転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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死んだと思ったら龍神になっていた

 俺が”公式チート”と呼ばれるようになった”龍神誕生祭”と呼ばれる一件から一年が過ぎた。この一年で大きく変わったことと言えば、俺が純粋なプレイヤーではなくなってしまったことだろう。

 というのも、無限の体力に”不老不死《アムリタ》”などどうやって倒せばいいのだと運営に批判が殺到。ゲームバランスを保つために運営から俺に提案されたのがイベントボスになってくれないか、というものであった。

 

 もとはと言えば我々の失態なので断ってもらっても構わないのですが、という前置きの後に提案された内容は、成程よく考えられていると思ったものだ。

 細かい内容は省くとして、基本、”イベントクエスト”や”ギルド対抗戦”などには参加できないが、変わりに運営が提供するイベントにボスとして参加してほしい、といった内容だ。これだけ聞くと普通のプレイが出来なくなり損をするのではないか、と思うだろうが。

 そもそも俺はギルドに参加していないため”ギルド対抗戦”はもとより参加できない。”イベントクエスト”についてもプレイヤー側での参加かボスとして参加するかの違いがあるだけで大したことはない。

 さらに、イベントボスとして参加した場合、通常よりも良い報酬が貰えるという後押しもあり俺はこの提案を承諾。正式にイベントボスとして活動することになったのである。

 

実はこのことがきっかけで”公式ラスボス(頭のおかしい何か)”、”大魔王(理不尽の権化)”などと呼ばれることになるのはまた別の話。

 

 さて、そんな”公式チート”と言われる俺にもリアルの生活が当然のごとく存在する。幾度となくゲームの世界に行けたら、等と考えたことはあるが現実は非情なのである。生きている人間にとって食事とは取らなければ死んでしまう死活問題なのだ。いつもは買いだめをして冷蔵庫にぶち込んであるのだが、とうとう在庫が切れてしまったため、現在買い出しに出かけているのである。

 

 そろそろスーパーが見えてくる頃合いだ。後はこの横断歩道を渡り切れば一本道だ、というところで周囲から悲鳴が上がる。一体何が、と視線を辿ると赤信号なのにも関わらず俺に向かって一直線に走ってくるトラックが。えっ、と声を上げる間もなく衝突、気が付けば空を飛んでいた。地面に向かって落下している俺の脳裏に走馬燈のように浮かんできたのは、”ウロボロスオンライン”での日々だった。

 そういえば、イベントボスはどうするんだろうか、と考えたのを最後に俺は意識を失った。

 

 

 

 照り付ける日差し、吹き付ける風の音。後5分、という定番のセリフの飲み込み起き上がったところでハッと辺りを見回したした。そこは巨大な樹が立ち並ぶ森の中だった。そういえば、トラックに引かれたはずだがあの後どうなった、と考えたところで周囲の樹を思わず二度見し、

 

「あれ、こんなに大きな樹って地球にあるか?」

 

 そう、明らかに地球にはありそうもない樹だったのだ。どうなってんだ……と頭を振ると視界に入る白髪……白髪!? 明らかに自分のとは違う色の髪が……よくよく自分の体を見てみると来ている服、手の大きさ、肌の色が違う。何より。

 

「この服装に白髪ってことは――もしかして”オフィス”か?」

 

 思い当たるものと言えば”ウロボロスオンライン”をプレイする際に使っている”オフィス”。実は、イベントボスの一件を承諾した後、折角だから”ウロボロス”にちなんだ名前に変えようと思い立ち運営にキャラネームを変更したいと打診してみた結果、許可が下り変更した名前が”オフィス”。ギリシア語の”ウロヴォロス・オフィス”から取ったものである。

 

 つまり、トラックに引かれて気が付いたら”オフィス”になっていたと。うん、まるで意味が分からない。一体何がどうなっているんだっ! と心の中で絶叫した。

 数十分後、散々悩みまくった結果、結論がでた。折角生まれ変わったんだし、この世界のことを調べながら第二の人生を満喫してやる!

 

 そのためにも、まずはこの体のことを知らなければならない。仮にこの体が”オフィス”のステータスをそのまま受け継いでいるのなら、この樹木などデコピンで破壊できるはず。構えを作り放つ。すると、樹木が爆音とともに吹っ飛んだ……え? 軽く放ったつもりのデコピンで樹木が2、3本吹っ飛んでしまった。流石にこれは予想外だと言わざるを得ない。

 ついでに、少し切れた指が即座に再生したことからこの体は間違いなく”オフィス”そのものだと判断できる。

 

 これはあれか。ゲームキャラに転生して俺Tueeeeをする奴なのか。とは言え、基本俺Tueeeeをしている小説などでは必ずと言っていいほど面倒ごとに巻き込まれている。それでは困る。めんどくさいことは嫌いなのだ。

 では、旅をしようか、と考えていた時に、ふとほかのゲームプレイヤーはどうなったのだろうと思い当たった。確かに俺は死んで転生した。

 つまり、俺以外にも転生者がいるのではないだろうか。これは警戒する必要が――いや、きっと大丈夫!何故なら俺は”公式ラスボス(頭のおかしい何か)”なのだからっ!

 

 さぁ、いざ異世界無双!

 

「ところで、ココドコ?」

 

 初っ端からこんなので大丈夫なのだろうか。自分のポンコツっぷりに心が折れそうになる俺であった。

 




ようやく主人公を異世界に転生させられました。

転生させる方法が強引になってしまいましたがお許しください。

主人公の心理描写が難しい

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