Fate/stay night Ideal alternative(アイディール・オルタナティヴ)   作:紗代

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 士郎と刹那の反省会の巻。ひょっとしたらことがあるたびこういうことになったりするかもしれない。


八日目・昼

昼食も終わって俺はある場所に向かった。向かった先は公園。約束もしてないし正直ほぼ賭けに等しいことなのだが、ここ以外に当てがないので仕方ない。公園には遊びまわる子供たちと、そして目当ての人物がいた。

 

「刹那」

 

珍しく俺に気が付かなかったのかはっとしたようにこちらを見る。

 

「兄、さん・・・?」

「ああ。約束、ちゃんと守ったろ」

「じゃあ、学校の結界を解いたのは・・・」

「結界を張ってたサーヴァントを倒した。俺と遠坂、その時校内にいなかった外出中の教師以外は少し生命力を吸われて全員病院に搬送されたけど命に別状はないって」

「そっか・・・・よかった」

「そうだな。誰も犠牲にならなくてよかった」

「ううん。そうじゃなくて」

「?」

「兄さんが無事でよかった」

 

あの時のように泣きそうになりながら、けれど嬉しそうに微笑んだ。

 

「あ、と。そういえばこの前くれた礼装。あれのおかげで助かった。ありがとな」

「サーヴァントが造るような結界に対抗できるかどうかは賭けだったけど、役にたったみたいでよかった」

「本当にお前には救われてばっかりだな」

「そうかな?私は自分にできることをしてるだけなんだけど・・・兄さんが褒めてくれたからちょっと舞い上がっちゃうかも」

 

えへへ、と照れる刹那。これは妹とかそういうのでなくても十分可愛いと思える。

 

「じゃ、これ返すな」

「え、付けててくれないの?」

「まあ俺はもう十分守ってもらったし元の持ち主に返したほうがいいと思って」

 

後で遠坂に聞いてみたところ渡されたリボンは渡される際に言われた効果だけでなく自己治癒、治癒促進、魔術行使の補助などなどとんでもなく多機能かつ強力な礼装であることが判明し、そのうえ渡されたのがリボンだということから相当大事な愛用品なのではないのかということ(女の魔術師は髪に魔力が溜まりやすいのでいざという時のために髪を伸ばしたり、髪に付ける礼装に気を遣うらしい)で返そうと・・・思ったのだが

 

「いいんだよ、兄さんが持ってて」

「や、でも・・・」

「いいから、渡すときにあげるって言ったでしょ」

「・・・わかった、じゃあありがたくもらっとく」

「うんうん。素直でよろしい!」

 

有無を言わせぬ眼光を感じて素直に受け取ることにした。遠坂といいイリヤといいこいつといい俺の周りにはそういうやつが多い気がしてならない。悪戯が成功した子供のような憎めない笑顔。・・・・なんというか、こいつの笑顔とか泣き顔とかに弱いんだよな、俺。いや、最初の無表情でクールなのも捨て難いけど。

 

「兄さん、まずはサーヴァント一騎の打倒おめでとう。これで残りは六騎。きっと早速脱落者が出たことで色々他の陣営も動かざる負えないことになってるかもしれないね。まあ、だからと言って今回みたいなことは二度としてほしくないけど」

「はは・・・」

 

その言葉に乾いた笑いしか出ない。刹那には悪いがそれはできない。協力してくれているセイバーや遠坂たちに申し訳ないし、なによりこんな無意味な戦いを終わらせるために俺は参加を決めたのだ。それなのに何もなしていない状態で降りるわけにはいかない。

そんな俺を察したのか刹那はやや呆れたように溜息を吐いた。

 

「そうね、兄さんは一度痛い目を見ても二度も三度も同じようなことするんだよね。きっと」

「む、俺だって失敗から学ぶぞ」

「そうじゃなくて、お人好しすぎるってこと」

「そうか?」

「そう、絶対そう・・・・まあ今のところは無事だしいっか」

そう言って刹那は立ち上がるとイリヤのようにくるりとこちらに振り返る。

「兄さん。ごめんね、昨日、あんな風に言って」

「いや、別にいい。結局忠告してくれたのに聞かなかったのは俺だし、刹那は悪くない」

「・・・ありがと」

 

昨日の朝のことは言わない。刹那のあの様子からしてこいつにとっていいものじゃないことは確かだったからだ。だから、俺も立ち上がって刹那のもとに行き手を握る。

 

「昨日のこと、言いたくないならそれでもいい。でも一人で何処かに行くのはやめてくれ、イリヤが心配するし、俺も気が気じゃないからな」

「!」

「頼ってくれ、敵とかマスターとかの前に、お前はもう俺の家族なんだから」

「あ、そ、そっか!うん、ありがとう。・・・・・・・・・・じゃあ、私。帰るね!またね兄さん」

「?ああ」

 

そう言って足早に帰る刹那を見送ってから俺も帰ることにした。と、そういえば

 

「手、小さかったな」

 

いきなり握ってしまったが大丈夫だったのだろうか。刹那の去った方を見ながらしばらく俺は動けずにいた。

 




 士郎君装備品ゲット+ノリで手を握るという暴挙。これで刹那ちゃんのフラグが建ちました。元々仲良かったけどね。あと、士郎君が刹那ちゃんに対する感情を理解しているので刹那ちゃんがらみだとちょっと気持ち悪くなっちゃう(意識してるから)。
 更新が遅くなってすみません。

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