普通とはかけ離れた奴が学院に紛れ込みました。   作:DaTa 23°

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俺テスト前に何やってんだろう。
どうも、冷えたどらごんです。
本当にテスト前でヤバイのにね。
では、どうぞ。


非常勤講師は魔術に対して良いとは思ってないようです。

あの後、レーダス先生は47回勝負というまで続いたらしい。

よくそれだけ【ショック・ボルト】をうけても後遺症残さなかったな。 体頑丈なんだあの先生。

いや、違うか。【ショック・ボルト】だったからか。

まさか、これをみこして⁈なわけないか。

レーダス先生の評価は、ただでさえ落ちていたのにさらに落ちた。 まわりの認識では、【ショック・ボルト】程度みたいな初等呪文でさえ一節詠唱できないダメ講師。

 

さて、今日も今日とてレーダス先生はやる気のない授業を始める。ここのクラスの生徒達はため息をついて、教科書を開いて、自習をし始める。

だが、どうやら中にはまだ何かを学ぼうとする健気で真面目な生徒がいたらしい。

 

「あ、あの……先生。今の説明に対して質問があるんですけど……」

 

授業が始まって三十分ほど経過した頃、おずおずと手を上げる小柄な女子生徒がいた。

初日の授業で質問し、あっさりあしらわれてしまった少女ーーリンだ。

 

「あー、なんだ?言ってみ?」

 

「え、えっと……その……今、先生が触れた呪文の訳がわからなくて……」

 

するとレーダス先生は、面倒臭そうにため息をついて、教卓の上に置いてあった本を一冊拾い上げた。

 

「これ、ルーン語辞書な」

 

「……え?」

 

「三級までのルーン語が音階順に並んでるぞ。ちなみに音階順ってのは……」

 

レーダス先生があろうことかついに辞書を渡して自分で調べてくれ、ってことでリンに辞書の説明をしていたが、

フィーベルさんがもう黙って見てられなかったのか、立ち上がった。

 

「無駄よ、リン。その男に何を聞いたって無駄だわ」

 

「あ、システィ」

 

おっと、結構棘がきつい言い方ですね。よほど頭にきたのでしょうか。ちょっと、なんかありそうだから見ておこう。

 

「その男は魔術の崇高さを何一つ理解していないわ。むしろ馬鹿にしている。そんな男に教えてもらえることなんてない」

 

「で、でも……」

 

「大丈夫よ、私が教えてあげるから。一緒に頑張りましょう? あんな男は放っておいていつか一緒に偉大なる魔術の深奥に至りましょう?」

 

うーん、まぁ人の価値観はそれぞれだから俺は何も言わないけど。俺も似て非になるからなぁ。まぁ別になくても困らないけど。

だが、フィーベルさんはまだ魔術の恐ろしさというか黒い一面を知らないから崇高と言っているが一面を知ったらどう反応するか気になることもないが必要性が欠けているため別にいいや。

 

「魔術って……そんなに偉大で崇高なもんかね?」

 

ぼそりと、レーダス先生が誰へともなくこぼしていた。

それを聞いたフィーベルさんではなかったようだ。

 

「ふん。何を言うかと思えば。偉大で崇高なものに決まっているでしょう?もっとも、貴方のようなな人には理解できないでしょうけど」

 

ここで普段のレーダス先生ならぼやいてこのはなしは終わっていたはず、......が

 

「何が偉大でどこが崇高なんだ?」

 

どうやら今日は違ったらしい。

 

「......え?」

 

「魔術ってのは何が偉大でどこが崇高なんだ? それを聞いている」

 

「そ、それは......」

 

「ほら。知っているなら教えてくれ」

 

フィーベルさんは一度落ち着くため一呼吸置いてから言葉をまとめ、自信をもって返答する。

 

「魔術はこの世界の真理を追究する学問よ」

 

「......ほう?」

 

「この世界の起源、この世界の構造、この世界を支配する法則。魔術はそれらを解き明かし、自分と世界がなんのために存在しているのかという永遠の疑問に答えを導き出し、そして、人がより高次元の存在へと至る道を探す手段なの。それは、言わば神に近づく行為。だからこそ、魔術は偉大で崇高な物なのよ」

 

おぉ、結構凄いことを言っている?よね。

人がより高次元の存在へと至る手段。

神に近づく行為。

それが正しいのかも知れない。間違っていないのかも知れない。だが、これは考えの一つに過ぎない。

違う考えを持つ者がいるだろう例えば……

 

「……なんの役に立つんだ? それ」

 

ここにいる先生とか。

 

「え?」

 

この返答は予想外だったらしく反射して口にしてしまった。フィーベルさん。

 

「いや、だから。世界の秘密を解き明かしたところでそれが一体なんの役に立つんだ?」

 

「そもそも、魔術って人にどんなおんけいをもたらすんだ? 例えば医術は病から人を救うよな? 冶金技術は人に鉄をもたらした。農耕技術がなければ人が飢えて死んでいただろうなし、建築術のおかげで人は快適に暮らせる。この世界で術と名付けられた物は大体人の役に立つが、魔術だけはなんの役にも立ってないのは俺の気のせいか?」

 

「魔術は……人の役に立つとか、立たないとかそんな次元の低い話じゃないわ。人と世界の本当の意味を探し求める……」

 

あれだけ言われても意見が言えるか。そこには素直に尊敬しようだが、相手は大人だ。

 

「でも、なんの役にも立たないなら実際、ただの趣味だろ。苦にならない徒労、他者に還元できない自己満足。魔術ってのは要するに単なる娯楽の一種ってわけだ。 違うか?」

 

レーダス先生はすぐに意見を言ったがフィーベルさんはこれに意見を出すことができない。圧倒的に言い負かされている。

 

だが、そんなことも気にした様子はなくレーダス先生は、

 

「悪かった、嘘だよ。魔術は人の役に立っているさ」

 

「……え」

 

この突然な掌返しにフィーベルさんはもちろん、固唾を呑んで二人の様子を見守っていたクラスの生徒一同も目を丸くする。

 

だが。

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、魔術は凄ぇ役に立つさ……人殺しにな」

 

酷薄に細められたその暗い瞳、薄らさむく歪められた口から紡がれたその言葉は、クラスの生徒達を心胆から凍てつかせた。

 

あぁ、それが貴方の魔術に対する意見ですか。

別に俺は間違ってもいないと思う。

だが、それだけじゃない。悪があるなら善もある。

なぜかって?悪を判断するには比較対象が必要だからだ。

ということで、善いところもあるのだ。

ただ、知っている者と知らない者の違い。

魔術の悪までを知っている者、魔術の善のところしか知らない者。

悪まで知っているからこその意見。

善しか知らないからこその意見。

ただ、今回はレーダス先生が周りの雰囲気と説得力が上だっただけ。

そんな訳で今日は、レーダス先生の一部が見えました。

どうやら、元こっち側の人間だと思われます。

あっ、ダメだ。こっちはこっちでも、俺がこっち側の人間を名乗ることはできないからね。

 

それからしばらくして、

フィーベルさんが、退室して行っているのを目で追い。

今日は、これ以上収穫はないだろうと判断し。

こっそり、廊下に出る。

 

さーて、今日の夜ご飯は何にしようかなぁ〜。

これで今日も終わり、また明日が来る。

 

 

 

そう思ってました。

 

 

 

 

 

 

 

「お前はたしかアライだったな。どうした今は授業中だぞ。」

 

人外に捕まりました。

 

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「ほう、それでさっきフィーベルが走って行ったのか。

はあ〜、失敗だったかなぁ。あいつをここに入れたのは」

 

さっき起こったことを話た後そんなことをアルフォネア教授は言った。

 

「お前は、どう思う?アライ。あいつを、グレンをどう思っている。」

 

そう聞いてきた。少し教授の認識を改めないといけないのかも知れない。

ここまで他人を心配するのを初めて見るからだ。

あっ、俺まだこの学院に来て一か月ちょいだった。

 

「別に、こわいとは思ってませんよ。

あそこまで魔術を否定する人間はなかなかいないのでね。一周回って面白いと思いますよ。よかったです。

この年で、魔術の危険性魔術がもたらす害は、など考える貴重なことをもたらしてくれましたから。」

 

「お前みたいに受け取ってくれる奴がいてよかったよ。あいつも元々はあんなのじゃなかったんだが。

昔に少しあってな。決して悪い奴じゃないんだ。

悪く思わないでいてくれ。」

 

「分かっていますよ。っとは言いません自分は、まだレーダス先生をほんの少ししか見ていないので。

おっと、そろそろいい時間ですね。では、自分はこれで」

 

「あぁ、気をつけてな。」

 

そして、俺はその場から去った。

やっべ、時間間に合うかな?

 

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セリカ side

 

「どうじゃったかな?セリカ君、例の彼は」

 

学院長が私に聞いてきた。

一か月ちょい前ぐらいに入学してきた。シュウ=アライという者は、この時期に来るということで怪しんでいたが、どうやら私の勘違いだったらしい。

 

「どうやら私の勘違いだったらしい。だが、学院長もよく彼の入学を許可したな。」

 

私は、手に持っている紙を学院長に見せながら言った。

 

「ほっほっほ、まぁ別に彼は優秀じゃったからのう。

それよりセリカ君今晩辺りワシと一緒に……どうじゃ?」

 

「あはは、お断りだ。てか、相変わらず学院長はお盛んだな。いい加減枯れろよ」

 

「ふははははっ! ワシは生涯現役よ!」

 

そんな会話をしながら歩いて行った。

私の手に持っていたはずの紙が飛んでいっているのにも

気づかずにその紙にはこうあった。

 

彼の写真一枚と名前のところにシュウ=アライと書いており、他全てが空白であった。




最後まで見ていただきありがとうございました。

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