ロキ・ファミリアに父親がいるのは間違っているだろうか 作:ユキシア
【ロキ・ファミリア】の
二人部屋の寝室で秋夜は満面の笑みを浮かべ、リヴェリアはやや呆れ気味に息を吐いていた。
「やっぱりここは落ち着く………」
「まったく……」
腰を下ろしているリヴェリアの膝元に頭を置いている秋夜。
リヴェリアに膝枕をして貰っている秋夜はご満悦だ。
「ちゃんと二人きっりの時にしているだろう?」
「立派な大人が今更膝枕程度で喜ぶな」
「男は常に心は子供なのだよ、リヴェ」
「威張れることか」
呆れながらもリヴェリアは慣れた手つきで秋夜の頭に手を置いて優しく撫でる。
子供をあやすようなその仕草に秋夜は大満足。
こんな嬉しいことをしてくれるのなら子供上等と叫びたい。
「なぁ、リヴェ。お前も一緒に
「……そう言われたら断りづらいが、私は
「そんなもんラウルに押し付けた」
「仕事をしろ。馬鹿者」
溜息を吐くリヴェリアは貧乏くじを引かされたラウルに若干同情する。
「下の者を堂々と使えるのが上の者の特権だ」
「……はぁ、もういい」
今更何を言っても仕事はしないだろうと悟ったリヴェリアは後に秋夜に押し付けられたラウルの分の仕事を手伝おうと頭の片隅に入れておく。
「毎年参加しているのによくも飽きないものだ」
「極東の血が祭りを呼んでいるんだ」
宴会、祭りと聞けば極東の血がそれに参加しろと訴えてくる。
これは極東の住む全ての種族の宿命なのだ。
「リヴェにも浴衣を着て欲しかったけど来れないのならまたの機会にするとしよう」
「ぜひともそうしてくれ。極東の着物は嫌いではないがどうも落ち着かん」
生粋のハイエルフであるリヴェリアにも秋夜は着物や浴衣を着てくれと土下座で頼んだことがあるが、落ち着かないということで断念した。
ルフェルは特に抵抗もなく着てくれるから育ちと生活のせいと推測する。
そんな他愛もない談話をしていると。
「なぁ、リヴェ。お前はこれからのことをどう考えている?」
「どういうことだ?」
質問の意図がよくわからず聞き返すリヴェリアに秋夜は口を開く。
「そのまんまの意味だ。アイズ達も成長してきている。いや、アイズ達だけでなくラウルやアキ達もそうだ。【ファミリア】結成当時からいる俺達はそろそろ引退というこれからのことを考えてもいいんじゃないかと思ってな」
「まだ引退するには早いぞ?」
「ああ、俺はまだ冒険を続けるつもりだ。だが、先の事を考えると不意にそんなことを考えてしまう」
「そんなものか?」
リヴェリアには秋夜のその考えがしっくりこないのは自身が
「私はお前が冒険者を止めても何も言わないぞ」
悲しげな瞳で今はない秋夜の左腕に視線を向ける。
秋夜はこれまで片腕というハンデを抱えながら冒険をしてきた。
いつ冒険者を止めてもそれを責める権利はリヴェリアにはないことぐらい自覚している。
「ばーか」
そんなリヴェリアの額に秋夜はデコピンを与える。
「俺が冒険を止める時はお前と一緒の時だ。大切な妻をダンジョンに送らせて自分は安全な場所におれるか。それにいつまでもこのことに責任を感じる必要はない」
「しかし……」
「しかしも何もない。そんなに責任を感じているのなら今からおっぱい揉ませろ」
「それとこれとは関係ないだろう!」
胸に伸びてくる秋夜を手を頬を朱色に染めて弾くリヴェリア。
「そんなツンツンするな。今まで何度も揉んだじゃねえか。その度にリヴェは感ぐほっ!!」
「………もう一発いっておくか?」
「も……申し訳ございません………」
振り下ろされた拳が秋夜の腹部に直撃してポキリと指の骨を鳴らすリヴェリアに秋夜は謝った。
全く、と息を吐きながら怒りを収めるリヴェリアは回復魔法を秋夜にかける。
「ね、寝ている人の腹を殴るのは卑怯じゃねえか……?」
「お前が変なことを言うからだ、馬鹿者」
十中八九秋夜が悪いと第三者が居ればそう答えていただろうが、生憎この部屋にはリヴェリアと秋夜の二人だけの為それを証明することは出来ない。
「全く、リヴェももう少し素直になればいいのに。俺がリヴェの事を心から愛しているようにリヴェも俺の事を心から愛してくれているのはスキル『
『
秋夜とリヴェリアのレアスキル。
互いを想い続けている限りその効果は持続され、同じ時を過ごすことが出来る。
つまり、互いが愛し合っている限りは秋夜はリヴェリアと同じ時間、
このスキルが発現した日はロキは腹を抱えて大爆笑して喜んでいた。
「それとこれとは別だ」
愛し合っていても羞恥心がなくなるというわけではない。
周囲に見せつけるような恥ずかしい真似はリヴェリアの
秋夜は逆に周囲に見せつけて自慢したい。
「話を戻すぞ。私は冒険者を引退したらオラリオを出て再び世界を見て回りたい。ルフェルのことも心配だが、あの子ももう立派な冒険者だ」
「ルフェルの事に関しては同意見だ。ルフェルはもう一人立ちしている。寂しい気持ちもあるがもう心配するほどではない」
悪い虫が寄ってくるかは別として、だが。
「俺も、リヴェと一緒に世界を見て回ろうかな。元々は旅をするつもりで極東を出たつもりだし」
「ふふ、二人で世界を見て回るか。悪くないものだな」
「そうだな………」
笑みを浮かべ合う二人に秋夜はそろそろ告げ口する。
「ところでリヴェ。さっきからティオネ達が聞き耳を立てているがどうする?」
その発言にガタリと扉の前で音が聞こえたリヴェリアは扉を開けるとそこにはティオネ、ティオナ、アイズ、レフィーヤが慌てふためいていた。
「あああああああああの、ち、違うんです!リヴェリア様!!これはその………!」
「わ、私は別に、今後の団長との参考にしようなんて思ってないわよ!!」
「ティオネ!心の声ただ漏れ!」
「………」
鬼の形相を作るリヴェリアに必死に言い訳を放す三人とこれから行われる説教に体を震わせているアイズ。
リヴェリアの後ろで笑っている秋夜は何となくアイズ達が聞き耳を立てていたわけがわかる。
今後のフィンとの仲を縮める為の参考にティオネが三人を連れてきたのだろうと容易に推測できた秋夜は微笑を浮かべながらリヴェリアの肩に手を置く。
「全くお前等。見たいなら見たいって正直に言えばいいものを」
「秋―――」
夜と振り返った瞬間、リヴェリアの口は塞がれた。
秋夜の唇によって塞がれ、終夜は右腕をリヴェリアの後ろに回して逃がさない様に強く抱きしめる。
「しゅ……」
「舌噛むぞ」
離れようとするリヴェリアを逃さない秋夜はリヴェリアの口に舌を無理矢理ねじ込んで犯す様に絡み付かせる。
胸を叩いて止めようとするも力が入らずにされるがままに唇を犯されていくリヴェリア。
『………………』
激しいディープキスを凝視するアイズ達構わず、むしろ見せつけるように唇を重ね合う。
秋夜の胸を叩いていた腕は力が抜けたかのようにだらんと下に落ちる。
たっぷり三分間。唇を重ねて離れると唾液の糸がツーと二人の口から出てくる。
恍惚な表情で全身の力が入らないリヴェリアを支えて秋夜はアイズ達の方に向いて片目閉じる。
「ここからは大人になってからだ」
そう告げて扉を閉めると放心するアイズ達の耳に二人の声が微かに聞こえた。
『秋夜……何をする………っ!』
『何って決まっているだろう?夫婦の営みだ』
『お、お前はあれほどの辱めを受けさせて………』
『ふふふ、可愛かったぞ。それに据え膳食わぬは男の恥。そんな俺を誘うような顔をされたら我慢なんて出来ねえよ。今夜はたっぷり可愛がってやる』
『ま……』
聞こえたのはこれで最後だ。
後はリヴェリアの何かに耐えるかのような艶のある声が微かに聞こえてくる程度。