普通とはかけ離れた奴が学院に紛れ込みました。   作:DaTa 23°

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皆さんこんばんは。 でーたです。
活動報告にも記しましたが、今回は、誠に申し訳ありませんでした。
これからはこんなことがないようにします。
では、どうぞ。


珍しく彼はおとなしい

周りは白いカーテンで囲まれており、頭には枕、からだには布団がかけられている。 どうやら俺はまた医務室に運ばれているようだ。 体を見てみると傷はすでになくなっていた。 外から大きな声が聞こえないことや、太陽の位置から午前の部が終わった頃だろう。 ちょうど食欲が湧いてきたので、ドアを開けて学食に向かう。 この日この時間、結構人がいるのではないだろうかと思い足が少し重くなった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局、思っていたほど混んではいなかったがやはり人が多かった。 並んで買ったらあと十分ということに気づき間に合わないなぁと思いつつ、食べ始めた。 食べ終わり、クラスのとこに着くとなんかすごく心配されたが俺が平然としている様子を見て安心したような表情を浮かべていた。

そんな中俺は、レーダス先生とティンジェルさんがいないことに気づき聞いてみると全員知らないっと言っていた。 まぁ、また何かに巻き込まれたのだろう。 今すぐにでもそっちに行って巻き込まれたいが魔術使いすぎで今にも倒れそう。 あの真っ白な紙は持っているがいかんせんそんなに持ってきてはいない。 あとで、やることもあるのも理由の一つだ。 また今度、異空間の収納ポケットの作成でもやってみるか? そんなことに思考を巡らせていたらどうやら二組は勢いを落としているらしい。 レーダス先生がいなくなったのが原因と考えられるがどうしようもできない……こともないがやらなくていいだろう。 後ろから魔術を行使しながら近づいてくるのが二人分かったからやめた。

 

「やっと、帰ってきたの⁉︎ おそいわよ、先せーーあ、あれ?」

 

フィーベルさんが間違えたのも無理はないというかよくレーダス先生がきたと分かったのかを知りたい。

 

「お前達が二組の連中だな?」

 

「そ、そうですけど……あ、貴方達は一体……?」

 

「俺は、グレン=レーダスの昔の友人、アルベルト。 同じくこの女はリィエルだ」

 

「…………」

 

リィエルと呼ばれた少女は無言で微かに頭の角度を下げた。 挨拶のつもりなのだろうか?

 

「今日は、魔術競技祭の後、旧交を温めようとぐれのやつにこの学院へ招待されてな。 この通り、正式な入院許可書もある」

 

アルベルトさんは懐から、学院の校章たる梟の紋が銀で箔押しされたカードを取り出して見せた。 実物は初めて見るがこれは学院への出入りを可能にする鍵となる魔術府らしい。

 

「だが、やつは今、突然の用事に少々取り込んでいるそうだ」

 

ティンジェルさんがらみなんだろうなぁ。

 

「……で、だ。 唐突なことで戸惑うと思うが、あの男は今しばらく手が離せないらしい。 ゆえに俺はこのクラスのことをグレンに頼まれた。 今から俺が奴の代わりにこのクラスの指揮を執る。 そしてーーーー優勝してくれ」

 

優勝してくれ、か。 しかも、今日初めて会った人が指揮のなか。 何故?という疑問がでるに決まってる。

 

「……お願い。 信じて」

 

フィーベルさんは、リィエルさんに手を取られてそう言われた。 そして、隣にいるアルベルトさんとリィエルさんを交互に見比べる。 えっ、もしかして今ので気づいた? それが本当だったとしたらすごい。 魔術的な何かではなく手触りでなんて。

 

「……わかったわ。 うちのクラスの指揮監督をお願いするわ、アルベルトさん」

 

この発言にクラス中の困惑の視線が集まった。

 

「大丈夫よ、この人達は多分、信頼できるわ。 それに誰が総指揮を執ろうが、どうせ私達のやることは変わらないでしょ? 皆で優勝するんだって」

 

学院許可証持っているから信頼できるのでは? という質問は禁止だ。

 

「せっかくだから、皆で勝とう! 先生のおかげで皆、ここまで来れたのよ!? 後、もう少しじゃない⁉︎ 諦めるにはまだ早いわ!」

 

「あのさ、先生がいないときに私達が勝手に負けたらアイツ、『ぎゃははは! お前らって俺がついていないと全っ然ダメダメなんだなぁ! あっ、ゴメンねぇ、キミ達ぃ、途中でボク抜けちゃって〜、てへぺろっ!』とか言うわよ、絶対……」

 

むかっ。 いらっ。 かちんっ。

わぁ、効果音が聞こえてきた。

まぁ、そう言っているのは簡単に想像できるけど。

 

「う、うざいですわ……それは、とてつもなくうざいですわ……」

「あのバカ講師に、んなこと言われるのだけは我慢ならないな……」

「ああ、もう、くそ! 考えただけで腹立つ! わかったよ、やってやるよ。」

 

鎮火しかけていた雰囲気に再び熱気が戻ってくるのが感じとれる。

レーダス先生って才能あるのかもしれない。 そのウザさで統一させる。

 

「さて、お手並み拝見させてもらおうかしら? ア ル べ ル ト さん?」

 

挑発するようなフィーベルさんの物言いに、男はしかめ面で頭を掻いた。

その仕草がレーダス先生と似ているのを見て俺も今から行動に移すための準備をしよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、競技は変身勝負を境に勢いが元に戻り最後には逆転優勝した。 そして、今は表彰式の最中である。 だが、二組からでてきた人物達に会場中に困惑がうまれる。 それもそのはず、本来講師と生徒がでてくるのが当たり前なのに対して学院の講師達ですら初めて見る人達が表彰台に上がっているのだから。

これにはアリシアも自分の前に現れたその人達を、目を瞬かせながら見つめていた。

 

「……陛下。 そやつが二組の担当講師グレン=レーダスとやらなのですか?」

 

「いえ、違います……けど」

 

疑問をもったゼーロスが、アリシアに問いかけたすぐ後。

 

「なぁ、そこのおっさん。 いい加減馬鹿騒ぎも終いにしようぜ。」

 

「なん、だと……ッ⁉︎」

 

そして、アルベルトらしき男が、ぼそりと呪文を唱える。 すると、男女の周囲がぐにゃりと歪んでーー再び焦点が結像し、そこに現れたのはーー

 

「き、貴様らはーーーッ⁉︎」

 

「馬鹿な⁉︎ ルミア殿、貴方は今、魔術講師と共に町中にいるはずーー」

 

居合わせた観客席の来賓客や、整列している大勢の生徒達も、一体何が起きたのか、さっぱり読めず、遠巻きにその様子を眺めながら困惑にざわめいている。

 

そんな中、グレンが得意げに種明かしをした。

 

「俺の仲間と途中ですり替わったんだよ。 【セルフ・イリュージョン】でな。 こんな単純な手に引っかかるなんてお前、もうちょっと部下の教育した方がいいんじゃねーの?」

 

「くっ! 親衛隊ッ! 何をしている⁉︎ 賊共を捕らえろッ!」

 

ゼーロスがアリシアを背中に庇いながら指示を飛ばすと、会場を警邏していた衛士達が我に返って一斉に抜剣、グレンとルミアを取り押さえようと行動に移すが、

 

「セリカ、頼むーーーッ!」

 

グレンが叫んだ瞬間、無数の光の線がもう速度で地面を走った。 表彰台を中心に、グレン、ルミア、アリシア、ゼーロス、セリカの五人を取り囲むように、結界が瞬時に構築され、そびえ立つ光の障壁が結界内界と外界を切り離す。

そう、五人のはずだった。 しかし、彼は結界内界にいた。 静かにそこで待っていた。 表彰台で何かが起こるだろうと予測して。 魔術で姿を隠しそこにいた。

 

「…………」

 

ただ、一言も喋ることもなく。

 

「ほう? 音も遮蔽する断絶結界か。 ずいぶんと気が利くな、セリカ」

 

彼にしては珍しく物語には介入せず、役割を果たすために、そこにいる。

 

「…………」

 

 

 




今回遅れてしまった理由は活動報告の方を見てください。
本当はこの魔術競技祭はサラーっとかく予定でしたが、思いのほか長くなっております。
また、コメントにてヒロインっていますかときていたので、考えました。 考えた結果ある方に決定しました。
ですが、上手くかける保証また、えっ?と思うところもあると思いますがご了承ください。
予想してみてくださいね? その予想の斜めにいけることだと思います。
それでは、また次回で。

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