百合が見たいだけです(切実)   作:オパール

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お ま た せ(待ってない)

執筆に費やした時間よりも、シリアスで通すかギャグに回帰するかに費やした時間の方が長かったです。申し訳ないです
考えた結果、とりあえず改変AXZ終わるまではシリアスで通してみようという結論に落ち着きましたので、もしよろしければお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
やってみたいこともありましたし

今回は割と時間飛ばして駆け足気味になっております


追記

お気に入り登録数が2000件ですよ、2000件!(AMMHRK)
改めて、読者のみなさまに感謝いたします。ありがとうございます


怒られ拉致られのち決戦

『―――やぁ。S.O.N.G.の諸君』

「アダム・ヴァイスハウプト……パヴァリア光明結社の首魁が、わざわざ通信回線をジャックしてまで何の用だ?」

『構わないよ、邪険にせずとも。あるんだよ、教えてあげたいことがいくつかね』

「生憎だが、貴様の戯言に貸す耳は持ち合わせていない」

『いいのかい? 相原ヒロ―――彼についてなのだがね』

「……なに?」

『シンフォギアの決戦形態……イグナイトモジュール、と言ったね、確か? とっくに調べは付いているだろう、あれが無力化された原因については』

「……」

『そう、賢者の石。うちのサンジェルマンが手ずから錬成せしめた、錬金術の秘奥、あらゆる不浄を祓うモノ』

「そんなわかりきっていることを何を今更。戯言に付き合う気は無いと言った」

 

『―――知っていたのではないかな、彼は? イグナイトモジュールではラピス・フィロソフィカスには敵わないと』

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ヒロさん」

「はい」

「はっきり言うと、私達は怒っています」

「はい?」

 

乖離剣の反動で意識落としてから、傷もほぼ治って自由に動けるようになった。

深淵の竜宮で愚者の石を確保。その後みんなはカリオストロやプレラーティとの市街地戦も勝利したらしく、今のところは順調に原作の流れだなとか思っていた矢先。

病室に乗り込んできた響ちゃん以下数人にベッドを取り囲まれて困惑する間に怒られていた。

 

「んじゃ、まずはお前がベッドで寝たきりになってた理由を言ってみろ」

 

と、奏さん。

 

「えーと……とりあえずサンジェルマンさんとタイマンして、アダムが乱入してきて、黄金錬成しようとしたのを乖離剣でぶち砕いてぶっ倒れました」

「そうだな、それで合ってる」

「では次だ相原」

 

間髪入れずに翼さん。その手に持ったTSURUGIは何なんです?

 

 

「はい」

「こうして担ぎ込まれるのは何度目だ?」

「えーと……忘れました!!」

 

ズバババンッ!!

 

「ひいっ、壁がッ!?」

「剣だッ!(条件反射) こちらは真面目に訊いている!!」

「いや、本当に覚えてないんです! マジです!」

「………」

「………」

「……まぁいい」

「ほっ……」

「マリア」

「ええ。……ヒロ」

「はい」

「次に生返事したら右腕……いえ、いいわ」

「何をする気!? コワイ!」

 

じっとりと獲物を見る眼光で俺の右腕を睨んできた。まだここは完全には治りきってないのに!

 

「まず私達を助けてくれたことには、素直に礼を言うわ。ありがとう」

「へ? ああ、いえ」

「でもそれであんな状態になったことは、あの状況と聖遺物の性質上仕方ないとはいえ……それをいとも容易く抜く貴方の精神を疑ってもいます」

「えっひどい」

「私達全員の総意だから残念ながら当然と思いなさい。響」

 

次に前に出てきたのは響ちゃん。ちょっと涙目。

 

 

「……ヒロさん、私によく無茶ばっかりするなー、とか言ってましたよね?」

「ルナアタックとかの時はネ」

「なのに、どうしてそう言うヒロさんはこんなことばっかりするんですか?」

「いやほら、今回は状況が状況だったし」

「……あの二人に囲まれた時、素直に逃げればあそこまでひどいケガしなかったのに……」

「……あー」

 

司令にも言われてたけど、まぁ確かに逃げなかったのはちょっとあれだったかなーなんて反省はした。ぶっちゃけ意地になってたし。

 

「……セレナさん、お願いします」

「そんなわけで、これからお説教だからね」

「拒否権は」

『『無い(です)』』

「わぁい四面楚歌!!」

 

一斉にまったく同じイントネーションだったよ!

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ヒロ君が、ラピス・フィロソフィカスの力について知っていた、だと……!?」

『彼はあの戦闘の最中止めようとしたそうだよ、イグナイトの使用を』

「……それが事実だとして、それがどうした」

そこで僕はこう考えた(・・・・・・・・・・)。ラピスについて知っていたのなら―――あれへの対抗策についても、初めから知っていた。その上で伏せていたのでは、とね。君達に』

「バカな、うちの研究員でさえ、それを見るまでは存在すら知らなかったことを」

『そこで教えてあげるよ。僕が立てた仮説を、ね』

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

つらい。ひたすらにつらい。

けど、そんな時間も終わりそうになってきた……と信じたい。

 

「ちゃんと聞いてるのヒロ!?」

「聞いてます! ちゃんと聞いてる! これから先、多少は自重するからもう勘弁して!」

「多少!?」

「だってみんなじゃどうにもならない時とか俺が出張るしかないじゃん!?」

「それでこれまでみたいに医務室送りなんてことになったら本末転倒だよ! ていうかやっぱりちゃんと聞いてなかった!」

「いやあの……本当にごめんなさい! 許して!」

 

俺の主張とみんなの主張がどうにも決定的なところで噛み合わない。心配してくれてるのはわかるしありがたい。ギアも纏えない生身である以上、今までの俺の行動がかなりの無理無茶無謀だっていうのも自覚はしてる。

だからといって、それで色々と見過ごせとかそんなのはお断り。ここまで好き勝手やってきた手前、はいそうですかと簡単に引き下がることなんて出来ない。

 

まぁ、そんなこと言ったら監禁コース待った無しなんだけどネ

 

「……どうしてもやめないつもりなんだな、お前」

「いや、自重はしようとは思ってますケド……」

「だが今はそう言えども、その時になればお前は簡単に……」

「簡単なつもり無いんだけどナー」

 

何かもうこのまま平行線から抜け出せそうにない気がする。

最終手段の不貞寝で逃げようか、とも思い始めたところで、ドアが開いた。

 

「司令?」

 

そこにいたのは司令と緒川=サン。後ろにはいつも仕事熱心なクローンヤクザめいた黒服のみなさんの姿も。

 

「し、師匠?」

「緒川さんも……それに、これは一体……」

「……ヒロ君」

 

物々しい雰囲気の中、司令にしては歯切れ悪く口を開く。

 

「はい」

「君には、あの奏と翼のライブ以降、半ば無理矢理な形ではあったが、二課に参加してくれてから様々なことで助けてもらってきた。了子君をフィーネの呪縛から解き放つことが出来たのも、偏に君の尽力あればこそだ」

「はぁ、どうも」

「そんな君を相手に、こんな事を言うのは俺としても本意では無い……だが、あえて言おう」

 

そこで言葉を切る司令。

本心から心苦しそうに、絞り出すように、その先を口にした。

 

 

 

「―――暫くの間、君に監視を付けさせてもらう」

 

 

 

 

「……待てよ、旦那。どういうことだ」

「すまんが、俺達自身まだ半信半疑といったところでもある。詳しくは話せん」

「それで俺が納得するとでも?」

「してもらう他に無い。……これまでの事件を遡る内に、俺達の中に君へのある疑念が生まれた、とだけ言っておく」

「疑念って、それだけで!?」

「師匠、説明してください! どうして……!」

「……すまん」

 

苦虫を噛み潰したように、苦し気に俯きながらそう呟いた司令。本意じゃない、というのも本当なんだろう。そこに至った経緯までは察せられんケド。

 

「……必要なことですか、司令」

「万全を期する、という意味では、な」

「……んー」

 

ベッドに倒れこんで唸る。しばし考えて……

 

「……了解です」

「ヒロ!?」

「お前、そんなあっさり納得するのか!?」

「納得はしてませんよ。ただ……司令にそんな顔されたら、断るに断れませんて」

「……すまない」

「いや謝られても」

「恨んでくれて構わん。それだけのことをしている自覚はある。……杞憂に終わった、と判断でき次第、すぐにでも自由になれる」

「それ確約してくれるだけで十分ですわ。……ただ」

「?」

「こうなった理由、きちんと説明してもらえますよね?」

「……ああ。約束する」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

艦内の廊下を歩く弦十郎と緒川の二人。共に表情は暗い。

 

「……緒川」

「はい」

「こんなことを言うのは大人として失格だろうが……俺は、今回の件ほど自分の立場や役職を恨んだことはない」

「……心中、お察しいたします」

「奴の言葉を全て鵜呑みにするほど短絡的ではないつもりだ。だが……」

「……これまでの彼の行動、言動に関する不信な点について、こちらにも心当たりがあることも事実です」

「ああ……」

 

思い出すのは、アダムの言葉。

相原ヒロへの疑念を浮かべざるを得なかった、一つの仮定。

 

『カリオストロとプレラーティは、いたく気に入っていたようだよ、彼を。何度か逢いに行っていたそうだ。僕はともかく、サンジェルマンにさえ黙って、ね。……限らないだろう、何の情報も仕入れていないとは。その上で……黙っていたとしたら?』

 

「ありえん、と思っているさ」

「私もです。ですが……」

「……この艦に縛ることだけはしたくなかった。だから帰宅の許可も出したが……万が一もある。ヒロ君を頼むぞ、緒川」

「心得ています」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「うーわ雨だ。先に家着いてよかったー」

 

艦内に縛り付けておけば良いものを、こうして帰らせてくれたのは司令のせめてもの温情か。まぁありがたいけど。

降りだした雨に濡れないように、いつものママチャリにビニールシートを被せる。そしてふと気付く、第三者の視線。

 

「……見られてるナー」

 

転生者としての立場上、不用意に誰にもこの先のことを話せないとはいえ、流石にちょっとばかりクるものがないでもない。

何に対して疑われてるかは知る由も無いケド、俺としてはS.O.N.G.の不利益になるようなことはしていない……はず。

 

「はぁ……はやいとこ部屋入ろ」

 

そうぼやいて自分の部屋へと歩を進めた、その時だった。

 

「…………おい」

 

赤い光と共に目の前に現れた魔法めいた紋様。

どう考えても錬金術なそれに頭痛がしてきた……けど、そこから出てきたその姿に、思わず息が止まった。

 

「カリオストロ……プレラーティも」

 

別に姿を見せたことについては、特に驚いてはいない。原作でもアダムの目を逸らすために二人して死んだフリをしていたんだから。

でも、その有り様は俺の知るものとは大きく違っていた。

 

「おい―――なんだよそのケガ!?」

 

意識を失っているらしいプレラーティも多少の傷はあれど、カリオストロはそれと比べるべくもないほどの重傷。

予想とかけ離れていたその状態に、思わず駆け寄ってしまった。

 

「……ぁ。よかった……無事に、着いた……」

「生きてることに関しちゃ薄々わかってたから良いさ。けど、明らかに付けられたばっかの傷だろこれ……!」

「はっ、はは……あーしと、したことが……今までで一番の、ヘマ……ゴフッ!?」

「……何があった」

「ハァッ、ハ……きょく、ちょう……」

「なに?」

 

 

 

「局長に、死んだフリ……見抜かれて、た」

 

 

 

「―――は?」

 

……待て

ちょっと、待て。なんだよそれは

そんな、そんな展開―――!

 

「……あの無能全裸に、そんなこと見抜けるわけ」

「あーしも、そう思ってたんだけど、ネ……あいつ、もう今までの顔だけの男じゃ……」

「……それで、俺の所に?」

「ええ……もう、あなたが最初で、最後……あいつが、サンジェルマンに何をするかもわからない……だから……!」

 

血と汗に塗れた沈痛な表情を俺に向けるカリオストロ。

前にこいつに言った「いざという時はサンジェルマンさんを守る」という言葉通り、きっとここからがその時なんだろう。

 

けど

 

「……判断としちゃ、あながち間違いとは言い難いよ」

「……?」

「如何せん……タイミング悪すぎなんだよなぁ」

 

そう言って、振り返る。

視線の先には黒服組に加えて、緒川さんの姿。

全員が警戒心MAXで、俺を含めた三人全員に向けて得物を構えていた。

 

「……これ、って」

「色々あってさ。ついさっき監視されることになったのよ、俺」

「……相原さん」

「誤解だ……なんて言っても、状況的に厳しいよなぁ」

 

強くなる雨足の中、向かい合う俺と緒川さん。

緒川さんの後ろの黒服達も、どうするべきか考えてる途中なんだろう、グラサン越しに視線が揺れてるのがわかる。

 

「……今投降すれば、すぐにプレラーティとまとめて治療してもらえるぞ?」

「……それも、良いかもネ……けど!」

「はぁっ!?」

 

ズタボロの身体を跳ね上がらせて、俺を羽交い締めにしてくるカリオストロ。しっかりとプレラーティの前に出る辺り、流石の年の功、というべきか。

 

「撃ちたいなら、どうぞ! ただし……この子も、一緒に連れてくわ!」

「お前……!」

「今そっちに降れば、あーし達は、自由に動けなくなる……そうなったら、局長……アダムの奴に……!」

「相原さん、突き放してください! 司令も僕も……いえ、誰も貴方を!」

 

立ち位置が変わり、緒川さん達と睨み合うのはカリオストロ。

俺自身は、ここでどちらに立つべきかを、未だに決めかねていた。

 

(……どうする。カリオストロに味方したが最後、事が終わった後でマジに拘束される可能性だってある……だからって、下手にこの二人を突き放したら……!)

 

このまま時間が過ぎるだけなら、カリオストロが衰弱しきって終わるかもしれない。

けど、装者達に手傷を負わされ、アダムと交戦してなおプレラーティをこの数日間守りきったカリオストロは、今まさに極限状態、手負いの獣と同じ―――あらゆる意味で、最も危険な状態にある。そう簡単には倒れないだろう。

 

(決めろ、決めろ相原ヒロ……この場の最適解は―――!)

 

 

 

「信じていたよ。彼を選ぶと」

 

 

 

「―――」

 

その声と共に、緒川さんを除く黒服のみんなが、断末魔も上げることなく、一斉に塵になった。

 

「もう、バレた……!?」

「……アダムッ!!」

 

視線を向ければ、そこにはもはや見慣れた立ち姿だけは紳士然とした男。

大雨の中でも悠然と佇むアダムは、緒川さんには目もくれずカリオストロへと蛇の如き鋭い目を向けた。

 

「やれやれ。サンジェルマンの下へ連れていってあげようと思っていたのだけどね」

「何をぬけぬけと……あーしとプレラーティを贄にしたいだけのクセしてよくも……!」

「それよりも何だい、そこの銃を構えている男は?」

「緒川さんは関係ねぇ、とっとと用件言えこの無能」

「……やれやれだよ、本当に……カリオストロとプレラーティを返してくれるかな?」

 

煩わしげに首を振り、そう口にしたアダム。

緒川さんに目を向ければ、あちらも俺に目だけを向けていた。いざという時は緒川さんもアダムを相手取るつもりなんだろう。

 

「……断る、と言ったら?」

「君達には理由も義理も無いだろう、その二人を庇い立てするような。だが、僕達にはまだ必要だ」

「僕達? はっ、『僕』の間違いじゃなくって?」

「……」

「局長、いや、アダム。あんたが何を目的にしてるかはあーしには興味無い。けど……それがサンジェルマンのためにならない、ってことだけは、よくわかる」

「本当にそう思うのかい? 忘れたわけでもないだろう、僕が何のために結社を立ち上げたのか。それに、賛同してくれた、サンジェルマンも。……君達が戻らないのならば……彼女を使うしかあるまいよ」

「いいや」

 

アダムの言葉、カリオストロへの脅しを含ませたその発言に、俺は叩き付ける。否、と

驚いた様子の緒川さんとカリオストロ、怪訝な表情のアダムを尻目に、続ける。

 

「お前はその手段は、それだけは取らないし、そもそも取ることも出来ない(・・・・・・・・・・・・・)

「……あるのかい、根拠が?」

「自分の目的を果たすには必要だろ? 邪魔者を阻む壁、ってやつがさ。カリオストロとプレラーティが離反してる以上、お前がそれで使い捨てられるのは……サンジェルマンさんしかいない」

「……」

「目的完遂どころか、そこに至る経緯さえ自分一人じゃお膳立てすら出来やしない。……だから無能だってんだよ。お前は」

「―――やはり知っているのか、君は全てを」

「もうこの際だからぶちまけてやらぁ―――知ってるよ(・・・・・)お前に関わる全てを(・・・・・・・・・)

 

状況は既に佳境。隠し立てする理由もあまり無い。

もう後々に俺が拘束されようと、目の前のこいつを少しでも揺らがせてやれるなら、それで十分だ。

 

「……やはり、最大の障害は君だった、というわけだ。そしてやはり、君はS.O.N.G.にさえ隠していた! 切札を、僕の計画を、僕への策を! 全てを知っていながら!!」

「カッ! どうせいつかはバレるんなら引き延ばしといた方が気楽なだけだ! なぁ―――プレラーティ!!」

「えっ?」

 

俺の呼んだその名に、カリオストロが固まり、視線を倒れているプレラーティへと

 

「……やれやれ。空気は読めんが―――タイミングの読み方は一流なワケダ!!」

 

跳ねるように起き上がったプレラーティが、その手から放った光弾でアダムを牽制、それはあっけなく防がれはしたけれど、そのほんの一瞬は、二人の錬金術師達が逃げ出す時間には十分だった。

 

「よし、そのまま……!」

「いや、お前も来るワケダ!」

「えっ」

 

プレラーティが発動させた転移から離れようとした瞬間、俺にくっついたままのカリオストロごと押し込まれた。

 

「なんで俺まで!?」

「アダムへの最大のカウンター、お前を確保しておけば有用なのは間違いないワケダ!」

「なんでや!? ちょ、タスケテ緒川=サン!」

「相原さ……!」

 

緒川さんの声は最後まで届くことなく、一瞬の浮遊感の後に景色が変わる。

そこは、どこか覚えのある場所―――俺が最初に、パヴァリア光明結社に拉致された場所だった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

『……緒川』

「申し訳ありません、司令。つい先程、彼のことを頼まれた矢先に……」

『いや、そもそもは彼を本部に留めておかなかった俺のミスだ。アダム・ヴァイスハウプトはどうした?』

「今の騒ぎの内に、退いたようです。重ね重ね、そちらも……」

『気にするな。それよりも……』

「……相原さんのこと、ですね」

『奴の言っていた仮説はともかく、ヒロ君がこの一件に関わる全てを知っていた、ということについては、クロ。ということか……』

「……司令、今後は」

『とにかく一度戻れ。アダムに殺られた者達の弔いもあるし……カリオストロとプレラーティが生きていると判明した以上、どう動いてくるかも読めん』

「了解しました。直ちに」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「おかえり、アダム!」

「ああ。ただいま、ティキ」

「あの裏切った三流達は? ちゃんとお仕置きできた?」

「良い所で邪魔が入ってね。逃げられてしまったよ」

「ぶー。アダムを騙そうとかいかにも三流の考えそうなことだけど、許せない!」

「ハハッ、そう言ってやるものじゃあないよ」

「……局長」

「ああ、サンジェルマン。どうだい首尾は?」

「完了しました。すぐにでも実行に移せます」

「そうか。では……始めるとしようか」

 

 

 

(君には感謝しているよ、相原ヒロ。『想像力が足りない』、その一言は流石に堪えたことは認めよう。だが―――それが首を締めることになる。君の、君達の)

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

転移の直後に、緊張の糸が切れたのか気を失ってぶっ倒れたカリオストロ。今はプレラーティがつきっきりで傷の治療に当たっている。

本来なら、カリオストロに救出されてすぐに賢者の石の錬成にあたるはずだったプレラーティが、そんな時間も無いほどにカリオストロにかかりきりになっている。

そして今の時間軸的に、アダムが計画を実行に移す前に止めることはほぼ不可能。

 

つまりこの時点で―――ほぼ間違いなく撃ち込まれるであろう反応兵器を防ぐ手段が、無い。

 

「……いや」

 

そこまで考えて、一つある手を思い付く。

けど、それは賭けだ。負ければ破産待った無しの残り一回のBETで確率の低すぎる大穴に放り込むようなもの。

上手くいく確証も保証も無い。最悪、絶対に迎えてはいけない結末に至る可能性の方が高い。

 

だからとて、成功する確率もまた、0じゃあない。

 

「……自重する、って約束したばっかなのになぁ」

 

手に握った乖離剣。原典におけるそれとは大きく劣化した贋作。

けど、この世界における摂理にこいつも当て嵌められているのなら―――あるいは

 

そして―――その日が来た




Q.なんでアダムを強化した! 言え!
A.AXZ初期の頃に抱いた気持ち大事にしたかったんや!

フィーネまさかのプレイアブルにセレナバースデーなどなどサプライズ多いXDですネ
ちなみに作者はフィーネに歯牙にもかけられていない模様
ただセレナが誕生日プレゼントに出番を要求するという風潮はやめるのですぼくたち

・補足
司令も緒川さんも何もアダムの言葉だけでヒロを疑ったわけではなく、描写は避けてきましたが(特に考えていなかった、あるいは後付とも言う)何かと原作知識フル活用してたのが行動と言動に度々表れていて、二課の頃から立ち回り等にやや不審な点が見受けられていたこと等に対する感情がアダムのチクりで表面化した形。
数年間一緒に戦ってきた仲間を司令が疑うわけもないので、情状酌量で帰宅許した矢先に今回のオチ

つまり作者の描写不足であって司令に非は無い(過剰擁護)
ただ緒川さんが割を食った感あるのは素直に反省

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