ホグワーツの冷徹管理人   作:零崎妖識

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性懲りもなく新作投稿。


鬼神、鬼灯

ハリー・ポッターが大広間に入った時、一つだけ気になったことがあった。

先生方の中に一人だけ、黒い、不思議な服を着た人が居たのだ。それに、耳が尖っていて角も生えている。

 

「あの服は『和服』って言って、日本の服なの。でも、角の生えた人だなんて……いったい、なんなのかしら?」

 

ご丁寧なハーマイオニーの解説により、服のことはわかった。しかし、なんで角が生えてるのかはわからない。

そうこうしているうちに組分け、そして食事が終わる。そしてダンブルドア校長が話始めた。

 

「全員、よく食べ、よく飲んだことじゃろう。いくつかお知らせがあるのじゃが、まずはクィディッチ選手の選抜について。二週目に選抜があるので、参加したい人はマダム・フーチに。あとの連絡は鬼灯先生に任せますぞ」

 

「はい」

 

角の生えた人が立ち上がる。鬼灯(ホオズキ)と言うらしい。

 

「ホグワーツ管理人兼、異界学教授の鬼灯です。まず、構内にある森には立ち入らないようにしてください。新入生の皆さんは知らないと思いますが、森には危険な生き物が多くいます。もし入った場合は……スプラウト先生監修の元臭い植物の手入れ作業、並びにそのことに関する反省文、感想文を原稿用紙五十枚ずつ書いてもらいます。また、授業の合間に廊下で魔法を使った場合も同様です。特に、ジョージ・ウィーズリーとフレッド・ウィーズリー。貴方たちには叩いて聞かせることが校長先生から許可されたので……次違反した場合は金棒(これ)でお尻叩き百回」

 

パンッと手のひらに重そうな金棒を叩きつける鬼灯。

 

「魔法などを作る際は必ず私に声をかけること。実験をする際も同様です。魔法薬の調合はマダム・ポンフリーかスネイプ先生の立会いの元行うこと。

最後に、今年いっぱい四階右側の廊下には入らないように。例え何が起ころうと私は責任を負いません」

 

ぺこりと頭を下げて席に座る鬼灯。ハリーは気になって、彼についてパーシーに聞いてみた。

 

「鬼灯先生は鬼神──(オーガ)って言う珍しい種族でね。ゴブリンとかと同じく『ヒトたる存在』だ。僕から言えることは一つ──あの人を怒らせない方がいい」

 

そう言って、パーシーはそれ以降口を閉ざしてしまった。

 

 

 

 

ハリーたちが彼の授業を受けたのは金曜日だった。スリザリンも一緒だ。

運の悪いことに、スリザリンの生徒が一人遅刻してしまった。

 

「すみません、先生。遅れてしまいました」

 

「遅い!」

 

パァンと音がして、遅刻した生徒の額に白い何かが撒き散らされる。どうやら高速で飛来したチョークが砕けたようだ。

 

「今回は初回の授業なので処罰は軽くします。が、次回からは遅刻、宿題忘れに容赦はしません」

 

そう言った鬼灯の目は、ハリーには蛇のように見えた。

 

「私は鬼灯と言います。日本の鬼で、管理人兼異界学教授をしています。身分関係なくビシバシといくつもりなので頑張ってください。

異界学はその名の通り、この世とは違う世界についての学問です。なお、並行世界などは含みません。では……グレンジャーさん、知っている異界を一つ挙げてください」

 

「冥界です」

 

「その通り。冥界はハデスによって支配されている死後の世界の一つです。なんでしょうか、マルフォイさん」

 

マルフォイが手を挙げ、質問した。

 

「死後の世界の一つ、とはどう言うことでしょうか?僕には、死後の世界がいくつもあるように聞こえるのですが」

 

「いくつもありますが何か?」

 

マルフォイが口を開けたまま硬直した。

 

「死後の世界とはいくつもあります。主に宗教的価値観の違いですね。神道や仏教における『天国』や『地獄』、『六道輪廻』。ヨーロッパにおける魔王サタンのおさめる『地獄』。ゼウスの兄、ハデスがおさめるギリシャの『冥界』。またその最果てにあると言う『天国(エリュシオン)』。エジプトの地獄である『ツアト』など……宗教の数だけ死後の世界もあるのです。

また、おとぎ話などではいつの間にか『死後の世界』に迷い込んで戻ってきたなどの話もあります。

さらに、『不思議の国(ワンダーランド)』のようにこの世界の裏側にある世界も多い。一部魔法薬の材料がそれらの世界にしか自生していないので、貴方たちはこれらの世界を知っておく必要があるのです。いいですね?」

 

 

ここから、鬼神鬼灯とハリー・ポッターたちの物語が始まるのだった。




異界学は本作のオリジナル学問です。色々とオリジナル理論が飛び出るかも。

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