転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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無限の龍神 お約束かと思いきや

悪魔くんを塵にしてヘルガを帝国に送り返した後、俺はアイラが起きるのを待って現状を報告。その際に、礼と共に「帝国を敵に回して大丈夫なの?」と聞かれた。が、しかし俺の二つ名を忘れているのではないだろうか。

 

「”公式ラスボス(頭のおかしい何か)”たる俺が高々人間の国程度に負けるはずがないのだよっ!」

 

「あっそ、ホントにどうなっても知らないわよ」

 

 何故か可哀そうな目で俺を見てくるアイラ。失礼な、気を紛らわせるためにわざと大袈裟に演技したというのに。まあ、方向性は違うものの気を紛らわせることは出来たようだ。

 ところで、先程の悪魔くんの主について話したところ、そんな外道に興味はないとのこと。あまりにも無頓着なものでつい心配してしまったのだが。

 

「アンタがいれば問題ないじゃない。だから、いちいちそんなこと気にしないわよ」

 

 これは信頼なのだろうか。まあ、確かにあの程度の悪魔の主なら警戒する必要もないのだが。それにしても、世界に失望したから改革する、と言っていたのが気がかりだ。あの程度のレベルの者が世界を相手取るのは少々厳しいと思うのだが。と、考えを巡らせているとアイラに腕を引っ張られる。

 

「どうした? 何か気になるものでもあったか?」

 

「逆になんでアンタには見えてないのよ。ほら、あそこに商人の馬車があるじゃない。乗せてもらいましょう」

 

 どうやら、考えることに夢中になっていて気が付かなかったようだ。戦闘になると切り替わるのだが、まだ日本人だった頃の感覚が抜けていないようだ。少し、気を引き締めねば。

 

「何ブツブツ言ってるのよ。早くいくわよ」

 

 考え事をしている俺をほったらかしてアイラはずんずん先に進んでいく。とうとう商人達に「すいませ~ん」と声をかけ始めたのをみて、俺は慌てて後を追うことになったのだ。

 

 

 

 

「いや、すいません。何も払えないのに乗せてもらっちゃって」

 

「いえいえ、アイラさんには何度か助けていただいた恩がありますからな。この程度、安いものです。」

 

 人の良さそうな顔で、気にするなという商人には頭が下がる思いだ。この商人さん、たまたまアイラの知り合いだったらしく、何も払えないですが、という俺達を快く馬車に乗せてくれたのだ。流石にそれは、ということでアイラは外で護衛の冒険者達に混ざって警戒をしている。

 俺? 見た目は強そうに見えないらしく、「お気になさらず」と言って止められてしまった。とはいえ、それでは俺の面目が立たないためこっそり《最上位魔法》存在探知(イグジストディテクション)を使って警戒している。

 

「そういえば、旅のお方。最近こんな噂を聞いたことがありませんか?」

 

「噂ですか?」

 

「ええ、何でも”深淵の森”付近に上位のドラゴンが守護する村があるのですが、最近魔物に襲われたという話を聞きまして」

 

 深刻そうな顔をした商人から語られたものは心当たりがあるものだった。と、いうのも上位のドラゴンとはレベル80程度あるのだ。それを狩れるとなると、先程の悪魔くんの主くらいなものだろう。他の”元プレイヤー”の可能性も考えられなくはないが、この世界を改革をすると豪語する者ならやりそうだ。仮に悪魔くんの主がドラゴンを倒したのだとするとその目的は何か。そこまで考えたところで、とある職業を思い出した。

 

魔物使い(テイマー)という職業だ。これは特定の条件を満たすことで魔物を仲間にして、その魔物を使役し戦わせる職業だ。欠点として本体があまり強くないのだが、その分数で圧倒することもできるし、魔物次第ではイベントボスクラスにまで匹敵する魔物を使役することもできるため、人気の高い職業だ。

 

 もし、悪魔くんの主が魔物使い(テイマー)だとするならば、森の魔物を街などに嗾けようとするはずだ。その際、魔物達の障害となる上位のドラゴンなど邪魔でしかないだろう。こう考えるとつじつまが合う。

 つまり、世界を改革……いや、破壊しようとしている悪魔くんの主が森の魔物を使役し魔物を街に嗾けるために邪魔なドラゴンを殺した。恐らくアイラはその過程のどこかで見つかったのだろう。ということは、つまり。

 

「商人さん。街が危ないかもしれないです」

 

「おや、何か思い当たることがありましたか?」

 

 商人さんが何かあったのか、という顔で聞いてくるので悪魔に襲われた話とその悪魔の主の目的、そしてその主の職業について話したところ、商人さんは険しい顔になって護衛の冒険者を呼び出した。何やら、二言三言話し終えた後、馬車が急速に加速した。

 

「申し訳ない。これから街まで急ぐことになったので、少々揺れますのでご容赦ください」

 

「いえいえ、とんでもない。ところで、こんな突拍子もない話を信じていいのですか?」

 

 何故、俺のことを信じてくれたのか、と聞いてみたところ予想外の答えが返ってきた。何でも、この商人さん、アイラが何かに追われているのをある程度察していたらしく心配していたらしい。それが俺と楽しそうに笑っていたから、信じてみようと思った、と。思わず

 

「アイラのこと、これからも気にかけてやってください」

 

 と言ってしまった俺はきっと悪くない。不運だという自信がある俺より不遇なアイラが悪いのだ。幸いにも「こちらこそ、よろしくお願いします」と言ってもらえたので良かった。他人を通じて誰かと信頼を築くなど、あまりない体験だったので不思議な気分だ。

 その後も、アイラのことに関して商人さんと語り合っていると、どうやら外まで聞こえていたらしく街に着くと同時にアイラが真っ赤な顔で怒鳴り込んできて、思わず商人さんと声を上げて笑ってしまった。

 

「はははっ、悪い悪い。あまりにも話が合うものだからついな」

 

 俺が頭を下げて謝罪すると、「もういい! 早くいくわよ!」と言ってどんどん歩いて行ってしまう。商人さんにそれでは、と頭を下げてから俺もそのあとを追う。

 

「ホント悪かったって。そんなに恥ずかしがるなよ」

 

「うぅ……。なんで私がこんな目に……」

 

「ところで、どこに向かってるんだ?」

 

「アンタ絶対反省してないでしょ! 折角冒険者ギルドに連れて行ってあげようとしてるのに! 信じられない!」

 

 等とアイラとギャーギャー言い合いをしながら歩くこと数分。ようやく冒険者ギルドが見えてきた。これほど如何にもといった場所とは思わなかった俺は思わず入り口で立ち止まってしまった。これが冒険者ギルドなのか、と。

 

「暇じゃないんだから、早く入りなさい!」

 

 俺が動かないことに業を煮やしたアイラが声をかけてきた。それもそうだ、と思った俺は思い切って中に入った。そこには、荒くれ連中が酒を飲んだりクエストを受けていたりする光景が。少数だが女性の冒険者も見受けられる。やはり、冒険者は男のほうが多いのだろう。

 

「冒険者登録はこっちよ」

 

 アイラに連れられてやってきたのは受付の端っこの方。アイラが受付嬢に何やら耳打ちをしている。アイラが離れた受付嬢はこちらに視線を向けて

 

「ようこそ、冒険者ギルドへ。此処に来たのは冒険者登録がしたい、ということでよろしいですか?」

 

「ああ、それで間違いない」

 

「では、この用紙に詳細を記入してください」

 

 そういって渡されたのは個人情報を記入するための紙。取り合えず、わかるところから埋めて行こう。名前、オフィス。年齢、年齢……。”オフィス”の見た目からすると大体18だから18。性別、男。得意な戦い方、近接戦闘、魔法。等々、すべての内容を記入した俺は用紙を受付嬢に返却する。しばらく確認するために用紙を眺めていた受付嬢が困惑の表情で俺を見てくる。一体どうしたというのだろう。

 

「ええっと、特異な戦い方が近接戦闘と魔法と書いてあるのは一体……」

 

「ああ、両方得意なので二つとも書かせてもらった。もしかして、一つの方がよかったか?」

 

「いえいえっ! ただ、近接戦闘と魔法を両方こなせるかたが少ないので本当なのかなと」

 

「信用できないならこれから確認していけばいい。嘘を書いていた場合、クエストの達成率という点でボロがでるはずだからな」

 

 そこまで言うのでしたら、と受付嬢は引き下がった。両方できるのはそんなに珍しいのだろうか、と考えているとアイラが教えてくれた。曰く、この世界での魔法とは限られたものしか使うことのできない、いわば才能によって決められる希少な能力として認識されているらしい。実際には、使い方を知らないものが多すぎるだけのようだが。

 

「では、これでオフィス様の冒険者登録が完了しました。ランクは、Eです。何か質問はありますか?」

 

「それじゃあ。ランクってどういう仕組み?」

 

「ランクとは、冒険者の強さを大まかに表したものです。クエストでは強い魔物から弱い魔物まで様々な種類の魔物の討伐依頼が出されます。それらのクエストを受注名可能な程度強いといった認識で構いません。ランクは下から順に、E、D、C、B、A、S、SS、といった風に分類されます。上に上がれば上がるほど実力が高いというわけです。ランクの上げ方はそのランクのクエストを一定数クリアすることです。またCより上のランクになるためには一定数クリアした後、ギルドが指定するクエストをクリアする、もしくはギルドからの信頼を得られればランクアップできます。もちろん、実力によって一気に上がるという方もいます。アイラさんもその一人でしたので。」

 

それからも、幾つか聞きたいことを聞いたところすべて丁寧に答えてくれた。まあ、恐らく俺がアイラの連れだからなのだろうが。SSランクについて聞いたところ、現在この世界には5人しかいないらしい。世界最強クラスの力を持っているとのことだ。ちなみに、アイラはSランクのようだ。以外にすごかった。

 

「ほら、登録が終わったなら宿を取りに行くわよ。早くしないと部屋がなくなるわ」

 

「わかったよ。それにしても、アイラって凄いな。Sランクだったのか」

 

 俺が純粋に思っていたことを言うと、お前がそれを言うなと言いたげな顔で睨まれた。何故だ、思っていたことを言っただけなのに。下らないことを考えている俺をよそにアイラは外に出ようとする。俺も後を追おうとして視界の端に俺に向かってくる酔っ払い3名を捉えた。どこに行ってもテンプレはあるのか、と考えている内に酔っ払いが寄ってきて俺に声をかけようとした寸前、このギルドに飛び込んできた男からの報告が響き渡った。

 

「大変だ!! ”深淵の森”から魔物の大群がこの街に迫っている!魔物達の大暴走(スタンビート)が発生したッッ!」

 




本当はスタンビートを壊滅させるところまで書きたかったのですが無駄なことを書きすぎて次回に回ることになりました。次回こそきっと主人公無双

次回、《世界級魔法》擬似太陽創造(オレオール・オブ・ソレイユ)

詠唱入れようか迷ってます。

オフィス「俺は”公式ラスボス”だから強いのではない! 俺が強すぎるから”公式ラスボス”なのだ!」

このセリフどっかでいれたいなぁ

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