転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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無限の龍神 不運な悪魔さん

アイラを狙い襲ってきた騎士団を戦闘不能に追い込んだものの、問題はどうやってアイラから手を引かせるかという一点だ。アイラがあの後、疲れていたのか眠ってしまったので、アイラが起きるのを待ちつつこれからの作戦を考えているのだが、よく考えてみたらこの作戦はだいぶ穴だらけだった。

 

 まず、この貴族であるが、帝国内におけるルベルド伯爵の地位が分からないこと。地位が低ければ発言は通らない。

 次に、戦う前に考えていたものだった場合。つまり、この貴族が捨て駒であるという可能性だ。その場合、帝国には少なくとも40レベル以上の者たちが多数いる可能性が高い。このままこの貴族を返した場合、口封じをされてさらに強い追手が派遣されることになるだろう。

 いちいち蹴散らしてもいいのだが、その場合街での活動が行いにくくなる場合がある。負けることはないが、周囲から負の感情を向けられ続けるというのは精神衛生上よろしくない。

 

 どうしようか、と考えたところで俺が前もって展開しておいた《最上位魔法》存在探知(イグジストディテクション)がこちらに向かってくる上位悪魔を探知した。

 この存在探知(イグジストディテクション)はこの魔法の範囲外から侵入した存在を探知することができる魔法だ。すでに侵入されていたりする場合は探知することができない。

 

 それにしても、上位悪魔とはどういうことだろうか。上位悪魔は少なくともレベル80以上の存在である。それをこの世界の人間が使役できるとは思えない。

 だとするならば”元プレイヤー”の置き土産、もしくは俺と同じ時期にこの世界に来た”元プレイヤー”が使役している可能性がある。うまく会話に持ち込むことができたらそれとなく聞いておこう。考えをまとめ上げたのと同時に上位悪魔が目の前にやってきた。

 

「ご機嫌用、貧弱な下等生物。早速だが、我が主がその女を気に入ったようでね。連れて来いと仰せだ。もちろん、拒否権などありはしない。」

 

 何故か一方的に要求を告げられた挙句、すでに決定したかのような言い草だ。使役している悪魔がここまで調子にっているということは主も相当調子に乗っていると考えるのが妥当だ。

 それに、この自分にかなうものなどいない、とばかりの言い草。まるでこの世界の住民の強さを知って浮かれているかのようだ。

 

「さあ、早く渡したまえ。ここ数日、我が主がこの世界の人間の脆弱さに心底失望なされた。故に、改革を始めるのだ。君ら下等生物のために割く時間などありはしないのだよ」

 

 上から目線で一方的なのには非常に腹が立つが、勝手に情報を喋ってくれる分に関してはありがたい。ここ数日、ということは最近この世界に来たばかりだと言っているようなもの。

 つまり、こいつの主は、つい先日この世界に来た”元プレイヤ―”であるということだ。この悪魔の強さからして本人のレベルは約120程度。当然、俺にはかなわないがそれでもこの世界の生物が弱く見えるのは仕方がないのだろう。

 それにしても、とさらに考えを巡らせている間にとうとう悪魔が痺れをきらしたらしい。俺を無視してアイラを連れて行こうとしているので取り合えず。

 

「悪魔くん、情報提供ご苦労。もう消えて結構だ。アイラに触らせるわけにはいかないからな。《神級魔法》超新星の厄災(アルタイルディザスター)

 

―――《神級魔法》超新星の厄災(アルタイルディザスター)

 

 文字通り超新星による厄災が発生する。つまり、地上で超新星に匹敵する威力の爆発を引き起こす魔法。単純明快な魔法であるが故にその威力は折り紙付きだ。

 ちなみに、悪魔くんの周囲を覆った結界の中で引き起こしたから周りに被害はゼロである。当然、悪魔くんは塵すら残さず消え去っている。

 

「って、悪魔くんの主の場所聞くの忘れてた。まあ、あの程度なら放置でいいか。今はアイラのことが優先だ。」

 

 未だ目を覚まさないヘルガに水を浴びせて強制的に起こす。

 

「ぶほぉっ! ごほっごほっ……。何をす――ひぃっっ!」

 

 目を覚ました途端、怒声を上げたかと思えば突然悲鳴を上げて頭を抱えだしたヘルガ。一体何がしたいんだこの男。

 

 実はこの男、先程の戦闘を見ていたのだ。上位悪魔が来て皆殺しにされると思ったら、その悪魔がとんでもない魔法で瞬殺されたのを目撃した直後、あまりの事態に気を失ってしまったのだ。《中位魔法》がせいぜいのこの世界の人間が《神級魔法》などを見せられれば心が折れるのも当然である。

 

「実は、君に頼みがあるんだが」

 

「はいっっ! 何なりと仰ってください! この命に代えても完遂して見せます!!」

 

 一体何があったんだろうか。とはいえ、都合がいいのも事実。魔法を使って検知してみたが、嘘をついている様子もないし、どうせ時間稼ぎ程度しか出来ないのであれば大して変わりはしない。

 

「至急、帝国に帰りアイラに手を出せばその傍にいる化け物が黙っていないぞ、と伝えてくれ。つまり、だ。帝国にアイラから手を引かせてほしい。頼めるかな?」

 

 壊れた機械のように首を縦に振るヘルガ。一体どうしたというのだ。なるべく笑顔で頼んだだけじゃないか。

 

「では! 失礼しますッッ!!」

 

 ヘルガはそう言い残して走り去っていった。さりげなく起きていた騎士団を連れて。人間死ぬ気になればあれほどの速度がでるんだな。

 さて、時間稼ぎがどこまで持つか分からないが少なくとも冒険者になる程度の時間は取れるだろう。そう! 最初の目的は冒険者なのだ。どうして、ここまで不幸が続くんだろうか。だが、もう道を阻むものは何もない! いざ、冒険者に!

 

 余談だが、アイラ殺害の任務に出ていたヘルガが明らかに人が変わったかのようになって帝国に帰ってきたため、彼の言葉が説得力を帯び、元々、あまりアイラに執着していなかった帝国はアイラを諦めたのだがこの時のオフィスはまだ知らない。

 ついでに、冒険者になった直後、またしても事件に巻き込まれるのだが、それもまた知る由もない。




はい、80レベルの上位悪魔を一瞬で爆殺する主人公でした。
ようやく主人公最強感が出せた気がします。これからどんどん主人公最強を前面に押し出していきます。

いくら何でも悪魔さんの扱いが酷すぎると書き終わった後に思いました。
番外編が作れたら主との交流を書いてあげてもいいかなぁ。

次回、主人公、ようやく冒険者になる

上位悪魔について

悪魔とは”ウロボロスオンライン”においては所謂使い魔である。
《召喚魔法》この魔法は《下位魔法》や《中位魔法》とはまた別に存在するものだ。自分と同じ種族系統のもの(悪魔、ドラゴン、天使、等)を《召喚魔法》では召喚できる。召喚されるものは召喚者のレベルに応じて強さが変わる。召喚者のレベルより大体20程度低いレベルの者が呼ばれる。

上位悪魔とは悪魔系統の使い魔の中での強さを表している。《下位悪魔》レベル30程度、《中位悪魔》レベル50程度、《上位悪魔》レベル80程度、《最上位悪魔》レベル120程度、である。召喚した後にレベリングを経て強くすることもできる。ほかの系統の種族も似たような仕組みになっている。

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