どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ 作:はないちもんめ
鳴り響く轟音。
割れる大地。
揺れる天空。
間違いなく戦闘力だけは、本当に戦闘力だけは一流の二人の戦いによる影響である。
そんな光景を産み出した戦いの唯一の見物人であるヴィヴィオはふと思う。
「これ、別のSSじゃないよね?」
残念ながら同じSSなのである。
「本っっっっっっっ当に面倒な!!!!」
ノーヴェの攻撃を防いだ影響で地面に叩きつけられたレインは、痛みを感じている暇もなく即座に飛び上がることで追撃をしてきたノーヴェの拳を躱す。
しかし、その姿を見たノーヴェは空中のレインに対して攻撃をしてくる。
その攻撃も鞘で防いだが、(自業自得なのだが)色んな意味でキレているノーヴェに対して、飽くまでも殺さないように戦わなくてはならないレインはどうしても不利になってくる。
今までは何とか防いできたが、そろそろ限界が近くなってきている。
(やべえな。本当にどうするか・・・・)
流石のレインもそろそろふざけていられる状況ではなくなってきた。
(近接戦闘だと殺しちまう可能性がある・・・やるなら、中・遠距離だ。しかし、こいつクラスが相手となると俺程度の技術じゃどうにもならん。となると、やっぱりアレしかねえか。正直賭けだがやるしかねえ)
「いい加減にくたばりな!!!」
思考中のレインに命を刈り取るのではないかというレベルのノーヴェの蹴りが襲う。
何とか腕でガードをすることには成功したが、圧倒的な威力を抑えきれずに吹き飛ばされる。受け身は取ったが腕はしびれで暫く満足には動けなさそうだ。
レインの姿を見たノーヴェは笑いながら近づいてくる。
「いよいよ後がなくなったな。いい加減本気出したらどうだ?」
「はっ!!必要ねえな。俺はスロースターターなんだよ。やるなら今の内だぜ?」
「口が減らねえ野郎だな。なら」
ノーヴェは腰を低くして突撃体制を取る。
「この状態を何とかしてみるんだな!!!」
ロケットダッシュで突っ込んだノーヴェはとどめを刺すと言わんばかりの会心の拳を繰り出す。
だが
「な!!??」
そのノーヴェの拳はレインに腕を摑まれ、当たることはなかった。
「やれやれ、何とか成功したか」
「て、てめえ、何で」
「おいおい、俺は確かにMっぽい所があるのは自覚してるけどよ、基本はS何だよ?そのSの俺があれだけタダで殴られて元を取らない訳ないだろ?」
「こ、この」
「さーて、ここからは俺の一方通行だ」
何とか腕を引ぎはがそうとするノーヴェをレインは空中にぶん投げる。
「こ、この野郎!!」
空中に投げられたノーヴェは即座に体勢を立て直し、地上にいるレインをその瞳に捉えようとするが、その瞳にレインが写ることはなかった。
「あ、あいつ何処に?」
左右を見渡したが左右にもレインの姿は見当たらない。
「打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか?残念だったな」
空中にいるはずのノーヴェの背中から寒気がする。反射的に振り返る。
そこには
「ざんねーん、俺は上から見る派だ」
目を吊り上げて口元を緩ませながらバズーカを構えるレインがいた。
(何時の間に私よりも上空に!?い、いやそれよりもあのクソ野郎最初からこれを狙って)
レインはノーヴェに照準を定め、引き金を引く。
「じゃーな、お姉さん。また会えたら今度はデートしようぜ」
その弾はノーヴェに直撃した。
「やれやれ。まあ、何とかなって良かったな」
バズーカの直撃を受けて空中から地上に落下したノーヴェが気絶していることを確認してレインは、ようやく一息をつく。
息もしているし、見た所今後に支障があるような怪我もしていないようだ。色々あったが、まあ、予定通りと言って良いだろう。
(ナカジマがムキになって正面から突っ込んできてくれて助かったぜ。おかげで、カウンターを合わすことができた)
もし、ナカジマが最後まで冷静のまま闘っていたらどうなっていたことか。止めよう、怖いだけだし。
恐怖の考えを振り払っていると、離れた所で闘いを見ていたガキが近寄ってきた。
「やり過ぎだバカーーーーー!!!!」
「ランナウェイ!!??」
いや、近づくだけでなく蹴っ飛ばしてきた。つーか、力強いなこいつ。
「いてーな、バカガキ。いきなり他人にケリをかますんじゃねえよ」
「女の人にバズーカをぶちかます男に言われたくないです!!ノーヴェさんの綺麗な顔に傷が残ったらどうするんですか!!」
「あんだけ美人ならどんだけ傷が残っても大丈夫だ。売れ残ったら責任を取って俺が貰ってやる」
「いや、お兄さんとノーヴェさんじゃ釣り合いがちょっと」
「え?何?聞こえないんだけど?もう一回言ってみる?」
「わー、嘘、嘘!!何でもないです!!」
不届きのことをほざくガキの腰を掴み上げると、手足をばたつかせながら言い訳を述べる。
まあ良い、許してやるか。俺は心が広い人間だから。
俺は、そのままガキを掴んだまま、歩き続ける。
すると、掴まれたガキは慌てて喋り出す。
「え、ちょ!?何処に行くんですか!?ノーヴェさんは!?」
「知らん。あいつは、まあ、自分で何とかするだろ。お前は、一人で此処に置いておくのは流石にアレだからな。知り合いに渡してやるまでは連れていってやるよ」
「え、知り合いって?」
「あん?それは」
「あら?幼女を連れたまま何処に行くつもりかしら?」
背筋が凍る。何処からか聞いた覚えのある、しかし絶対に聞きたくない声が聞こえてきたせいだ。
(な、何故あいつがもう此処に?)
「ノーヴェを倒したのね。まあ、あんたならできるか。でも、残念だったわね。ノーヴェは魔王の中で最弱よ?」
もの凄く振り返りたくない。しかし、振り返らなくても現実は変わらない。
ギギギと音がしそうなほどゆっくりとレインが振り返る。
「知らなかったの?大魔王からは逃げられない」
そこには、予想通り俺が絶対に勝てないラスボス(ティアナ)がいた。
あ、俺つんだわ。
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