ふふ、おひさ…
今回は今やってるシャボンディ諸島デート編は置いといて、間の期間に書いた少し未来のお話を投稿します。
これもそれも話が進まない原作が悪い(現実逃避)
ミラが居ることによって未来が若干変わってる描写がありますんでご了承ください。
2話ほどでもとのデート編に戻ります。
??話 それは、海軍の死神で
いつからだろうか、その噂が流れるようになったのは。
「海軍将校には、高額賞金首を次々抹殺していく海の処刑人が居る。」
曰く、その姿を見て生きて帰った海賊はただの1人もいないらしい。
「海軍食堂には多くの海兵の舌を唸らせる伝説の料理人が居る。」
曰く、各国要人や世界貴族さえその味を求め、海軍から引き抜こうと画策していると。
「どんな病も怪しい薬で治してしまう医学の天才が、海軍本部医療班に在籍している。」
曰く、瀕死の重傷を負った海兵がその手当を受け、翌日には元気に外を跳ね回っていたらしい。
「海軍には、過去から在籍しているにも関わらず、外見が一切変わらない超絶美女が居る。」
「海軍には、時折夜霧に紛れて巨大な狼が現れる。」
「海軍には、遥か遠い軍事大国の姫君が雑用係として在籍している。」
「天竜人と繋がりをもつ海軍将校が、裏で世界を操っている。」
海軍には、海軍には、海軍には…
世界規模の巨大機関にして、正義の大砦〝海軍本部〟。
拠点を構える偉大なる航路前半のみならず、〝新世界〟、更には東西南北全ての海に支部が配置されるこの巨大組織には謎も多く、数々の都市伝説が残されていた。
入ったばかりの若い海兵達は皆、こういった根も葉もない噂を上官達に聞かされながら育っていく。また聞いた彼等もその次の世代へ話を受け継いでいく。そうして伝言ゲームの様に噂は広まり、かつあやふやになっていった。
その中の一つに、〝大将白蛇〟という名がある。海兵なら聞けば誰もが憧れ、海賊ならば恐怖するその名は、同じく三大将である赤犬、黄猿、青雉と並ぶ海軍本部の裏の顔。
決して姿を表に出さず、顔も本名も性別すら不明。その実力は他の大将を上回り、数多の海賊達を葬り去って、挙句四皇の1人と戦い打ち勝った無貌の大将。そんなお伽噺のヒーローの様な存在、正義の象徴とも言えるような海兵が、海軍本部にはいる、と。
「そんな全海兵憧れの存在が、此処に居るんですよ。ヘルメッポさん!それが海軍本部なんです!」
「分かった!分かったから!
もうその話は耳にタコが出来るほど聞いたぜコビー、いい加減静かにメシを食わせてくれ!」
海軍本部、大食堂。多くの海兵達の憩いの場は、日々多忙な海兵達にとって、つかの間の休息を得る場所でもある。そんな広い食堂の一角で、トレイを持って列に並ぶ男達がいた。
コビー曹長とヘルメッポ軍曹。
他ならぬ『海軍の英雄』ことガープ中将に見出され、雑用係の身から本部へと栄転した後、弛まぬ向上心と飽くなき鍛錬が実を結び、たった数ヶ月で異例の昇進を果たした、海軍でも密かに期待される新人海兵だ。
「どんな方なんでしょう、大将白蛇…
一目でいいからお会いしたいです、ヘルメッポさんは興味ないんですか?」
「そりゃまあ…親父も散々語ってたしな、『俺はあの白蛇と一緒に仕事をした事があるんだ。』ってよ。
ヘルメッポは元はと言えば東の海に位置する海軍支部、その長官だったモーガン大佐の一人息子だった。
高慢で自己顕示欲が強く、島民を虐げていたモーガンに影響されて悪ガキに育ったヘルメッポだったが、とある海賊と、その仲間達、並びにそれを支援する七武海の一人により地位やプライドその他諸々を木っ端微塵に打ち砕かれ、 改心し、巡り巡ってコビーと共に海兵を目指す事となったのだ。
「あの麦わら野郎に海賊狩り、いつか必ず俺がとっ捕えてやるんだ。ひぇっひぇっひぇっ!」
「ルフィさんやゾロさんを…」
「それに散々馬鹿にしてきやがったあのテゾーロとかいう七武海!アイツも今に見ていやがれ!」
「凄く強い人だったね、テゾーロさん。七武海だってのを隠してたのには驚いたけど…」
思い出すのはピンクの派手なスーツに黄金のネクタイ、左手薬指以外に黄金のリングをはめ、いい年こいて自身をエンターテイナーと名乗るお調子者の姿。黄金を操る彼の前に、モーガンの私兵達は次々と退治されていった。
そしてルフィとゾロの即席合体技により、モーガンとヘルメッポは海軍支部ごと吹き飛ばされ、御用となった。
「アレが七武海の強さだ、俺達はそれを超えなきゃならねえ。」
「分かってるよヘルメッポさん。その為に、今まで鍛えて貰ったんだ。」
「それに強くなればアイン教官も俺の事を見直して…」
「どうしたのヘルメッポさん、何か言った?」
「言ってねぇ!言ってねェよ!?」
ワタワタしながら慌てているヘルメッポを見ながら首を傾げるコビー、そんな2人の後ろから不意に声が掛かる。
「昼間から元気だなお前達は。」
「「じ、ジェイク教官!?」」
途端に2人が姿勢を正す、見上げる先には父親譲りの紫髪にサングラスが印象的な男性の姿があった。
「2人ともそう固くなるなよ、俺達も昼飯を食べに来たんだ。
良かったら一緒にどうだ、アインもビンズも構わねぇよな?」
「賛成、一緒に食べましょ。」
「昼餉は賑やかな方がいいでゴザル、拙者も賛成に一票。」
ジェイクの後ろからアインとビンズも顔を出し、賛同の意を示す。
「ぼ、僕達で良ければ喜んで!」
「よよよよよよよ宜しくお願いしますジェイク少将!」
「ヘルメッポの顔が普段の三倍面白くなってるんだけど本当に大丈夫か?」
「大丈夫?医務室まで連れて行こうか?」
「もっ!問題!無いですッアイン准将!
健康そのものなんデ!!」
「そう…気分が悪くなったら言ってね?」
「ファイッ!」
「青春でゴザルなぁ…」
アインを見るなり挙動不審になるヘルメッポを見ながら、ビンズは密かに呟いた。
コビーとヘルメッポが3人を教官と呼ぶ理由、それは海軍本部へ栄転した後、ガープの命令で彼らに稽古を付けていたのが、教導隊に所属するジェイク、アイン、ビンズの3人だったからだ。
ジェイクは近接格闘術、並びに六式を。アインは射撃と航海術を、ビンズは剣術を、それぞれコビー達に教え込んだ。2人が早期に昇進できたのも彼等の教えがあってこそである。
☆ーーーーーーーーーー☆
厨房内
「お前等手ェ動かせオラァ!そんな舐めた手際じゃ総料理長に燃やされるぞォッ!!」
「「「「ウッス!」」」」
「返事が小せぇ!」
「「「「「オイーッス!!」」」」」
☆ーーーーーーーーーー☆
厨房からは料理に精を出す男達の雄叫びにも似た怒声が響く。
コビー達5人は頼んだ料理をそれぞれ持ち、食堂の空いた席に座り、昼食に舌鼓を打っていた。
「今日も厨房は大忙しね。」
「あの…アイン准将、厨房の人達が言ってる『総料理長』って誰なんですか?
いつも不在で名前だけ出てくるから気になってしまって…」
「総料理長?そうねぇ、あの人は気まぐれだから…ねえジェイク、彼女はどうしてた?」
「アンさんか?確かエニエス・ロビーで先月会ったな。一応あの人の勤め先は彼処の筈だ。」
アンさん、と聞き覚えのない単語にコビーは内心疑問を感じた。
「アン、という方なのですか。総料理長というのは。」
「ああ、昔は食堂が人手不足でな。助っ人代わりにアンさんが入ってるうちにそう呼ばれるようになったんだ。」
海軍本部で密かに語り継がれる伝説の料理人の話を、コビーが詳しく聞こうとしたその時、大きな声が食堂に響いた。
「おういコビーにヘルメッポ!出立の準備をせい!ウォーターセブンまで向かうぞ!」
急な大声に食堂は一瞬静まり返り、皆が声の主を探して視線を動かす。
その先に居たのは、海軍の英雄とも呼ばれる男、モンキー・D・ガープの姿があった。
「「ガープ中将!?」」
「どうも、ガープさん。この2人にご用で?」
「おおジェイク、それにアインとビンズもおるのう!」
がははと大きく笑うガープ、その体躯には年齢に見合わぬパワーが秘められており、拳骨で山をも砕くともっぱらの噂になっている。
「ガープ中将、いきなりウォーターセブンに出発って…一体どうしたんですか?」
「いやぁ、お前らに会わせたい奴らがおってのう!詳しい事は後で伝える、早うワシの船に乗れい!」
「なんだって急に…ぐえっ!?」
「ガープ中将!首!首が絞まるッ!」
そういって両手でコビーとヘルメッポの襟首を掴んで引きずるガープ。
彼が破天荒なのはいつもの事なので、ジェイク達は心の中で彼等に合掌したのだった。
◆
「生きたいと、言えよッッ!!」
「い''き''た''い''…ッ!!私を…海へ連れて行って…ッ!!」
偉大なる航路に存在する世界政府の玄関口、エニエス・ロビー。
罪人を捕え裁くこの場所に連行された新たな犯罪者、その名はニコ・ロビン。政府が禁じている世界の歴史を暴こうとしたオハラの民、その最後の生き残りが彼女だった。
10歳の時、身に掛けられた7600万ベリーの賞金は彼女の人生を狂わせ、闇の世界の住人として生きる事を強いられる。そんな彼女は先日水の都ウォーターセブンである条件と引換に遂に御用となり、此処エニエス・ロビーへと連行された。
エニエス・ロビー中心部である『司法の塔』、跳ね橋を伸ばさないと決してたどり着けない大きな穴を挟んで、CP9長官スパンダムはたった6人でこの地へ乗り込んできた海賊と相対し、驚愕していた。
「たった6人…?それだけで世界を敵に回す気か!
馬鹿にするのもいい加減にしろ海賊共がァ!犯罪者は1人たりとも生かして帰さん、この女もそうだ!
巨大組織に逆らった事を後悔させてやる!」
そう叫ぶスパンダムは世界政府の旗を指す。この旗は世界政府及び数多の加盟国の団結の象徴とも言えるようなもの。その旗を見て、麦わら帽子の船長は呟いた。
「そげキング、あの旗撃ち抜け。」
「…了解。」
仮面の男が大きなパチンコを構え、そこから発射された弾丸は火の鳥となって、あろう事か世界政府の旗を撃ち抜いた。
「おーおーやりおったのうアイツら。」
「ぎゃはははは、こいつは面白くなってきやがったぜ。」
スパンダムの傍らに控えるカクとジャブラがボヤく。
「馬鹿だろアイツら…本当に旗を撃ちやがった!
世界を敵に回す気だ、本当に馬鹿だ…!」
「いよい!さあ〜長官ン!
敵は6人、こちらも6人、大舞台と参りやしょう!いよォ〜〜ッ!!」
「さり気なく俺を戦力外にしたろクマドリ!
チィッ!CP9、お前らは海賊共を迎え撃て!殺しても構わん!」
そう言ったスパンダムは腰に掛けていたニコ・ロビンの腕についている枷の鍵をカリファに放り投げる。
「ルッチ以外は此処で海賊共の相手をしろ。それぞれ鍵を持って、時間を稼げ。俺がニコ・ロビンを連れて護送船に入ればこっちの勝ちだ。
頼むぞカリファ。」
「セクハラです。」
「こっちは真面目に話してるのに!?
行くぞニコ・ロビン!
クソ、あの人との約束が無けりゃ引き摺ってでも連れていくのによ!」
「……あの人?」
「テメェに話す筋合いはねェ、さっさと行くぞ!来いルッチ!」
「了解。」
スパンダムはルッチを引き連れて、ニコ・ロビンを連行して行った。
その姿が見えなくなった後、カリファはため息を吐き他のメンバーと向き合い告げる。
「各自、長官の命令通りに動きなさい。それぞれ鍵を持って敵を撹乱、奴等へはフクロウが伝えくれる?」
「チャパパ、分かったー。」
「カリファ、ちといいか?」
「何かしらカク。」
「
『お嬢』、そう聞いたジャブラがビクリと表情を引き攣らせ、横目でカクを睨み付けた。
「起こすなよ?絶対起こすなよ?
起きられたら身の毛がよだって仕方ねえ…」
「同じ動物系を食った身としては同感じゃが…彼女は諜報員とは違う、借りてきた猫…もとい狼じゃ。仮に傷物にでもしたら…」
「やめろカク!俺はまだ死にたくねェ!」
動物系の悪魔の実を食べた2人は、相性的に悪魔の本能が逆らえず、彼女の前ではたちまち膝を屈してしまう。更に、『ためらいの橋』の向こうで現在勤務しているであろう彼女の保護者に失態を見られてしまえば…
「
最も、私達が束になっても敵わないのに海賊如きが彼女達を傷つけられるとは思わないけど。」
恐らく今、司法の塔の何処かで昼寝をしているであろうお嬢様と、橋向こうで勤務している保護者には何があっても失態を見せるわけにはいかない。
そう心に誓い、彼らCP9は行動を開始した。
司法の塔屋上。地面に芝生を生やし、ガーデニングの設備が整った、花や草木溢れる西洋庭園のような作りになっているこの屋上部分は彼女のお気に入りだ。
「すぅ……すぅ……ん………」
静かに寝息を立てながら、巨体を丸めて気持ちよさそうにする狼が、そこには居た。
…………
CP9と麦わら海賊団の戦闘は苛烈を極めた。
戦いの余波は司法の塔全域に及び、室内は荒れ果て、所々に蹴り砕かれた跡や、斬撃跡が残る。
状況は未知数の力を持つ麦わらの一味に傾いていた。既にルッチを除く諜報員達は敗北し、スパンダムの時間稼ぎもあえなく失敗に終わる。現在スパンダムはためらいの橋に続く地下道を抜け、なんとかニコ・ロビンを極力傷付けないように橋の中腹まで引っ張って、護送船の見える位置まで辿り着いていた。
「暴れるな犯罪者!このっ…いでぇ!?
手を噛むな!往生際が悪ぃぞ!」
「ハァ…ハァ…ッ!!私は…まだ死ねないのよ…」
「最初は死にたいとか言ってた癖に偉そうな事言うな!手荒なのは後でミラさんに怒られるんだよ!」
ポロリとスパンダムが口にしたその名に、ニコ・ロビンはふと疑問に思う。
「その『ミラ』が…私を捕らえようと躍起になってる『あの人』なのね。」
ニコ・ロビンを含む麦わらの一味はウォーターセブンに到着する前、立ち寄ったロングリングロングランドという島で海軍大将青キジと出会った。
彼曰く、世界的大犯罪者であるニコ・ロビンを連れるということは、全世界から狙われるという事。今までロビンが所属してきた数多の組織が、彼女が存在しているというだけで付け狙われ、滅ぼされた。そして政府は昨今、遂にニコ・ロビン捜索のために幻の大将『白蛇』へ出動命令を下した、と。
大将の肩書きを持つ海兵の力は言わずもがな。それを推して白蛇の実力は群を抜いており、麦わらの一味でも耳聰いナミやウソップなどは肩を震わせ恐怖していた。
ニコ・ロビンを庇うってことは、海軍の死神を敵に回すってことだ。そいつをよく覚えとけ麦わら帽子。
そう言い残し、青キジは去っていった。
「…ああそうさ、ミラさんは俺の恩人でな。道を外れかけてた馬鹿を真っ当な人間に戻してくれた、だからその恩に報いる。
その人から特別な電伝虫も預かってんだ。世界に一つしかない、お前の故郷を焼き払ったバスターコール+大将白蛇を呼び出す特別製のなァ!」
そう自慢げにスパンダムが懐から取り出したのは、通常のものとは違い、殻の代わりに背中にスイッチの付いたオレンジ色のリュックを背負った特別な電伝虫だった。
「バスター…コール…ッ!!」
ロビンは思い出す。幼い日、故郷の島を焼いた悪夢のような砲撃を。そして止めに島を消し去った血のように紅い稲妻を。
「バスターコールはお前にとってトラウマだってのは知ってんだ。
海軍総力を挙げて麦わらの一味を殲滅されたくなきゃ今更抵抗するのは止めな。俺はまだ最初の約束を律儀に守ってやってるんだぜ?しかも海賊相手にだ。
これ以上言わせるのは野暮だろォ?」
「くっ……」
バスターコールは国すら滅ぼす攻撃命令、そんなものが個人に向けられる。結果は火を見るより明らかだろう。ロビンは項垂れ、大人しくなった。
それを見て満足したのか、スパンダムは電伝虫を乱暴にポケットへ戻す。半分ほどはみ出しているが…
「オハラの学者共は世界政府の琴線に触れちまった、恨むならオハラの好奇心を恨むんだな。
…安心しろ、とはいかねえが、世界政府に捕まるよりミラさんの膝下の方が幾らか安全だ。」
「…?貴方は一体、何を言ってるの…?」
「…さっさと歩け犯罪者ァ!」
ごまかす様に怒鳴るスパンダムはロビンの枷に繋がれた鎖を引っ張り、ズンズンとためらいの橋を突き進む。
彼の呟きの真意をロビンは最後まで理解する事はなかった。
その時
ガチャン!
それは何かが地面に落ちた音だ。スパンダムもロビンも一瞬止まって、音のする方向を見やる。スパンダムのポケットに納められていた電伝虫が、無い。
地面を見れば、そこにはスイッチが下になった電伝虫が転がっていた。
次の瞬間
『ぶおおおおおおおん!ぶおおおおおおおん!
伝達!伝達!警報電伝虫より伝達!
大将白蛇へ殲滅要請!
バスターコールを発動せよ!バスターコールを発動せよ!出動命令を下す!
伝達!伝たちゅ…失礼、かみまみた。
繰り返す!』
大将白蛇による絶対殲滅命令を発動せよ!!
それが最後通達だったのか、何も喋らなくなる電伝虫。
まるで時が止まったかのように、静まり返る2人。暫くして、スパンダムはあらん限りの声量で叫んだ。
「やっちまったああああああああああああああああああああああああッッッッ!?!?!?」
大将白蛇、司法の島エニエス・ロビーへ出動命令
海軍本部
「
大将白蛇の出撃要請アリ!」
「…場所は?」
「司法の島エニエス・ロビーです!」
部下の報告を聞くと、本部に駐在する5人の中将達は顔を揃えて頷き合い、その1人である海軍中将オニグモが吼える。
「総員出撃準備!
いつもの三倍速く行動しろ、大将白蛇を待たせるな!」
彼に鼓舞された海兵達がいっそう忙しなく動き出し、やがて中将5人を乗せた軍艦10隻が、司法の島を完全に破壊する為にマリンフォードを出発した。
◆
ぶおおおおおおおん!ぶおおおおおおおん!
おや?何やら腰元で変な音がするな…
ああ、これはスパンダムに渡してた警報電伝虫か。
アイツ鳴らしてしまったんか、俺氏を呼ぶ笛を。
『空の騎士よ、我はもう征く。
…アッパーヤードの件はすまなんだな。
エネルの奴め、我と婚姻などとぬかした時にもう少しキツく仕置きしておくべきだった。』
「いや滅相も御座いません、もとより空島の時事は我々で方を付けるべき事。」
そう言ってくれると気が楽だよガン・フォールおじいちゃん…
此処は空島、アッパーヤード。
久しぶりにガン・フォールの所へ遊びに行ったらスカイピアは吹っ飛んでるわ対立してた筈のシャンディアの民とは仲直りしてるわ、オマケに自称神とかぬかすエネルの馬鹿野郎は居なくなってて、暫く見ない間に劇的ビフォーアフターじゃないですか。俺氏びっくらぽんだよ?
「青海からやって来た海賊達に色々と引っ掻き回され、こうして平穏を取り戻せたのです。感謝も伝えられないうちに彼等は去っていきましたが…」
『ほう、翼も持たぬ者が地上からここまで来たと。興味深いな。』
「また時間のある時においで下さい、彼らの話はその時にでも。
次は宴の準備を整えておきましょうぞ。」
『村の娘を生贄にするのは止めろよ?』
「あの時はご迷惑を…」
恥ずかしそうに頭を搔くじいちゃん、これがジジイ萌えという奴か…
『良い、また遊びに来るとしよう。
次は娘も連れてな。』
「お待ちしておりますぞ、龍神様。」
『その名は歯痒い、ミラでいい。』
「…お待ちしております、ミラ様。」
『様は要らんというのに…』
軽く別れの挨拶をしてから大きな羽根を羽ばたかせ、アッパーヤードを飛び立った。ぐんぐんスピードを上げて下へと急降下する。
此処に来る時一瞬すれ違った、タコバルーンに捕まってたキャラベル船。海賊旗が麦わら帽子を被ってた。
きっとアイツらだ
テゾーロを東の海へ送って、久しぶりにバラティエで一緒に食事した時、言っていた。「面白い海賊小僧を見つけた」って。
そうか、主人公の物語は始まっていたんだな。ココ最近原作の事すっかり忘れてたよ。
『ならこの邂逅も運命か…
私から逃れられるかな、麦わら海賊団。』
幾年もの時間が経ち、ようやく
編集でき次第次を更新できればやります。
熱中症…マジ無理ぃ…