遊戯王転生?(タイトル未定)   作:モフモフ好き

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ちょっとスランプ気味
区切りのいいところで一旦投稿させていただきました。
そして、原作改変が含まれております、ご注意ください。
今回、デュエルがありません、ごめんなさい。


対決、闇のプレイヤーキラー! 孔雀舞の過去と鈴音の心

 舞さんと遊戯さんが一時休戦した後、杏子さんが舞さんの用意した携帯シャワーで、体を洗おうとしていた。

 そんな中、杏子と舞さんは言葉をかわし、そして舞は過去の自分の体験を聞かせた。

 そして舞が疑問に思っていたことを口にした。

 

「ねえ、どうしてあんたらは一緒にいるわけ?」

「どうしてって? 仲間だからかな」

「不思議ね~、あんた達を見ていると、遠い昔に無くした、大切な何かを思い出しそうになるわ」

「舞さんにも、そういう人はいなかったんです?」

「……二人だけいたわ、ディーラーの仕事をしている時の先輩とその旦那ね。

 駆け出しだった時に色々教えてもらって、なんどか家に呼ばれたりして、食事したり、遊んだり……

 先輩が日本に引っ越してからは……思えばあれ以降あえていなかったわね……」

「だったら、会いに行ってみたら……」

「無理ね、カジノ船のディーラーをやめた後家に帰ったら、訃報が届いてたわ」

「それじゃ……」

「ええ、事故で二人共なくなったそうよ……、そういえば子供がいたわね

 二人のところに遊びに行ったときになつかれて、まるで妹ができた気分だったわ」

 そうして話していると、反対側でガサっと音がして人騒ぎになったのだった。

 その際に城之内と本田は幕の中に向かって

「どうした! 何かあったのか!」

「入っていいか!」

 などとのたまわり

「いいわけ無いだろ!」

 孔雀舞の鉄拳制裁を食らっていた。

 

 

 

 夕食の後、遊戯たちのいたところから離れ、一人物思いに耽る孔雀舞。

(あいつらを見ていると、無くしたものを思い出してしまうのよね……、四獣院先輩……)

 この時舞の頭をよぎったのは、両親を亡くし一人屋敷で暮らしていた過去と、ディーラー仲間の先輩と一緒にいて、楽しかった時間だった。

 

 だがそのせいで舞は気づかなかった、後ろから迫る魔の手に。

 

 

 

 

 

 

 

 そして少し戻り、遊戯達はというと。

 

「バ、獏良!? どうしてここに!?」

「じゃあ、やっぱりあの時船で見かけたのは見間違いじゃなかったんだ」

 

 獏良了が合流し、竜崎は

「獏良……まさか!? オカルトデッキの獏良了か!?」

「え? 竜崎、獏良のこと知ってんのか?」

「ああ、ちょいと昔、アンデッド系のモンスターを主軸にしたオカルトデッキちゅうデッキで大会上位に毎度食い込んどるデュエリストがおったんや、最近はなしをとんときかんかったんやが、まさかお前さんもこの島に呼ばれとったんか!?」

「え? 獏良がデュエリストで、しかも強かっただって!?」

 

 そして全員の視線が獏良に集中する。

 

「いや~、転校することが多くなる前にやってたんだけど、童実野町に住むまではやる機会がなくって」

 照れ笑いを受けべながら、獏良はそういった。

 

 そして、遊戯さんや竜崎から色々聞かれる中、今度は別方向の草むらがガサガサ

 

「だ、だれ!?」

 

 そこから現れたのは

「大変遊戯さん! さっき女の人がおっきな男の人に襲われて連れてかれちゃったの!」

 ペガサスにさらわれた四獣院鈴音だった。

 

 

 

 

 遊戯さんと合流する直前、私は見てしまった。

 女の人が大男に連れ去られようとしているのが。

 そしてこのタイミングで起こったことを原作知識として考えたら……、プレイヤーキラーが舞さんを襲った場面ではなかろうかと。

 そしてその瞬間、元々の鈴音としての記憶が一気に刺激された。

 これは……両親と一緒に過ごした思い出……え!? 舞お姉ちゃん!?

 

 それは一瞬のフラッシュバック、この世界で過ごした鈴音としての心の残滓なのか、それとも本当はまだ鈴音の心は完全に死んでいなかったんじゃないか、本当は心の奥底で深く眠っているのではないか?

 だけどそんな疑問をよそに、私の中では大好きだった舞お姉ちゃんを助けたいという思いでいっぱいになっていた。

 

「鈴音、どうしたんだ?」

「モクバ君、急いで遊戯さんと合流してあの人助けないと、女の人が男の人に襲われてる!」

「え? ちょっ!?」

 

 そう言って私は遊戯さんのいる方向、明かりの見える方向に駆け出していた。

 だけど、私のヘカじゃ、精霊を実体化させるだけの力は殆ど残っていない。

 ブラックに監視者を全員気絶させてもらったから、だいぶ力を消耗してしまった。

 

 正直走るのが少し苦しい、だけどそんなこと言ってられなかったのだ。

 たとえこの胸にある気持ちがこの世界の私の残滓だったとしても、その心を止めたくなかったのだ。

 この世界の鈴音が楽しかった時の記憶、それは本当に幸せそうだった。

 そして唯一その記憶を共有できる、姉のような人が襲われたのだ、助けたいに決まってる。

(助けるよ、鈴音ちゃん……)

 

「大変遊戯さん! さっき女の人がおっきな男の人に襲われて連れてかれちゃったの!」

 そして、明かりのある場所について、遊戯さんが見えたのですぐに助けを求めた。

 

「大変遊戯さん! さっき女の人がおっきな男の人に襲われて連れてかれちゃったの!」

 

 

 

 

 

 

 

(くっ、なんて力、引き剥がせない)

 この時舞は、恐怖を感じていた。

 暗闇の中、見知らぬ大男に後ろから拘束され、どこかに連れてかれることに。

(誰か……助けて!)

 こんな事を思ってしまうなんて、自分らしくないと思いながら、遊戯たちと触れ合って、無くしたものを思い出したせいなのかとも思ってしまった。

 だけど、こんな誰もいないところで助けが来るとは思っていない舞だった。

(自分から離れたんだもの……、それで助けてなんて、虫がよすぎるわね……)

 だがそんな時、舞の中にある記憶が呼び起こされた。

 

 

「舞、辛い時はちゃんと辛いって、助けて欲しい時はちゃんと助けてって言っていいのよ」

 それはまだディーラーとして駆け出しだった頃のことだった。

 その時、体調を崩してしまったのだが、弱みを見せないように無理に出ようとして倒れそうになったのだ。

 その瞬間をその時非番だった先輩に助けられ、部屋に運ばれたのだ。

 そしてベッドに寝かされた時に先輩に言われたのがそれだった。

「人間、言葉にしないとちゃんと理解できない生き物なんだから

 そりゃ、言葉にしなくても理解できる事はあるわ、でもそれはちゃんと何かしらで触れ合った人ただからわかること、それに言葉にしないと伝わらないことのほうが多いわ」

 ある意味、これが舞の先輩、四獣院朱音と話すようになったきっかけだったのかもしれない。

 

(朱音さん……)

 そして、舞が自分の口を塞いでいる男の手に噛みつき、その怯んだ隙きに声を上げた。

「きゃあぁぁぁぁ! 誰かー!」

 

 だがすぐに口をふさがれ

「貴様、よくもやりやがったな、だが、誰も助けなど来ない、あきらめろ……」

(くっ……そうよね、私はあの後の結局一人で生きてきた、いまさら誰が私をたすけになんて……)

 

 だが、舞がそう思った瞬間にそれは現れた。

 

「城之内、イナズマキィィィック」

 

 城之内が男の側頭部に飛び蹴りをいれ、男をふっ飛ばしたのだ。

「無事か! 舞!」

「じょ、城之内!? あんたなんでこんなところに」

「呼んだじゃねぇか、助けてって」

「えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからしばらく経ち、無事遊戯さん達は舞さんとも合流できた。

 闇のデュエリストキラーについては、城之内さんに蹴り飛ばされた際に舞さんのデュエリストグローブを盗み、逃走。

 その後それを取り返そうと遊戯さんが勝負を挑み、原作通りデュエルすることに。

 

 そして、デュエルの間にも舞さんと皆は言葉をかわし、その縁を紡いでいた。

「舞、安心しな! 俺がこいつからスターチップを奪い返してやるぜ!」

「遊戯、なぜ私なんかのために……」

 

 

 そして原作通り、遊戯さんは言葉を武器にデュエリストキラーを追い詰めている。

 光護封剣を切り札に、最後には闇のプレイヤーキラーを自滅の様な形でとどめを刺したのだった。

 

「覚悟は良いな、闇のプレイヤーキラー、罰ゲーム!」

「ぐああぁぁぁぁぁ!?」

 

 もう一人の遊戯さんによる罰ゲームで、闇のプレイヤーキラーは永遠の闇に落ち続ける幻影を見続けているらしい。

 

 なお、私は現在、舞さんたちのいる場所から少し離れたところで見守っています。

 ちょっと心の準備があるので……。

 

 

「遊戯、見事なデュエルだったわ」

「舞、このスターチップはお前のものだ」

「…………」

「どうした? 受け取れよ」

 だが舞さんは俯いたまま

「そのスターチップは受け取れない、そのスターチップはあんたのものだよ、遊戯」

「だが、お前はデュエルに負けたわけじゃない、不正な手段で持ち去っただけで、お前がデュエリストとして負けたわけじゃない」

「それは……そうだけど」

「舞さん、あなた言ってたじゃない! 遊戯と戦うのが夢だって!」

「それは……」

 だが城之内さんがそこに割り込んだ。

 

「たくよ~、うだうだ言ってても埒が明かねえだろうよ! いらないって言うならこの俺がもらってやるぜ!」

 そう言ってスターチップを取る城之内

「これで俺がペガサス城に一番乗りだな!」

 陽気にそう宣言する城之内、流石に舞さんはそれには納得しないとばかりに

「ちょっとまった! それだけは許さないわよ!」

「だっていらないんだろ?」

「返せこのバカ!」

 城之内さんに詰め寄り取り返そうとする舞さん。

 そしてそれを確認してから舞さんの手にそっと

「ほらよ」

 舞さんの手に返す城之内さん。

「あっ……」

「そのスターチップで戦うのをプライドが許さねぇんだったら、こっそり海にでも捨てちまいな」

「城之内……」

「だが、俺なら捨てねぇな、星も、夢もな」

「あんた、なんでそこまで」

「仲間だからな、さっき言ってたじゃねか、明日まではって、なあ誰か時計持ってねぇか? 今何時だ?」

「えっと、今11時だね」

 獏良が付けていた時計で確認する。

「なら、後一時間、もしくは夜が明けるまでは仲間だろ」

「……遊戯、このスターチップは借りておくわ、この借りがある間はあなたとは戦う資格はない

 だけどその資格を手にした時、その時は必ず戦うわ! 正々堂々と!」

「ああ、待ってるぜ!」

 

 そして、舞が決意を新たにしたところでふとした疑問を口にした。

「そういえば遊戯達はどうして私があの男に捕まったって知ったの?」

「ああ、それなら最初に教えてくれたやつがいたんだ」

「こんばんわ、舞お姉ちゃん」

「え? 鈴音!?」

「え? お前ら知り合いだったのか?」

 

 妙な空気が漂う中、私は、いや、鈴音は久しぶりに合う孔雀舞に出会えたのだ。

「舞お姉ちゃん! 久しぶり!」

「……色々言いたいことはあるけど、まずはそうね、久しぶり、会いたかったわ、鈴音」

 

 この時、私の体は勝手に動いていた。

 これは、鈴音の残滓なのか、それとも……。

 

 

 

 次回へ続く




 という訳で、この世界の鈴音と舞さんは顔見知りだったのです!
 鈴音の母親、四獣院朱音さん、当時の舞さんより7~8つぐらい年上の設定の人。
 世話好きで思わず舞さんにあれこれかまってしまった良妻賢母?

 子供ができてからもしばらくはディーラーを続け、やめたあともちょくちょく客船のカジノにいる舞さんの様子を見にいくぐらいの過保護。

 ちなみにディーラーとしての彼女は、勝ちすぎず負けすぎずの人。
 孔雀舞さんは色香で客から巻き上げるタイプに対して朱音はむしろ柔らかな雰囲気で客を惹きつけるタイプ。
 なお、客から悩み相談をされてる事もしばしば。
 男性客より女性客から慕われ、女としての悩み相談をしたくてカジノに足を運ぶ人もいるほど。

 そして、獏良了は正式に招待されていた事にしました。
 原作の方ではどうやって乗ってたんでしょうね?

 ではまた次回、お会いしましょう。
 次回は海馬さんのお話と、多分色々飛ばしてペガサス城に行くことになりそうです。
 さすがにこの辺の話を長々してると鈴音がデュエルできないw

 以下ボツネタ。
 プレイヤーキラーに出会う前に鈴音が合流して、テントの中にいた場合。

「ここにも一匹、デュエルの時間だ」
 テントの中ではきわどい格好の舞と上はシャツの鈴音の姿が……。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ痴漢よぉぉォォ!」
「いや、違う!? 俺は痴漢ではなく!?」
 慌てた鈴音は大声で叫び出し、現れた遊戯たちの手によりボコボコにされたあと、ふん縛られてゴヨウとなったプレイヤーキラーの姿があったとか……。


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