転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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短めです。


無限の龍神 ウシガエルに失礼です

 あの後、俺たちは国王がいるという部屋まで連れてこられたのだが、中に入ってみた途端、思わず顔を顰めてしまった。

 

 というのも、その国王の容姿が問題だ。そう、例えるならば、ウシガエルだ。いや、ウシガエルの劣化版のような何かだ。こんなものと一緒にしては、ウシガエルに失礼だ。

 奴は、部屋に入ってきた俺たち……いや、アイラとセナを見て不気味に笑い始めた。アイラとセナは目にもとまらぬ速さで、俺の背中に避難した。それを見て、ウシガエルの劣化版のような何かは、更に愉快そうに笑いだした。ブヨンブヨンと腹が揺れて、笑いを堪えるのに苦労する。あれか? 精神的な攻撃か? 割と、腹筋に大ダメージが……。後ろに控えている護衛たちは鋭い目で国王を睨んでいる。

 

 ところで、この国王の要件だが、簡潔に言えば配下になれ、ということらしい。何でも、あの盗賊たちはこの辺りを荒らしまわっていたらしく、王国としても手を焼いていたらしい。

 それを、いとも容易く打倒した俺たちの力に目を付けたらしい。どう考えても、この国王が無能なだけのような気がするが。

 そして、追加でアイラとセナを嫁にする、などと世迷言を言い出した。先程、気色悪い目で見ていた時に決めたのだろう。この時点で殺してもいいくらいなのだが、この国王、なんと地雷原に飛び込む類の人間だったらしい。

 

「よし、お前生意気だ。徹底的に調教して、従順にしてやる」

 

 は? である。もう一度言おう。は? この国王、本当にどうかしているようだ。後ろの護衛たちが顔を覆っている。どうやら、俺の正体に気が付いているらしい。

 いや、しかしここまで言われると、むしろ関わりたくすら無くなってくる。コレを殺した、なんていう汚名が付きまとうのは勘弁である。

 というわけで、チャチャっと記憶を弄ることにした。意識が飛ぶまで顔をタコ殴りにして、記憶操作系の魔法を発動。

 

「取り合えず……面倒だし、自分の名前以外は忘れさせてやろう。もしかしたら、まともな人間に生まれ変わるかもしれないし」

 

 アイラは、目で殺せと訴えてくるが、断固拒否する。もう一度言おう、断固拒否する。コレを殺しては、文字通り、物理的に手が汚れてしまう。三度繰り返そう、断固拒否する。

 一方、護衛たちは神を崇めるかの如く、俺の足元に跪き泣きながら感謝してきた。流石に引いた。どこまで嫌われていたんだ、この国王。まるで、邪神や魔王が討伐されたかの如くだ。

 とか思っていたら、アイラから補足が入った。何でも、コレが国王をしている国はアルファーリア帝国の次に強大な国であるらしく、邪神が討伐された、というのも強ち間違っていないようだ。

 

「……。コレがアルファーリア帝国の次に強大な国の国王? よく国が保てたな。いや、ホントマジで。護衛の皆さん、ご苦労様でした。ホント、尊敬します。ハイ。コレは、俺が責任を持って記憶を消去しておきますので、空いた玉座を使って良い国を作ってください」

 

 ホント、尊敬に値する護衛たちだ。護衛たちが嬉し泣きをしながら、部屋から出て行ったのを見送った俺たちはコレをもう一度コレをタコ殴りにしてから、部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「さっきの何だったの?」

 

 未だに顔に青筋を浮かべたままのアイラが、虚空に向って問いかける。まるで、どうしてあんな生物を作ったんだ、世界よ! とでも言っていそうだ。

 

「また、バカな事考えてる。アンタがそんなのだから、ああいうのが寄って来るんじゃない」

 

 酷い言われようである。そんなことはない。アレが目をつけていたのは、アイラだった。いや、しかしあれと面会する原因を作ったのは俺だったか? あれ? 俺が悪いのか? ……やはり俺が悪いようだ。世界よ、そんなに俺が嫌いかっ!!

 

「言ったばかりなのに、もうコレだわ。セナ、行きましょう」

 

「えっと、大丈夫なんですか?」

 

「平気よ、いつものことだもの。後から勝手に追いつてくるわ」

 

 いや、しかし世界が俺を嫌っているからこうなるのであれば、やはり世界が悪いのでは……。って、あれ? 何だか、アイラさんたちが俺を置いていこうとしているような……。

 

「って、ちょっと待てぇぇ!」

 

 欠片ほども知らない街で、一人取り残されそうになった俺は、慌ててアイラたちを追いかけ始めるのだった。え? 俺たちが向かう場所? もちろん『ダンジョン』だよ。

 




投稿が遅くなり、大変申し訳ございません。
勢いで書き始めた小説故、続きを考えるのが意外と大変なのです(言い訳)。

次回、ダンジョンに入れるのか?

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