俺が一番可愛い 作: マイ天使GXⅢ
少しいつもと違う感じ。少し。
※箒ちゃんキャラ崩壊気味
篠ノ之箒は内心喜んでいた。その要因はこの女性だらけの教室でただ一人の男、一夏にある。
(う、うむ。テレビで見たときは驚いて同姓同名の別人かもしれないかと思ったが間違いない。一夏だ。別れる前はどちらかと言えば可愛さの方が際立っていたが、今はその可愛らしいは鳴りを潜めて男らしさが際立ってる。か、格好良いではないか。ショタ一夏も良かったが今の一夏も良い。むしろ今の方が良いな。流石一夏だ。……大好きだ!)
との通り、箒は一夏の幼馴染である。しかも惚れていた。しかしISの開発者が箒の実の姉であるため一ヶ所に止まるのは危険ということで引っ越すことになり一夏と離ればなれになったのだ。そのため一夏を思う気持ちは日々強くなり、再会した今爆発しそうになっていた。
(しかし……うむ。女だらけのところに一人という環境のせいかどうしてわからず頭を抱える一夏は可愛らしいというか愛らしい。今すぐ声をかけてやりたいが先生がいるところで立ち上がる訳にもいくまい。頑張れ一夏、私は応援してるぞ! あぁ、でも困った一夏をもう少し見ていたい気もする。ど、どうすれば良いのだ!)
訂正壊れていた。箒は落ち着くために深呼吸し、首を振る。どちらにしろ自分にはどうすることもできないと気が付き冷静になった。冷静になったところで、いわゆる好きな人成分、一夏分を吸収しようと一夏の方へ視線を向ける。
「……!?」
そして重なる視線。一夏も箒を見ていた。
(い、一夏がこっち見ている。熱い視線を向けて、わ、私を見てりゅぅー! だ、駄目だそんな、いきなり目と目を合わせるなんてそんな! しかも意識せずに、ふと見たときに合うなんて……う、運命のようではないか! いや、運命だ! 男の一夏がISを動かしてしかもIS学園に通うことになって更に同じクラスになった時点で運命に違いない! ふふ、私と一夏は赤い糸で繋がっていたのだな)
によによ、と良い感じに舞い上がっていた箒。対して一夏は救世主を見つけたかのように安堵した。その瞬間、副担である真耶に声をかけられ一夏は驚き大声を出してしまう。それを見てクラスメイト達は少し笑い、箒はそれを見て萌えていた。燕は窓に写った自分に見惚れている。
「自己紹介をお願いできるかな?」
自己紹介が『あ』から始り『お』の順番、つまり一夏の順番にきていたのだ。因みに燕は飛鳥で『あ』なので既に自己紹介を終えていたが頭を抱えていた一夏はそれに気が付かなかった。
「織斑一夏です。よ、よろしくお願いします」
そんな一夏に対し、それ以上の情報を、と見つめるクラスメイトの彼女達。どうすればと助けを求め一夏は箒に視線を向けた。
(ま、また視線があった。やはり私と一夏は結ばれる運命にあるのだな。うむ……う、うむ? な、何故そんなに力強く見つめてくるのだ? そんなに見つめられると、さ、流石に恥ずかしいというか照れるというか……。む、無理だ。これ以上見つめ合ってしまっては頭が沸騰してしまう!)
視線を逸らす箒。見つめ合ったと言っても二秒ほどだったのだが、会うのが久々過ぎて乙女ゲージがすぐにオーバーフローしてしまうほど一夏に対してチョロくなっていた。
そして見捨てられる形となった一夏は追い詰められていた。沈黙が辛くなった一夏は"誰でも良い誰か助けを……!"と辺りを見渡す。そしてついに端から見れば窓の外を眺める美少女、燕の存在に気が付いた。
「つば――」
「いつまで黙っている、まともな自己紹介もできないのか」
燕がいたことへの嬉しさと、燕なら助けてくれるという期待から声に出して彼女を呼ぼうとして机に顔を沈めた。いつのまにか現れたスーツ姿の女性、このクラスの担任に殴られたからである。
「なにす――千冬姉!?」
「織斑先生と呼べ」
抗議しようとしたところでその人物が自分の姉だと気付き驚く一夏に、担任――織斑千冬はもう一度拳を振り下ろした。
「担任の織斑千冬だ」
普通ならば暴力教師だとSNSで拡散間違いなしだったがその教師があの織斑千冬であったことで歓声が上がる。
「キャー! 千冬様よ!」
「私、千冬様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」
(千冬さんここで働いていたとは! まるで運命のようではないか。いや、運命だ! 運命に違いない)
そして燕の中の人も沸いていた。
(家で見た少し着崩したスーツ姿の千冬さんも良かったがやはり仕事モードのキリっとした千冬さんも良い。タイトスカートから伸びる綺麗で締まった足。その足は黒タイツで隠れている。だがそれが良い。横のスリットから覗くのが素足ではなく、黒いタイツの足なのが素晴らしいのだ。露出ゼロにも関わらず溢れる色気。これが鈴ちゃん達では出せない大人の魅力なのである。燕を抱き寄せ、胸元のボタンを外しながら耳元で囁く千冬さんとかどうだろうか。うん、良いよね)
当たり前ではあるが沸き方が皆と違った。中の人絶好調である。手遅れだ。
「それでは三年間頑張りましょうね」
大事なことなので真耶は二度目を言ってこの時間を締め、一度解散となった。
すると何処からともなく生徒という生徒がこのクラスへ押し寄せてくる。唯一の男を見にきたのだ。加えて一夏の周りの座席の生徒も立ち上り友人の元へ行き一夏を囲うようにヒソヒソしていた。一夏だけがそこに座っていたので余計に視線が突き刺ささる。
(顔を青くして泣きそうになっている一夏も良い。可愛らしくて昔のショタ一夏を見ているようで懐かしいな。しかしこのままにしておくのは可哀想だ。うむ、ここで一夏を誘いだし、助けよう。ふ、二人きりにもなれるからな、えへ)
私が行く、ズルい、じゃぁ行きなよ、ええ緊張するよ、などとヒソヒソして悪気が無いにしろ一夏を精神的に追い詰める中、箒は一夏を助けようとした。その時である。
「立ったわ」
「動いた!」
一夏は立ち上り、箒の方へ歩いていく。周りの女子はそれを見てキャッキャしていた。まさに一夏パンダである。
(な、え、い、一夏がこっちに……! い、以心伝心というやつだろうか。そ、それとも一夏も私と二人きりで話がしたくてこっちに来るのか。ふ、二人きりなんてそんなっ)
自分から二人きりになろうとしていたが、逆に来られたことでテンパる箒。しかしそんなみっともない姿を一夏に見せることはできない。箒は急いで自分を落ち着かせキリっとした。
「なんだ一夏、私に何かよ――」
「燕! 同じクラスなら声かけてくれよな!」
嬉しさで胸が一杯だったが、それを悟られまいと何でもないように一夏に話しかけたが、一夏が話しかけたのは箒――ではなくその後ろに座る燕であった。
「え!?」
私じゃないの、と箒。
「え!?」
箒の声に驚く一夏。
「……何?」
呼ばれて何かと応える燕。
「……え?」
状況が飲み込めずもう一度首を傾ける箒。
「箒……?」
何事か、と一夏。
(……このポニテの娘、鈴ちゃん並みじゃないか。おいおいIS学園は天国か何かか!)
箒可愛い、と燕。
なんとも微妙な空気となった。
ふと見たら感想が来てたから書いた。釣られちゃった。単純なんだ私。
もうお気付きかもしれないが、基本的に中の人が変態発言するだけの話なのでマンネリ。加えてプロットも何もない。でも、書きたい。的な感じでなので、たまには中の人抑え目で。
そして気が付く、これヒロインも不憫じゃねと。男はあれだけど美少女が不憫なのは、ね? どうしよこれ。未来の私に丸投げしときます。
じゃぁ、またいつか!