某日、ハリーたちの元にハグリッドから手紙が届いた。『もう直ぐ孵るぞ』と。
薬草学の授業が終わると同時に、三人はハグリッドの家に向かった……が、そこには既に鬼灯がいた。
「……何でこんなに早く来れてるんですか?」
「午前中は授業がなかったので」
真っ当な理由である。決してどこぞの蝙蝠教師に代わってもらったわけではない。
ハグリッドがテーブルの上に卵を置き、今か今かと待ち構える。直ぐに、卵は割れてドラゴンの子供が出てきた。最初はヨチヨチとハグリッドの方に向かおうとしていたが、鬼灯の姿が目に入った瞬間立ち止まり、そちらに向かった。
「……やっぱり」
「あれ、最初は俺のことをママだと思っとったよな?何で鬼灯先生の方に行くんだ?」
「日頃の行いの差でしょう、ハグリッドさん。このドラゴンは一週間ほどしたらルーマニアに届けます。ウィーズリーさんの兄、チャーリー・ウィーズリーがドラゴンキーパーをしていますから」
そこまで言うと、鬼灯は小石を拾い、窓の外に投げつけた。グエッとうめき声が聞こえた。誰かいたようだ。
「チャーリーさんとの連絡は私の方で行います。また、ハグリッドさんとポッターさん、グレンジャーさん、ウィーズリーさんはおそらく罰則があるでしょう。ドラゴンの卵を隠そうとしていたわけですし」
小屋を出てスタスタと学校に戻っていく鬼灯。彼は金髪オールバックの少年を引きずっていた。
さて、話は飛んで期末試験。罰則の話は特に変わったところはないので割愛させてもらおう。
筆記試験の監督は鬼灯だった。それと、大量の金魚草。隠れてはいたが、座敷童子姉妹も監視していた。もちろん、実技試験の方も。今年は不正を行った者はいなかったようだ。
そして、その日の夜。ハリーたちは石を守るために隠し場所へ向かおうとしていた。寮のために立ちふさがったネビル・ロングボトムを倒して。
寮の外へ出ようとした時、不気味な声が聞こえてきた。
「何処へ行くの……?」
「お散歩ですか……?」
そーっと後ろを振り向くと、そこには何処かで見た白黒の双子が逆さまにこちらを見つめていた。
声にならない叫びを上げた三人はへたり込んでしまった。魔法やらゴーストやらに慣れたといっても、脅かされるのにはいつまでたっても慣れることはない。
「え、えーと……君たちは……?」
「座敷童子、一子」
「二子」
黒い方が一子、白い方が二子のようだ。安直な名前である。当人たちは満足しているようだが。
「鬼灯様に頼まれて見張ってた」
「石のところに行くんだったら案内するのと罠の解説をしろって頼まれた」
「ぶっちゃけ鬼灯様の試練が一番きつい」
「それさえ乗り切ればあとは楽」
スタスタと透明マントを被ってるはずの三人の前を歩き始める双子。ついて行くと、ゴーストにもピーブズにも、フィルチやミセス・ノリスとも会わずに扉の前に着いた。
「それではまた後で」
「鬼灯様の試練の前でお会いしましょう」
スタタタと何処かへ消えていった座敷童子に感謝し、三人は扉を開ける。まずはフラッフィーを何とかしなければ。
「鬼灯様、三人が石に向かった」
「あの人も向かった」
「ご報告ありがとうございます、座敷童子さん。お礼におはぎあげちゃいます」
「わぁい」
「わぁい」
「では、彼らが再現内熱沸処に差し掛かり次第、解説をお願いします。それと、突破したら私の元へ連絡を。今度はお赤飯とお小遣いあげます」
「わかった」
「行ってきます」
フラッフィー→悪魔の罠→鬼灯の試練→鍵鳥→チェス→討伐済みトロール→論理パズル
鬼灯様の試練までは飛ばします。特に変更点ありませんし。