転生したら無限の龍神。 あれ?もしかして俺って最強?   作:lerum

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俺が無限の龍神になった訳

 そこには”悪”がいた。強大な”悪”だ。それに対峙するのは黒い服に黒い剣を携える俺だ。俺は、”悪”に一人で立ち向かうのだ。人類を守るために。人類の未来は俺にかかっている!

 

 これは嘘ではないが事実でもない。実際に人類の未来がかかっているわけではないが、そういう設定の”クエスト”なのだ。そう、これは”クエスト”だ。

 

 今日は一月一日、つまり正月。正月には大抵どのゲームでも特別なイベントが開催されるだろう。

 現在、俺が5年間プレイし続けているVRゲーム”ウロボロスオンライン”でも特別なイベントが開催されていた。クエスト名は”絶対悪を打倒せよ”。内容は、文字通り絶対悪の打倒だ。より詳細に言うのであれば、絶対悪”アンラ・マンユ”の配下でありあらゆる悪の根源を成すもの”アジ・ダハーカ”の討伐だ。

 

 本来ならばこのクエストは”ギルド”と呼ばれるプレイヤーの集団規模で挑むクエストだ。何故俺がこのクエストに一人で挑もうとしているのか。

 もちろん勝算のない戦いはしない主義だ。たまたま手に入れたアイテムがぶっ壊れだったので勝てると思ったのだ。

 

 オンラインゲームにぶっ壊れアイテムがあっていいのかと思うかもしれないが、それこそがこのゲームの特徴だ。”ウロボロスオンライン”はその名の通り無限なのだ。わかりやすく言うのであれば、驚くほどに自由度が高いのだ。

 例えば、レアドロップで極々まれにぶっ壊れアイテムが手に入ったり、特定の条件を満たすことで破格の性能の職業になれたり、運営にこんな技、あるいはこんな職業はどうだろうかと打診することで運営次第ではそれがゲームに追加される、等々。

 ちなみに、職業だけでなく様々な種族を選ぶことも出来る。例えば、天使やら龍やら。それぞれステータスやスキル、進化できる種族があり、一概にどれが強いとは言えない絶妙なバランスを保っている。

 

 俺はこのゲームの所謂ガチ勢ではあるものの、今まで何か特別なことはなかった。5年間、このゲームをしていたが何もなかったのだ。世の中はなんて理不尽なんだ、と何度も思った。

 が、昨日この指輪を手に入れたとき別の意味で世の中はなんて理不尽なんだ、と唖然としてしまった。効果事態は”敵MOBを一体を死亡させる。このアイテムは一週間で自動的に廃棄される”というこのゲームにしてはありふれたものだった。確実に倒せるといっても一体だけ。期間は一週間。本来なら大したことのないアイテムであるはずだった。

 

 この”絶対悪を打倒せよ”というクエストは実はクリア出来ないようになっている。いくらダメージを与えたかによって報酬が貰えるのだ。

 だからこそ、このクエストは受注すると特製のフィールドに飛ばされて”アジ・ダハーカ”のみが出現する。もうお分かりだろう。今までの不運がここにきて報われたのだとしても本当にいいのか、と思ってしまったものだ。

 

 さらに、このゲームの特徴から考えると、この”クリア不可能なクエスト”をクリアした場合、間違いなく頭のおかしい性能の職業、またはアイテムが手に入る。これはクリアするしかないだろうというところで冒頭に戻るわけだ。

 

 クエスト開始の合図とともに”アジ・ダハーカ”のHPが表示され……ん? ”∞"……。いや、きっと見間違いだ。何かの間違いのはずだ。なるほど、目が疲れているのか。目をこすって……よし、もう一度見てみよう。そこにあるのは悲しいかな”∞”の文字。どうやら運営は本当にクリアさせる気がなかったようである。

 

「ハッハッハ。だが、残念だなッッ! 俺には関係ないのだよ!それでは、こんにちは、そしてさようなら。”死の指輪(アズラーイール)”」

 

 指輪が砕け散ると同時に”アジ・ダハーカ”も砕け散った。目の前に表示されるクエストクリアの文字。どうやら、うまくいったようだ。体力が”∞”なので効果がない可能性も考えていたのだが、無事倒せて何よりである。さて、報酬はと思ったところで運営からのメール。まあ、倒せないもの倒したんだし当たり前だよな。どんなことが書かれているかな、と軽い気持ちで見たところその内容に白目をむきそうになった。

 

『”アジ・ダハーカ”の討伐という本来、達成できない偉業を成したあなたに我々から特別な種族への進化を与えましょう。無限を打倒したあなたには無限を。このゲームのタイトルにもなっている無限の象徴。その種族の名は”無限の龍神(ウロボロス)”。これからも”ウロボロスオンライン”をよろしくお願いします』

 

 何が何だか、といった感じではあるものの名前がかっこいいだけであまり強くないのかもしれない。

ステータス画面を開いて幾つか桁が違う数字を見て思わず乾いた笑いを浮かべた。何だ、このチートは。スキルを見て同じく頭のおかしい性能のものを見つけたときには思わず意識が一瞬飛んでしまった。

 

 ”不老不死(アムリタ)”『いつまでも歳をとらず、また、死なない』

 

 このゲームに年齢などあっただろうかとか言いたいことは山ほどあるがとりあえず、

 

「どうしてこうなった」

 

 誰もいないフィールドに風の音とどこからか自業自得だ、という声が聞こえた気がした。実はこのクエストをクリアしたことが運営によって発表されており、後に”公式チート”呼ばわりされるなどとは今の俺には知る由もなかった。

 




初投稿なので、温かい目で見てください。

どうやって主人公最強を演出しようか考えた結果、ゲームキャラで異世界に転生させることにしました。転生方法はありきたりなものになると思います。

次回、主人公が異世界に転生します。

毎回、書くときに思いついたことを書いているので矛盾などが発生する可能性があります。後々見つけ次第調整していきますのでご容赦ください

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