クリス先輩がこんなに可愛いわけがない! 作:TearDrop
感想に中々返事出来ず、申し訳ありません。
これを投稿し、皆さんの目に入る頃には感想に返事出来ていると思います。
えっ?クリスちゃんの新曲買ったか?もちろん、即買いましたよ。
iTunesって便利ですね(小並感)
夏真っ盛りの時季。
プールや祭りやらで盛り上がる、この季節。何処もかしこも盛り上がりを見せつつある中、佐倉家ではある事件が起きていた。
この時季になると流行りだす夏風邪。そんな病にかかってしまった一人の少年ーーー佐倉律。
高熱で頭が痛いと呻き、喉が痛いとのど飴を舐め、身体が熱いと冷えピタや氷枕を敷いて、ベッドに倒れていた。
「まさか夏風邪になっちゃうなんてなぁ……あぁ、喉が痛い……こんな時に父さんたちが居ない時に夏風邪になるなんて……あれ?これ、このまま死んだら孤独死になっちゃう?」
最悪な展開。
両親が温泉旅行で居ない時に限ってこんな目に合うとは予想外だった。このまま誰からも発見されず、惨めな死だけは避けねばならない。
怠さで起きるのもやっとな身体で起き上がり、外に視線を移す。
真夏の太陽がそこら中を照らし、蝉の鳴き声が部屋まで聞こえてくる始末。生憎、今日は学校を休む羽目になってしまった。
つい二時間程前にリディアンには連絡をし、今日は休むと伝えてある。
あぁ……誰か助けてくださいと、先ほど電話して来た切歌と調に伝えればよかった。
そう思った矢先の出来事だった。律のスマホに着信が掛ってきた。一体何処の誰だろうと、スマホを取ると見慣れた人物の名前が表示されていた。
ーーー雪音クリス、と。
◇◇◇◇
「はぁ?夏風邪?」
クリスが律に電話を掛ける数分前。
中庭は暑いという事で、教室で昼食を取るクリスの下に切歌と調からそう聞かされた。本来なら、クリスは友人と昼食を取る約束をしていた。
しかし、この時期は三年生は就職活動や進学活動などで忙しい。その為、クリスは切歌と調の教室で昼食を取る事にした。
「はいデス。朝から熱があったみたいデスよ」
「一応、私達も連絡してみたんですけど、電話越しからでも分かるぐらい辛そうで……」
「ふぅ〜ん……」
素っ気ない態度を取るようだが、内心では心配しているクリス。実際、律には先日の擬似デートの際にお世話になっている他、家まで送り届けてもらったりと何かとお世話になっている。
何かお返しをしようかと考えているとーーー。
「それにしても、夏風邪って引いた事ないデスね」
「バカは風邪引かないって言葉があるしね、切ちゃん」
「そうデスねぇ……あれ、それって私がバカって事デスか!?調、今完璧に私の事をバカにしたデスよね!?」
「ほら、黙って食えって……」
デスデスデースと抗議の声(?)を上げる切歌にクリスはそう言いながら、律に何をお返しをするべきか悩んでいると、明るい声が聞こえて来た。それは鬱陶しくもあった時期があったが、今ではーーー
「クリスちゃーん!一緒にご飯食べよー!」
「こら響、あんまり騒がしくしちゃダメよ」
「あぁ、ごめんごめん」
「お前ら……」
ーーー少しばかり落ち着く時もある。初めて会った時は敵同士で、フィーネとの戦い以降は共に戦ってきた仲間である立花響が小日向未来と共に一年の教室へやって来た。
「あれ?そういえば律君、だっけ?今日は来てないの?」
「はい。夏風邪を引いたみたいで、今日は休むって連絡が来たんです」
「この時期の夏風邪って大変だよねぇ。私なんて風邪を引く暇なんてないよ」
「何とかは風邪引かないって言うしね」
「あはは!……ねぇ私、未来にバカって言われた気がするんだけど、気のせいかな?」
「気のせいだろ」
そうだよねーと、笑みを浮かべながら昼食を取る響であった。本当に気づかないとは馬鹿なのか、天然なのか分からなくなったクリス。
ふと、クリスは昨日の律との会話を思い出す。何でも両親が福引券で温泉旅行を当てたと言っていたのを思い出した。
『二人にはお世話になりっぱなしなので、当分は一人なんですよ。これで風邪とか引いたら大変かもしれないですけどね』
律は笑いながら言っていたが、実際に夏風邪を引いて学校を休んだ。
クリスはスマホを取り出し、電話を掛けようと思ったが、体調が悪い時に電話を掛けるのは如何なものかと思い、スマホを置く。しかしーーー。
「電話してあげなよ、クリスちゃん!」
「うわぁ!きゅ、急に大きい声を出すなっての!」
「律君、家で寂しい思いをしてると思うよ。電話してあげたら?」
「で、でもよ……体調悪いだろうし、そんなんで体調悪くなったりでもしたらよ……」
「多分大丈夫だと思うけどなぁ。だって律君、クリスちゃんの事ーーーーふごぉ!?」
「響、それは言わない約束でしょう?」
可愛らしい笑みを浮かべる未来に口を塞がれ、苦しそうな表情を浮かべる響を見て、首を傾げるクリス。
響は今、何を言おうとしたのか。
それは響と未来しか知らない。取り敢えず、念の為に律に電話を掛けようとするクリスだったが後ろで切歌達がーーー
「響先輩が虚ろな目をしてるデース!?」
「あっ、やりすぎちゃった!!」
「と、取り敢えず呼び戻さなきゃ!」
「あははは〜……遠くでキャロルちゃんが手を振ってるよ〜……」
「目を覚ますデース!!そっちに行っちゃダメデース!!」
ーーー騒がしかった。クリスは教室を出て、廊下から電話を掛ける。コールが鳴ること三回。そして、マイク越しから伝わる声は、何処か苦しそうだった。
◇◇◇◇
「あれ……クリス先輩、どうかしたんですか?」
『あ、あぁ……風邪、引いたらしいな』
「はい……夏風邪がこんなにキツいと思ってもいませんでしたよ。まさか両親が居ない日になるとは思ってもいなかったですし……」
『そ、そうか。……だ、大丈夫なのか?』
「まぁ、ある程度の事は出来るんですけど、身体が怠くて……」
『わ、悪りぃ……体調悪いって時に電話しちまって……何か欲しいものとかあるか?』
「えっ……?」
一瞬、クリスが何を言っているのか理解できなかった律。しかし、よく考えるとこれはお見舞いに来るという事だろうか。律の頭は、熱に魘されているにも関わらず一瞬でそう考えた。
この時の律は、激しく後悔する事になる。何故こんな恥ずかしい事を言ってしまったのかをーーー。
「そ、そうですねぇ……
『そ、そうか…………はぁ!?』
「えっ……僕、なんか変な事言いました……?」
『言ったに決まってるだろ!おま、おま、お前ホントのバカぁあああっ!!』
「ーーーー?」
『と、とにかく!後で来るから大人しくしてろよ!いいな!?』
それだけ言うと、クリスは通話を切った。
一体どうしたのだろうかと、律は通話時間が表示された画面を見ながらそんな事を思った。
◇◇◇◇
「あいつ……熱で頭おかしくなったんじゃねえのか……!?」
頰を染めながら、スマホの画面に表示されている律の連絡先を見つめるクリス。
まだ頰が赤くなっている反面、何故かは分からないが
「そ、そうに決まってるっ。彼奴が急に変な事言い出すからだ。うん、そうに違いねぇ……でもーーー」
ーーー本当に会いたいと思ってくれてんのかな
そんな思いが、クリスの中で芽生えていた。教室から響達に覗かれてるとは知らずに。
如何でしたでしょうか?
皆さんが読みやすいように三千文字以内に書いているのですが、このぐらいの長さで大丈夫ですかね?
短いと思われた方、もしくは長く書いてほしいと思われた方はご報告ください。なるべく皆さんのご期待に添えるよう頑張ります。
そして何故響と未来が、律がクリスに好意を抱いている事を知っているのかは番外編か何かで明らかにしたいと思います。