やはり書けば出るは本当だったか……。
ちなみに続きますが、まだ先は未執筆ですので気長にお待ちいただければ……。
人理を修復してから凡そ数か月。
カルデアは時折現れる特異点を修復する作業に追われていた。
「うん、急に呼び出して申し訳ないねアラン君」
「いえ、丁度暇だったんで……」
本来ならレイシフトもない休日。ドクターから俺の部屋にモーニングコールが飛んできたのである。これは結構珍しい。
マスターも元Aチームのメンバーが再加入し、人手も増えたから俺や立香が特異点に赴く回数は、グランドオーダーの時に比べると遥かに減ってきたのだ。
それにしても、最近首が痛い。寝違えたかな。
「早速だけど、これを見てほしい。日本の片田舎なんだけど、そこに小さな特異点反応が検出された。
キミに解決を依頼したいんだ。立香君は今、手が離せなくてね……」
「?」
『安珍様ぁぁぁぁぁっ!!』
『ぬわぁぁぁぁぁぁっ!!』
「立香君が清姫に嘘をついてしまってね。後始末に追われているんだ」
あー、来る途中声が聞こえると思ったらそれか。
すまない、立香。そのまま犠牲になってくれ。骨は拾うよ。
……でも、立香がそんな単純なミスをするんだろうか。
「今、ムニエル君にデオンとアストルフォを同伴させて解決に向かわせているから問題ないと思うけど」
「何で、その二人とムニエルを選出したんですか……」
「大丈夫、レオニダス王もいるから」
頑張れよ、ムニエル。俺も頑張る。
「話を戻そう。最初、カルデアのサーヴァントに斥候を依頼したんだけど、皆帰ってこないんだ」
「全員? 最初にいなくなったのは?」
「酒呑童子と茨木童子だけど?」
「……あー」
読めた、何となく読めたぞ。
これはアレだ。大事ではないけれど、厄介ごとだ。
茨木童子はともかく、酒呑童子は中々に曲者だ。
「今落ち着いているから良かったものの、さすがに大半が席を外すというのも看過出来ない。
気持ちは分かるけど……」
「まぁ、そうですね。分かりました、準備が整い次第、特異点に向かいます」
「うん、よろしく頼むよ」
妙な事にオルタもキアラも、「」も見当たらなかった。
カルデアの防衛をカルナとランスロットに一任し、アーチャー・インフェルノと共に特異点へ飛んだ。カルナなら清姫の炎に耐えるなど造作もないだろうし、ランスロットはおそらくマシュの事が心配だろうから。
そうして、眼前に飛び込んできたのは無限に伸びる塔であった。
「ははあー……」
「これは……」
通信の設定を確認。
機材の調子を整え、通信状態を安定させる。さすがに人理修復した後であり、スタッフも充実しているため、安心感は桁違いだ。
あの頃は本当に。無我夢中だったから。
『これはまた……。百重の塔と呼んだ方がいいかなぁ。さすが日本だ、マニアの生まれる国だね』
未来に生き過ぎてる国で、悪かったですね。
「ちょっと長丁場になりそうだな……。アーチャー、本当にいいのか?」
「心配には及びませんとも。享楽に溺れ、さあばんとの務めを怠るようではあの方に合わせる顔がありません」
「そっか……。ありがとう」
今日一日は彼女とゲームをして過ごす予定だったのだが、まさかのレイシフトで予定が埋まってしまった。それに付き合わせてしまって申し訳ない。
「それはそれ、これはこれ。めりはり、というものが大切で御座いますから」
『だそうだよ、ダヴィンチちゃん。情熱の発散に時間をかけるのもどうかと思うけど』
『はっはっは、いやぁ夢中になると時間を忘れるからね』
特異点を一人で修正するのは、これが初めてだ。
立香もいてくれたら、気楽だったんだけど。
……にしても本当に清姫の扱いを、間違えるのかなぁ。それに清姫とて立香が出動不能にする程の事を引き起こすとは思えない。
何かこう、嫌な予感がする。
『おや、随分とおそかったどすなぁ、旦那はん』
「酒呑童子……」
『吾もいるぞ!』
「ばらきー……」
『待て、何故吾だけそんな呼び方なのだ!?』
ふと霧がかかり、そこに酒呑童子と茨木童子の姿が映し出される。
『それに、まぁ。鬼を倒すために鬼を連れてくるなんて、物好きやねぇ』
「戯言を。この身はマスターに尽くすと誓った身。そこに、それ以上の理由は存在しません」
『なら、そういうコトにしとこか。その意気軒高が途切れんようしっかり、駆けあがってくるんよ?』
……?
なんだ、今の違和感は。
まるで、この塔に上がってきてほしいと言わんばかりの……。
『ふははは!! この塔には酒呑の巻いた酒気が散漫しておる! 一つ段差を上がるだけでも酔い倒れるだろうな!』
「むっ……」
「……マジか」
俺もアーチャーも酒にはとにかく弱い。あと、立香とマシュも。
……アレ、よく考えたら酒に強い人いなくね。
「おのれ、姑息な手を……」
『ややねぇ。酔えば人は本音が出る。無礼講とはよく言ったもんやわ。
せっかくの機会やし、さあばんとからの本音も聞いたどうなん? それもますたぁの役目やろ?』
「貴方に言われるまでもなく、マスターはその役目を立派に努められています」
ダメだ。酒呑童子相手に言葉は分が悪い。
こちらから一方的に聞き出す。
「二人に聞きたい。カルデアのサーヴァントはこの塔の中にいるのか?」
『それは上がってきてからのお楽しみやね。たぁっぷり、歓迎したらんとばかりに待ちくたびれとるさかい――酒に酔いすぎんこときいつけや』
サーヴァント達が無事だという事は分かった。そのことに安堵して、胸を撫で下ろす。味方が本気で殺しあう姿は、やっぱり見たくない。
話をまとめる限り、さっきから鼻に着くこの匂いはアルコールか。
参ったな、俺もアーチャーも酒は滅法弱い。途中で倒れないよう、注意しなきゃ。
もうあの二人の姿は見えない。おそらくこの塔の最上階にいるのだろう。
『バイタル同期完了。しっかりモニターしているからね、アラン君。何かあればすぐに言うように』
「はい、ありがとうございますドクター」
「遅いわよっ!」
「……うわぁ」
『霊基反応はいつも通りだけど、ややブレがあるね。これはアレだ、酔っぱらってる』
十階に到達したところで、待ち構えているのはジャンヌ・オルタだった。
傍に転がっているのはワインの瓶だろうか。
何かもう出来上がってるし。
「――で、弁解があるなら聞きますけど?」
「待て、話せば分かる」
『それ言ったら、撃たれるパターンだよアラン君……』
いきなり臨戦態勢に入るのはどうなんでしょうか。
傍らにいたアーチャーが臨戦態勢に入る。
「まずジャンヌ。キミはあの二人に誘われたと見ていいか?」
「――」
「肯定か。という事はアルトリアもいるな。
……しかし、何でまたいきなり。せめてメッセージを残すとかでもいいんじゃ」
「うるさいっ。そこの女とイチャついてゲームでもしてればいいじゃないバァーカ!」
「えぇー……」
これ、アレか。構ってもらえなかったら拗ねたと。
で反抗の証に、俺に何も言わず、ここでずっと待っていたと。
「バカ、バーカ、バァーカ!」
「あ、これ
「お任せを! 炎を使うものとして共感を覚えてはいましたが、マスターに対しその言葉遣いは我慢なりません!」
FGO的バトルイベント
「……あぁ、何コレ。最悪、ホンット最悪なんですけど」
どうやら意識がはっきりしてきたらしい。
効き目は早く強い代わりに、簡単な刺激で目を覚ますようだ。
これなら有難い。
彼女の手を取って、立つための手伝いをする。
「ジャンヌ」
「……何、文句があるなら言えば? それぐらいの事を」
「帰ったら、新宿にでも行くか。ペペさんからブランドの本貰ったんだけど、よくわからなくて。
一緒に服でも選んでくれたら、嬉しいんだけど」
「……」
俺の部屋を見るなり、ペペさんは俺にお洒落を説くようになったのだ。
なんでも、世界を救ったマスターの一人がこんなに簡素では良くないと。
日々勉強しているが、どうにもお洒落は分からない。
「どうせあの冷血女も一緒なんでしょ」
「いや、アルトリア連れて行ったら、ハンバーガーで一日が終わるから……。今は財布も厳しいし、ちょっとな」
ジャンヌの表情こそ変わらないが、口の端がわずかに吊り上がっている。
ちょっと愉悦入ってるなアレ。
『扱いが手馴れてるなぁ……』
「立香ほどじゃないですよ」
少なくとも一つはっきりした。
立香と清姫の一件は、彼に原因があるのではない。おそらく清姫が酔っぱらって暴走したのだろう。だがそれが思いのほか、効きすぎたというべきか。
蛇に酒ってあんまりよくないんじゃなかろうか。八岐大蛇とかでも、酒で退治したという話は有名だし。某ゲームで再現されるぐらいだし。
アマ公、実装されねぇかなぁ……。
「ジャンヌ、この特異点の修正手伝ってくれるか。頼れるサーヴァントは一人でも多く欲しい。
カルナとランスロットはカルデアの方に回したから」
「――ウイ。それじゃあ行きましょうマスター。さっさと終わらせるわよ」
ジャンヌと上につながる階段を目指す。
さて、この先にいるとすれば。多分彼女だろうなぁ……。
20階に到達した俺達の前に立ちふさがったのは、三人の人影だった。
「セイバーオルタだ、マスター」
「サンタ・オルタだ、トナカイ」
「メイド・オルタだ、ご主人様」
「「「三人そろって、アルトリア・オルタだ」」」
何だコレ。
「バカなの? ねぇ、バカなの?」
「これは……。まさか忍者以外に増える方がいたとは。ジャンヌ殿といいアルトリア殿といいクー・フーリン殿といい……西洋でも分裂は流行っているのですね」
「いや、違うから! 私はあのバカ女とはルーツが違いますから!」
「すまない、ウチのアルトリアが本当にすまない」
ジャンヌの発言が突き刺さる。
これアレだ、ギャグ時空だ。
「ほう、何か言いたそうだな。トナカイ」
「いや、あの……。何でまた分裂なんか」
「分裂? バカを言うな、ご主人様。高速で動きつつ着替えているだけだ。人をプラナリアのように言うな」
どっかの拳法家みたいな事してる……。着替えてるってのは、多分嘘なんだろうけど。
というか、貴方達の生命力プラナリアとかいうレベルじゃないですよね。多分クマムシとかそこらへんでしょう。
『アレかなぁ。ジャンヌ君と似たような感じかなぁ。
ほら、リリィのように。突然増えてたみたいな』
「アレより酷いわよ、コレ」
「ふむ、突撃女の醜態は中々な見物だったが。マスター、私達を差し置いた事は看過出来んぞ」
――え、ちょっと待って。ひょっとして三人とも酔ってる?
……自身の戦力はアーチャーとジャンヌ・オルタのみ。アルトリアはどの霊基においても優秀と言わしめるステータス。
『相手の方が戦力は多いね。どうする、アラン君。
カルナとランスロットを送ろうか?』
「――いや、大丈夫です。アーチャーがいます」
彼女は多人数戦に滅法強い。
きっとアルトリア相手でも、引けはとらないだろう。
カルナは……やはり最後の切り札だ。彼を出せば大概の事態は勝手に収束する。でもそれは、彼にすべてを任せる事になってしまうから。
今の問題は、今を生きる者が中心になって立ち向かうべきだ。英霊達は背中を押してくれるだけ。そうでもなきゃ、彼らにあわす顔が無い。
「頼むぞ、アーチャー。全力でサポートする」
「はい、はい! お任せくださいマスター!」
魔力を稼働させる。
ここからマスターとして指示を出さなきゃ。
「ふむ、マスターを見定めるのもサーヴァントの役目。行くぞ、マスター!」
FGO的バトルイベント
「つ、疲れた……」
アーチャーに防衛と牽制を指示し、ジャンヌで一騎ずつ撃破。
バイクで突っ込んできたときは死ぬかと思った……。いや、しかもバイクから狙撃ってどうなのさ。そこはショットガンでしょ。シュワちゃんみたいに。
「負けたか……。ふむ、トナカイとしては上々だな。次のクリスマスを待つがいい、メリー。
……新しいトナカイの衣装でも考えておくか」
あ、サンタオルタが消えた。
「……家事スキルが足りないか。夏を待つがいい、ご主人様。今度こそ料理の腕を上げてこよう」
メイドオルタも退去した。
あ、いやどちらかというとアルトリアの中に戻っていったという方が正しいのか。
「……見事な指揮だ。成長したな、マスター」
「そりゃまあ、貴方のマスターだからな」
指揮だけならAチームにも引けを取らないと豪語出来る。
だが未だに立香には勝てないのである。アイツ、指揮うまくなりすぎだろ。
多分俺がアイツに勝つには、キアラとカルナが持てる力全てを解放するぐらいしか無い。アルターエゴと全体宝具って便利。
『お疲れ、アラン君。相変わらずいい指揮だね』
「まだ改善点ばかり目立ちますけど……」
「帰ったら復習ですね、マスター」
ナイフをしまう。コイツを握らないと、俺は支援魔術すら扱えないのである。
魔術をカドックに聞いた際、心底嫌そうな顔をされたのは記憶に新しい。キリシュタリアさんとオフェリアさんに師事して、魔術の研鑽も行っている最中なのだから。
えっ、メディアさん? 俺に神代の魔術が扱えるとでも? と言うか、サーヴァントに習うなら、やっぱり基礎は押さえておきたいし……。
でも、キリシュタリアさんも凄まじいの一言だ。シミュレーションの敵をサーヴァント無で突破するとかヤベェ。
「で、アルトリア。何でまたここに?」
「決まっている、マスター。貴様の成長を見届けるためだ。
人理焼却は阻止したが、また次の危機が迫らないとも限らん。サーヴァントとしてマスターを立てるのは、当然の役割だろう」
「……そっか、ありがとうアルトリア。キミのマスターになれて本当に良かった」
「――ふん」
『いやぁ、このサーヴァントたらしはさすがの一言だ。立香君のサーヴァントとも交流を深めているのだから』
あれ、何か変な言い方されたぞ。
ぐだぐだ百重の塔!!
書けば出るって、信じてる→出ました。
奇妙なモノが見えたけど無視無視。さっさと上がってしまおう。
――そう思いながら階段を上がった先に見えたのは、こたつとそれを囲む集団。やたらと金色の部屋だった。
「おーう、アラン。ようきたのー」
「やー、壮健で何よりです」
ノッブとおきたの二人。
そして周囲にいるのは茶々と……沢庵をかじっている土方さんか。
「むっ……。何やら今までの部屋とは違う様子。なんと申しますか、非常にぐだぐだしてると言いますか」
「でも、締める時はきちんと締める人だし。今はこうオフって感じだと思う」
「あ、そうそうアラン。これワシのID。後でフレンド登録しとくんじゃぞ。この特異点が終わったら、装飾集めじゃ」
「今、歴戦周回中ですもんねえ。いやあ、野良だと乙る人ばかりで……。ゲーム下手な沖田さんでも見切れるんですけど」
いや、だって貴方サーヴァントですし……。アーチャーとか格ゲー初心者の筈なのに、攻撃全部ジャストガードしてくるし。
ちなみに俺は一回乙ったらランスに切り替える派です。
まじで今作のランスは固すぎて笑いが出るわ。ガード強化とガード性能つけたら無敵ですわマジで。マムで本当にお世話になった。
「あ、あのっ、私もIDを……!」
「むっ、インフェルノか。でも拡散ヘヴィはのぅ……」
「そうですよねぇ、拡散ヘヴィはですねぇ……」
「な、何故です!? あの爽快感、病みつきになるではありませんか!」
「アーチャー、拡散と龍撃はソロ専用だよ基本。俺だけの時は使ってもいいけど、野良とかは避けるようにね。ゲームは皆が楽しく、皆で楽しくだから」
「ぜ、善処致します……」
『うーん、実にモンスターハントに染まっている。大衆娯楽とは興味深いね』
『うぅ……どうしてゲームは流行るのに、マギ・マリは流行らないんだろう』
カルデア、どんだけ現代娯楽染まってるんだ。
いや、まぁ俺もなんだけど。
カドックとアナスタシアがこたつでレースゲームしてる時は微笑ましくなるけども。
「ゲーム? したことないけど、そんなに面白いの?」
「私も分からんな……」
「っと、目的が逸れた……。えっと、ノッブ達は通してくれるんだよね」
「まぁ、ワシらはぐだぐだしてるだけだし。戦う目的もないしなー」
「えぇ、俗にいうBATTLE無しってやつですよ」
え、でもこのシナリオの敵アイコン、セイバーとアヴェンジャーだったんですけど……。
「ちっ、どうでもいい話ばかり……。おい、アラン。お前さん新選組の入隊希望だそうだな」
「え、あ、その……憧れてるってだけです」
日本人なら幕末に浪漫を感じない人はいないだろう。
かくいう俺も転生する前は、京都や函館に行っていたし、幕末資料館もよく行っていた。
だって、かっこいいじゃん。
「ふむ……。そうか、ちょっと待ってろ」
「え、あの、土方さんー!?」
「おーい、ヒッジどこ行くんじゃーお前―。アレか、マヨネーズでも買いに行くのかー?」
それからほどなくして、土方さんが戻ってくる。
その手には、浅葱色の羽織。新選組の代名詞。当時はダサいと不評だったらしいが、俺は素直にかっこいいと思う。
でもその羽織は何というか。新しさは感じなかった。どちらかというと使い古されたような……。
「やる、お前さんの活躍ぶりは聞いた。それに見合った報酬が無いってのは、どうにも筋が通らん。今も昔もそれは変わらねぇ。
俺から言えるのは一言だ――よくやった」
「え、えっ、えぇー! で、でも」
「いいから貰ってろ。俺にはもう必要ない。
俺が使ってたモンだから合うかどうかまでは分からん。丈は好きにしろ」
「! ちょ、ちょっと待ってください……!」
あ、マズい。
興奮と驚きが変な感じに混ざって、うまく言葉が出ない。
「マスター、着付けはお任せを。
鉢巻と刀もお貸ししましょう」
「は、はい……。お願いします……」
「うむ、茶々も手伝うぞー!」
アーチャーと土方さん、時折茶々や沖田さん、ノッブの手伝いの下、着々と進んでいく。
何か変な気持ちだ。
ずっと歴史上憧れてた人から、憧れてたモノを貰うというのは。
テンション上がりすぎて何かおかしくなってきた。
「わ、わー! わー! ど、どうかな、皆!」
『おや、よく似合っているよアラン君。画像は保存しておいたからね。いつでも見れるようにしておくよ』
『全く、子供みたいにはしゃいじゃって……。キミのそんな一面は初めて見たよ』
「お似合いです、マスター。立派な武士ですよ!」
遠くからのけ者となっていた、オルタ二人。
俺は完全に失念していたのである。いやでも、この時ぐらいは許してほしい。切実に。
「こほん……。あー、マスター。今、円卓も人員を追加しようと思っている。
貴様が良ければ、加えてやらん事も無いが……」
「円卓かぁ……。悪いけど、遠慮しとくよ。(実力が)強い人ばかりだから」
「……なるほど。(癖が)強いヤツばかりだから遠慮すると……。物理的に減らすか」
『今、酷いすれ違いを見た気がする!』
「――ふーん、そうなんだー。マスターちゃんってば、そんなに他のヤツに浮気するんだー……」
あっ。
「えっと、ジャンヌ……?」
「ふふっ、いいわ、いいわよ。アンタがそっちに行くってのなら――殺してでも奪い取るだけだから」
「奇遇だな、突撃女。全く同意見だ!」
『この
頑張り給え!』
「これだから、型月主人公ってヤツは! 地雷ばかり踏むから是非もないネ!」
「オルタは敵に回りますからね、仕方ありませんね。
さぁ、アランさん。先輩の剣捌きしかと見届けてくださいね!」
「ったく……! 行くぞ、新入り。出動だ! 気ぃ抜いたらたたっ斬るからな!」
「内紛とか裏切りとか、戦国はそれだから。みんな茶々に平和に解決するのに……」
FGO的バトルイベント
『まさかのまさかだね……。いやはや、時代が進んでも痴話喧嘩とは恐ろしいものだ』
「何か言ったか、キャスター」
『いーや別に? 気は済んだかい、二人とも』
ダヴィンチちゃんの言葉に、オルタ二人は武器を収める事で返事としたようだ。
……さすがにコレは予想できなかったぞ。
まさか自分の連れて行ったサーヴァントが乱心するとは……。
『これに懲りたら、アラン君も自分のサーヴァントを気にかけるようにね。さっ、フォローは私がしておくから。終わり次第、先に進むように声をかけておくよ
頼むよ、アーチャー』
「承知。行きましょう、マスター。めんたるふぉろーは専門家にお任せを」
悪い事したなぁ……。
『いくら、アラン君を立てるためとはいえ、敵に回るとはまた大胆な事をしたね、二人とも』
「何、子供のように騒ぐマスターなど中々見れるものではないからな。――ならば肩を並べるぐらいはさせてやろうと考えたまでだ。
そこの突撃女も同じ考えなのは、癪に障るが」
「はっ、生憎様。私もアンタに言われたままなんて、気に入らないのよ。
しかも、何、自分の下に誘っておいてフラれるとは笑っちゃうわ」
「あぁ、そうだな。ボッチの貴様には共感しにくだろう」
「――」
「――」
『うーん、おかしいな。また殺し合いが始まったぞ!』