転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強? 作:lerum
俺に出番がなかったのはさておき、気絶したアイラ達をどうしようか、と頭を悩ませていた俺の前に出現する魔法陣。
ボスを倒したのだから、これ以上何か来ることは無いだろうと思いつつも、一応アイテムを使って種類を調べたところ、転送魔法陣であることが判明した。ただ、どこにつながっているかが分からないのが問題ではあるが。
「まぁ、適当にゴーレムでも作って送ってみればいいか」
というわけで、錬金術でゴーレム作成。それを魔法陣に乗せれば、あら不思議。魔法陣が輝いて、ゴーレムがどこかに転送されていった。マジであの魔法陣、どういう仕組みになってるんだろうか。物理法則とか完全に無視してそうだが、俺の存在や魔法自体がファンタジーだし、気にするだけ無駄か。
「えっと、何だここ。は? え? 何で現代の一軒家が置いてあるんだ? もしかして、ダンジョンの下にあるのって運営が遊びで作った一軒家だったとか、そういうオチか?」
いや、何してんの運営。ダンジョンクリアしたら一軒家に飛ばされるって、えぇ。どうなってんですかね。とはいえ、ここでじっとしているわけにもいかないし、取り合えずアイラ達を寝かせるためにも行くとしよう。念のため、防御系魔法を幾つかかけておいて、これでよし。さぁ、いざ往かん!
爆音。一拍後、着弾した砲弾が爆ぜ、爆炎がエルフを飲み込んでいく。が、それでやられるエルフではない。後方支援部隊により、爆発から守られたエルフ達がお返しとばかりに魔法を放つ。雷撃が、あるいは炎の球体が人間に向って飛んでいく。
ここでは、今まさに戦争が行われていた。とうとう、エルフの過激派が打って出たのだ。元より、かつて人間に迫害された彼等は大なり小なり人間を恨んでいた。それが、今回の王女誘拐で爆発した。
それに、エルフに勝算が無いわけでもなかった。エルフは総じて魔法が得意な種族であり、その力は個で人間の軍隊に匹敵する者もいる。そういうものの魔法を使い、人間達の数を減らし足並みを乱せば、後は魔法を乱れ撃つことで勝てる。人間には、軍隊を壊滅させる規模の魔法を防ぐすべなどなく、それで壊滅するはずであった。そう、人間達が規格外の魔道具を取り出すまでは。
夜明けとともに放たれた魔法が人間達を飲み込む直前、何らかの魔道具が発動。突如、空間が歪んだ。どういうわけか、放たれた魔法がエルフの方に向かっていったのだ。エルフ達は、それを理解すると我先にと逃げ出した。
轟く轟音。砂塵が舞い、暴風が吹き荒れる。エルフ達が、膨大な魔力を使って放った魔法が着弾したのだ。
そして、大気を震わせる鬨の声が上がる。人間達が、エルフ達を残滅せんと駆けだした。対するエルフ達は、唖然としているばかりで対処が出来ていない。あの魔法は、精鋭達が多大な魔力をかけて放った魔法である。つまり、精鋭達はかなり消耗しているということである。そして、仮にもう一度放てたとしてもまた返されてはたまらない。
結果、エルフ達は開幕から逆に足並みを乱されてしまい、戦況が悪化。どうにかして立ち直った者から反撃しているが、勝敗が明らかになるのも時間の問題ともいえた。
そもそも、数で押す人間に対してエルフは質で対抗している。だが、数が少ないということは、彼等の魔力が切れればそこまでである。逆に、人間は倒れればまた次の兵士が、とどこから集めたのか大量の兵士がなだれ込んできている。人間は消耗を気にすることなく、またエルフは余力を残しながら、とそもそもの前提条件が不利である。
どこからか支援魔法がかけられ、更に勢いづく人間達。戦況はどんどん激化していく。
何故か先に目が覚めたセナとともに、何だか魔法が連発されたらしい地上の様子を見てみたら、何か地上が凄いことになってるけど、大丈夫かこれ? 遠見の魔法で確認した感じ、このまま放置してたら遅かれ早かれエルフが壊滅しそうなんだが。
「た、大変ですッ! 助けに行かないと!」
「いやいや、ちょいと待て」
家族の危機を放っては置けないのだろう。セナが慌てて立ち上がり、出口につながっている魔法陣に向って歩き出した。取り合えず、行かせるわけにはいかないので髪を引っ張って止める。
「そもそも、行ってどうする気だ? いくらセナが強くなったといってもあの数を相手に戦えるほどじゃないと思うが」
あの巨大な黒い奴が相当経験値を持っていたのか、アイラ達のレベルは既に100を超えている。だが、あれは戦争だ。たった一人強い者が加わった程度で戦況がひっくり返るとは思えない。せめて300くらいあれば、一人でも敵軍を残滅出来るだろうが、それはレベル上限をオーバーしているため、実質不可能だ。
「でもッ!!」
が、セナの気持ちも分からなくはない。なにせ、エルフ達は追い込まれている。全体的に魔力が無くなってきており、魔法が途切れるのも時間の問題だ。それこそ、あの豆腐メンタルのセナが思わず俺に食って掛かるくらいには追い込まれている。
「行って死ぬ気か? 言い方は悪いがハッキリ言わせてもらう。現状、エルフはもう後がないくらいに追い込まれている。セナ一人で状況が変わるほど現実は甘くないぞ?」
かつて日本に住んでいた俺だからこそ、一人二人が何をしようとも状況が変わったりはしないと断言できる。周りが一体となって、それで初めて何かが変わる。きっとそれは、セナだって分かっているはずだ。
「それでも、私は家族を助けに行きます! ……師匠、短い間でしたがありがとうございました」
ま、こうなるだろうな。家族が危険だと言われて、じっとしている人間が果たしてどれだけいるだろうか。だが、行けば死ぬのも事実なのであって、セナは俺の弟子であるわけで。
「そうか、じゃあ仕方ない。俺も行くか」
「え?」
「え? じゃない。俺も行くと言った。本当は強引にでも止めようと思ったんだがな。そんなことをすると、後で目を覚ましたアイラから軽蔑されそうな気がしてな。それでなくとも、お前は俺の弟子なんだからな。弟子の家族を助けると考えれば……。まぁ、ともかくだ。俺も行く。というか、俺が終わらせる。俺が本気を出して戦争を終わらせて、それですぐに帰ってくる。わかったか?」
「――はいッ!!」
やべぇ、セナの笑顔が胸を抉ってくる。いや、マジでここまで純粋な娘と一緒にいると自分の醜さが目立つね、うん。セナがいなければ見捨てるつもりだった俺の心が痛い。
「師匠! 急いでください!」
まったく、調子の良い奴め。だが、まぁこうしてセナの笑顔が見れただけで、悪くないと思えてくるから不思議なものだ。
「分かった、分かった。後一分待て」
人助けってのも、存外悪くない。
前書きで言った通り、戦争の描写下手すぎです。
後で読み返して、思わす消したくなりました。が、これ以上のものが現状書けなかったので、これで妥協しました。
因みに、私は投稿する前に読んでみた時、思わず飛ばしました。泣ける。