私立幻想学園   作:黒鉄球

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どうも、不定期投稿に定評のある黒鉄球です。もうヤダ、志望理由書のダメ出しが多すぎて……やってられるか!とか言ってFGOに逃げてました。お蔭で沖田さん手に入れたから良いんですけどね。


7話 : 四人目と五人目

「いってぇ!お前もうちょい優しくやれよ!」

 

「煩い、黙って治療されてなさい。あんたの腕、ヒビ入ってるみたいだし、ね!」

 

「痛えっつってんだろ!」

 

 ディオラとの一戦後俺はすぐに気を失ったらしい。まぁ1時間程度で起きたけど。俺の体はボロボロで骨も何本か折れてると思ってたけどなんとかヒビで済んだ。出血量もなかなかだったけどよく鼻血出すし、それでいて貧血起こったことないし意外と普通だった。俺が起きた直後は魔理沙以外泣き崩れていた。死んだかと思ったらしい。まぁそれはそれとして霊夢よ、もうちょい包帯を緩くしてくれ超痛い折れちゃうから。

 

「つーかレミリアとディオラは?さっきまでここにいたろ?」

 

「あれ見なさいよ」

 

 霊夢の指差す方向を見ると4人で抱き合っていた。なんか金髪の女の子増えてるし何あれ?実は妹がいましたーとか言う感じ?だとしたら知らないにいちゃん達が来てごめんなさい。つーか十六夜、お前はなんでカメラ構えてんだ。鼻血出てるし。

 

「レミリアァァァ!」

 

「お父様ぁぁぁ!!えぇぇぇん!!」

 

「「よかった……本当に良かった……」」

 

「お嬢様が……泣いて……シャッターチャンスですね!」

 

「いつの間に家族集合してんだ。8時にゃまだ早いだろ」

 

「あと30分よ」

 

 そんなツッコミは求めてないが……まぁでも家族全員が仲良くなって良かった良かった。実のところを言うと俺は不安を抱いていた。もし、俺がディオラと対峙せず、家出を成功させていたらどうなるのだろうか、と。十中八九警察沙汰になって家族内で分裂が起きるだろうと思っていたからだ。時期当主に完璧を求める父と、何も言わなかった母。そして、出たくても出られず、自分の運命だと気持ちを押し殺していたレミリア。不安も不満も爆発してもおかしく無い状況で娘が拉致られたら果たして探すのか?将又、先ほど存在を知った妹に押し付けたのかそれはわからない。わからないが理想を押し付けて、目的を達成させようとも恐らくレミリアの二の舞になっていた。だからこの結末は最善だったと思う。

 

「………嬉しそうね、あんた」

 

「まぁな。十六夜の依頼内容とは異なったけど、結果としてディオラとレミリアが分かり合い、ああやって抱き合うことができたんだから結果オーライだろ」

 

そう、と一言だけ呟き、またレミリアのある方向を向く。ほんと、良かったな、レミリア。

 

「そういや魔理沙と美鈴は?あいつらどこ行ったんだ?」

 

「あぁ、なんかむこうで話してるわよ。多分私達本来の目的の話ね」

 

抜け目ねぇなあいつ。つーかあいつ俺が起きた時泣いてなかったな。あれ?俺が泣きたくなって来た。そんな涙のない人間魔理沙は一体どう言う交渉術を使ってるのだろう。そんなことを思いながら見ていると少し落ち込んだ様子で戻って来た。まぁ察するよな、勧誘に失敗したな。

 

「おーい、美鈴は門番のこととかあるから無理だってよ……」

 

「「うん、なんとなく分かってた」」

 

 口を揃えて言うなー!と叫ぶ魔理沙。その声に反応を示したスカーレット御一家はこちらに歩いて来た。目を赤くしてこちらに来た。さっき見たときよりも穏やかな表情だと言うことはわかった。だが言わせてもらおう、ディオラ怖い超怖い。白い部分が充血して真っ赤だよ。真っ赤な誓いでも掲げるのかってくらい赤い。腹わたはぶちまけたくない。

 

「劉斗………大丈夫なの?」

 

 同じく目を赤くしているレミリアが心配そうな声で言った。まぁそれもそうだろう。かなりの出血量だったはずだからな。見た目は。でも見た目ほどの出血ではなかった。昔流した血の量に比べたらなんの問題もない。

 

「あぁ、もう腕の感覚もあるし視界もはっきりしてる。心配かけて悪かったな」

 

 俺はそばに寄っていたレミリアの頭を撫でた。こうするのが1番だと思ったからだ。あとは十六夜に謝んねぇとな。

 

「十六夜も悪かったな。作戦にない動きをして困惑させた。だから気にすんな。俺のこの怪我は俺自身の勝手な行動の証だ。十六夜が気に病むことはねぇ」

 

 だからと言ったのは十六夜が申し訳なさそうな顔をしたからだ。俺の勝手な行動であった傷なのにそんな顔されたんじゃなんつーか、寝覚めが悪い。

 

「勝手な行動に関しては許しません。いきなり返事が返ってこなくて心配したんです。その罪は重いです」

 

 ぐうの音も出ない。いや、心配をかけたのは事実っぽいしそれに関しては申し訳なく思ってるけどそこまで言われるか普通。こういう時って大体一発張られるんだよな。覚悟を決めるか。そんな覚悟を決めると十六夜から予想だにしない言葉が飛び込んで来た。

 

「ですからその罪は………私を名前で呼ぶことで手を打ちましょう」

 

「………は?」

 

 謎すぎて理解が追いつかない。え?名前?俺ちゃんと「十六夜」って呼んでるよな?こいつの真意がわからん。

 

「俺ちゃんと呼んでるよな?十六夜って」

 

「馬鹿ですか?」

 

 貶された。いや、マジでわからん。あと俺の学力は中の上だ。そこまで馬鹿じゃねぇ。馬鹿なのは魔理沙だけで十分だ。真意を問いただしてみるか。

 

「ですから!私のことを毎度毎度「十六夜」と呼ぶのを「咲夜」に変えてくださいって言ってるんです!」

 

 どうやら十六夜………咲夜は苗字で呼ばれることに慣れていないらしい。なんかあたふたしながら言ってたがそこはどうでもいい。つーかそんなことは最初に言えよ。あと……。

 

「なんでレミリアは唖然してんだ?」

 

「だ、だって……あの咲夜が男性に対して自ら名前で呼んでなんて言ったことなかったんだもの……」

 

 そりゃあ毎日のようにお前に付いてりゃそんな機会すらねぇだろうからな。まぁこれ言ったらレミリアが自分を責めそうだから言わないけど。

 

「ライバルの出現だな、霊夢」

 

「な、何言ってんのよバカ魔理沙!」

 

「え、そうなんですか霊夢さん」

 

「うっさい!」

 

 なんか横で騒いでるけどなんのことかわからん。リュウト、ウソツカナイ。一頻り話を終えたところで気になることを聞いてみる。

 

「ところでそこの金髪の子は……レミリアの妹か?」

 

 俺はディオラの後ろに隠れている金髪のサイドテールの女の子に指をさした。それに気づいたのかこちらにテトテトと走って来た。

 

「ええ、この子は……」

 

「フランドール・スカーレットだよ!よろしくね、お兄様!」

 

 ………は?今此奴なんて言った?お兄様(・・・)っつったか?……あぁ、あれだな。お姉様ことレミリア・スカーレットの他にも兄妹がいるって事ね。だから決して俺に向けられた言葉ではないことを願うそうに違いない。だがまぁ一応確認しておこう。

 

「なぁ、お兄様って誰の事だ」

 

「そんなの目の前にいるあなたしかいないよ?あ、お義兄様(・・・・)の方がよかった?」

 

「ちょっとフラン!?」

 

 はい、どうやら俺がお兄様だったようだ。いや、ふざけんなよ?お兄様だろうがお義兄様だろうが俺はそんなもんになるつもりはない。流石です、お兄様とかは言われてみたいかもしれないが別に妹属性は興味ない。

 

「……ふぅ。いいか、俺には武御劉斗って名前があるんだ。だから俺の事は劉斗ってよべ」

 

「………うん!よろしくねリュート!」

 

 満面の笑みで俺の名前を呼ぶ金髪ロリっ娘。ちょっと発音が違う気もするがまぁいいや。別にボッスン(・   )ほど拘りがあるわけでは無いしな。おっと、アクセントを間違えてしまった。

 

「それで、なんでレミリアは顔赤くしてんだよ……」

 

「え!!?あ、いや、別に赤くなんてしてないわ!だってフランがお義兄様ってそれってつまり……

 

 なんか最後のあたりがごにょごにょしてて聞こえなかった。なんだろう、何のことだろう。再度聞こうとしたがオーバーヒートしていて会話にならなかった。顔がスカーレットだな。もうガンメン・スカーレットでいいな。

 

「劉斗、ちょっといいかな?」

 

 ガンメ……レミリアの後ろからディオラが声をかけてきた。なんことかわからんが思い当たることを言っておこう。

 

「ディオラ……さん。なんすか?まだ痛めつけたりないとかっすか?」

 

「そんなわけあるか!私はただ、君にお礼をと思ってな」

 

 予想外すぎる言葉が聞こえてきた。お礼とかそんなわけあるか!だって俺あんたと戦って娘を連れ去ろうとした男だぞ。そんな男にお礼とかどMなのかな?違うか、違うな。

 

「君には恩が出来た、と言っているのだよ。君がレミィを連れ出さなければ私はこの子に向き合おうとも思はなかったし、本音も分からず終いだったからな」

 

 ディオラは一呼吸置いて言葉をつづけた。

 

「感謝するぞ、武御劉斗」

 

 俺はこれほど清々しいお礼を見たのは、聞いたのは久しぶりだ。それこそ小学生以来だ。霊夢の母ちゃんからの……だったかな?大人のお礼というものは何とも綺麗で、威厳にあふれているのだろう。多分今の俺は照れてるんだろうな。少し顔が熱い。でも、俺は所詮敗者であり、和解の仲介人に過ぎない。お礼なんて、俺にはもったいない。

 

「俺は別になんもしてねぇっすよ。ただ、レミリアの背を押しただけで。結局俺はあんたに負けてるし、レミリア泣かせてるし。だから礼なんていらねぇっすよ」

 

 俺の言葉を聞くと「そうか……」と一言だけ言った。レミリアの母親は微笑むだけで何も言わなかった。いや、言わなくても伝わってるから別にいいんだけど。さて、これで依頼は終わりだ。本題に入ろう。

 

「レミリアと咲夜に不躾ではあるんだけど俺からの願いをきいてくれないか?」

 

「……?何?」

 

 何を聞かれるのかわくわくしないのレミリア。……おい咲夜、そのガードはなんだ。別にいやらしいお願いなんてしねぇよ失礼な。べ、別にひざ裏舐めたいとかヘソ舐めたいとか変態紳士的なことしないから。

 

「お前らには俺達の部活、[学園生活支援部]に入部してほしいってのが俺からの願いなんだけど……ダメか?」

 

「「……なんだそんなことだったのね(んですか?)」」

 

言われると思った。思ったけどあえて言った。だって本来の目的は恩を売って入部してもらう事だったし。まぁこれを魔理沙と霊夢に言うと「人聞きが悪い(ぜ)!!」って言われるから言わないけど事情だけは説明しねぇとな。俺達の部活の事、期限以内に六人集めなきゃいけない事そのすべてを説明した。

 

「分かったわ。それでお礼が出来るのなら入るわ、その[学園生活支援部」に。ね、咲夜」

 

「ええ、もちろんです。仮にもしいやらしいお願いだったのならナイフを刺してましたけど」

 

了承してくれたのはいいけどさらっと恐ろしい事言わんでください夢想封印撃つぞ、霊夢が。若しくは俺のダイナマイトパンチが火を噴くところだ。あ、腕にヒビ入ってるんだった。利き腕死んでるとか勘弁してくれよ。毎日牛乳飲まなきゃいけないじゃんめんどくせぇ。

 

「つーか咲夜。お前メイド長だろ?その時間を割いても大丈夫なのか?」

 

「ええ、私がつかえているのはレミリアお嬢様なのでたとえメイド長であっても離れることはできます。ですよね、旦那様?」

 

 目が怖い。YESと言えって目で訴えてる。

 

「問題はなかろう。というか私が許す」

 

 超ゆるかった。すぐにYESっつったぞ。ほんと、その機転を娘に利かせろよ。とはいえ、四人目と五人目がそろった。あと一人で規定六人はそろう。あと一歩で目的を果たして、正式に部活として認められる。……また波乱が起きませんように。

 

 

 

 

 

 




はい、次回も不定期になりますのでFGOでもやって気長にお待ちください。

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