ダンジョンに偉大なる魔法使いがいるのは間違っているだろうか 作:フリーク
黄昏の館の中庭には、多くの人が集まっていた
その中心には団長のフィンの姿があった
「ごめん遅れた!」
そんな声がすると、聞こえた方の人垣が割れ一人の少年が現れた
手には彼の身長とほぼ同じ長さの杖を持っていた
「スゴク人が集まってるね」
「それだけネギへの興味があるんだよ」
実際にはフィンの言っている通り、彼らにとって『ネギ』という人物は、とても興味があった
彼らが見ているのは、ダンジョンでの魔法だけだ
そんな彼かにとっては魔道士としかおもわれていない
完全に後衛のネギが前衛のフィンに勝てるのかと
そんなことは露知らず、二人は真ん中に立った
「さて、それじゃあやろうか」
その一言で二人の空気は張り詰めた
周りもそんな空気に押されてか、シンッ…と静まり返った
そして、二人は激突した
◆◇◆◇◆
「おいおい…まじかよ」
誰かが呟いた
彼らの目の前では信じられない光景があった
そこには槍と杖を激しく打ち合う二人の姿があった
後衛だと思っていた少年が、Lv6の冒険者と近接戦闘で互角に戦っているのだ
「まさか杖を使った槍術も得意なんてね」
「まあね、それじゃあそろそろ本気を出していくよ」
ネギはそう言うと、杖を手放した
周囲にどよめきが走る
何んやっているのだ、と
そんな中でもフィンだけは警戒していた
そしてネギは独特な構えを取った
そして…
「フッ……!」
ネギの姿が消えたと思うと、フィンのすぐ後ろに立っていた
そのままネギは攻撃を仕掛けるが、フィンもそれに反応し槍と拳が再びぶつかりあった
◆◇◆◇◆
「…この戦いをどう思う、ガレス」
観衆の一人であるリヴェリアは、隣にいたガレスに質問を投げかける
「そうじゃのう…二人共本気の戦いはやっておらん。だが…」
「決して互角ではない、か?」
「ああ、一件互角ではあるがまだ余力があるのはネギの方じゃ。フィンの攻撃を、全ていなすか、逸らすかで有効打は打てとらん」
「それに魔法も使っていないしな。ハァ…魔道士の戦いじゃないぞコレは…」
決して魔法を使った近接戦闘は間違っていない
だが、オラリオには剣を使う
しかしそうといっても、フィンやリヴェリア、ガレスを含め、魔法を使った近接格闘戦闘は見たことがないため…
((本当、そこが知れないなネギは…))
それがフィンとネギの手合わせを見ての思うことだった
◆◇◆◇◆
戦っているフィンもこの手合わせに思う事があった
今では
だが目の前にいるネギは、自らの立つその先を歩んでいる
そう思っただけで、僅かずつだが槍裁きが早くなっていく
もっと、もっと、と
少しずつ見えてくる彼の背中を追いかけるために
『戦いたい』と
(本当に強いね、ネギ)
◆◇◆◇◆
どのくらい時間が経ったのだろう
一分かもしくは十分か
再び二人が離れたとき
「うん、ここまでかな」
戦っていた拳闘士、ネギはそう呟いた
「名残惜しいけどね。このままじゃ手合わせレベルじゃ済まないね」
そんな二人の会話でやっと勝負が終わった事を悟ると、止まった時計が再び動き出すように、歓声がおきた
なんか、書いていると最初に想像していたシナリオからずれていくんだよな…
なんか、フィンが序盤のネギみたいだし…