俺が一番可愛い   作: マイ天使GXⅢ

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今更な気がしますが下ネタあります



クール系小悪魔二次元燕たん

「このように――」

 

 真耶によるISの授業が始まりしばらく、燕は授業を受けるふりをして絵を描いていた。描いていたのは勿論燕自身の絵である。絵とは言え飛鳥燕を不格好に描く訳にはいかないと、死ぬ気で練習していたのでその絵はプロ並みであった。

 

(たっはー! 二次元燕たんマジサキュバス! 次元を一つ落としたところで揺るがない美しさと可愛さ! 流石燕たん、超越可愛い! こう、三次元にはなかった可愛さがあるよね。アニメ調になったことによって綺麗さ可愛さに加えてエロさが加わり、もはや死角無しと言っても過言ではない! いや、まぁエロさ加わったのはローレグサキュバスの格好してるからなんだけどね。流石に親元でそのコスプレは買えないから絵で着せてみたけど……うん、ヤバイ。きわきわの下着がもうたまらんです。腰のラインもそそるよね。あと絵だからこそできる巨乳化。個人的にはバランス取れたのが好きだけど、たまには大きいのも良い。あふれんばかりの双丘、かーっ、たまりませんね! やっぱり二次元の強みってこれだ。有り得ないが有り得るんだもの。夢が広がる。広がりすぎてもう……ん? 有り得ないが……有り得る。……っ! 触し――)

 

「参考書はどうした」

 

「電話帳と間違えて捨てました!」

 

「馬鹿者」

 

 中の人の思考が完全にファンタジー系十八禁に突入していた一方で、教室では一夏が千冬に殴られていた。理由は会話の通りである。

 

「再発行してやるから、一週間で覚えろ」

 

「一週間で!?」

 

 電話帳と間違えるほどの参考書を一週間で覚えろという無茶ぶりに一夏は顔を青くした。青くし過ぎで少し顔色が悪い一夏は助けを求めるため燕の方を向くが、燕はお絵描きで忙しく気付いていない。ならば、と箒の方を見ると目が合うが、そのまま視線を外された。一夏は見捨てられたと本日何回目かの頭を抱える。その実、箒は見捨てたのではなく、一夏の方を見ていると突然目が合い恥ずかしくなって思わず視線を外しただけであった。

 

「この時間はここまです」

 

 一夏は、その後一つも理解できないまま授業を終えた。呪文のような専門用語の連続で一夏は疲労困憊である。そんな一夏は少しでも癒されようと燕の方を向こうとそちらへ視線を向けるが、そこで視界に入ったのは燕ではなく制服。誰かと視線を上にするとそこには見慣れぬ金髪の少女がいた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「んぁ?」

 

「まぁ! なんですのそのお返事は! この私に話しかけられてその態度はなんですの!」

 

「いや、悪いけど君のこと知らないし」

 

「なっ! 私を知らないと? このイギリス代表候補生であるセシリア・オルコットを!?」

 

(勿論知っているとも。この世界のルールか、真理か、何か知らないが特別な地位にいる女性ほどレベルが高くなる。そしてこの世界ではISが優位な位置にある故にIS操縦者は格段にレベルが高い。その最強のIS操縦者であるブリュンヒルデたる千冬さんが今まで会った大人の中で一番レベルが高いのがそれを物語っている。それに気が付いてからは国家代表は勿論、代表候補生に至るまで公表されているIS操縦者はチェック済みだ。そんな俺が知らないわけはないのである。

 特に彼女、セシリア・オルコットは代表候補生の中でも群を抜いていた。しかし、うん。やはり写真越しよりも生で見た方が可愛い。煌めくナチュラルブロンドや透き通るようなイギリス人特有の白い肌も、生だと段違いだ。そして何より彼女の性格も良い。金髪ドリルに相応しい気の強さとプライドの高さ。写真を、ドリルを見たときにそんな感じの性格ではなかろうかと思っていたがやはりその通り。容姿も素晴らしかったが性格が合わさることで完璧となった。やっぱり美少女は直接見るに限る。……一つ懸念なのはチョロそうなとこだ。もう様式美として金髪ドリルは落ちるのが早い。でもそこが良い。好き)

 

 自分のことを知らなかった一夏に対し、セシリアが机を叩きながら驚き、少し怒りを表したところでセシリアの存在に気が付いた燕はそう評価した。日本人っぽい鈴は別として外国人らしい外国人美少女を前に中の人は大喜びである。

 

「また来ますわ!」

 

 中の人が生セシリアにテンションを上げている間も会話は進み、一夏が無知であったり、セシリアがエリートですわしたりして、最後にはセシリアが捨て台詞を吐き、その休み時間は終わる。一夏は疲れ、燕は満足し、セシリアはより男への評価を下げ、箒は一夏の周りにまた美少女がと内心アタフタしていた。

 

「お、終わった」

 

 その後も何度か出席簿で叩かれつつも、なんとか一日目を乗り越えた一夏は息を深く吐き、力を抜いた。女性だらけの中にいるというだけでも疲れるというのに、それに加えて専門用語オンパレードのISの授業。一夏のHPはゼロである。もうこのまま寝てしまいたかったがそうも行かず、なんとか立ち上った。

 

「燕、一緒に帰ろうぜ」

 

 折角だから箒と燕と寮へ向かおうとした一夏。しかし箒は既にいなかったので燕に声をかけた。

 

「ん。良いよ」

 

 燕はそれを承諾し、一夏の隣に立ってから、疲れからか動きに少しラグのある一夏の袖をくいっ、と引っ張って"行こ?"としてから歩き始めた。

 燕――中の人は一夏を遠ざけたり無視したりすることはあるが、それは自分が美少女と戯れているのを邪魔されたりするからであり、別段心の底から嫌っている訳ではない。むしろ中の人は男なので友人として接するのならアリである。自分が燕ではなくかつての男の自分であったならば親友になっていたと思うほどだ。だからこそこうやって一緒に帰るくらいは許容範囲なのである。因みに"袖くいっ"はキャラ作りの際に無意識で出るほどに染み着けた故にである。燕的には特に意味はないが、一夏は萌えていた。小悪魔である。

 

 


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