作者としても、否定的な意見もまっすぐ受け止める所存です
かといってあらすじにもあるように、誹謗中傷はお断りさせていただきますが
最初に改めて言わせていただきますが
この作品の世界は
な ん で も あ り
を前提に進行しております
「……せんぱい。卒業、おめでとうございます」
「ああ、ありがとう」
「……」
「どうした? 元気なことが取り柄の君にしては珍しい」
「……卒業、してほしくない……です」
「……君は」
「アタシ……せんぱいのこと、ずっとずっと想ってました。入学式、アタシの手を取ってくれた時からずっと」
「……」
「サヨナラなんてしたくないっ、ずっと、ずっとアタシと一緒に……!」
「……ああ。私も、悲しい」
「せんぱい……!」
「君は、私に何を望む?」
「……アタシ」
「うん」
「アタシ、せんぱいと……!」
「解剖したいゾ!!!」
「よろしい、ならば派手にPartyだッ!!」
「カットカットカァーーーーット!!」
ジャキッ、とどこからともなく取り出した鋭利な爪アームを構えた赤ドリルとコインを取り出した黄色ディーラーの足下にメガホンを投げつける。
二人してキョトンとした顔でこっちを見てきた。
「ゾ?」
「ゾ? じゃねぇよ! なんで急にサツバツとしてんだ!」
「私に地味は似合わない。即ちアドリブこそ最適解であると認識した」
「やかましいわこの蛍光色!!」
「けっ……!?」
蛍光色……と項垂れるディーラー。いや、蛍光色って割と目立つ色だからディスったつもりは無いんだケド。
その一連を見ていた青河童が半笑いで声をかけてくる。
「ぶぷっ……く、くだらなすぎる……!」
「おい何笑ってんだ一番のアドリブ戦犯」
「えー? アドリブとかガリィちゃんよくわかんなぁーい」
「お前のベッドシーン触手機械モノに変更な」
「やめろやぁ!!」
殴りかかってきたのをさらりと避けて、伸ばされた腕を掴んで極める。まぁアームロックだネ
「がぁあああああ!?」
「待て! 地味にそれ以上いけない!」
「今は人並の腕力しか出せないお前が俺に勝てるわけねーだろうがこの青河童……!」
関節技を解いて、拾ったメガホンを三人に突きつけて一喝。
「お前らが手軽に想い出補給したいとか言うから脚本用意したんだろうが! ファラちゃん見てみろ、あの待機中の優雅すぎるティータイム!」
俺の指摘にそちらを向く三人。
そこには普通のテーブルと椅子ながら見る者を魅了しそうな姿で優雅に紅茶を口に運ぶ緑ママさんの姿が。
「……まぁ、私ですし?」
「キツいゾ」
「前から思ってたけどケバい」
「悪いが、地味に同意だ」
「ちょっと貴女達そこに一列に並びなさいな」
額に青筋浮かべてどこからともなく取り出した剣を構えてゆらりと立ち上がる緑ママさん。
それに臆することなく、むしろ喧嘩腰になるその他だった。
「あ? なに、ヤる気?」
「せんぱいより先に解剖する奴決まったゾ」
「では、派手に活殺だ」
殺気立つ四人に嘆息。懐からちっさいリモコンを取り出して、四つあるレバーを一斉に大に押し上げた。
「落ち着けバカ共」
「「「ギャァァァァァッ!?」」」
「ンアーッ!?」
四人同時に全く同じタイミングでギャグ漫画みたいなエフェクトと一緒に痺れたように(カッコいいポーズで)硬直する。
「あああああ、あんたそれやめぇぇぇぇぇぇ」
「ゾゾゾゾゾ、シービーれーるーゾゾゾゾゾ」
「ははは、派手にキツいいいいい」
「ごごご、ごめんなさいぃ、落ち着きますううう」
電源OFF
「ハー……ハー……」
「懲りたか青河童」
「ちょっ、なんでガリィだけぇぇぇぇッ!?」
歯向かって来た青河童だけもっかいやっとく。
「わかっ、わかった、わかったから止めてぇぇぇぇ」
「ガリィの悲鳴は性根と同じくらい腐ってるゾ」
「地味に聞くに堪えん」
「はぁ……はぁ……あっ、んん……」
「あんたらあとで覚えて、だから止めてぇぇぇ」
可哀想なものを見る目をしてる赤黄と何か顔が赤い緑。痺れ続ける青を見ながら言っておく。
「……母さんにケガさせたのまだ許してねぇからな」
◇◆◇
こいつら、オートスコアラーも例によって生存。ただし魔法少女事変の時点で大幅に弱体化させられて、だけど。
理由と原因はこいつらの想い出集めの対象に、俺の母さんが含まれていたこと。
そしてもう一つ
『さあ―――
うちの親父がOTONAだったことだ。
ボッコボコにされて逃げた青河童曰く
『あれダメ。シンフォギアなんかよりよっぽどヤバい。何がってもう、全部ヤバい。ヤバいしか言えなくなるほどにヤバい。ホントにヤバい。人間じゃない、ホントにヤバい』
いやホントに、オートスコアラー生身でフルボッコって何者なんですかネ、うちの親父は……
そんな感じで、うちの両親はもう良い歳なのに付き合い立てのバカップルと言って良いくらいには仲が良くて、ケガさせられた母さんとそれにキレた親父が全会一致で
「死ぬ以上の屈辱」を味合わせたい、という結論に至った結果。オートスコアラー四体全員をイグナイトモジュール抜剣から鎖で亀甲縛りの不殺コンボで生きたまま捕獲。
後に聞いた、エルフナインの別躯体を用意してくれたのと同じ人の手で、人間から想い出を吸い上げる機能を無くして(オートスコアラー同士なら可)、暴走阻止のために電撃発生装置取り付けた上で人間に限りなく近付けた、なんてメチャクチャなグレードダウンを施されたらしい。キャロルは泣いて良いと思う。
余談になるけど、その人は「錬金術師Pエンハイム」とか名乗っているそうで。
……良かれと思って余計な機能付けてないか今でも心配。
「キッツゥ……まだ痺れてる感じするしぃ。……調子に乗りやがって、クソが」
「もっかい行くか? ん?」
「やだぁ、こわーい☆」
「……」【大】
「アッー!?」
「派手にアホすぎる」
「そんなことより、ファラの顔真っ赤になってるゾ」
「あら、そう? うふふ……」
「おう盛りのついた顔でこっち見んな」
人間に近付いたせいなのか、どうにも気性はそのままにやや大人しくなったのが見て取れる。想い出を必要としていることには変わらないケド、どんな魔改造を施せばそうなるのか普通の人間の飲食物を摂っても問題無い状態らしい。マジ何者なんだよこの世界の錬金術師…
「フッ……錬金術師による自動人形が錬金術師の手で大いに劣化とは……だが、これも貴様の背負いし宿業の過程、その一つなのか相原ヒロ?」
「テメェは服着ろっつってんだろうが相原殺法プラスチックケツバットォっ!!!」
「ぐぅおあああああああああっっっ!!?」
まったく嬉しくない全裸で躍り出てきた金髪ボインをプラスチックバットのフルスイングでケツをしばく。
尻を押さえてのたうち回る元祖全裸―――超先史文明の巫女も形無しだった。
「き、貴様……それはやめろと幾度も……」
「あ? こっちだってテメェに何度も全裸で歩き回るなって言ってるよなぁ?」
バットを突き付ける。悔しそうに歯噛みしながら、床に落ちてた白衣をいそいそと羽織った。
「……フンッ」
「ドヤ顔すんな、コンティニューさせんぞコラ」
「やめろ。こんな形で命を磨り減らしてたまるか」
超先史文明の巫女、フィーネ。一期のラスボスにして、シンフォギアにおけるだいたいの事件はこいつのせいだったりする。今はただのホムンクルスボディに収まっただけの無害だけど。
こっちもまた例のPエンハイム某のお手製。
『レセプターチルドレンある限り殺しても別の器で甦るのでしたら、一つの器で何度も死ねる形にするのは如何でしょう?』
との外道すぎる発想の結果、櫻井女史の血液を元に異端技術と錬金術という誰が聞いてもやべーやつでコンティニュー可能なホムンクルスになったこの女である。
「ヒロ。ヒロー」
「んお? なんだ、ミカ」
「お腹空いたゾ」
「ちょうど青河童が想い出持て余してるらしいからもらっとけ」
「は?」
「えー。ガリィとちゅーするのはスキだけど今はヒロとしたいゾ」
「お前さん想い出吸えないでしょうに。色々食い物持ってきてあるから、それで間に合わせなさい」
「わかったゾ」
パタパタと菓子やら置いてある場所まで駆けてくミカ。
爪アームを外付にしたおかげか、普段は普通の人間と同じ手になってるため、雑に袋を開けてお菓子を食べていく。
「……ミカはいつからお前に懐いた?」
「知らね」
「……あの」
「何よファラちゃん」
「出来れば……さっきの、もう一度」
「……」【大】
「んんんんんんんッ」
「クセになっちゃってんじゃねーか!!」
◇◆◇
「……で?」
「んだよ青河童」
「なんだってこんなストーリーにしたのよアンタ?」
「あ? 良いじゃねーか、ドロドロ五角形の百合ストーリー」
「や、流石のガリィちゃんもこれがだいぶ狂ってることくらいはわかるっつーの」
「うるせーな、だったら自分でもっとマシな脚本書いてみろや」
ファラちゃんとレイア演じる三年生の卒業を機に、この台本は始まっている。
青河童とミカはそれぞれ好意を寄せていた憧れの人を失って傷付いた後輩の役。
二人は傷を舐め合うように寄り添っていって、そこに割り込んで行くのが前からその二人を狙っていたフィーネが担当する非常勤の養護教諭。
ドロドロに泥沼になっていくに連れて、そんな噂を耳にした先輩二人がそれぞれの後輩への想いを自覚して更に泥沼……なんてのが俺が考えてみたストーリー。
頭の中で話作ってて普通に色んな意味で鳥肌立った。まぁでも会心の出来だと思ってる(自画自賛)。
「……今更ながらさ、オートスコアラー達はともかくあんたよくこれやる気になったな」
「ここにいると暇なのでな」
「アッハイ」
「……『あのお方』のことを忘れさせる、とかつてお前は言ったな」
「……おう」
ルナアタックの時、確かそんな感じの啖呵を切った覚えはある。
「忘れられるものか。未だに諦めてなどいない。だが……」
「?」
「今の私に手段が無い以上、せめてもの慰みに興じるだけの……そんな余裕が己の内に湧いただけのことだ」
「……さいで」
永い永い時間を生きてきたフィーネにとって、こんな時間は取るに足らないものなんだろうとは思う。
でもその言葉にはどこか―――知識はあっても、出来ることが何もないことへの、諦めみたいなものも、チラッと感じられた。
「ヒロー」
「ちょっと待ってくれミカ。今レイアとファラちゃんのすっげぇシーンだから」
「久しぶりにマスターに会いたいゾ」
「……」
その言葉に、カメラを回す手が止まる。
カメラの先で絡み合っていた二人も、横にいた青河童も、揃ってこっちを見ていた。
「……はぁ」
一旦カメラを止めて、大部屋の隅にある、カーテンで仕切られた場所へと向かう。
カーテンを勢い良く開けて、その奥をみんなに。
「実は連れて来てたんだなー」
「ん゛ーーーッ!!!」
「「「「マスターーーー!?」」」」
椅子に縛り付けられて口にガムテープ貼られたキャロルの姿。まぁやったの俺なんだけどネ
オートスコアラーが一斉にキャロルの所に駆け寄って、拘束を解いた―――と思ったら胴上げが始まっていた。
「お、おい! やめろお前ら!」
「マスターが来てくれたゾ!!」
「感激です、ありがとうございますマスター!」
「派手に喜びを表すぞ!!」
「別に嬉しいとか思ってませんけどー。マスターの面白い格好見れたんでガリィちゃん的には満足でーす!」
「ガリィは後で覚悟しておけ!!」
「……想い出は焼き付くしたはずだろう?」
「全部じゃないけど、オートスコアラー達に関することまで根こそぎ、な。けど……あの連中にしてみれば、消せない想い出のマスターだ」
「……奇妙なものだ」
「ほんとにな」
結局、キャロルの胴上げはまぁまぁ長いこと続いてた。
◇◆◇
帰路。キャロルは置いてきた。
「いやー良いもん撮れたわー」
ビデオカメラの映像の中にあるのは、オートスコアラーwithフィーネのあれこれ。連中の暇潰しにもなったみたいだし俺の趣味も満たせたし、良いこと尽くしとはこのことだネ
「さて……ん?」
ポケットの中の端末が震える。手に取って見れば、そこには司令からの着信を示す画面。
「……はい、ヒロです」
『ヒロ君! すまんが、至急今から示す場所へと向かってくれ!』
「……何かあったんですか?」
『パヴァリア光明結社だ! 連中、堂々と街で事を起こしたぞ!』
「―――」
こんな形で、行動を?
いや、目的はわかってはいる、けどまさか……
「……了解です」
『頼むぞ! 装者の皆も既に向かっている!』
「すぐに俺も行きます」
そこで司令からの通話は切れる。
ふー、と一つ息を吐いて、後ろを見た。
「……目的は俺ですか―――サンジェルマンさん」
視線の先。いつものスーツ姿に、右手には金色に光るクラシックなピストルを手にした、錬金術師の姿。
「……カリオストロと、プレラーティ。二人が拉致を見送った理由。そして」
ガシャッ、とそのピストルを構える。
合わせて、俺も鎖を手に。
「ラピス・フィロソフィカスの初陣と共に……貴様の身柄を戴く、相原ヒロ!」
引鉄が引かれ、撃鉄が落ちる。
金色の光と共に、サンジェルマンさんの姿が変わる。
ラピス・フィロソフィカス。錬金術の秘奥……真っ先に、俺を狙いに来た辺り、いよいよ本格的に、というわけネ
「―――上等ッ!!」
性根の腐り加減もマイルド(総括)
今回は真面目に終わらせてみました