今回の紗季の話の中で登場する長谷川昴は、各キャラそれぞれがイメージした長谷川昴という形で登場しているため、本来のキャラと比べて著しいキャラ崩壊が起きている可能性があります。
「さて、それじゃ次は私の番ね。」
私と真帆と紗季の3人の絆を確認し深めたところで、紗季がゆっくりと宣言する。
「実は紗季の話を聞くの少し楽しみだったんだっ」
「えへへ。私も。紗季ちゃんってすっごくお話作るの上手だもんね」
私と愛莉もワクワクしながら、紗季の話を心待ちにしている。
私たちの期待に紗季は少しだけ恥ずかしそうにしている――と、その横で真帆がぽつりと呟く。
「あたしのカンだと、サキは間違いなくこの中で一番エロい」
「おー? さきはエッチなの?」
「な、何言ってんのよ! あんたの方が普段からどんだけ過激な発言してると思ってんのよ!!」
真帆の軽口を受けて、ひなたが無邪気に紗季にたずねる。
紗季にしては珍しくちょっと怒りすぎかな?って思うくらい大きな声で真帆を怒っている。
でもいきなり自分が一番エッチだ。なんて言われたら誰だって怒っちゃうと思う。
「にひひー。だって結局サキだって、すばるんにおっぱいマッサージしてもらいたいって思ってんじゃんっ」
「べ、別に今回は長谷川さんにして頂くのがテーマなだけで、本当にするつもりはないわよ! あ、あくまでも例え話なんだから!」
真帆がからかうようにニヤニヤと満足そうに笑うと、紗季が慌てたように例え話だということを強調していた。
「ホントかー? もっかん、サキにすばるん襲われないよう、しっかり守るんだぞっ」
「ふぇぇぇぇぇ!? わ、私が昴さんを守るの!?」
「ダメー! さき、おにーちゃんおそっちゃダメだよ?」
「紗季ちゃんが長谷川さんを……お、おそ……そ、それじゃぁ私も………………だ、ダメやっぱりそんなの無理だよー!!」
「なんでみんなの中で私が長谷川さんを襲うことが決まっちゃってんのよーーー!?」
私達4人の慌てふためいている様子を眺めながら、ただ一人真帆だけが楽しそうに笑っていた。
――みんなが落ち着いたところで、ようやく紗季の物語が始まった。
*
「それでは、営業時間中であまりお構いできず申し訳ありませんが、せめてどうかごゆっくり過ごしていってくださいね」
「いえ、こちらこそお忙しい時におジャマさせていただいてしまって……次はお客としてみんなと伺わせていただきますので、今日のところはどうかご容赦ください」
そんな会話を亜季さんとしている内に紗季の自室前まで到着。案内して頂いた亜季さんは申し訳なさそうに最後に一礼しながら、一階のお店へと駆け足気味に戻っていった。
――途中でびたーんという音と直後に亜季さんの恥ずかしそうな泣き声が聞こえた気がするが、わざわざ確認しに行くようなことしちゃ失礼だよな。
気持ちを切り替えて、ドアをノックし、部屋の主へ声を掛ける。
「紗季、入っても大丈夫かな?」
「はい、お待ちしておりました。どうぞお入りください」
紗季の許可をもらい、ゆっくりドアを開けて中を確認すると、やや大き目の白い無地のワイシャツを羽織っている紗季がベッドに腰を下ろしていた。
バスケをする時以外は三つ編みにしている長い髪も今は解かれており、ヘアバンドも付けていない。
綺麗なサラサラのストレートロングがワイシャツと相まって、いっそう紗季の大人びた雰囲気を醸し出していた。
俺と目が合い、照れたような笑顔で迎えてくれた紗季に思わずドキリとする。
「あ、あの……長谷川さん、できれば中に入ってドアを閉めて頂けると……誰も来ないとは思いますが開けっ放しのままですと……この格好を他の人に見られるのは少し恥ずかしいですので」
「あ! あぁ、ごめん! お邪魔するねっ」
そういえばドアノブに手を掛けたまま半開きにして廊下で立ちっぱなしだ。
慌てて部屋へ一歩踏み込んだところで一度振り返り、ドアを――絶対に開いたりしないように、しっかりと締めたのを確認する。
そして、誘われるままにベッドに――紗季の隣へ腰を下ろすと、ふわりと石鹸の良い香りが鼻腔をくすぐった。
「紗季がこんな恰好してるなんて珍しいね」
特に真帆やひなたちゃんと比べると落ち着いた感じの服装が多いが、なにかしら可愛らしいワンポイントくらいはあるはずなんだけど……
もちろんシンプルなワイシャツだけってのも十分過ぎるほど似合っている。
ん? ワイシャツだ………………け?
「――!? その格好って、もしかして……」
上から下へと確認するように眺めていると、あることに気づいてしまった。
大き目のワイシャツなのでダボダボになってしまっていて袖口を肘が見えるくらいまで腕まくりをしている。こういう部分は彼女の年相応の子供らしさを感じられて、微笑ましく思う。
その子供らしさとは裏腹にワイシャツのボタンを上から三つ目まで大胆に外している。
大きく開けた襟元から鎖骨がちらりと見えている。胸元も見えそうで見えないギリギリのラインだ。
下もワイシャツの裾の部分が彼女の白く細い太腿から膝上10cm位までを覆っていて、こちらも見えそうで見えないという男心をくすぐる際どい魅力を演出している。
――紗季さん、ワイシャツの下どうなってるの? いや、ワイシャツの中という意味ではなく、上にワイシャツという服を着ているのなら、下にもズボンなりスカートなり身に着けるべき衣服があるのでは……
「あ、あの……長谷川さん……こ、こういう格好でお出迎えしたのは私ですが、あまりジロジロ見られてしまうと恥ずかしいです」
頬を赤く染め、わずかに身体を縮こませて上目づかいでこちらを見つめてくる。
俺の心の中の疑問に対して、彼女の反応が十分過ぎるほどの答えとなっていた。
「ご、ごめん!! まさか紗季がこんな大胆な格好してるとは思わなくて……その……ちゃんと履いてるよね?」
何か言わないといけないと無意識に声に出してしまった自分の最大の失言に気づく。
俺のバカ。いくら裸ワイシャツに驚いたからって、そんなこと聞くなんてホントにただの変態じゃないか。見ろ紗季だって俺のあまりな発言に絶句しちゃって……あれ?
「あ、ちゃんと下着は履いてるので大丈夫です……正直、長谷川さんにそんなこと確認されるなんて思わなかったので少しビックリしちゃいましたが」
恥ずかしさはあるようだが、比較的落ち着いている様子だ。どうやら本当に見つめられてたのが恥ずかしかっただけで、ドン引きされたわけではなかったようで一安心。
いや、だからと言ってさっきの質問は我ながら控えめに言って最低だと思う。
「本当にごめん。ドキドキして変なこと聞いちゃって。また変なこと言ったと思ったらてきとうに聞き流していいからね」
「ふふ。長谷川さんをドキドキさせることができたのなら成功です。男の人はこういう服装が好きだって本で読んだので、恥ずかしかったけど勇気を出してみてよかったです」
珍しく自分の作戦が大成功したとしたり顔の紗季――いつもの和やかな空気が戻ったかと思うと、さっそく紗季が本題に話を移した。
「長谷川さん、申し訳ありません。私なんかのために今日もお付き合い頂いて」
「こーらっ。私なんかは教育的指導だって教えただろ」
「ふふ。そうでしたね……では、どうか今日もよろしくお願いいたします」
「俺の方はいいんだけど、その……紗季はいいの? さ、触られるの」
紗季と今の関係になってから、まだほんの数日程度のはずなのに、すでに長い年月を共にしているような感じがする。
それくらい俺も紗季も今の関係が自然になってしまったのだろうか?
毎朝、俺に会いに朝練に来ている智花は、今の俺と紗季の関係を知るわけもなく、彼女が知らないところで彼女にとってかけがえなのない大切な友人との秘め事に後ろめたさを感じてしまう。
紗季もまた、俺が智花の思い人であると知った上で、このような関係になってしまっていることに罪悪感を感じていることだろう。
「私は構いませんよ。もう慣れましたし…………あ、ところで長谷川さんはおっぱいと胸とどっちで言われるのがお好きでしょうか?」
――罪悪感を感じていることだろう……?
「へ………………………………………ちょ、ちょっと紗季…さん?」
「きっとおっぱいですよね。私の口からおっぱいって言われると、すごく恥ずかしそうにしてますね。こうして今もおっぱいって単語を出すたびに視線が泳いでいます」
なんなんだこの紗季の圧倒的な迫力は。
まるでこちらの一挙手一投足どころか、わずかな表情や動揺からも情報収集されているような感覚だ。
「うふふ。驚いていらっしゃるようですね、長谷川さん。それならこちらも嬉しい限りです」
「あ……え、えっと……」
ダメだ言葉が全然出てこない。少しでも動くと紗季に全てを見透かされてしまうのでは、という恐怖が完全に俺の動きを封じてしまっている。
「私が今こうして長谷川さん相手に優位に立てているのは長谷川さんの教えのおかげなんですよ。長谷川さんにおっぱいを揉まれている間もずっと長谷川さんのことを見ていました。いつも本当に申し訳なさそうにしながら、それでいてとても優しくして頂いてました」
俺も紗季の胸を揉んでいる間に、少しでも紗季に苦痛を与えないようにと彼女のことを見ていたつもりではあったけど、どうやら紗季は俺以上に俺の様子を細かく観察し、冷静に分析していたようだ――おっぱいを揉まれながら。
「もう少しだけ私のことをよく見てください。今日はは最初に少しだけ長谷川さんを動揺させることに成功しただけで、まだまだ長谷川さんには遠く及びません。私は長谷川さんと同じポイントガードのポジションを授けられました――ですから、私はもっと多くのことを長谷川さんから学び、少しでも長谷川さんと対等になりたいんです」
紗季が一つ一つ丁寧にボタンを外していき、お腹の辺りまでのボタンを外し終わると同時に紗季はワイシャツから手を離す。はだけた隙間から白い肌が露わになる。だが肝心のおっぱいはまだほとんど隠れてしまっていて、端の幽かなふくらみがわずかに見えるか見えないかくらいだ。
あとは、もう少しだけワイシャツを左右に広げてくれれば完璧なんだが……
ふと紗季の表情を見ると羞恥心からか顔が真っ赤になり、眼鏡越しから見える綺麗な瞳を潤ませている。
今までの紗季とは思えないような言動は、俺に覚悟を伝えることと同時に、自分が途中で挫けてしまわないように、自らを鼓舞するためのものだったのだろう。
――紗季が勇気を振り絞ってくれたんだ。ここからは俺が勇気を見せる番だな。
紗季の小さな肩をそっと抱き寄せ互いに向き合うとベッドが一度だけギシリと音を立て軋んだ。
「恥ずかしいのいっぱい我慢して頑張ってくれてたんだな。ありがとう紗季」
「――!! ずるいです。すぐに私の気持ちに気づいてしまうなんて……私が勇気を出しても言えなかったこともしてくださるつもりなんですよね?」
紗季のワイシャツが紗季の肌を包み隠すという役割を果たさなくなりつつあるようだが、もう俺たちには関係ない。
はだけ掛かっているワイシャツに両手を差し入れ左右に開き、完全に紗季の肌を露出させた。
成長途中の淡いふくらみの感触を確かめるように、それぞれ左右の手で覆い、撫でるように優しく触れていく。
紗季の胸で最も敏感な部位を指先で確かめたいという欲望も芽生えるが、いきなり強すぎる刺激を与えるのは紗季に恐怖を感じさせてしまうかもしれないと泣く泣く自重する。
「いっぱい虚勢を張ってた割におっぱいはまだまだ控えめだよな」
「もうっ……それくらいわかってますよ。だから少しでも長谷川さんにその気になって頂けるようムードを高めようと必死に頑張ったんですから」
その不満を紛らわすように、少し意地悪な軽口を叩いてしまったが、お互いの緊張を和らげるのには多分有効だろう。
手の平全体で紗季の胸の形や感触を確かめるように、それでもできるだけ力を込め過ぎないよう細心の注意を払ってマッサージを開始する。
胸だけでなく、その周辺――脇や、ろっ骨にあばら付近と丁寧に撫でるように揉んでいく。
おっぱいマッサージとはいっても、ただおっぱいだけを欲望のままに好きに揉んでればいいというものではない。
正しい揉み方をしないと小学生のおっぱいという夢と希望に満ち満ちている希少な可能性に影を差すような悪影響を与えかねない。
だから、引き受けた以上こちらも万全の態勢で紗季のおっぱいと向き合わなくてはならないのだ。
「そんな背伸びしなくても紗季は今のままでも十分魅力的だよ」
「長谷川さん、私とトモのおっぱい……どっちが大きいと思います?」
「比べられるわけないだろ。智花のなんてこんなマジマジとみせてもらったことだってないんだし。それに今見てるのは紗季っていうかわいい女の子だけなんだから、他の人の名前なんか出しちゃだめだろ?」
ささいなやり取りだけでも湧き上がる劣情が高まり続ける。
やがて抑えが効かなくなった本能のままにおっぱいを求めようとする俺の手に紗季が手を添えた。
「あ……長谷川さん、ダメですよ。私が頼んだのはマッサージだけなんですから」
さっきの軽口へのお返しのつもりだろうか――いや、それもあるだろうけど、多分これは二人が覚悟を決める最終確認のつもりだろう。
「わかってるよ――でも、今日はマッサージ以上のこともしてしまいそうだ。このまま紗季のおっぱいを揉み続けてると俺もどうにかなっちまいそうだ」
「――!? は、はい。ちょっと恥ずかしくて口には出せないのですが、きっと私と長谷川さんは同じ気持ちですよね――長谷川さんの望むままに、どうかお願いします」
胸を揉んでいた手を離し、今度は小さく震えている白く細い肩を抱きながら紗季と見つめ合う。
少しずつ覚悟は固まりつつあるようだが、それでも俺は年上の男として、これから行う行為の責任を取るためにも、しっかりと紗季の気持ちを確認しなければならない。
少しでも紗季に躊躇があるなら――ここまでだ。絶対に紗季に後悔なんかさせたくない。
「紗季、本当にいいのか?」
「はい……少しだけ怖い気持ちはありましたけど……本当は今のこの瞬間にも長谷川さんに襲われたって何も言えないのに……どこまでも私の事を大切にして頂いているんですよね――だから、そんな長谷川さんになら安心して全てを託せます」
長谷川さんの優しさが私に覚悟を決めさせてしまったんですよ。そう言いながら、紗季はベッドに仰向けになると、両手を広げながら俺のことを愛おしそうに待っている。
ここまで来た以上、俺ももう引けない――絶対に紗季を悲しませるようなことはしないと固く決意し、紗季の上に覆い被さるようにして、少しずつ紗季との距離を詰めていった。
*
「そして少しずつ迫ってくる長谷川さんに私はこういうの!! 私に長谷川さんの全てを教えてください……私の身体に長谷川さんをしっかりと刻み付けてください!! ――って、はあぁぁぁう!? 私ったらなんてこと口走ってるのよぉぉぉぉ!?」
『すごいドキドキしちゃった……』
何故か紗季が話の途中で変な声を上げていたが、私と愛莉はそれどころではなかった。
一緒に顔を赤くしているお互いの顔を見合って恥ずかしい気持ちを共感し合っていた。
なんとなく続きもありそうな気がしたけど、これ以上いったいどんなことするつもりだったんだろう?
「おーさきとおにーちゃん、とっても仲良しさんだったーやっぱり仲良しはいいものですなー」
ひなたはさっきの真帆の話と違って、今度は昴さんと紗季がとても仲良くしている感じが伝わってきて楽しかったのだろう。にこにこ笑顔で、うんうん頷いて紗季の話を喜んでいる。
紗季も自分の話が終わった後だと恥ずかしいのか、私たちの反応をそわそわと見守っている。
「なぁ、やっぱりサキって間違いなく一番エロいよな」
「な!? 何言ってのよ!? 男女二人きりのシチュエーションなら普通はこうなるのが当たり前でしょ。お互いにドキドキしながら、女の子が男の子に大切な物をあげるのが普通の展開でしょうが!」
それでも真帆の一言は許せなかったらしく、慌ててすぐに言い返す。
「ん? なんでそこで大切な物をすばるんにあげるんだ?」
「………この際だから、一応確認しておくけど、みんなが考えてる大切な物ってなに?」
――ふぇぇ!? 自分の大切なもの……それって……やっぱり……
「あたしはアルパカさんのぬいぐるみだな。チョッチおしーけど、すばるんにだったらあげられるぜ。すばるんなら、ゼッテータイセツにしてくれるだろーしさっ」
「おーアルパカさんかわいいよねーひなもお気に入りのぱんつとかトカゲさんのぬいぐるみをあげてもいいかもーでも、かげやおとーさんとおかーさんあげちゃったら、ひな一人ぼっちになっちゃうからあげられないかなー?」
「私は……こ、心かな? 気づいたらその人のことしか考えられなくなっちゃうんだけど、それはきっと幸せだと思うの」
真帆とひなたはあっさりと即答。愛莉は何故か一度だけ私の方をとても優しい眼差しでみつめてから、そして、私は――
「わ、私は……そ、その……き、ききき、キス……かな? ファーストキスって……その、とっても大切だし……」
私なんかの初めてなんて、昴さんにご迷惑なだけだから、とてもあげられないけど。
「んで。サキはなんなんだ? ほれほれいってみー?」
「みんなごめん。私が一番エロいの認めるわ。だから本当にゴメン。もう許して」
これからは本当に妄想を自重しないと!!と顔を両手で覆いうずくまりながら、うーうー唸っていた。
――こんな紗季、見たの初めてかもしれない。というのは多分みんな同じ気持ちだろう。
「うぉ!? なんでそんな簡単に認めちゃうんだよ!? あ、あたしの方こそ、からかいすぎちゃってごめんな!」
紗季の消沈振りに真帆も追撃の手を緩めるどころか、悪いことをしてしまったと感じているようだった。
それにしても珍しく言い返しもしないで負けを認めてたな紗季。
紗季が口に出せないほど恥ずかしいものってなんだったんだろう?
今度こっそり教えてもらおうかな?
みんなで紗季の話を思い返しながら、それぞれで感想や気になったことを話し合いながら、紗季の気持ちが落ち着くのを待つことにしていると――
「お願いだからみんな忘れてーーー!!! 今すぐ全部忘れなさーーーーい!!!」
紗季の心からの叫びが部屋中に響き渡った。