聞こえるか、この鐘の音が()   作:首を出せ

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私は思いました。やはりシリアス(笑)よりもこうして軽いノリを書いているほうが筆が進みますね。

IF√消してしましょうか……。


番外編2

 

 

 

 

 

――――――1  サン・オールドマン強化計画 ~初代様のパーフェクト晩鐘教室編~ 

 

 

 

 

 

 

 今日も平和に一日が終わった。

 ジャティス・ロウファンを殺して以降、派手な事件は起きていない。もしかしたら俺達の目の届かないところで何かドンパチしているのかもしれないが、まぁ目の前に出てこなければそれは俺にとってないのと同じことだ。

 

 ということで、今日も普段と変わらない日常を過ごし終えこの日の締めくくりとして己の寝床にダイブするところである。とりあえず、おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こうして対面するのは久しいな。我が契約者よ』

 

「……何だ夢か(白目)」

 

 

 寝床に入り、目を閉じた俺は何時の間にか何処か見覚えのある場所へと飛ばされていた。あたりには蒼い炎を灯す松明が等間隔で設置されている何処か洞窟のような場所。視力の悪くない俺でもあまり遠くまで見ることはできない。そして、極め付けには俺の正面で厳格な気配を隠すことなく立っているお方。牛のような立派な双角を備えた髑髏面の奥に青白い眼光を滾らせた220㎝越えの人物――――そう、この世界に置いて、まさに文面通り一心同体である初代山の翁。通称初代様である。つまり紛うことなき夢。…現実とどっちがいいと聞かれたら返答に困るタイプの夢だ。

 

 何はともあれ、急に初代様がいることについてとても驚いたが、そもそもどうして俺は再び此処に呼ばれたのだろうか。今日は普通に生活していただけだ。日課であるショック・ボルトの改良も忘れていない。ここ最近、雨雲にショック・ボルトを叩き込めば雷を落とせるんじゃないかということを思いついて目下実験中なのだ。初代様が嫌いな堕落をしているわけではない。そう、俺はここに呼ばれた理由が全く見当がつかなかった。見当がつかなさすぎて超怖い。

 

「何か御用ですか?」

 

『……我が契約者よ。汝は我が力に一切触れず生を歩んでいくつもりだろう』

 

「――――――」

 

 バレテーラ。というか、そりゃばれるか。なんて言っても初代様は娯楽大好きろくでなし神様から俺なんかと一緒にされているのだから。つまり此処までの思考も全て筒抜けというわけである。これは死ねる。

 

「は、はい。……私には貴方様の力を使うほどの物を持ち得てはいません。覚悟、能力、信仰……どれを取っても足りないと自覚しております。そして同時に気軽に触れていいものではないということも知っております」

 

『触らぬ神に祟りなし……極東の言葉ではそう言うのだったな』

 

「はい」

 

『汝の言うことにも一理ある。だが、己の力を掌握し一寸の隙もなく己の物とする―――それも又、力ある者の義務。……力を欲する、欲さない。そのどちらでもこのことは変わらぬ』

 

「………」

 

『汝にとって力の掌握とはすなわち器の大成――――――故に、構えよ』

 

 初代様はそこまで語ると今まで自身の前で地面に突き刺すようにしていた大剣を片手で持つ。それは俺が直接見たことはない。けれど、直接出なければ見たこともあるし知っている。……初代様はここで俺に教えるつもりなのだ。この力の使い方と、それに負けない為の生き方を。

 

「――――――――っ……!」

 

 体が震える。

 当たり前だ。相手は人類史上最強にして最高の暗殺者。長い歴史の中に置いてグランドの位を授かった傑物。

 高々二度目の人生をやり直した人間に相手できる人物ではない。そのようなことは初代様も理解しているはずだ。であればこのやり取りの本懐は何処か?答えは一つ。俺の精神的なことである。

 初代様ははっきりと口にすることはなかったが、恐らくこのまま行けば俺は力に飲み込まれるだろう。晩鐘が馴染んだということはその分()が削られたということ。コップいっぱいの水に更に水を加えればこぼれながらまたいっぱいになることと何も変わらない。そのこぼれた水こそ嘗て俺を構成する一部だったというだけの話だ。

 

 本来なら、こう言ったことは教えてくれないし、そもそも自覚できないモノなのだろう。初代様、その残滓が俺のことを不憫だと温情をかけてくれているからこその現状だ。ならば、俺だってそれに報いなければならない。器の大成……何より、これ以上己を蝕まれないための精神を培うために。

 

――――覚悟を決めろ。ここでしくじれば失うのは自身だぞ。

 

 そうして俺は震えたままの身体で、初代様を見据える。はっきりと、戦う意思を乗せた視線を青い眼光と交える。例え弱くても、実際に力を扱うことができなくてもそれでいい。只、何物にも負けない己を。

 

『――――それでよい。では、死ねい(往くぞ)

 

「初代様!言葉を間違ってます!!」

 

 やっぱり無理かもしれない。涙が俺の頬を伝う。普通に考えて、瞳を蒼く光らせた220cmの大男が剣を振りかぶりながら襲い来るなんて恐怖でしかない。手加減してくれているのだろうその姿がはっきりと俺には見ることができた。故に更に恐怖が加速する。

 先程までの覚悟を決めた自分は何処にきっと既に初代様の手で葬られてしまったのだろう。情けないことに、半ば自暴自棄になりながら俺は魔術を発動。目の前の『死』に向かって突撃した―――。

 

 

 

 

 

 ちなみに、その次の日。

 自室で血まみれになった俺が発見された。傷自体は見当たらず、しかし血液は俺の物という摩訶不思議な現象を発生させてしまい。家族や学友、グレン先生、システィから思いっきり心配されたのはいい思い出でも何でもない。そして申し訳ない皆。多分これからも定期的に部屋が血まみれになると思う(白目)

 

 

 

 

 

 

――――2 サン・オールドマン強化計画  ~リィエルの(脳内)戦車でも分かるフィジカル・ブースト(仮)~

 

 

 

 

「私は感覚でやってるから」

 

「………終了!」

 

――――怠惰か?

 

「やっぱりやります」

 

「……?」

 

 フフフ、俺に逃げ場などない。

 それは既に分かり切っていたことだからいいとして、割と真面目にどうしようかな。リィエルは恐らく本人の言う通りほぼ無意識化で制御できているのだろう。故に彼女はあの細腕で馬鹿みたいにでかい剣を使えるし、尚且つ隙がない。

 ……比べて俺はショック・ボルトしか特出している物がない。当然フィジカル・ブーストも使えるだけで一節で発動することすらできない。そしてたとえ発動できたとしてもその出力は弱い。大した強化にならないのだ。

 

「―――むぅ。………ッ!サン、私にいい考えがある」

 

「それは助かるよ。どんなの?」

 

「出力が足りないなら一点集中」

 

 薄い胸を張ってリィエルはそう言った。その顔は無表情ながらも何処か自信に満ち溢れている。もしかしたらどや顔なのかもしれない。とりあえず、そんな彼女の頭を無意識に撫でながら彼女の言うことを吟味する。

 一点集中は確かにいいかもしれない。全身にくまなく巡らせるよりも効率よく強化ができるだろう。速さに関してはこれから何とか慣れる、もしくは戦闘に入る前に既に済ませておくと言った対策をとるしかないだろう。まぁ、初代様が対策だけで満足するわけがないのでショック・ボルト同様に日々努力を続けるつもりだ。

 

「とりあえずやってみよう――――我・秘めたる力を・解放せん!」

 

 ショック・ボルトよりもマナを消費したということを自覚しながら使ったフィジカル・ブーストを身体の一部に集中させようとする。だが、結果から言うとそれは成功しなかった。どうやら自分の身体は本格的にショック・ボルト以外の魔術適性をブン投げたらしい。細かい調整は全く聞かなかった。術式の方をいじってみてはどうかと試すものの見事に失敗。まるで世紀末な世界で死にざまを晒すモヒカンたちと同じ結末を辿りそうになった。

 

「……危なかった」

 

「サン、はじけ飛びそうだった……」

 

 流石のリィエルもあれは予想外だったのだろう。普段よりも顔を青くしている。そして俺は二度とショック・ボルト以外の術式を改変することをやめた。初代様も、これは見逃してくれると思う。なんというのか、言い訳とかではなく本当にショック・ボルト以外にはとことん縁がないらしい。

 

「これ以上は危険、やめとく?」

 

「そうしようかな―――――いや、最後に一つ試してみようか」

 

 この時俺の脳内に電撃が走る。

 いっその事フィジカル・ブーストにショック・ボルトの術式を組み込んで、合体させてみてはどうかと。半分フィジカル・ブーストだからわからないが、もう半分がショック・ボルトならもしかするのではないか……。とりあえず、そのことに関してリィエルに聞いてみた。

 

「……そんなことを試した人はいないと思う。少なくとも私は知らない」

 

「そうか」

 

 色々経験を積んでいる彼女ならもしかしたらと思ったがわからないらしい。まぁ、作った術式をすぐさま使うわけではないし、挑戦するだけなら只だ。結果がどうなるかはわからないが一先ず作ってみよう。

 

 結果、俺の頭が爆発した。……死ななくてよかったよ。

 

 この後は身体捌きの訓練としてリィエルと少しだけ戦うことになった。俺が勝てるわけないだろいい加減にしろ。

 無意識化で発動できるほどに洗礼されたフィジカル・ブースト。そして、振り方は滅茶苦茶なのに根本的に速く破壊力が絶大な大剣に命の危機を感じながら実に20分、ただひたすらに頑張って生き延びた。

 

「ん、サン。中々いい身のこなし」

 

「多分命の危機を感じてるからじゃないかな……っ!」

 

 実戦と同じ感じで戦えてとてもいい経験になったと思います。えぇ。

 

 

 

 

 

 

 

――――3 サン・オールドマン強化計画  ~グレン監修リアル鬼ごっこ~

 

 

 

 

 

 

『サン。お前は今身体を鍛えているらしいな!だったらとっておきの方法があるぜ!』

 

 ここ最近、俺が魔術ではなく身体を鍛えるというか動けるように色々している事に気づいたグレン先生は昨日の朝、俺に対してそんなことを言っていた。この段階で少し嫌な予感がしたのだが、彼の講師としての実力は確かである。本人も元々はそう言った荒事が多い職場に身を置いていることからもしかしたら真面目なものなのかもしれないと彼の話を受けた。

 

 

 そして次の日……つまり今日。

 学院は休みなのだが、グレン先生は何処からともなく手にしていた鍵を使って中に入っていた。警備員さんにも止められなかったところを見ると予め話しを通していたのかも知れない。

 

 なんて考えながらグレン先生の後姿を追いかけていると、俺の目にいきなり予想外の光景が映り込んできた。

 そこにはクラスの皆が居た。ご丁寧に動きやすい恰好で準備運動を行っている。本当にどうしたのだろうかと首を傾げると、ここでグレン先生が答えを言ってくれた。

 

「これから学院の敷地を貸し切って鬼ごっこを始める。逃げるのはサンだけ、他の連中は全員鬼だ」

 

「はっ?」

 

「よーいスタート!!」

 

『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!』

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!?」

 

 グレン先生の容赦ない号令より、クラスの皆が一斉に襲い掛かる。それはすぐさま身体を反転させてその場から逃げ出した。

 

「雷精の紫電よ!」

「大いなる風よ!」

 

「――っ!?攻撃を仕掛けてくるなんて……俺のクラスメイトは鬼かッ!」

『鬼だよ』

「そうでしたねこんちくしょう!」

 

 しかも彼らは俺が初代様の力を借りた姿を見ている。事情をある程度説明しているとは言え―――いや、事情を知っていてもあれだけの力を持っていると理解しているからこそ彼らに容赦の二文字はないだろう。

 

「走れ紫電・我が身体を・雷と化せ!」

 

 フィジカル・ブーストを元として、自分の脳から送られる伝令を早くする魔術。これにより、自身の考えたことが殆どノータイムで行うことができる。ぶっちゃけこれは初代様が俺の身体を使い続けて少し変質しているからこそ使える裏技である。あんまり長時間は使えないのだが、今この瞬間に置いてはそれだけでも十分だ。

 

「雷精の紫電よ!」

 

 再び、級友からの攻撃が俺を襲う。だが今回は避けない。ぎりぎりまで自分に引きつけ、そして俺の目的を達成できる地点まで到達すると、こちらもすぐにショック・ボルトを放った。

 お互いのショック・ボルトがぶつかり合い、爆発を起こす。俺のすぐ背後で起きた爆発―――その爆風を受けて俺は更に加速する。そして、そのまま前に向いていた勢いを殺すことなく高跳びの要領で上に向ける。近くにあった木に手をかけ、身体を一回転させて手をかけていた木の上に立つ。そこで立ち止まることなく、木を伝って学院の二階に移動してクラスメイトを撒いた。

 

「あいつ本当に人間か!?」

「確かあんな感じの人のことを指す言葉があったと思うのだけど」

「シノビじゃありませんか?」

 

 どちらかと言えば暗殺者の方かな。忍者じゃなくて。

 

 

 

 

✖✖✖✖

 

 

 

 

 

―――――ククク、計画通り。

 

 

 

 誰も居なくなった集合場所。そこにただ一人残る男、グレン・レーダスは一人でまるで新世界の神にでもなりそうな実にあくどい笑みを浮かべていた。それもそのはず、今回彼がこうして学院を貸し切り鬼ごっこをするには訳があった。当然それはサンの強化計画―――――ではない。

 この男有事以外には清々しいほどの屑である。故に、特に誰に危機が迫っているわけでもない今回、彼が真のろくでなしになるのは当然の摂理であった。

 

 彼がここでサンと鬼ごっこをする理由は単純だ。まず一つ目として、例の如く今日ここで行われることをセリカ・アルフォネアとアルベルトに送っている。彼らは嘗て代行者とサンから忠告を受けているが、それは情報を口外した場合だ。恐らく彼らも自分達の存在がもたらす影響を自覚している。それ故に口外と利用以外は黙認しているのだろう。グレンも同じだ。彼らのことを信頼はしているが、それで周囲の人間が納得すると言えば否である。

 であれば、痛くもない腹を探らせそれで手打ちとしたほうが賢明だろうと考えていた。………尤も、今のグレンはシリアスではないのでただ単に金が欲しかっただけである。今挙げた理由はその七割が建前だ。

 

 そしてセリカから学院長に話を回した結果こうしてサン調査の舞台が整ったのである。

 

「さて、俺もそろそろ移動するか」

 

 サンが何処に行ったのかは理解できる。代行者となれば不可能だが、サンの気配を察知できない程グレンは衰えているわけではなかった。このまま仲介役として彼の姿を監視していれば自分の手元にお金が入り込んでくる。その額は相手が相手である故にかなりの高額となっている。

 再び緩む頬を引き締めながらグレンはその場から動こうとして―――――――その身体を止めた。何故か?それは背後から自分の肩を掴んでいる存在がいたからである。グレンは一体誰だと背後へ顔を向けた。するとそこには、この鬼ごっこに唯一参加していない人物が青筋を浮かべて立っていた。その迫力はまさに鬼神の如く。彼女の美しい銀髪はまるで彼女の感情に呼応するかのように宙へと浮いていた。

 

「ねぇ、グレン先生」

 

「………」

 

 声を発することができない。

 動くことができない。

 目を合わすことができない。

 

 今のグレンはまさに蛇に睨まれたカエル。このまま、目の前でご立腹な彼女の制裁を受けるだけの存在となり果ててしまったのだ。

 

「何を、しているのかしら?」

 

「……………………………(汗)」

 

「大いなる風よ!」

 

「待て白猫!早まるな……!アッ――――――!?」

 

 こうして悪は滅びた。

 諸悪の根源ことグレンを倒した彼女―――システィーナ・フィーベルはそのまま宙を舞い、地面に打ち付けられたグレンの身体を引きずりながら鬼ごっこを続けているクラスメイトへと合流。今すぐやめなければこうなると脅しつけた。誰もがこの時の彼女に逆らうことができなかった。

 

 

 

「あ、ありがとう。結構真面目に助かったよ。システィ」

 

「…………別にいいわよ」

 

 

 

 

――――4  おまけ編 ~呼び方~

 

 

 

 

「システィ。本当にさっきはありがとう」

 

「………さっきも言ったけど気にしないで。それにしてもルミアやリィエルまで参加してたなんて意外だったわ」

 

「うん……。後少し遅かったらリィエルに真っ二つにされそうだった」

 

「ギリギリね」

 

 実際、サンはギリギリだったのだ。

 リィエルはああ見えて執行官。それほどの実力を持っている彼女の攻撃をかわし続けるのは素のサンには少々荷が重かったのだ。もし、今の彼ではなく学院に天の智慧研究会が侵入したころであれば今頃彼は真っ二つだったことだろう。

 

「お礼として何かしたいと思うんだけど、何かしてほしいこととかある?」

 

「そこまで深刻に受け止めなくていいわよ。大したことをしたわけじゃないんだから」

 

 サンの言葉をシスティーナは手を振って断った。しかし、サンは引かない。先程は冗談交じりに言ったが、真っ二つの件は割とマジな話だった。リィエルもサンの代行者状態を知っている。故に普段よりも手加減ができずに、全力に近い攻撃を繰り出していたのだ。無傷なのが奇跡と言えるほどの事態だったのである。

 彼のただならぬ気配を受けてシスティーナも何かあったんだろうと察したらしい。サンに何をしてもらおうかと考え始める。そして―――考え込むように目をつむった。

 

 数分して再び目を開けた彼女はそのままサンに自分のしてほしいことを告げた。

 

「じゃあ、こう言う時には私のことをシスティーナって呼んでくれない?」

 

「…………」

 

「何よ」

 

 彼女の言葉にサンは一瞬だけ呆けた顔をした。その反応が気に入らなかったのか、そっぽを向いたシスティーナは不機嫌そうな声音を隠そうともせずにサンの反応を促す。彼女の様子に正気を取り戻したのかサンは数回頭を振った後、静かに微笑み、彼女の願いを了承した。

 

()()()()()()

 

「――――――――ッ!」

 

 要望通りサンは彼女の名前を口にする。システィーナはそれだけで白い肌が朱色に染まった。

 システィーナが初心ということもあるだろう。しかし、理由はそれだけではなかった。サンは彼女の名前を口にする時、唯名前を呼ぶのではなく彼女に対する気持ちも込めて呼んだ。それ故に声音は普段よりも格段に優しく、彼女の中にスッと溶け込んでいった。

 

「~~~~~っ!」

 

「………やっぱりやめとく?」

 

「こ、これくらい問題ない。えぇ、問題ないったらないわ」

 

「足震えてますけど」

 

「……」

 

「うん、これ以上は何も言わないよ」

 

 どうやっても再起不能になりそうな彼女を見ながらサンは静かに苦笑するのだった。……自身の目の前で顔を真っ赤にしているシスティーナと同じように赤く染まった耳元を隠しながら。

 

 

 

 

 




なんか、二人きりの時に愛称じゃなくてしっかりと呼んで欲しくなったの by白猫
………やだ、なにこの子可愛い by亡き王女(金髪)



ちなみにグレンがクラスメイト(ほぼ)全員を釣った餌は、彼が書き留めている自伝(笑)に記載されている某二人組の活動記録です。彼らの知らない場面での出来事が記載されている為、参加しました。ちなみに参加していないのはサン、システィーナ、ギイブルです。


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