしていたのですが。ギルガメッシュが何の対策も立ててない数の理で押す相手に簡単に負ける筈がねぇだろと気づき、途中でボツ。

 急遽、彼を裁定者に立てました。……描写が不足して申し訳ない。

 

Q何故征服王は王の軍勢を展開出来た?

A固有結界の展開が確か、世界の修正力から逃れるためと言う括りだった筈。今回の特異点では聖杯が修正力を疑似的に模倣していましたが、アランが固有結界を破壊し聖杯自体にダメージを与えた事で、ソレが解除。固有結界なしで王の軍勢を展開出来ました。

 あの光景は分かりやすく言うと無限の残骸VS王の軍勢と思って頂ければ。

 ぶっちゃけ、無理くりです。設定の捻じ曲げにも等しい……。もうこんな事はしないぞ。

 

Qアランの礼装は何なの?

Aカルデアの科学力とAチームの魔術理論によって完成した、対固有結界礼装です。「」を自身に夢幻召喚させ、ロンドンのセイバーに変化する技。要するにジーク君みたいなもんです。

 「」の世界を書き換える力を行使し、固有結界そのものを破壊すると言う荒業。ネックは一度使用したら、再使用に一週間かかる事。発動時間が長すぎると「」の存在が消滅するリスクが存在する。

 元々「」はアランを守るために多くの力を使用しており、世界を書き換える力を容易に発動できない。

 

Q今回の特異点のマスターはどうなる?

A彼らはスワンプマン。つまりそれぞれの人物の形をしただけの、全く別の存在。一夜の夢です。この特異点が終われば、全て消滅します。彼らが見た光景も、感情も、オリジナルに届けられる事はありません。

 

QそもそもFGOでは聖杯戦争一回だけなんだけど?

A書きたいから書いたんだ! 今更設定が何だってんだ!(震え声)

 と言うか設定突き詰めたら、私の作品自体結構矛盾が出ますからね……それも無視できないレベルで。

 そもそも剣式がヒロインとかどういう事やねんと言う。

 

Q言峰が最後に引いた曲は?

Aホロウよりカレンのテーマです。クラウディアさんから伝わったらロマンがあるなぁと思いまして。

 後はアナスタシア編のオマージュ。あのシーン本当好き。

 

Q今回の最適解サーヴァントは

A武蔵坊弁慶 冬木市で宝具使った瞬間に強制成仏で特異点修復完了。

 

Qもしアランがキャメロットでアーサー王に仕えたらどうなるの?

A間違いなく途中で死にます。途中で死んで、アーサー王の悔恨になりかねないです。

 

Q彼に救いはないんですか!?

 

 

 

 

 小さくノックの音がした。

 

「――ごめん、ちょっと入るよ」

「……ドクター?」

「私もいるよー?」

「ダヴィンチちゃんも……。どうしたんですか、二人とも」

「いやぁ、ランスロット卿から頼まれてね。

 キミの事情を聞いた。特異点での出来事で苦しんでいると」

「……そう、ですか」

「おっと恨みっこは無しだぜ。キミに元気がない事はカルデアのほとんどが気づいているからね」

「……隠し事、出来ないですね」

「やっぱり頑固だなぁキミは。

 ほら、話してみなさい。――私とロマニに、大人としての責任を果たさせてくれ」

「……はい」

 

 

 二人に話した。

 今回の特異点が出来た原因に俺が関わっていた事。そしてその願いは紛れも無い本物で、俺がそれを切り捨てた事。

 気が付けば泣いていた。喉が震えて、言葉が上手く出ない。

 それでも二人は何も言わず、ただ黙って聞いてくれている。

 長い時間を掛けて、話し終えた。俺の選択も、後悔も、苦しめている罪も。

 

 

「……そうか。確かにそれは惨いモノだ。

――けれどね、アラン君。彼らの思いに報いる方法は耐える事じゃないんだ。それじゃただ苦しいだけだから」

「……」

「それはね、より良い未来を築く事だ。キミが誰かの未来を繋げる事に意味を見出したように」

「あ……」

「確かに死者に言葉は無い。一と零は混じり合う事は無い。――だからゲーティアはそれを死と断絶の物語と呼んだ。けれど彼には受け取れる心が無かったんだ。ただの傍観者では決して与えられる事のない想いをね。

 例えそこで終わる命だったとしても、今を生きる者に背中を押す事は出来る。ここで止まらず、未来に進む祈りを届ける事は出来る」

「……」

「――アラン君、実は言うとキミは私達にソレを証明しているんだよ」

「証明……?」

「そうさ。事実、僕達は一度ロンドンで絶望しかけた。魔術王との力が圧倒的だったからだ。例えどう足掻いても、彼我の差が余りにも開きすぎていた。頼みの綱である英霊達ですら適わなかった。

 そんな現実を間に当たりにして尚も進む事を選べたのは。あの時のキミの選択、言葉、決意、祈り――その全てが僕達の背中を押してくれたからだ」

「……俺は」

「そんな事に気づけなかったから愚か、なんて言わないでくれよ?

 灯台下暗しとはよく言うだろ。実際、人は迷う者だ。人生は一本道じゃない。人は自由だから、迷うんだ。一つもおかしくないよ」

「……そう、か」

「落ち着いたかい、アラン君。ほら、ダヴィンチちゃん特製のコーヒーでも如何かな?」

「……ありがとうございます、頂きます」

「……うん、少し落ち着いたようだね。良かった、ようやくキミにドクターらしい事をしてあげられた」

「ずっと、貴方に助けられてばかりでしたよ。……ドクター」

「それは僕達もさ。……今日は、眠れそうかい?」

「……はい、何とか」

「あぁ、良かった。私も安心したよ、工房は開いてるからいつでもおいで。飲み物もそろえてあるからね」

「はい、ありがとうございます」

 

 






「どうかしたの、マスター?」
「その、ごめん。何とか落ち着いたんだけど、まだ怖くてさ。
 迷惑じゃなかったら、傍にいてくれないか。その、まだ夜明けまでは長いけど」
「――……えぇ、貴方の願いであれば喜んで。布団の中にでも入ってあげましょうか?」
「……そうだな、頼む。キミといると安心する」
「――」
「?」
「いいえ、何でも無いわ。まだ夜は長いものね」

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