大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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ハンコック出ます、メタっぽい発言にキャラ崩壊の危険アリアリです!

結局更新に1週間かかっちまったじゃねえかアアン!?





27 司銀姫(変態)と海賊女帝

「凪の海には女しかいない島がある」

 

と、海賊達の間ではしょっちゅう語り草になっている。

空に浮かぶ黄金の都、海底の人魚姫伝説、海賊船の消える魔の海域、そして海軍の死神。

人が伝えた数多ある伝説の中にその『女ヶ島』の伝説も存在していた。

 

産まれる子供は皆が女性、女ばかりのこの世の楽園が世界にはあるらしい。

 

しかし女人島があるとされるのは『凪の海(カームベルト)』と呼ばれる海域だ。

嵐の来ないその海域は海王類達の住処となり偉大なる航路と他の海を阻んでいるのは周知の事実、そんな場所にあるかないかも分からない島を探しに来る無謀な輩などいない。

それ故に女人島はただの伝説として語られていた。

 

九蛇海賊団の名が世に広まるまでは

 

 

その海賊団には女性しかおらず、皆が生粋の戦士らしい。

その海賊団と出会うと乗組員は皆石にされてしまう。

色々な()()()のついたその海賊団が政府に認識され、重要視されたのはつい最近。七武海の再編を望む政府の最高機関は伝書バットによる接触を試みた結果、ある返信が返ってきた。

 

「大将白蛇と直に会いたい」

 

興味本位か策謀あってか、九蛇海賊団の真意は分からないがこれを承諾した政府は本人の了承を得て大将白蛇を女人島、『アマゾンリリー』と派遣したのだった。

 

 

 

 

 

 

と、いうわけでやって来ました女人島。今度はちゃんとテリジアとイルミーナ、レムの三人を連れてクルスの背中に乗り凪の海を突っ切った。

1人で行こうとしたら「また道に迷うおつもりですの!?」って止められたのはナイショ。

 

程なくして島周辺に到着。大きさそんなにない、少し離れた場所に『ルスカイナ島』っていう猛獣達が住む島があるが今回は用はないので説明は省く。

 

 

「この島で間違いありませんわお姉様、永久指針(エターナルポース)も此処を指しております。」

 

 

腕に付けた永久指針の針を見ながらテリジアが微笑む。

海軍本部には様々な島へ行く為にログポーズがあり、大体の島には行けるんだけど女人島は例外だ。凪の海に位置するこの島は海王類の巣になっていて海賊船はおろか海軍の軍艦も近づけない、なので俺達4人をクルスに乗せて少数精鋭でやって来た。

 

 

「よしクルス、岸まで頼む。

着いたらレムはクルスと一緒に待機、テリジアとイルミーナは私に付いてこい。」

 

 

「了承」 「…ん」 「承知致しました」

 

グルルゥ…

 

 

俺の命令を理解したのかクルスも低く唸る。

海王類って賢いのよね、言ってることも理解していうこと聞いてくれるし。癒し系じゃない?

海王類が皆こうだって訳じゃないけど…

 

 

「さあ、女帝とご対面と行こうか。」

 

 

 

…………

 

 

クルスに岸まで送ってもらい、そこからは徒歩でジャングルを歩きアマゾンリリーを目指す。

うっそうとしたジャングルが終わり、視界が良くなった所で関所のような場所を見つけた俺氏は門番の女性に政府の要請で大将白蛇が来たことを伝えると集落の中へと案内された。

この島は男子禁制らしい、なんも考えてなかったけどいつもの3人を連れてきて良かった。軍艦じゃ部下の乗る船を沖に放置させないと行けなくなるところだったからな。

 

集落に入るとワイワイと市場や出店が立ち並んでいて、活気があるのが分かる。

本当に女しか居ないんだな、鉄を打つのも魚を捕まえる網を引くのも力仕事はみーんな女がやってる、ちょっと感心した。外界から孤立した島だからこそ強い女性が育つんだろうか?

 

あ、あのゴルゴンゾーラみたいな料理美味そう…

 

 

 

「蛇姫様は只今湯浴みの途中ですので終わるまで城内には入れません、暫くお待ちください。」

 

 

蛇姫は入浴中らしい。

何故だか彼女が風呂に入っている間は城内には誰1人として入ってはいけないと御触れが出ているようだ。

 

 

「……海軍の大将を呼び出しておいて自分は呑気にお風呂に入っておりますの?大層なお姫様ですわね。」

 

 

テリジアさんや、やめなさい。案内の人めっちゃ睨んでるから。

 

 

「おひめさま、綺麗ずき?」

 

 

「だな、一応人と会うんだから身体くらい洗うだろ。テリジアも嫌味は止めておけ。」

 

 

「私の感性がビンビン告げてますの、きっと蛇姫とやらはとんでもないろくでなし姫ですわね。」

 

 

「祖国を飛び出したお前も変わらんだろう…」

 

 

「うぇへへ、お姉様に褒められました//」

 

 

「「褒めてない」」

 

 

思わずイルミーナと声がハモる。

なんて雑談しながら時間を潰していると湯浴みの時間とやらも終わったらしく、天幕が退けられていく。

城内から別の使いがやって来て俺達3人は城の中へと案内された。

 

 

…………………

 

 

 

「蛇姫様はこの先でお待ちです、くれぐれも粗相の御座いませんように。」

 

 

案内のお姉さんから念を押され、音を立てて目の前の大きな扉が開く。

 

そこにいたのは豪華な椅子…の様な蛇に腰掛ける若い美女の姿、両隣には護衛らしき薙刀を持った女性が2人。

 

この女が…九蛇の女帝、ボア・ハンコックか。

大きく胸の開いた痴女コスにシミ一つ無い綺麗な肌、そんでもって世の男達百人に聞いたら全員が『美人』と答えるであろう整った顔立ち…なるほどエロい女だな!

 

 

「海軍大将白蛇、招集に応じ参上した。

つきましては海賊女帝ボア・ハンコック殿、世界政府公認組織『王下七武海』への参加の意志を問いたい。」

 

 

影で頑張って練習したテンプレの七武海お誘い文句を述べた後、彼女の返事を待つ。

 

少しして、蛇姫が口を開いた

 

 

「……………そうか、遠き彼方よりよくぞ参ったな大将白蛇。歓迎しよう。

まずは……妾の為に死んでくれるか。」

 

 

……は?

 

 

「は?」

 

 

思わず間抜けな声を上げてしまった。が、そんな俺に構うこともなく蛇姫は自分の胸の前に手でハートを作りこう告げる。

 

 

「メロメロ甘風(メロウ)ッ!!」

 

 

びびび〜っとハート型からピンク色の光線が伸びてきて俺達はそれをまともに食らった………だけだった。

そんな俺にも気付かず勝ち誇ったように蛇姫は笑う。

 

 

「ハッハッハ!悪いな大将白蛇、〝蛇〟の名は二つも要らぬ!

そなたを呼んだのも全てこの為よ、石になって眠っておれ。

恨んで構わぬぞ、それも妾が美しいか……ら……あれ?」

 

 

「「「?」」」

 

「?」

 

 

お互いに首を傾げ合う

 

 

「……メ、メロメロ甘風ッッ!!」

 

 

またびびび〜っとピンクの光線が俺達を照らし…………何も起こらない。

 

 

「「「?」」」

 

 

俺達は顔を見合わせふたたび首を傾げ合う、そんな中蛇姫と取り巻きの女達はとても狼狽えてた。

 

 

「な…何故じゃ!?何故妾のメロメロが効かぬ!」

 

 

「そんな馬鹿な…姉様の魅力は老若男女問わず全ての生命を魅了するハズ…なのにどうして…」

 

 

みりょー…?

 

 

「単純にお前に興味が無いからじゃないか?」

 

 

「んなッ!?はぅん……」

 

 

「あ、姉様しっかり!

ちょっと大将白蛇、貴女なんて事を!」

 

 

「お年頃の姉様は傷つき易いのよ!

もっと考えてからものを言いなさいよ!」

 

 

なんか説教された、フヒヒwサーセンwww

そしたら蛇姫、くらりと目眩を起こしたのか椅子に倒れ込む。なんだこいつ。

 

 

「ああ、〝メロメロの実〟ですわねお姉様。」

 

 

ポンッと手を叩きながら納得したようにテリジアが呟いた。

 

 

「知っているのかテリジア?」

 

 

「はい、悪魔の実図鑑で読んだことがありますの。

メロメロの実、石化人間。能力は確か自身の体に劣情を抱いたものを石に変える能力ですわ。九蛇海賊団に襲われた船員が全員甲板で石になっているのを発見されたと噂になっていましたがコレでしたのね。」

 

 

メロメロの実か!

あーなんか原作思い出してきた、よくウ=ス異本に出てくるアレだ!

エロい身体したハンコックに欲情した奴は石にされるんだっけ。

 

 

「それで幼いから女の魅力とか分からないイルミーナや、そもそも人間の体に興味が無い私には効かなかったのか。テリジアお前は…」

 

 

「むぉっっちろん私はお姉様のお姿にしか惹かれませんもの!他の者に靡くとか有り得ませんわ!//

お姉様の御御足…香り…お胸の感触…うえっへっへっへ…//」

 

 

「石になってれば良かったのに…」

 

 

「てりじあのコレは、もうだめだってれむが言ってた。

『いしゃがだまってくびをよこにふるれべる』だって」

 

 

レムの奴どこでそんな言葉覚えてイルミーナに教えたんだ…。なんか 蛇姫のお付きも残念な奴を見る目でテリジアを見てるよ。やめたげてぇ!

 

 

「そんなことより…お姉様、この不敬者共はお姉様を謀って石に変えようと致しましたわ。処分は如何致しましょう。」

 

 

急にキリッとして真面目なセリフを吐き出したテリジア、落差が半端ないの。

 

 

「別にいいだろ、何もされてないんだし。これ位狡猾な方が海賊らしい。

私はコイツが七武海にさえ入ってくれれば…「嫌じゃ」……は?」

 

 

「い・や・じゃ!

妾の思い通りにならぬ連中の話など聞きとうない!もう用はない、帰れ帰れ!」

 

 

はぁ〜い〜?

なんじゃこの我が儘お姫様は!?

常識無いのか?いや海賊相手に常識問うのも馬鹿な話だけどアマゾンリリーの皇帝なんだろ?

よく見りゃ顔は大人びてるがまだ幼い、18歳位のガキじゃないのかこの女。こんな年で女帝とかやってんの?

 

 

「ほう…この私をわざわざ呼びつけて罠に掛け、あまつさえ目的も果たさずに『帰れ』とは…舐められたものだ…覚悟は出来てるんだろうな?」

 

 

ちょっとイラッと来てしまった。

ビリビリと大気が震え、紅い雷光が俺の周りを渦巻き始める。

七武海にならないのなら九蛇海賊団を壊滅させて帰るだけ、七武海は別のヤツを探すしかない。またコング元帥お疲れ様会の企画が遅れてしまうのが心残りだけど…

 

 

「お待ちニョされ大将白蛇、事を急いではいかニュ!」

 

 

その時、不意に後ろから声がした。

振り返ればそこには海岸にクルスと一緒に待機させていたはずのレムとちんまいバーさんが扉の前に立っている。

 

 

「…レム、クルスと居ろと言ったはずだが。」

 

 

「ミラ達が出発してから少しして、入れ違いになってこの老婆が現れた。

最初は穀物の妖精かと誤解したけどミラと話がしたいそう。

クルスを待たせて追い掛けてきた。」

 

 

「誰が豆の妖精か!

……失礼、大将白蛇。儂はアマゾンリリー先々代皇帝グロリオーサと申すもニョ、蛇姫の王下七武海加入の件でお話があって参った次第。」

 

 

ちんまいバーさんことグロリオーサは先々代の皇帝らしい、この聞かん坊より少しは話が出来そうだ。

 

 

「ニョン婆!そなたとて勝手な真似は…」

 

 

「おだまり蛇姫!

この国の存亡にかかわる時事じゃ、まだ若いオヌシには決めかねよう。ここは年の功に任せなされ。」

 

 

「黙れ老害!」

 

 

「んだとゴラァ!?」

 

 

いやこいつらはもう話とか以前の問題かもしれん…前途多難や…

 

 

 

……………

 

 

 

 

2人が言い争った後、別の部屋で話がしたいとニョン婆に案内されて場所を変えることにした。

 

さんざん言い争いをして、最後には出ていくと言った蛇姫だったがあまりの不真面目さに怒ったテリジアが水銀の縄で亀甲縛りにし話し合いに強制参加させられる事に。

この会議室では今、対面して座る俺とニョン婆さんの横に縛られた女帝が居るという世にも奇妙な構図が出来上がっている。

 

 

「まずは謝罪を。すまニュな白蛇殿、女帝の我が儘に付き合わせてしもうて…

これでもこの若造がアマゾンリリーのトップなニョじゃ。」

 

 

項垂れるバーさん、聞くにアマゾンリリーでは国で最も武力に優れる者が皇帝の座に就けるらしい。ハンコックはその天賦の才を認められ18歳という若さで皇帝の地位を手に入れたようだ。

 

……それで我が儘放題好き放題のお姫様に育ったのか、教育環境がなってないな。

 

 

「謝罪はいい、さっさと用事を済ませよう。

懸賞金8000万ベリー、『海賊女帝』ボア・ハンコック。彼女にその意思があるのなら世界政府及び海軍は王下七武海入りを歓迎する、望むのなら相応の恩赦も付けるそうだ。

わざわざこの私を呼んだんだ、只のイタズラでも海軍大将を呼び出す意味が分かってるよな?」

 

 

「妾は嫌じゃと言っておる!絶対に王下七武海など「おだまりなさい」…ふもが!?ーッ!?ーーッ!!」

 

 

亀甲縛り状態でも相変わらずデカイ態度で文句たらたらな蛇姫にテリジアはその口へ猿轡(さるぐつわ)を突っ込み黙らせる。

どんどん18禁に近い格好になっていく海賊女帝、そしてお前はなんで猿轡なんて常備してるんだ…

 

 

「本人の意思はともかく、彼女が七武海に参加することで得られる利は多い。

こニョ国は見ての通り女子しかおらニュでな、今は凪の海に守られていても海賊が攻めて来ニュ保証はニョい。

七武海の名があれば悪い虫も寄り付かニュというもの。」

 

 

……確かに、この島は凪の海という海域に点在しているからこそ他の海賊が寄り付かない安全地帯となっているがその安全はいつまでも続くはずがない。現に海軍では某変態科学者が海楼石を利用して凪の海でも軍艦を渡らせられる様にする為研究をしている最中だ。うちの船大工曰く「船の底に海楼石を敷けばワンチャン」らしい、それをベガパンクに話したら目からウロコが落ちてた。

トム有能スギィッ!!

 

そこでこの婆さんは一時の安心より七武海による後ろ盾を必要としたわけね、それなら少なくとも蛇姫が七武海である限りアマゾンリリーは侵略されないもんな。

 

 

「お前達の目的は七武海と政府の後ろ盾、か。

よく先を読んでいるな、年の功は侮れん。」

 

 

「お褒めに預かり光栄じゃ。

……それにしても、あの『死神』と悪名高い海軍大将白蛇がまさかうら若い女性とはニョう。」

 

 

「悪名とは失礼だな、面が割れるのは面倒だからな。そうさせているだけだ。

偽者だと疑うのなら…今この場で実力を証明してもいいんだぞ?」

 

 

マジ狩る大将白蛇ちゃんは自慢の軍刀で海賊達を見 敵 必 殺 しちゃうゾ。

丁度いい海賊団もいますからねえ…(微笑)

 

 

「老いさらばえても儂は九蛇の戦士、一目見ればそなたが並大抵の者では無いことくらい理解できるわい。

そニョ力、レイリーに匹敵…いやそれ以上か…。

とにかく、うちのヒヨッコ共では相手にならニュのは明白。故に話し合いの場を設けた次第じゃ。

ですが本人があの調子ではニョう…」

 

 

ちらっとニョン婆はもがくハンコックを見やる、続けて俺も見やる。

 

 

「ーーッ!!ーーーッッ!!#」

 

 

ありゃ相当怒ってらっしゃるね、間違いない。

どうしたもんかな、当人のハンコックが納得してくれないと七武海加入は不可能だし…

 

 

「取り敢えず猿轡を外してやれテリジア、話が出来ん。」

 

 

「かしこまりました。」

 

 

テリジアによって拘束を解除されたハンコックは顔を真っ赤にして怒り心頭だった。そりゃそうだ。

 

 

「おのれ…この辱め、恨みはらさでおくべきかッ!!」

 

 

「落ち着きなさいませドチャシコ皇帝。ここで取り乱しても自分の価値を下げるだけですわよ。」

 

 

ぶっ!?ド、ドチャシコ……ッッ!!?//

 

だからお前らそんな言葉を何処で覚えてくるんだ!?ホントは転生者とかじゃないのか?俺はこっちにいた時間が長過ぎて偶に転生者ってこと忘れそうになるけども!

ドチャシコ皇帝……元の世界なら大爆笑もののエッジの効いたワードだが意味を知らない蛇姫はキョトンとしてる。

 

 

「なんじゃその、どちゃしこ…?という呼び名は!?馬鹿にしておるのか!」

 

 

「ご安心下さいませ、完全に馬鹿にしておりますわ。」

 

 

「なんじゃとおおおおおっ!?」

 

 

お互いギーギーいがみ合うテリジアとハンコック。

テリジアがここまで他人に突っかかるなんて珍しいな…

そんな2人の言い争いを見かねたのかニョン婆は声を上げた。

 

 

「ニャらば『武舞』にて決着を付ければ良いではニャいか蛇姫。

武力で優劣を決めるニョがこの国のしきたり、それならば文句はあるまいて。」

 

 

「んな!?なぜこのような女と妾が…「いいですわよ」なんじゃと…?」

 

 

「武力によって上下関係を決める、素晴らしいじゃありませんの。

私が負ければ貴女の好きになさると宜しいですわ、但し貴女が負ければ…王下七武海に加入して頂きます。

これ以上お姉様の御手を煩わせる事などあってはなりませんもの、決闘(デュエル)で決着を付けましょう。

…それとも、九蛇の女帝ともあろうお方が負ける事に怯えてますの?」

 

 

「な・ん・じゃ・とぉ…?

望むところじゃ!その生意気な鼻っ柱をへし折ってくれる!」

 

 

「上ッッ等ですわメチャシコ皇帝!

吠え面掻かせて差し上げますッ!!」

 

 

「ドチャシコもメチャシコも止めいっ!何故か分からんが怖気が走る!」

 

 

まさに売り言葉に買い言葉、子供みたいに喧嘩する2人にニョン婆は密かに笑っていた。

あーこんな笑い方見たことある、『計画通り』だっけ?

 

謀ったなあのバーさん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アマゾンリリーには『武舞』と呼ばれる習わしがある。

「より強い女が権力を得る」この国において手っ取り早く強さを証明する手段が武舞による決闘だ。

コロシアムの様な円形闘技場の真ん中で一対一のガチンコバトル、相手が動けなくなる、もしくは降参するまで闘いは続けられる。

 

そして今、コロシアムの真ん中にはウチの給仕長ハレドメラグ・テリジアと海賊女帝ボア・ハンコックが向き合って睨み合い、互いに火花を散らしている。

 

 

「てりじあ、かてるかな。(もぐもぐもぐ)」

 

 

「まあ負けやしないだろうが…どうしてこうなった?」

 

 

出店の焼き鳥みたいな串物料理をたらふく買い占めて俺の膝の上でバクバク食ってるイルミーナが特に心配する様子もなく呟いた。

俺達はニョン婆に連れられて蛇姫のお供(ハンコックの妹達だったらしい)と一緒にVIP用の観覧席に移動していた、いい席みたいでここからなら2人の闘いが良く見える。

 

どこから情報が漏れたのか、蛇姫が闘う姿を一目見ようと集まったアマゾンリリー中の女性達でコロシアムの席は埋め尽くされている。それ位蛇姫が人気な証拠だ。

 

 

「時に白蛇よ、あニョテリジアとかいう娘…姓はニャンと?」

 

 

「姓?名字だな、ハレドメラグだ。

ハレドメラグ・テリジアがあいつの名前だよ。」

 

 

「ハレドメラグ…?ニャんと…」

 

 

その名を聞き、ニョン婆は目を見開き驚いている様だった。

 

 

「あのお転婆女に娘が……いや世代的には孫なニョか?」

 

 

1人でブツブツ言ってる豆バーさんを他所に戦闘開始の銅鑼が鳴り響き2人が動く。

 

 

「「死に晒せオラァッッ!!」」

 

 

ああーっと!両者同じ罵倒を叫びながら開幕クロスカウンターをぶっ込んできたーッ!?

初っ端の女帝とは思えない暴言に闘技場は一時騒然とした。が、そんなことに構うまもなくお互い距離を取った2人はそれぞれ遠距離攻撃を行うかまえだ!

 

 

「マシンガンキス!」

 

 

月霊銀弾(ヴォールメン・シルヴヴァレット)ォッ!!」

 

 

蛇姫の両手の人差し指から生まれたハートが連射されテリジアに迫る、多分あれ食らったら石にされるんだろう。

同時に負けじとテリジアも両掌から生み出した水銀の雫を無数のライフル弾に変え、撃ち出した。

 

 

「真似するでない変態女!」

 

 

「こっちのセリフですわエロ皇帝!」

 

 

ハートと銀の弾丸飛び交うおかしな戦場で2人は罵り合う。そして拮抗状態が続いた後お互い埒が明かなくなったのか最後の1発を撃ち終わると同時に蛇姫は武装色で硬化された足で、テリジアは水銀で生み出し同じく武装色で強化したハルバードを片手で振り上げながら再び闘技場の真ん中でぶつかりあった。

 

 

「「ぐぎぎぎぎぎッ!!」」

 

 

ハルバードと脚がギリギリと火花を散らす。

2人の激闘は続き武装色同士がぶつかり合う度に金属のぶつかり合う様な嫌な音が闘技場全体を揺らしていた。

お互い気合が半端じゃない、正直近寄りたくない。

 

 

「……不思議、テリジアが他人にあそこまで積極的になる姿を見るのは初めて。」

 

 

不思議そうにレムがボヤいたのが聞こえた、確かにそうだ。

テリジアは俺やイルミーナ、レムにステラには素の自分(俺の脚に頬擦りしてハアハア言うのが素のテリジアというのも大分アレだが)を見せているが仕事中やさして交友のない将校たちと話す時なんかは借りてきた猫みたいに大人しい。人当たり良く対応も物腰柔らかで接客業やってる店員みたいだ、正直ちょっとよそよそしい感じすらある。

でも蛇姫と会ってからはかなり素に近いテリジアが出てきて直ぐ化けの皮が剥がれた、いや隠す気無いだけか?

 

 

「アイツも一応元女王だからな、傍若無人な蛇姫に対して思うところがあったのかもしれん。」

 

 

「元女王…そういえば彼女はそうだった。」

 

 

「ハレドメラグの姓を持つ女王……やはりあニョ娘、ミュゼの孫か。」

 

 

豆バーさんがポンと手を叩く、どうやらテリジアに心当たりがあるらしい。

…ミュゼ?ミュゼって誰だ?

 

 

「穀物の妖精、テリジアの過去を知っている?」

 

 

「だから豆の妖精ちゃうわ!

……ワラキュア公国第三代目皇帝、またの名を『冥雷妃』ハレドメラグ・ミュゼリコルデ。昔の話じゃ、儂はそやつと旧知の仲じゃった。」

 

 

懐かしそうに語るバーさんの隣で蛇姫の妹、マリーゴールドが首を傾げる。

 

 

「それはニョン婆が突然この国を飛び出してからの出来事なの?」

 

 

「そニョ通りじゃマリーゴールド。

ある病から逃げる為、アマゾンリリーを逃げ出し出会った仲間……シャッキーやレイリー達ニョ中にそやつもおった。

ミュゼは放浪癖が酷くてニョう、家督を旦那に丸投げして1人で放浪の旅を続けておったニョじゃ。海賊王の船にも一時期乗船しておったらしい、ミュゼは詳しくは語らんかったがの。」

 

 

妹達は楽しそうに語るニョン婆に興味しんしんだ。

凪の海に孤立した島だもんな、外の世界に憧れるのは男も女も変わらないらしい。

 

…にしても海賊王の船に乗ってたのか、テリジアの祖母さん凄い人だな。

でも前にセンゴクさんに渡された例のリストにはミュゼリコルデの名は無かったし…政府に気付かれない少しの期間ならロジャーと一緒に居たとしてもバレなかったのかな?

五老星曰く、海賊王ゴールド・ロジャーはオハラの学者達と同じ…いやそれ以上に深く「世界の秘密」を知ってしまった。ポーネグリフを読み解き『空白の100年』の歴史を紐解いたロジャーは最後の島『ラフテル』へと辿り着き、五老星や世界政府が恐れる〝何か〟を手に入れた。

さもなきゃロジャーに関わった人物全てを一族郎党全滅させるなんて狂った考えなんて起こさないだろ。

そこまでして政府が揉み消したい事情…なんだろね、この世界をひっくり返してしまう大事なんだろうけど検討もつかないナー。

 

 

……え?俺は気にならないのかって?

 

別に…ねえ?たまに忘れそうになるけど俺祖龍だし、人としての常識とか持ってるけど基本感覚は龍だからかな。

人間の歴史とかどーでもいーですはい。

今こうして海軍で働いているのも言ってみればノリみたいなもんだし、君らも蟻にしか分からない歴史に黒歴史がありましたーなんて言われても興味無いでしょ。

人間が目標決めて頑張ってる姿を見るのは好きだけどね、志って大事。

 

 

俺に興味を示させたけりゃハンターとかミラボクラスの強敵を持って来なされ。

 

 

つーか俺海軍の人間(龍)なのにロジャーの話題言っちゃって大丈夫なのかよ。

 

 

その時、闘技場から大きな歓声が上がった。

さっきまでガチンコバトルしていた2人はどうやら決着が近いらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

月霊(ヴォールメン)串刺刑(スキュアード)!!」

 

 

テリジアの足下から浸透した水銀は闘技場の足場の隙間を縫って浸透し、掛け声と共に槍状に伸びて一気に地面から突き出した。

ハンコックは予め見聞色の覇気で察知してはいたものの覇気の上から傷付けられた事により反応が遅れ、水銀の槍は直撃はしなくとも彼女を大きく吹き飛ばす。

そしてテリジアは間髪入れずに着地したハンコックを地面に縛り付け、その首元にハルバードの切っ先を突き付けた。

 

 

「勝負あり、ですわ。降参なさいまし。」

 

 

「ぐ…嫌じゃ!妾はまだ生きておる!戦える!」

 

 

両手両脚を水銀で拘束され、俗に言う〝くっ殺〟状態のハンコックだが威勢は変わらず噛みつかんばかりの様相でテリジアを睨みつけている。

その瞳からは「負けたくない」という強い思いが感じ取れた。

 

 

「もがいても無駄ですわ、負けを認めなさい。

貴女が無様にもがく姿を見て民はどう思います?

負けず嫌いなのは分かりましたがそれだけでは寿命を縮めるだけ…」

 

 

「ゴチャゴチャと五月蝿いわ!

貴様に説教されずとも分かっておる!小娘如きが粋がっておる事など百も承知……それでも妾はこの国の皇帝!

王が早々に膝を屈しては、それこそ民草に会わせる顔も無かろうが愚か者め!」

 

 

ハンコックの叫びにテリジアは少し驚き、同時に安心した。

 

どうせただ強いだけで甘やかされ育った我が儘皇帝だろう、と高を括っていた。だがこの女は予想に反し、『強さ』が物理的、肉体的ではなく『王』として求められる『強さ』を知っている。

 

ただ強いだけでは民は付いてこない

 

それに恐怖し、いつか反旗を翻す

 

一国の〝王〟とは『強く』、そして民の前で誠実でなければならない。

蛇姫は誠実さを見せたのだ。

 

『民の前では決して膝を屈しない』

 

それが国として正しいかはともかく少なくともハンコックは〝王〟として相応しい振る舞いを見せた。

 

 

 

「………分かってるじゃありませんの。

ですがお姉様の前で私も恥を晒す訳には参りませんので、奥の手を使わせていただきます。」

 

 

ハンコックの姿勢に納得はしたが愛しいミラ(お姉様)の手前、勝ちを譲るわけにはいかないテリジアは〝奥の手〟と称して懐からある写真を取り出す。

 

 

「なんじゃ!勝負はこれから……て、なんじゃその写真は……………なあっ!?」

 

 

テリジアが懐から取り出したもの、それは一枚の写真だった。

 

ハンコックがあられもなく縛られ猿轡をし、嫌々ながら顔を赤らめている姿を収めた

 

 

亀甲縛りにされ、強調された胸元に滴る汗や赤みがかった太股がかなりエロティックに栄える。

これは先程、テリジアがハンコックを縛った際に誰にも気付かれないように写真に収めたものだ。

自らの痴態を目の当たりにしたハンコックはさっきまでの威勢は何処へやら、顔を青ざめさせながら怒鳴り散らす。

 

 

「な…なんじゃその写真…まさか先程の…」

 

 

「おっほっほ、お察しの通りですわ。

会議室でお姉様とグロリオーサ様がお話しされていた時にちょろっと……うふふ、常日頃お姉様のお姿を内密にカメラに収めている私にかかればこの程度の盗撮、造作もありません。」

 

 

「待て!お主今さらっと自分の上司にとんでもない事しておらんかったか!?」

 

 

「おっと口が滑ってしまいました。

コホンッ……さあさあボア・ハンコック。

『世界一の美女』と名高い貴女のこぉんなあられもないお写真がもし世経(世界経済新聞)の手に渡ってしまったら…一体どうなってしまうんでしょぉ…?」

 

 

「ひっ!?お主まさか…」

 

 

ハンコックは考えうる限り最悪の事態を想像した、してしまった。

 

明日の朝刊へ大々的に、自分の縛られている姿が何万部も刷られ全世界に報じられる様を

 

テリジアは耳元で優しく囁く

 

「明日の一面は決まりですねぇ。

想像してみて下さいまし、貴女の預かり知らぬ所で貴女の縛られている姿を見て興奮する男達…うふふふふふふふ…」

 

 

「ひいっ!?止めい!怖気が走るうううううっ!?!?」

 

 

自分の痴態を知らない所で広められ、興奮されるなど考えただけで許容など不可能だ。ハンコックは悶え苦しんだ、それはもう今までにないくらいに。

 

 

「ひいあ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''っ!!!」

 

 

悲鳴を上げたハンコックはその内ガクリと泡を吹いて倒れてしまった。

 

勝敗は決した

 

 

 

「あらあら、気を失うほどお嫌でしたのね……そんなに男がお嫌いですか。

いえ、その背中で何となく察しましたわ。まったくあの天竜人(クズ)共も業が深いですわね…」

 

 

テリジアは戦闘中、ちらりと見えたハンコックの背中に入れられたある焼き跡を思い出し嘆息する。

 

天翔る竜の蹄、天竜人に奴隷の烙印を押された証。それが背中にある限り社会復帰など不可能になる呪いの印だ。

ハンコックが気絶する程嫌な理由は…わざわざ言葉にするまでも無いだろう、普通の女性なら自害するレベルまで貶められたという事だ。

 

奴隷は人では無いのだから

 

 

「(本当に忌々しい制度です。

御祖母様が飛び出した理由もなんとなく分かりますわ。今頃どこで何をしていらっしゃいますの?

海賊王亡き後、うねる世界で貴女の求めるものはありましたか?お会いしたいですわ…)」

 

 

 

戦闘終了を告げる銅鑼の音が鳴り響く。

 

 

 

『海賊女帝』ボア・ハンコック、世界政府公認組織王下七武海へ(強制)加入決定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イルミーナ、そっちの書類は?」

 

 

「だいりにんの印をもらった、だいじょぶ。」

 

 

「ん〜、よし。

これでお前に書いてもらう書類は全部だ、ご苦労さん。

王下七武海へようこそ、ボア・ハンコック。」

 

 

闘技場での『武舞』の後、約束通りハンコックは渋々七武海へ加入する事を承諾した。そんでもって今は海軍と政府に渡す書類にサインして貰ってる途中だ。

 

大将白蛇が直々に選んだっつー前提なので実力等は俺のお墨付き(という事で通す)、人格面もなんとかクリア、そしてナワバリ等の支配領域を確認してこれも政府に報告……こまごました確認の書類多いんだよな。

 

なんか前世の記憶が思い出される

 

幸い九蛇海賊団はアマゾンリリー以外にナワバリとか無かったのでさして時間は掛からなかった。

 

 

「つ…疲れたのじゃ…。

七武海はこんな面倒な手順を踏まぬといかぬのか?」

 

 

「これはまだ時間が掛からなかった方だぞ、面倒な部分は私達が予め片付けておいたんだ。

あとこちらから伝える事は…ナワバリを増やした時は報告しろ。」

 

 

「心配せずともナワバリなど増やさぬ、九蛇海賊団の島はアマゾンリリーのみよ。」

 

 

「それから、海賊はいくらでも狩っていいが商船や一般の船舶は最小限の被害に止めておけよ。

度が過ぎるなら…私が〝オシオキ〟しに現れるからな。」

 

 

「…………善処しよう。

妾もお主に暴れられるのは堪らぬ。」

 

 

「よろしい。」

 

 

なお、俺が〝オシオキ〟しに現れた場合アマゾンリリーは血に染まるゾ。

 

 

七武海になる事で得られる恩赦は「海軍、及び政府の船舶は女人島の半径3キロ圏内に近寄らない事」に決まった。その結果蛇姫に何か用がある場合、海軍の船は凪の海のど真ん中で待ち続けるという鬼の様な所業になった訳だがまあ仕方ない。

 

ともかく!これで七武海は三武海から四武海になった訳だ(最早意味不明)。

成果挙げれた、やったぜ!

これでコング元帥お疲れ様会の企画に乗り出せる!

 

最近道間違えたり災難しか無かったからなあ、嬉しい…ウレシイ…

 

 

「ふむ、それではお暇するとしよう。

悪事も程々にな。」

 

 

「ごきげんようクリムゾン皇帝」

 

 

「お主もな盗撮女」

 

 

「「ンだとオラァッ!?」」

 

 

少しの内に随分2人はナカヨクナッタナー

 

テリジアはレムに、蛇姫は妹2人に押さえ付けられ俺達は女人島を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで仕事もできたし一安心、俺も帰ってゆっくり出来る…と思ったんだ。

 

五老星から電話が掛かって来るまでは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偉大なる航路、新世界〝ウーシオ島〟

 

 

 

「ウォロロロロロロッ!!オラァッッ!!」

 

 

ギギイィィィッッ!?

 

 

ウーシオ島地下深く、太陽の光も届かない暗い暗い地の底で1人の大男が吼える。

対峙するのは巨大な〝蟹〟だった、だがその手先に鋏は無く、代わりに槍のように伸びた鋭利で大きな爪が付いていて、爪先から青白い電光が走っている。

蟹は威嚇する様に爪をすり合わせ、その頭上に電気の塊を創り出すと高速で近寄り、躊躇いなく大男へと電気の塊を炸裂させた。

 

飛び散る電光、普通の人間ならば黒焦げになる様な威力の攻撃。だが大男はピンピンしている。

 

 

「効かねぇなァ……アイツの一撃に比べりゃこんなモン蚊が刺したみてぇだぜッッ!!」

 

 

大男はその丸太のような腕を振るい蟹の甲羅を殴りつける。数発叩かれた後、蟹は逃げる様に地面の中へと潜り込んだ。

 

 

「野郎逃げやがった……いや、違うなァ。」

 

 

束の間の静寂、そしてそれは高速で背後からやって来る。

 

 

「後かァ!!」

 

 

潜った蟹はそのまま地面を掘り進み、男の背後へ回り込んでいた。

そして電気を纏い、弾丸の如く勢いで彼へと突撃したのだ。

 

男は振り向きはしたものの回避が間に合わず、そのどてっ腹に攻撃を受けることになる。

 

自分をここまで追い詰めた敵もこの技で屠ってきた、今までの経験則から腹は紙のように突き破られ、男は絶命する…と蟹は己の勝利を確信していた、そうなるはずだった。

 

だがそうはならなかった

 

 

黒く変色した男の腹は鉄の様に…いやそれ以上の硬度をもって蟹の一撃を受け止め、完全に威力を殺してしまっていた。

男はニヤリと笑い、そのまま蟹の両爪を掴んで握り潰す。バキバキと爪が割れていく音と蟹の悲鳴が谺響した。

 

 

「駄目だ…やっぱりテメェの一撃は軽い、来世から出直して来いッッ!!」

 

 

蟹の顔面に巨腕が振り下ろされる

 

 

島全体が揺れ、蟹は思い切り地面に叩き付けられた。蜘蛛の巣状に地面へ亀裂が走りその一撃の重さを物語る。

自慢の甲羅はグシャグシャに割られ、蟹はその命を絶たれた。

 

 

「カイドウ様!カイドウ様あ〜!」

 

 

戦闘が終わり、彼が一息吐いていた時に部下の海賊が走ってやってくる。

 

 

「おう、今終わったトコだ。

今日の晩飯はコイツを茹でて食うぞ!料理長に伝えとけ。」

 

 

「げえっ!?でっけー蟹だァ…それよりもカイドウ様!

例の情報、挙がりました!

大将白蛇は三日後、新世界のクモミ島にやって来ます!なんでも小さい翼竜が群れを成して現れたとかで、その討伐に!」

 

 

「何ィ!?ホントかァッ!!

ウォロロロロロロッ、そうかそうか…待ってろよ白蛇ィ。未来の旦那が会いに行くぜェ!」

 

 

そう呟いて男は、カイドウは笑う。

 

初めて彼は女に負けた。

それから彼はハンマーでガツンと殴られたかのような大きな衝撃が身を震わせ、いてもたってもいられなくなる。今すぐあの女を自分の虜にしたくなる。

あの時からパッタリと消息が途切れていたが部下に張らせた情報網を使ってやっと位置が割り出せた。

 

 

彼は海賊、欲しい者は力づくで手に入れる。

 

 

 

それが誰であっても、どんな存在でも

 

例え海軍大将であっても

 

彼は止まらない

 

 

だって『恋はいつでもハリケーン』だもの




七武海が増えたよ!やったねミラたん!
そしてテリジアの家族が(話だけ)登場、その内出ます。能力者ですが龍ではないです。

過去編はオリ話多いです、原作が乖離しがちで申し訳ない。七武海を揃えたら原作時間に突入したいなあ…気長に待って頂ければ幸いです。



次回、岩の玉座に座する者、クモミ島の戦い


10月22日更新…進捗60%位です、仕事がッ!!仕事がッ!!

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