「…………もう朝か」
今日は自然と目が覚めた。枕元の時計を見ると朝の7時。いつもならこのくらいに魔理沙達がオラオラ系のビュンビュン系で起こしに来るのだがどうやら来ていないみたいだな。よし、今日はゆっくり出来る。なんならサボれるまである。まぁ昨日の今日でサボるとか紫さんから殴られるからやんないけどな。でもまぁ……。
「二度寝しよっと」
俺は二度目の眠りについたのだった。
「眠らせるわけないでしょ馬鹿。とっとと学校行くわよ」
はい二度寝終了。いや、寝てないけどね。畜生霊夢のやつがくるとは……って一人足んなくない?あの素敵フィリピンバナナで有名な魔理沙ちゃんは?とりあえず気になったので尋ねてみようそうしよう。
「魔理沙は?」
「なんか「今日は用事があるから先行ってるぜ!」とか行って学校行ったわよ」
相変わらず自由人だなあいつ。そういや俺んちに通うとか言い出したのも魔理沙だったな。マジはた迷惑だったけど来ないなら来ないで淋しいもんだなぁなんて痛感した俺であった。ほんと数か月前の俺が嘘のようだな。ん?そういえば……。
「お前巫女の仕事は?」
「はぁ?そんなのお母さんに押し付けてるに決まってるじゃない」
何言ってるんですかやだーみたいな顔されてもこちとら理解が追い付いてないんだが。え?まじで?霊華さんに仕事押し付けたの?博霊の巫女仕事しろよ……。なにを当たり前ですよみたいな顔してんの?
「お前……霊華さんに怒られるぞ」
「大丈夫よ、お母さんから了承済みだし」
ふふん、とまぁまぁある胸を張る霊夢。やめろマジでお前小さくはないんだから強調されるでしょうが。胸がとは言わないが。言ってるじゃねぇか。
「はぁ………んじゃとっとと飯食って行こうぜ」
――――――――――――――――――――
さて教室に着いたのだが先に着いてる筈の魔理沙の姿が見当たらない。教室の中でも一本指に入るくらい煩いから気づかない筈がない。……一歩指ってそれ煩いの一人だけじゃん。魔理沙ぇ……。
「あのアホまさか道に迷ってねぇよな」
「んなわけないでしょ。ほら、机に鞄引っ掛けてあるし」
横にいる霊夢が指差す先には魔理沙の机と鞄があった。うむ、確かに来てはいるみたいだな。んじゃあなんで……。
「おい、来たぞ……」
「ああ、今日もかわいいなぁ」
ザワザワ……ザワザワ……
「……………」
急に教室が騒がしくなった。どうやら俺たちとは反対側のドアから入ってきた奴にみんな(男子勢)が釘付けになっているようだった。青味のかかった銀髪のウェ―ブ、真紅の瞳、そして小学生レベルの身長の子と銀髪のボブカットにもみあげから伸びる緑のリボンがつけてある三つ編みの子……。
「うん、誰だあれ……っていって!?何すんだ馬鹿霊夢」
え、いきなり殴られた。うっそ、俺なんもしてねぇぞマジでなんで?
「あんたに呆れたのよ……。二週間も経ってるのにまだクラスメイトの名前を憶えてないなんてね」
呆れ顔で淡々という霊夢。まぁほぼほぼサボってたしマジで知らないんだけどね。
「あの小さいのはレミリア・スカーレット、その後ろにいるのは十六夜咲夜よ。なんでもあの銀髪はちっこいののメイド兼護衛らしいわ。他にもいるみたいだけどクラスにいるのはあの二人だけよ」
つまり主従関係にあるってわけか。なるほどね、つーかスカーレットってあのスカーレット財閥か。確か大手会社の総取締役の一角。てことはそのご令嬢があの子ってわけか。……つーか男子勢諸君、無視されてるぜ。
「ねーねーレミリアちゃん、今日のお昼一緒に……」
「いやぜひ俺と!」
「いいや俺と!」
ふむ、人気があるのか。まぁ確かに目鼻立ちも整ってるしそりゃ人気も出るよな。主に男子から。俺は全然だけど。
「お嬢様に気安く話しかけるな……」ゴゴゴゴ・・・…
お前が断るんかい銀髪美少女!護衛とはいえ流石に……。
「オイ、サクヤサンニノノシッテモラッタゼ」
「クッソウラヤマシイゼ……」
おいおい聞こえてんだけど?ののしられるために行くとか変態か?変態だな。見ろよ、スカーレットお嬢様のすまし顔も軽く歪んでるぞ。
「いいのよ咲夜。どちらにしろ……私に自由なんてないから」
「お嬢様……」
おいおいなんでいきなりそんな感じ?自由?なにそれ……となるのが普通だが俺には興味はないのでスルーの方向で。そう決め込んだら廊下から誰かが走る音が聞こえてきた。
「お!劉斗、霊夢!おはようだぜ!」
「やっぱりお前か魔理沙。廊下を走ってると紫さんに怒られんぞ」
「心配すんなって!もう怒られたからな!」
自慢げにGJサインを出す魔理沙。はい馬鹿この子超馬鹿。怒られたのにもかかわらず走って教室に来るとか本当に馬鹿。今ちらっと息切れしてる紫さんも見えたし……。あの人が走ってどうすんだよ。
「ゼェ…ゼェ…ま、魔理沙……廊下は…走らない……ゼェ……」
「いや、あんたも走ってるし老化も進んでるし気w「な に か い っ た ?」」
「イエナニモイッテナイワ」
ものすごい形相で霊夢を睨む紫さんと片言になった霊夢。馬鹿め、そういうのは心に留めておくもんだぜ霊夢。……名言っぽいはずなのになんだろうすごくかっこ悪い気がするわ。
「あ!そうだ劉斗、霊夢!話が……」
キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴った為魔理沙の声が聞こえなかった。何か話があるみたいだったが……まぁ昼にでも聞こう。あと紫さんが怖い。
「早く席に着きなさい。さもないと……あなたたちだけ宿題増やすわよ?」ニコッ
「「「はい座りました!」」」
(((え、笑顔が怖かった……)))
満場一致でそう思ったに違いない。
――――――――――――――――――――――
「ん?もう時間だな。それじゃあ今日はここまで!」
やっと四時限目も終わった。正直超疲れたわ。なんで午前の四コマに英、数、理、古文が入ってんだよふざけんよ。まぁ鬼門も越えたしあとは……保体と現代文か。さて飯の前に体伸ばそうかね……。
「劉斗!ちょっと来い!あと霊夢も!」
「え?ちょ、ひっぱんなっての!」
強引に魔理沙に連行される俺とそのあとに続く霊夢。あの……俺の飯…購買が……。
――――――――――――――――――――――
そんなわけで連れ去らわれて屋上島。普段なら風が気持ちいぜとか言ってるんだろうけど今はそんな感じでもない。不機嫌極まりない。首根っこ引っ張られて屋上だもん。うぜぇ以外に感想が出なかったわ。
「んで何?俺は何の為に連れ去らわれたわけ?」
「知らないわよ。私も授業中にメールで言われただけだし」
どうやら霊夢も巻き込まれた側らしい。って授業中にメールしてたんかいこいつら。よくばれなかったな。
「じゃあ魔理沙、一体どういうつもりだ」
俺の問いに対して魔理沙はまっすぐ俺を見ていた。あ、これめんどい事言う時の魔理沙の顔だ。
「ふふん、それはだな………部活やろうぜ!!!!」
「「…………はぁ!?」」
やっぱり面倒事だった。俺は眉間にしわを寄せ、霊夢は何言ってんだコイツ?みたいな顔をしていた。そんな俺達の顔などしらんと言わんばかりに魔理沙は話を続けた。
「だ・か・ら!部活だよ!人助けをしよう!!」
「……ごめん何言ってんのか分かんないわ」
「そうよ魔理沙。いきなり部活やるとか言い出して人助け?どういう事か説明して」
おっと霊夢がちょっと興味示してるぞ。そういう時の霊夢は「やだ、めんどい」とかいうのに!
「ほら、子供の頃、色んな問題を解決しに行ってたろ?だからそれを
「うん、それで?」
「部活動でやろう!」
「ごめんちょっと意味わかんないわ」
いや何コイツ?確かにガキの頃
「なんでやろうと思ったの魔理沙?」
「ん?昨日私と劉斗が人助けをしたから」
昨日……あぁ、あの強姦未遂ね。うっそマジであれのせいかよ。未然に防げたのは良かったけどなんだろう……後悔やわ。
「ふ~ん……いいんじゃないやっても。あ、私も呼ばれてるってことはメンバーなのよね?」
「もちろんだぜ!」
ちょっと待てマジでやんのこれ。そういう流れなのん?なんで霊夢が乗り気なのん?イミワカンナイ!!!
「お、俺はP「じゃあこれで決まりだな!」えぇ……」
強引に決められてしまった。いつもそうだ。魔理沙はいつも俺や霊夢の都合とか関係なく物事を決めて巻き込んでいく。有無を認めずただただついて来いと。今回もそのパターンに入ったってことだから……俺が折れるしかないなこれ。
「………じゃあやりますか」
「おう!あ、ちなみにいうと入部届の中に劉斗の名前は勝手に書いといたから」
「ファッ!?」
……………俺の幼馴染みが強引過ぎて怖い。
「部活名はお助け隊だ!」
「「ネーセンだっさ!?」」
――――――――――――――――――――――
放課後、俺達三人は藍さんのいる理事長室にいた。理由は無論部活申請のためだ。この部活は1から作るためまずは理事長に話を通さなければならない。ん?生徒会?そんなのはスルーだ。
「………部活名はともかくやることは認めます」
「よっしゃ!さすが藍だぜ!紫と違って話が早いぜ」
「それはどうも」
あっさり認めてくれた。ほんと藍さん優しいわ。そういうのもあるから紫さんよりモテるんだろうなぁ………はっ!?殺気!
「それで、部活名を改める件だけどなんて名前にしたらいいのかしら?」
霊夢が先ほどの「部活名はともかく」というところに着目した。魔理沙を除くここのメンツは全員「無いな」って思ったんだろうなそうに違いない。
「じゃあ援助隊!」
「霊夢、どうするか」
「そうね」
「無視!?」
ええい煩い鬱陶しい喧しい。お前はネーセンないから却下に決まってんだろ察しろ。そんなんだからフィリピンって言われるんだよ。言われてるっけ?言われてないな。
「無難に学園生活支援部でいいんじゃなかろうか」
理事長席から藍さんが答えた。待ってくれ藍さんそれはSKETDANCEと変わりませんぜ。とは言ってもほかに無いしな。これでいこう。
「長くねぇか?もっと親しみやすい名前がいいと思うんだよ」
「通称がほしいってこと?」
「そうだぜ!」
魔理沙と霊夢が「通称」について話し合ってる。まぁ確かに親しみやすさってのは必要だよな。かと言って「スケット団」とか「奉仕部」とか「万屋銀ちゃん」とかは無しの方向で。完全なるパクリになっちゃうから。むむぅっと考えていると藍さんが何かを閃いた顔をした。
「それならお手伝い屋d「論外ですよ」…ですよね」
早くも行き詰った。まずいな、このままだと「お助け隊」になってしまう可能性がある。……いや、よく考えてみればお助け隊ってありきたり感あるし親しみやすいかも知れなくもない。………………ありじゃね?
――――――――――――――――――――――――――
「はい。というわけで「お助け隊」結成だ!」
「…………そうね」
今は帰り道……というより俺んちの前。その前で部活動がほぼほぼ決まったことでテンションMAXな魔理沙と考えすぎて疲れ果てた霊夢。霊夢はまぁわかるけどなんで魔理沙のやつテンションたけぇんだよ。まさかもう忘れたのか。
「あのな魔理沙、一応俺たちの「学園生活支援部」はあくまで仮部活だ。正式にはあと三人入部してくんないと(仮)が取れないの分かってんのか?」
そう、俺達の部活動はあくまで仮。明日から一週間の合間にあと三人入部しなければ話がなかったことにされるのだ。ここ幻想学園の校則だし俺らだけ特別扱いってのも他の生徒たちに示しがつかないんだそうだ。藍さんも大変なんだなとしみじみ思った。多分変な部活を作りたがる奴らが多いんだろうなこの学校は。自由すぎるってのも考え物なのかな?
「ん?大丈夫だぜ!一週間も猶予があるならなんとかなるぜ!」
「具体案はないのかよ………」
呆れてものも言えない。マジノープランだよコイツ。
「大丈夫よ。私の「勘」がそういってるから」
「なら大丈夫だな!」
「どこが大丈夫なのか言ってみろ」
「そんなの霊夢の勘が当たりまくるからに決まってんだろ」
と、自慢げに話す魔理沙。自分の事じゃねぇのになんでお前が誇らしげなのか気になるしちょっとうぜぇ……。
「……まぁなるようになるか。んじゃ帰ろうぜ。明日こそゆっくり……」
「んじゃ明日早めに来いよな!私が学校に行くタイミングで外にいなかったらたたき起こすからそのつもりでな!」
………………………やっぱり強引だな俺の幼馴染。
劉斗「なんでこんなことに」
作者「いやぁたまたまYOUTUBEでスケ団のVOMIC見ちゃってさ。それと霊夢と魔理沙の立ち位置が被ったんだよねぇ」
劉斗「それでやたれと思ったのか……はた迷惑な」