大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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ちょっちリアル立て込んでて今後投稿が遅くなるかもです、本当に申し訳無い

キャラ崩壊注意で、ヤマもオチもないです




9 閑話(本編と関係無し)、短くて済まない

 

海軍本部マリンフォード、議事の間

 

 

荘厳な雰囲気の漂う和室、その一番上座に腰掛けるはこの場の最高責任者、大将センゴク。彼は重々しく口を開いた

 

 

「今日は急な招集にも関わらず皆良く集まってくれた、早速話を進めよう」

 

 

隣には腐れ縁の友人、英雄ガープ

その反対側にはクザン、サカズキ、ボルサリーノに大参謀おつる

他にも中将、少将、准将と名だたる名将たちが一同に会していた。

 

 

「今日集まってもらったのは他でもない、海軍の今後に関わる最重要案件だ……。五老星の許可も得て今回の席を用意してもらった」

 

 

五老星、この人物たちが関わる事の重みを中将以下の将校たちは重々承知していた。

ゴクリと皆が息を呑む

 

「では会議を始めようと思う、今回の案件は…………今年の海兵募集ポスター、そのモデルに選ばれた被写体の発表と撮影内容のアイデアを出し合って貰うッ!…」

 

 

ズンッ!と議会の間がいっそう重い雰囲気に包まれた。

そしてセンゴクは更に続ける

 

 

「皆も知っての通り、毎年海兵募集のポスターにはその年選ばれた海兵が一面を飾る事になる。

そしてその宣伝効果は翌年の志望件数に大きく影響するものだ。年々海賊共が増え続ける中、我々は1人でも多くの同志を集めなければならない!」

 

 

センゴクの言葉に皆もウンウンと頷き同意している。

 

 

 

海軍では数年に一度、海兵勧誘の一環として世界政府加盟国に向けて海兵募集のポスターを街角へ掲載させている。

その影響は大きく、出来によってはその年の海軍志望者を激しく左右するのだ。故に毎年選りすぐりの勧誘ポスターを准将以上の将校達による大規模会議で決定していた

 

 

「今年の被写体は…ここにいる何名かはもう予想が付いていると思うが、ミラ准将に任せようと思う」

 

その言葉を聞いて小さくガッツポーズする若い将官の姿がチラホラ見える、歴戦の名将達も納得だと言わんばかりに何度も頷いていた

 

 

「若きにして准将の地位まで上り詰め、更に海軍内でも信頼の厚い。そして数多の海賊達を屠ってきたミラなら今回の被写体に相応しい。

異論のある者は?」

 

 

それに対して沈黙を持って肯定の意を示す男達

 

 

「宜しい、既に彼女には予め許可を貰っている。

では次が重要なんだが………

ミラにどんな格好で写真に写って貰うか、だ。」

 

 

ざわ……ざわ………

 

…………ざわ…ざわ………

 

 

僅かに会場がざわつきはじめた

 

 

そう、彼女にどんな格好をさせ、どんなポーズで写真に写ってもらうかは彼らの裁量にかかっているのだ。

 

 

「ハイハーイ!センゴク!ワシにいい案がある!」

 

 

緊張感の欠片もない軽い口調でガープはぶんぶんと手を挙げた

 

 

「ミラには何を着せても似合うじゃろう、あれだけの美人じゃもんな。

だから敢えて意外性に富んだ服装を選ぶべきじゃ」

 

 

「ほう、意外性か。してその服装とは?」

 

 

皆が息を呑む中、ガープは部屋中に響き渡る大声で告げる

 

 

「メイド服!もしくは給仕服しかあるまい!」

 

海軍の英雄が初っ端核爆弾を投下し議会は大きく揺れた、中には吹き出すのを必死に堪えている者もいる。自信満々のガープにセンゴクは激怒した

 

 

「巫山戯るなよガープ!

海兵募集ポスターだと言っているだろうが、お前が見たいだけだろう!」

 

 

「えーいい案だと思うんじゃがー?

海軍に奉仕しますって感じで」

 

 

「海軍が風俗店にでも勘違いされてしまうだろうが!却下だ却下!」

 

 

「でもミラなら着てくれそうじゃぞ?」

 

 

「ぐっ!?まあ…彼女なら大体の服を笑顔で着てくれると思うが…駄目だ!

海軍の面子に関わる!」

 

 

「全くわかっとりゃせんなガープ中将」

 

 

センゴクに同意するように続けたのはサカズキだった。

腕組みしながら彼はガープを睨み付けている

 

 

「自ら私欲に走るとは英雄ガープも老いたもんじゃのう。ミラにそんなモン着せられるかい」

 

 

「じゃあオヌシは何か案あるのかサカズキ、言うてみい」

 

 

「フン、決まっとる。

……ミラに似合うのは着物一択、それ以外に何がある!」

 

 

 

センゴクは思わずずっこけた

 

 

「おいサカズキィ!?」

 

 

「あの白い髪には真紅の着物艶姿がよう似合う筈じゃ、間違いない。

たまたまワノ国から内密に取り寄せさせた上物があってな…」

 

 

なんで男のアンタが女物の着物を取り寄せたんだ、とは誰も口が裂けても言えなかった。

そして私欲に走っているのはどっちだとも言えなかった

 

 

「いやガープよりはマシだが!マシなんだが!

もっとこう…イロモノじゃない普通の服装は無いのかァ!?」

 

 

「センゴクさん」

 

 

「おお、どうしたクザン。お前も何か案があるのか!」

 

 

「ええ、まあ…」

 

 

いつになく真剣な表情をしながら告げるクザン、コイツはようやくマトモな意見が来るとセンゴクは一息付いていた

 

 

「バニー…なんてどうでsh「よしお前は少し黙っていろ」」

 

 

何真顔でとんでもないこと言ってんだコイツは、とセンゴクは思った

 

 

「おい、今クザンの台詞でミラのバニー姿を想像した奴は後で始末書を書かせるからな?」

 

 

緩んだ表情をしていた男性将校たちがぷいっと一斉にそっぽを向いた

 

 

「センゴクさん、あっしはフツーにスーツ姿でイイと思うんだけどねェ〜」

 

 

「そうかボルサリーノ!そうだよな!

無難だな!」

 

 

やっとマトモな意見が出てきた!と内心センゴクはホッと一安心していた、が

 

 

「でもってあっしと背中合わせになってこう…」

 

 

「おい待て、なんでお前もちゃっかり一緒に写ってるんだ。ミラ1人だと言ってるだろ」

 

 

「え〜駄目ですかい?」

 

 

「駄目だ、写真に写るのはミラ1人だ」

 

 

「悲しいねェ〜」

 

 

ショボーン、としているボルサリーノは放っておいて会議は続く

 

 

 

 

 

「ゴスロリ服!」

 

 

「だから風俗店じゃないと言ってるだろう!」

 

 

「訓練校の制服!」

 

 

「何故だが凄く如何わしい!却下!」

 

 

「白装束!」

 

 

「ミラに自害させるつもりか!?」

 

 

将校たちによる喧々諤々の会議が続けられる中、ついに彼女が動き出す

 

 

「みっともないよアンタ達、いい加減にしな!」

 

 

海軍の大参謀おつるの一声で場が一気に静まり返った

 

 

「全く…黙って聞いてりゃ勝手にあれだのこれだの、本人の意思は完全無視かい?」

 

 

痛い所を疲れたとばかりに黙りこくる将校たち、この時ばかりは流石に中将達も黙らざるを得ない

 

 

「こういう時は本人に直接聞くのが一番だよ、電伝虫貸しな」

 

 

部下から電伝虫を寄越させて、番号を入れ始めるおつる。

プルプルというコール音のあと、受話器を取ったのは渦中のミラ本人だ

 

 

「ああミラかい?おつるだよ」

 

 

『おお、おつるさん。元気しているか?約束していた腰の治療は明後日の筈だが…』

 

 

「今日はその話じゃないよ。

アンタ、海兵募集のポスターの被写体になるって言われただろう?」

 

 

『ああ、そうだな。本当は歴戦の名将であるおつるさんに譲るべきだと思ったんだが…今からでも望むなら交代するぞ?』

 

 

ヒィッ!?と何人かが青い顔をしているのをセンゴクは黙殺した、無理はない

 

 

「嬉しいがね、今回のはアンタが出な。

それで撮影の内容なんだがね、ミラから何か希望はあるかい?」

 

 

『希望か?そうだな…私は…』

 

 

皆が固唾を呑みながら返事を待つ

 

 

彼女の出した結論は……

 

 

 

『私は皆が選んでくれた服なら全て喜んで着させてもらおう、聞けば毎年選りすぐりの案が出されるというし。

面白そうだからな、全部着ようじゃないか!』

 

 

「……そうかい、分かったよ。

明日にはアンタのところに案を持っていくから待ってな」

 

 

『承知した、では後日』

 

 

「じゃあね」ガチャ

 

 

しばしの沈黙が会議室を包み込む

 

 

「………だ、そうだよアンタ達。よく考えて決めな」

 

 

しばしの沈黙、そして

 

 

ウオオオオオオオオオッ!!!!

 

 

議事の間に男達の歓声が響いた

 

 

海兵たちはこの日、己の持てる全ての知恵を絞りポスターの撮影案を考えたという

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

数日後、夕日の一番綺麗なマリンフォードの波止場で撮影は敢行された。

野次馬が屯する中あの時将校たちの選んだ服をミラは嫌がること無く全て着用し撮影を行い、終わる頃には夜もどっぷり更けていた。

後に撮影を行った専属カメラマン、アタッチャンは涙ながらにこう語る

 

「今までこの仕事をやって来て本当に良かった、ありがとう。それしか言葉が見つからない」

 

その後、その年の海兵志望者数は昨年の3倍に跳ね上がったという。

それに留まらず街角に掲載されていたポスターはことごとく誰かによって持ち去られ、追加で刷らざるを得なくなり。更に「この美人海兵は誰だ」等の問い合わせが海軍に殺到した。

そして五老星は予想外の事態を隠蔽するため奔走するハメになる。

また撮影時、一般には出回らなかったがミラが着たメイド服や着物姿等を収めた写真が海兵達の間で高額取引されているのをミラ本人は知らない

 

 

因みに同伴したセンゴクは撮影中ずっと頭を抱えていた

 

 

 

 







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