Fate/stay night Ideal alternative(アイディール・オルタナティヴ)   作:紗代

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久し振りの更新です。遅くなり申し訳ございません。
今回は暗躍の回。
士郎たちは出てません。


八日目・夜 魔女狩り/蝕むもの

全てが寝静まった深夜。それはこの賑わう市街よりやや外れにある山の寺とて同じことだった。いつも通り愛する人と別れ自室に向かおうとしたその時、突如違和感が過ぎった。大切な、大切なあの人と私を繋いでいたか細いラインが、途切れた。普通のサーヴァントならばあまり気付かないであろうそれを感じ取ることができるのもキャスターのクラスで現界した・・・いや、元々魔術をたしなんでいたためなのだろう。

 

「宗一郎様!」

 

必死になってさっきの道を引き返す。相手の名前を呼ぶ声が普段なら出さないような大きなものになっているがそんなことになりふり構っている場合ではない。彼の人は元々魔術師やそれに連なるような家系ではないので知識も経験もなくラインやパスを切ったりしない。つまりラインが切れたということは彼に何かあったということだ。

そうして彼の部屋を訪れ障子を開けると―――――――――そこには変わり果てた彼の姿があった。

 

「あ、ぁ、宗一郎、さま」

 

物が少ない彼の部屋の中心を陣取ると同時に彩っていたのは彼の遺体と胸の中心――――おそらく心臓を貫かれているのであろうそこから溢れ出た赤い、血、が――――――それを見た瞬間。手遅れであることを悟る。そしてそれと同時に背後に感じる、殺気。

振り返るとそこには黒い人影。

 

「ようやく姿を現したなキャスター」

「あなたは中立のはず。何故私のマスターを殺す必要があったのかしら?――――答えてくださる?最もどんな答えであっても容赦なんてないけれど」

「何、単純に戦力の補充と聖杯の完成を急ぐための策だ。何せここにはお前を含めサーヴァントが二体もいる。アサシンの元に私のサーヴァントを送った。まあどちらが負けようが聖杯の完成に一歩近づく。来い、キャスター。マスター亡き今ここにいる理由などなかろう」

「ふん、ありますとも。少なくとも私のサーヴァントがここから動けないのだし帰ってくださるかしら。私はマスターがいなくとも結界を張っている以上・・・・っ!?」

 

その瞬間私の手に激痛が走った。そこは確か令呪のあったところだ。まさか、そしてそれと同時に結界が破られた。それを計算していたかのように男はこちらを見て、言わなくてもいいことを平然と口にした。

 

「なるほど。決着がついたようだ。最早お前に選択権などないに等しいが、どうする?キャスター」

「・・・・っ」

 

聖杯。あの人を奪った元凶とも言えるそれしかもう私には縋れるものはない。

守りたかった人、ここにいるこじつけのような理由も剥ぎ取られた私は、力なくうなずくことしかできなかった。

 

*****

 

「っ・・・・」

 

突如襲い来る魔力の過剰供給による熱っぽさ、それに伴う吐き気や頭痛。いや、「熱っぽい」なんて言葉で片付けられるようなそれではない。これはまるで原子炉の炉心だ。中心から全体に放出される熱は内側から私を崩壊させようとしているかのように熱い。

こんなふうにならないように、イリヤにも繋がらないようにあの子から摘出した聖杯は結界で密閉しているはずだ。なのになぜ膨大な魔力が注がれてくるのか。おそらくこの量からしてサーヴァント。それも二機分。

一つだけ、可能性があるとすれば。きっとあの黒い欠片は未だに動いているのだろう。密閉した結界を通して私に魔力を流し込んできているのだ。昨日の兄さんが倒したサーヴァントの分は上手く漏らさずにいれたようだったが、さすがにサーヴァントの魔力の量を経験したことがないので色々測り損ねた。それにきっとそれだけではない。聖杯の欠片の方にも細工がしてあるのだろう。

 

「随分と、役割に忠実だな―――マキリ」

 

アインツベルンの聖杯がある以上蛇足としか言えないが。むしろこの場合は役割というよりも儀式の遂行に忠実というところだろうか。

とはいえまだ二機だ。まだ体は動くし、こうして言葉も話せる。思考もちゃんと出来ている。何とかする方法を回らない頭で考えながら過剰反応し始める刻印にも耐えるため身を固くしながらうずくまった。

 




柳洞寺を襲撃したのは明記していませんがやっぱりあの人です。佐々木さんと戦ったのはクランで結界崩しはAUO。メディアさんは念のための補欠要員・捨て駒として拉致されました。今回は刹那ちゃんがいるからね。
で、桜に刹那ちゃんがしたことは、欠片の奪取と体内の蟲全ての除去と洗浄、あとマキリのその所業から守るためにほんの少し魔術のレクチャーと自信を持たせるための自己暗示のような呪文を教えました。
これでマキリの魔の手は桜に届かなくなってます。

まあ、この聖杯の欠片奪取で今度は逆に刹那ちゃんが危なくなっていくのですが・・・

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