ぐだ男がサーヴァントとしてぐだ子に召喚されたそうです 作:橘 翔
急いで仕上げた
完成度低くても気にするな
帰って来たらなんかカオスだった。
「やめてー!!!こないでー!!!」
『所長落ち着いて!』
所長がなんか怯えてるし
「先輩、すごかったですね!」
「うんそうだねー」(遠い目)
マスターがこっちを見てくれないし
『ますたぁのためならこんな壁ぇぇ』
どこかの蛇姫さんが無理やり出てこようよしてるし……
一体どうしてだ!
俺のせいだ!
…………ははっ(乾いた笑い)
―――◇◆◇―――
「ほら、みんな、いつまでも現実逃避してても意味無いから、ね?」
全ての根源に言われるのは癪だったものの正論だったので観念することにする。
「マスター!?なんでそんな露骨に嫌そうな顔するの!?」
「自分の行動振り返ってみようか?」
「ふむ……颯爽と登場してヒロインのピンチを救ったヒーロー?」
「それ別世界よ?現実見なさい?」
「えぇ!?」
「だって……」
私はコイツが薙ぎ払ったあとを指差す。
「塵一つ残ってないじゃない!何やってるの!?」
「もともと何にも無かっただろ?」
「そーゆー問題じゃないのよ!被害むしろ拡大してるじゃない!建物どころか火まで消し飛んでるじゃない!」
『いや、立花くん。ここは人理の変換点でのもう一つの可能性、つまりパラレルワールドみたいなものだから現実には何も影響は』
「うるさい、なよなよ男子は黙ってて!」
『あ、はい。……なよなよ男子?』
Dr.ロマンが地味にショックを受けているが無視だ無視。ネガティブ男子ほど面倒なものは無い。
「し、辛辣だねマスター……」
「誰かさんのせいで気がたってますからぁ!?」
「それはいけませんね。カルシウム、ですよ、先輩」
「ア"ア"ア"ア"ア"マシュまで煽るの!?ねぇ!?」
「え」
周りはこんなのばっかりか!?
「まぁまぁ、落ち着いて」
どこから取り出したのか畳が敷かれ、ちゃぶ台が置かれて……
「いつの時代よ!」
「なんか所長とキャラ被ってる?」
「………………」←所長
「所長はあっちで気を失ってるからしょうがないでしょ!?ツッコミいないと地獄よ、ここ!」
「ふむふむ、ヒロインがギャグ枠なのもそれはそれで」
「脳内桃色かぁあああああ!!!」
あ、この緑茶おいしい。
「マスター、人から出された物は無闇に口にしないほうがいい。罠の可能性がある」
「あなたが出したんでしょうがああああ!!!」
「てへぺろ」
「令呪をもって命ずる、じg」
「まてぇ!!!」
ハッ!!私は何を?
『ははは……令呪を無意識に使おうとしてたみたいだね』
「何この子、怖い」
「誰のせいでこうなったと?」
「……俺ですね」
ようやくボケの攻勢が終わったらしく落ち着く。緑茶を飲む仕草がやけに似合うな、こいつ。おじいちゃんっぽい。
「マスターに褒められたの?貶されたの?」
「褒めてる……と思う」
しまった、サーヴァントとマスターはある程度心が通じてるんだっけ?
『いや普通は心を読めることなんてありえないんだけど……まぁ、いいか。君は……セイバーのサーヴァントかい?』
「そうだとも言えるし、そうでないとも言える」
「どーゆーことよ」
「自己紹介がまだちゃんと済んで無かったね」
突然、目付きが鋭くなる。真剣な時の表情は、悔しいがカッコいい。
「真名は明かせないが、俺にクラスは無い。いや、あるんだけど、全てのクラスになれるんだ」
『なんだって!?』
「そのときそのときで変わるってこと?」
「そ、俺の宝具は他の英霊を呼び出す。その英霊のクラスに俺はなるわけよ」
「へぇー」
『いやいやいや!立花くん。実はこれ、かなりイレギュラーだからね?』
知らなーい。私、元一般人だからね。
「まぁ、自分でもそこそこ強い方だと自負してるから、がんがん頼ってよ」
「あらそう?じゃあまずはボケないで」
「ごめん、それは死んじゃう」
「ただのウザくて迷惑なやつじゃない!」
こんなんが強いのだろうか?
「あ、あの先輩、この方はどうお呼びすれば?」
「んんーそうだねー、まりも」
「うん、なんでそうなったのかなマスター?あ、髪の毛……そうですか……とりあえずぐだ男って呼んでよ。世界がそう言ってる」
「はぁ、じゃあぐだ男さん」
「ストップ、マシュはぐだ男先輩で」
「?」
「寂しくて心が死んじゃうんで」
「は、はい」
一緒本気で寂しそうな顔をしていた。何かあったのだろうか?でもマシュは不思議そうな顔してるし……うーん?初対面なのは確実そうだけど。あとまりもの何がいけなかったの?(キョトン)
「あっ、あの!ぐだ男先輩!」
「ん?」
「私に稽古をつけていただけませんか?」
「断る」
「ッ!!」
随分勇気を出したであろうマシュのお願いをぐだ男はバッサリと切り捨てた。マシュが悲しそうに目を伏せる。
するとぐだ男は優しい目になるとマシュの頭を撫でた。
「マシュ、君は強くなりたいんだね?でも、それはマスターを守るためだろう?敵を倒すための強さじゃない」
「……はい、けど!」
「目的を履き違えるな」
「……?」
「俺は壊すことができても守ることは……できるっちゃできるけど」
「うぅー、やっぱり」
「けど、君のその力は、本質的には守るためのものだ。壊すのも殺すのも俺がやるから問題ない。俺に任せろ」
「でも……」
「君はマスターを守れ。それができたなら一人前さ」
「…………」
「今は納得できないかもしれない。けど、覚えておいて欲しい。君の強さは守るためにあると」
「……はい」
「……よし、シリアスはここまで!」
「あんた誰よ」
「ひどい……」
いや、絶対誰か別人だった。あんなのぐだ男じゃない。
「うぅーん……ここは?」
所長が起きた!これはツッコミを譲るチャンス!と思ったが、ぐだ男を見た瞬間に震え始めた。相当トラウマになっていらっしゃるらしい。
「ひぃ!こない」
「マリー、怯えないで」
『「「「へ?」」」』
だが、ぐだ男は飛びっきり甘い声で所長を誑かす。
「貴女は美しい。その顔を恐怖で歪めることなどあってはならない。ね?」
自然な動作で所長の手を取り手の甲に唇をつける。うわー……馴れてるっぽいわー……
「これでも紳士なんで、女の子は絶対に傷つけやしません、絶対に」
「あ……ぅ……」
「照れてる?」
「う、うるさいわね!ちょっとぼーっとしてただけよ!」
「はいはい可愛い可愛い」
「むきー!!!」
完璧にトラウマを払拭したぐだ男。
誰だよこいつ。
ちなみに冬木の惨状を所長が見て最初と同じようなボケとツッコミが再び始まったのは言うまでもない。
―――◇◆◇―――
スキル、後輩を宥める、所長を宥める、を発動した後(様々な女性サーヴァントを相手にしてきた俺に死角はないぜ!)現在は目標の確認を行っていた。正直全部知ってるけどここは黙っとくことにする。
「そういえば……マスターの名前は?」
「あれ?言ってなかったっけ?藤丸立花だよ。よろしくね」
「そうか……」
やはりここは俺とは違う、もう1人の俺が存在する世界らしい。なんでこんなとこに英霊として呼ばれたんだか……ん?俺が女だったらマスターみたいになるの?なにそれ怖い。
「ほら、早く行くわよ!」
「はい!」
「はーい」
「うぃっす」
結局は所長がリードすることになった。まぁしかたないよね。弄りやすいしね。
ふと、悪寒が走った。
そう、それは例えば
肉食獣に狙われているような
キラリと何かが光って、
「はぁ!!」
マスターに当たる寸前で叩き落としたのは、矢だった。
「マスター!下がって!」
「ッ!!先輩!私の後ろに!」
「ごめんマシュ!」
「嘘でしょ!?どこから!」
『アーチャーのサーヴァントだ!前方2キロ!』
確か冬木のアーチャーは……
「ヤバい!おかんかよ!」
よりにもよってあいつか!骨の折れる!
とりあえず飛んでくる矢を片っ端から叩き落とす。
「なんで素手で何十本も同時に落としてるの?」
「所長、考えたら負けですよ」
「す、凄い」
『相変わらず無茶苦茶だねぇ……』
なんか後ろで呑気に喋ってる気がするが気にしない。いや、気にする余裕が無い。
流石エミヤといったところか。無駄のない攻撃がより効率的に打ち込まれてくる。少しでも気を抜けばやられる。
「マシュ!耐えてくれ!このままじゃジリ貧だから一気に攻める!」
「ッ!!はい!」
「信じてる!!」
きっとやってくれるだろう。なんたって、うちの最強の盾だから。
「宝具展開!
今は一気に近づく!
「
「よう大将、呼んだかい?」
「前方2キロ、フルスロットルだ!」
「おうよ!任せな!」
まさかエミヤもバイクですっとんでくるなんて予想していなかったのだろう。どちらを狙うか迷った。その一瞬が今はありがたい。マシュもまだまだ未熟者だ。長くは持たないだろう。
いや違う!チャージ中か!
「
思わず戻って援護したい気持ちに駆られるが、ぐっと堪える。俺はマシュに信じてると言った。なら、信じ切る。
エミヤがいる丘まであと、1キロ。
―――◇◆◇―――
ぐだ男先輩が飛び出すと、ピタリと攻撃が止みました。なんというか、嵐の前の静けさのようです。
「マシュ、ぐだ男からの伝言。宝具が放たれるからなんとか耐えろ、信じてる。だってさ」
やはり予感は的中していました。もし、ここで私が耐え切れなかったら、全滅。そんな重い役割に心が潰れそうになります。でも
「信じてる」
みなさんが、先輩が、ぐだ男先輩が、信じてくれるから。
この一瞬だけは
それに応えたいです。
「きた!」
「はあああああああああ!!!!」
私は宝具が使えない不完全なサーヴァントだけど
だけども!
この
「マシュ、君はマスターを守れ」
「それができたなら一人前だ」
先輩のサーヴァントとして!
力に!!
―――◇◆◇―――
轟音。まるで、あの時の爆発のような。でも違う。
何よりも信頼できる後輩が、守ってくれている。
「ほ、宝具を展開できたの?」
『あぁ……土壇場で宝具の展開を確認。危なかったね』
「よか……た……」
「マシュ!!」
『大丈夫、気を失っているだけだ』
「なかなか見どころのある嬢ちゃんじゃねぇか」
不意に何かがぶつかる音がした。
それが私に向かってきた矢を撃墜した音と知って思わず背筋が寒くなる。マシュの倒れた今、完全に無防備だった。
「その嬢ちゃんの根性に免じて、力を貸してやるよ」
そんな私を助けてくれたのは、
『サーヴァント!?』
黒化していないサーヴァントだった。
―――◇◆◇―――
凌いだ!!
「金時!俺をアイツにぶん投げろ!」
「流石大将だ!意味わかんねぇぐらいデンジャラスだぜ!行ってこい!!」
一刻も早く、あの後輩が作ってくれたチャンスをものにする!吹き飛びながら宝具展開!
「
「おうよ!」
光と共に出てきたのはアイルランドの光の御子だ。アーチャー相手には中々頼りになる。
「一撃で仕留める!」
「了解した!」
明らかに届かない距離、でも、やる。
前方100メートルあたりに佇む影エミヤに向かって放つのは、結果が先の槍。無理にでも届かせる。
「マスター!合わせな!」
「届けぇ!!」
「「
クーフーリンの槍と俺の握る槍が、螺旋状に絡み合いながら伸び、伸び、伸び、
驚愕の表情のエミヤを貫いた。
―――◇◆◇―――
サーヴァント。しかも、黒くなっていない。どうやら敵対する様子はない。むしろ助けてもらっている。
「あ、ありがとう」
「いいってことよ。俺は嬢ちゃんに感心したから手を貸しただけだ」
「見た感じキャスターのサーヴァントかしら?」
「ほぉ……魔力の質も量も一流なのにマスターの適正が無いとは……なんかの呪いか?」
「うっさいわね!」
それでもちゃんと矢を撃ち落としているあたり、悪い奴ではなさそうだ。
「お、あっちも終わったみたいだぜ」
矢の攻撃が終わる。アイツのことだ、またなんかトンデモをやって勝ったに違いない。
負けるとは微塵も思っていないあたり、末期だなと思いました。まる。
―――◇◆◇―――
急いで帰ってくるとなぜかクーフーリンがいた。キャスターで。
「そういやお前もいたなぁ」
「は?」
「え?知り合い?」
「いいや、全く」
「……そうだな」
影薄くて忘れてたとかじゃないからね!もともと覚えてなかっただけで(ひどい)
どうやらクーフーリンとも契約したらしい。うん、俺の時と同じだね。
「まぁいい、協力関係なら歓迎するよ、キャスター」
「お前さんも随分と変わってるなぁ……よろしくな」
まぁ、クフニキは社交性高いしなんとかなるっしょ。それよか
「マスター、すまない。完全に判断ミスだ。マシュに負担を掛け、マスターを危険に晒してしまった」
「は?」
さっきから罪悪感やばい。なんでこう考えなしに突っ込んでしまったのか。少なくとも冷静に考えるべきだった。
「結果オーライじゃない?」
「いや、それでは意味がないんだ」
「…………令呪をもって命ずる、気にするな」
「ふぁ!?」
「おいおい!」
「ちょっとあなた!?」
『あはは……』
罪悪感が綺麗に払拭され心が洗われたそうじゃない。
「なにやってんの!?ボケは俺の領分だろ!?」
「いやー、ネガティブ男子ほど面倒なものはないからさ」
「令呪使ってまですることかなぁそれ!」
「うるさい、自分が悪いんだから諦めな」
「うぐっ……」
それを言われると弱い。
それに、とマスターは付け加えた。
「あんたなりに頑張ったなら、それでいいよ。少なくとも私は感謝してるし」
きゅん!
「おいおいマスター。それはデレとみてよいか?」
「よくない」
「はっはー、参ったなー!」
「……自害させればよかったかな」
「すいませんでしたぁ!」
これは気を遣わせたかな?失敗失敗。
いいマスターだな。これからも頑張ろう。
クフニキ「お前ら実はめっちゃ仲いいだろ?」
ぐだ子「あぁん?」
クフニキ「(自覚無しかよ……)」
どうも橘です
みんなFGO好き過ぎかよ……
予想以上のお気に入り、感想でした。正直見向きもされないと思ってたし(ボソッ)
今後もこのノリでいきます。なんだこれハイテンションすぎてウザいとかなる人はオススメ出来ません……
よっしゃばっちこーいな人は是非期待し……ないで!笑
戦闘描写は無理です!そもそもぐだ男が瞬殺します!
異世界とはいえ本人と契約してるので心が読めたり、遠くでも意思疎通できる設定です。
こんなぐだぐだな作品でよければお付き合いくださいませ!