ゼロの狩人   作:テアテマ

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08:反攻

 4人はミス・ロングビルを案内役に、早速出発した。

 屋根のない荷車のような馬車で、薄暗い山道を進む。

 御者を買って出たミス・ロングビルに、キュルケが話しかけた。

 

「ミス・ロングビル……手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」

 

 ミス・ロングビルはにっこりと笑った。

 

「いいのです。わたくしは、貴族の名をなくした者ですから」

「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」

「えぇ、でも、オスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方です」

「差し支えなかったら事情をお聞かせ願いたいわ」

 

 ミス・ロングビルは困ったように優しい微笑みを浮かべた。

 

「いいじゃないの。教えてくださいな」

 

 キュルケは興味津々と行った顔で、御者台に座ったミス・ロングビルににじり寄る。ルイズがその肩を掴んだ。キュルケはそんなルイズを睨みつける。

 

「なによ、ヴァリエール」

「よしなさいよ。昔のことを根掘り葉掘り聞くなんて」

 

 キュルケはふんと呟き、荷台の柵に寄りかかって頭の後ろで腕を組んだ。

 

「暇だからおしゃべりしようと思っただけじゃないの」

「あんたのお国じゃどうか知りませんけど、聞かれたくないことを、無理やり聞き出そうとするのはトリステインじゃ恥ずべきことなのよ」

 

 キュルケはそれには答えず、足を組んだ。

 

「ったく……あんたがカッコつけたおかげで、とばっちりよ。何が悲しくて、泥棒退治なんか……」

「とばっちり? あんたが自分で志願したんじゃないの」

「あんたが一人じゃ、ダーリンがかわいそうだもの」

 

 そしてキュルケは、タバサと何やら話をしていたジェヴォーダンにしなだれるようによりかかる。

 

「こぉんなうるさいゼロのルイズと2人っきりにされたら、ダーリンだってめんどくさいものねぇ?」

「……お前の方がよほど面倒くさいがな」

「あぁん、つれないわねぇ。でもそんなクールなとこも素敵!」

 

 タバサはといえば、ジェヴォーダンが持っている様々な知識に興味があるらしい。

 

「それから?」

「……聖剣のルドウイークは、教会の英雄として永遠に語り継がれるようになった。奴の狩道具は今でも多くの狩人の基本的な装備になるほどに、伝説的な英雄だ」

「……イーヴァルディのよう……」

「とはいえ、現実はそこまで物語らしい話でもない。英雄と呼ぶには……醜いかもしれないからな」

 

 特にタバサが興味を示したのは、教会の狩人ルドウイークについての物語。ヤーナムであれば子供でも知っているような昔話に、特に反応した。

 

「なぁに? ダーリンの住んでた場所の話?」

「は? あんたそんなこと私にだって話したことないくせに!」

「聞いてこなかっただろう?」

 

 頬を膨らますルイズに、新たな暇つぶしを見つけたキュルケ。そして、さらに話をねだるタバサ。

 

「もっと、ルドウイークの話を」

「奴に限るとなると、俺も多くは知らないが……英雄とまで呼ばれた奴が狩りの中に見出したのは、『月光』だったと言われている」

「月光?」

 

 キュルケが聞き返す。ジェヴォーダンは首を振った。

 

「それが何を意味するものかまでは、俺にもわからない。だが確かに奴は月光を剣に纏わせ振るった。獣の愚かに墜ちるまで、奴は心折れなかった」

「……? 本物のルドウイークを見たことがあるの?」

 

 タバサが首をかしげる。ジェヴォーダンはその様子が可笑しくて、笑いながら答えた。

 

「何、悪夢に出てきたのさ」

 

 

 馬車はさらに深く森に入っていった。森の中は昼間だというのに薄暗く、鬱蒼としている。

 馬車をある程度の場所で止め、一行は歩いて森の中を進むことにした。森を通る小道を進んでいく。

 

「なんか、暗くて怖いわ……いやだ……」

 

 キュルケがジェヴォーダンの腕に手を回す。ジェヴォーダンは無視して少し歩くスピードを速めた。

 

「あん! もう、ダーリンたらぁ」

 

 キュルケは変わらぬ調子で続けてくる。呆れ返っていたジェヴォーダンも、そんな様子を見ていたルイズも、ため息をついた。

 

 

 

 やがて、道は開けた場所に出た。森の中の空き地といった風勢で、真ん中には情報通りの小屋があった。木こり小屋か何かだったのだろうか、朽ち果てた炭焼き窯と、壁板の剥がれた物置が並んでいる。

 

「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

 

 5人は少し離れた茂みの中で作戦を練り始めた。とにかく、あの中にいるのなら奇襲が1番だ。寝ていてくれたらなおさらである。

 タバサはちょこんと地面に正座すると、自分のたてた作戦を説明するため杖を使って地面に絵を描き始めた。

 まず、偵察兼囮が小屋のそばに赴き、中の様子を確認する。

 中にフーケがいれば、挑発しこれを外に出す。

 小屋の中にゴーレムを作り出すほどの土はないため、外に出る必要がある。ここを魔法で一気に攻撃し、ゴーレムを作り出す暇を与えずに、集中砲火でフーケを沈める、というもの。

 

「偵察兼囮は……俺か」

 

 ジェヴォーダンがそう言うとタバサが頷く。

 ジェヴォーダンも頷いて答えると、茂みの中から音もなく飛び出し、すっと一足跳びに小屋のそばに近付いた。窓に近づき、慎重に中を見渡す。

 蚊帳の中はひと部屋で、たいそうに荒れていた。もう長らく誰も使っていないようで、人の気配はうかがえない。

 ここにはいない。ジェヴォーダンは皆に合図を送った。

 

「無人だ。隠れている様子もない」

「……ワナも、ないみたい」

 

 小屋に向けて杖を振ったタバサがつぶやき、中に入っていった。キュルケとジェヴォーダンが後に続き、ルイズが外で見張りをすると言って後に残った。

 ミス・ロングビルは辺りを偵察してきますと言って、森の中に消えた。

 

 

 

 窓から、森に消えていくミス・ロングビルを目で追いながら、ジェヴォーダンは小屋の中を調べた。

 フーケが残した手がかりがないかを調べ始め、タバサが開けたチェストの中から……

 

「破壊の杖」

 

 なんと、『破壊の杖』を見つけ出した。

 

「あっけないわね!」

 

 キュルケが叫ぶ。

 そしてジェヴォーダンは、その『破壊の杖』を見て、面食らって目を丸くした。

 

「こ、これが、『破壊の杖』だと!?」

「そうよ。あたし、見たことあるもん。宝物庫を見学したとき」

「いや、しかし、これは……」

 

 ジェヴォーダンが近寄って、『破壊の杖』をまじまじと見つめた。

 全体が金属で出来ており、棒状の柄の先端に鉄球が取り付けられたフォルム。

 間違いない。これは……。

 

「きゃああああ!!」

 

 その時、外で見張りをしていたルイズの悲鳴が響き渡った。

 

「ヴァリエール、どうしたの!?」

「……来たか」

 

 突然、ジェヴォーダンはタバサとキュルケを小脇に抱き抱え、小屋を飛び出した。瞬間、小屋の屋根が吹っ飛ぶ。

 青空をバックに、小屋を破壊したものの正体が、ありありと見えた。

 

「ゴーレム!」

 

 キュルケが叫んだ。

 一定の距離を置いたところで、ジェヴォーダンは2人を降ろす。タバサが杖を振るい、呪文を唱えた。巨大な竜巻が舞い上がり、ゴーレムにぶつかっていく。

 キュルケも胸に刺した杖を引き抜き、呪文を唱えて炎を打ち出す。

 しかし、どんな攻撃を食らっても、ゴーレムはびくりともしない。

 

「無理よこんなの!」

「退却」

 

 キュルケとタバサは一目散に逃げ出し始めた。

 ジェヴォーダンは、背に携えていたデルフリンガーを引き抜いた。

 

「おう、相棒、出番かい」

 

 かっと左手のルーンが熱を持ち、身体がほのかに軽くなるのを感じる。

 

「あぁ、力を借りるぞ」

 

 ジェヴォーダンは駆け出した。目指すはゴーレムの背後に立っているルイズだ。

 ルイズは杖を振り回し、ルーンを唱えている。ゴーレムの表面がパッと炸裂し、気づいたゴーレムが振り向く。

 

「くっ……!」

 

 どう考えても、勝ち目のある相手じゃない。

 相手は大きすぎるし、自分の魔法も成功しない。仮に成功したとしても、それで倒せるような甘い相手ではないことは、先程キュルケとタバサが証明したばかりだ。

 ゴーレムが振り返る。完全にルイズに狙いを定めたようだ。

 ルイズの額に汗が流れる。息が上がり、緊張が高まっているのがわかる。だがそれでも、ルイズは強い眼差しで、ゴーレムを睨んだ。

 こいつを、倒す。フーケを捕らえれば、誰も自分をゼロだと呼ばなくなる。

 無理だとわかっていても、そんなの、やってみなければわからない。

 ルイズの貴族としての誇りが、意思が、ルイズの脚の震えを止めた。己を鼓舞し、立ち向かわせた。

 

「魔法が使えるものを、貴族と呼ぶんじゃないわ」

 

 ゴーレムが拳を振り上げる。ルイズは杖を振り上げた。

 

「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」

 

 振り下ろされる拳に向けてルーンを唱え、杖を振るった。ゴーレムの腕が炸裂し、土埃が舞う。が、精々が小指ほどの土をえぐっただけ。ゴーレムの拳は止まらない。

 ルイズの視界が振り下ろされる拳で埋め尽くされる。ルイズは目をつぶった。

 

「その心意気や良し。やはりお前は、誇りある良い貴族だ」

 

 聞こえるはずのない、声。ルイズは身体が、ふわりと浮いたような感覚を覚え……目を見開くと、自分を抱きかかえるジェヴォーダンの姿があった。

 

「そうだ。どんな敵が相手でも、立ち向かうこと。戦いの中で、心折れず、何度でも立ち向かうことだ。それだけが、ただ戦いの中で俺たちの(よすが)になる」

「ジェヴォーダン……」

「だが、死ぬな。死ねば終わりだ。心折れず、死なず、狩りを成就しろ」

 

 風竜が、2人を救うために飛んできた。

 

「乗って!」

 

 風竜に跨ったタバサが叫ぶ。ジェヴォーダンは抱き抱えていたルイズを風竜の上に押し上げた。

 

「あなたも早く」

 

 タバサが、珍しく焦った様子でジェヴォーダンに言う。が、ジェヴォーダンは迫り来るゴーレムに向き直った。

 

「ジェヴォーダン!」

「行け」

 

 タバサは無表情にジェヴォーダンを見つめていたが、迫るゴーレムが拳を振り上げたのを見て、仕方なく風竜を飛び上がらせた。

 音を立て、ジェヴォーダンがいた場所にゴーレムの拳がめり込む。ジェヴォーダンは余裕でそれをかわし……デルフリンガーに炎を纏わせていた。

 

「おぉ、こりゃおでれーた! 剣にこんな事をする奴は相棒、おめーが初めてだ!」

「熱くないか?」

「剣だからな! こりゃあおもしれぇ、おもしれぇよ」

 

 ゴーレムが拳を持ち上げる。ジェヴォーダンは帽子を被りなおし、冷たい目でゴーレムを睨んだ。

 

「土くれめ。あまり人をナメるなよ」

 

 振りかぶる拳をくぐり抜け、剣を振るった。

 

「こちとら、ゼロのルイズの狩人だ」

 

 

 

「ジェヴォーダン!」

 

 ルイズは上昇する風竜の上から飛び降りようとした。タバサがその体を抱きかかえる。

 

「ジェヴォーダンを助けて!」

 

 ルイズが怒鳴るが、タバサは首を振った。

 

「近寄れない」

 

 近寄ろうとすると、やたらとゴーレムが拳を振り回すので、風竜を近づけることができないのだ。

 

「ジェヴォーダン!」

 

 ルイズは再び叫んだ。ジェヴォーダンが、燃え盛る剣を片手にゴーレムと対峙しているのが見える。

 

 ジェヴォーダンは、ゴーレムと戦いながらも、実際には全く別の事に意識を集中していた。

 ゴーレムの拳が唸りを上げて飛んでくる。拳は途中で鋼鉄の塊に変わる。

 だが、遅すぎるのだ。並みの剣士などならともかく、ジェヴォーダンにとっては止まって見えるほどに。

 余裕でそれをかわしながら、探しているのは、そこにいるはずの術者の影。

 確実に、近くにいるはずだ。

 

 周囲を探しながら戦うその様子は、ルイズには苦戦しているように見えていた。なんとか自分が手伝える方法はないかと探し、タバサが抱える『破壊の杖』に気づいた。

 

「タバサ! それを!」

 

 タバサは頷いて、『破壊の杖』を手渡す。

 ただ、手渡しただけであった。それ以外の特別なことなど何もしていない。にもかかわらず……『破壊の杖』がルイズの手に渡った瞬間、その杖の先端の球体から、バリッ! と、青白い電流がほとばしった。

 

「きゃっ!?」

「っ!?」

 

 ルイズも、タバサも、それに驚き……思わず、『破壊の杖』が手からこぼれる。慌ててそれを掴もうとしたルイズは、風竜の背から滑り落ちた。

 落下するルイズに、タバサが『レビテーション』を唱える。

 ルイズの身体はゆっくりと地面に降りていくが……『破壊の杖』の方は、そのまま落下して地面に突き刺さった。

 それにいち早く気がついたのは、ジェヴォーダンの方だった。

 

 術者の姿が見えず、かといってゴーレムを倒せるわけでもなく、埒のあかない状態をどうするか思案していたところに、思わぬ助け舟が来た。

 それに……と、先日自分が『エーブリエタースの先触れ』を使用した時に起きた異変のことを思い出す。今の自分があれを使えば、もしや……!

 ジェヴォーダンは『破壊の杖』と、地面に降り立ったルイズの元に駆け寄った。

 

「ジェヴォーダン!」

 

 ジェヴォーダンは『破壊の杖』を地面から引き抜いた。

 

「それ、変なの! 使い方が、わかんない!」

 

 だがジェヴォーダンは迷うことなく杖を手に取り、先端についた鉄球の、上半分をスライドさせて外す。内部の機械構造に見えたシリンダーに、水銀弾をきっちり6発、装填した。

 そんな様子を、ルイズは唖然として見つめている。

 蓋を閉め、『破壊の杖』を握ったジェヴォーダンは、ゴーレムに向き直った。

 ゴーレムが、地響きのような音を立てて迫る。

 ジェヴォーダンは、破壊の杖の鉄球部分を掴み……棒状の柄を、地面に突き刺した。

 

「これはな……こうやって使うんだ」

 

 球体をひねり、スイッチを作動させる。瞬間、強烈な落雷が、ゴーレムめがけて炸裂した。

 ゴーレムと変わらぬ程に巨大な青白い雷光が、列を連ねて走り抜ける。巨大ゴーレムであるがゆえ、複数の雷撃に巻き込まれてしまう。土くれが炸裂し、弾け飛ぶ。

 一瞬にして、ゴーレムは粉々に砕け散った。土の塊が、雨のように周囲に振り落ちる。

 下半身だけが残ったゴーレムが一歩前に踏み出そうとしたが……膝が折れ、そのまま崩れ落ちた。

 バラバラと、ゴーレムがただの土の塊に戻っていく。

 この前と同じように、後には土の小山が残された。

 ルイズは突然の雷撃に耳を押さえて呆然としていたが、やがて腰が抜けたのか、へなへなと地面に崩れ落ちた。

 木陰に隠れていたキュルケが駆け寄ってくるのが見えた。

 ジェヴォーダンは『破壊の杖』を引き抜き、それをまじまじと見やった。

 

「ジェヴォーダン! すごいわ、やっぱりダーリンね!」

 

 キュルケが抱きつこうとする。が、ジェヴォーダンはそれをさらりとかわした。

 否、キュルケが抱きつこうとした場所に、既にジェヴォーダンはいなかったのだ。

 

「……え?」

 

 ジェヴォーダンは瞬時に駆け出して……木陰から現れたミス・ロングビルを押し倒し、その喉元に刃を当てていた。衝撃で、杖が手から離れ地面を転がっていった。

 

「動くな。首が飛ぶぞ」

 

 あまりに突然の出来事に、ルイズもキュルケも、風竜とともに降り立ったタバサも面食らう。

 

「ちょっとジェヴォーダン! 何やってるの!?」

 

 ルイズが叫ぶが、ジェヴォーダンは変わらずロングビルを睨んでいる。ロングビルも、さほど驚いた様子もなくジェヴォーダンを見つめていた。

 

「お前を狩ってやると言ったろう。忘れたか、『土くれ』」

「……やっぱり今朝、気づいてたのかい」

 

 えっ、と誰からともなく声が上がる。ジェヴォーダンはさらに刃をロングビルの首筋に近づけた。

 

「お前が現れて、フーケが男だと語った時点では、さほど疑っていたわけではない。だがお前は、フーケの隠れ家が学園から4時間もかかる場所にあると語った。『朝早くから調査をしていた』と話したのにな」

「……あら」

「随分と初歩的だ。詰めが甘いようだな」

 

 ジェヴォーダンはゴーレムと戦っている間ずっと、フーケの姿を探していた。偵察に行くと森に消えた時点で、襲撃があることはわかっていたのだ。

 

「だが……それなら今朝すぐわたしを捕まえればよかったじゃないかい。乗せられてついて来たのはなぜだい?」

「残念だが全て仮説だった。確証が欲しかった。そのために『破壊の杖』を確保する必要があった。お前がなぜ俺たちを引っ張り出す必要があったのか。だが実物を見て理由はすぐわかった。お前はアレの使い方がわからなかったんだ」

「くっ……!」

 

 フーケは忌々しくジェヴォーダンを睨んだ。キュルケが驚いて声をあげる。

 

「じゃあ、私たちに『破壊の杖』を使わせて、使い方を探ろうとしていたってこと?」

「だろうな。杖として使おうとしてもうんともすんともしないのでは、ただの鉄のオブジェだ。だが、残念だが……あれは杖などではない、魔法など出はしない」

「何……? どういう意味よ!」

 

 叫ぶフーケに、ジェヴォーダンではなく、ルイズが答えた。

 

「あれは『神秘』の触媒……魔法の杖なんかじゃない。そうよね、ジェヴォーダン」

 

 皆が驚いてルイズを見る。ジェヴォーダンだけがニヤリと笑い、それに答えた。

 

「そうだ。あれは『小さなトニトルス』、俺たちの宇宙の狩り道具だ。ついでに言えば、あれは高貴な血を練りこんだ水銀がなければ作動せん。お前では使い物にならんよ」

 

 衝撃の事実を告げられ、フーケは完膚なきまでに打ちのめされてしまったようだ。うなだれてしまい、もはや反抗の意思も、戦意もなかった。

 ジェヴォーダンはフーケの首筋に手刀を叩き込む。気絶したフーケを拾い上げ、呆然とする3人に振り返った。

 

「フーケを捕まえて、『破壊の杖』を取り返したぞ」

 

 

 

 

 

 

 学園長室で、オスマン氏は戻った4人の報告を聞いていた。

 

「ふむ……ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……美人だったもので、なんの疑いもなく秘書に採用してしまった」

「いったい、どこで採用されたんですか?」

 

 隣に控えたコルベールが尋ねる

 

「街の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」

「で?」

 

 コルベールが冷めた目で促す。オスマン氏は照れたように告白した。

 

「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」

「それで?」

 

 まったく理解できない、という様子でコルベールが訪ねた。

 

「カァーッ!」

 

 オスマン氏は目を見開いて声を上げた。が、まったくごまかされていない。それがわかるとオスマン氏は、ひとつ咳をして真顔になった。

 

「おまけに魔法も使えるというもんでな」

「死んだほうがいいのでは?」

 

 コルベールが小さく呟いた。

 オスマン氏は重苦しく咳払いをすると、コルベールにむきなおり深刻そうな表情を浮かべた

 

「今思えば、あれも魔法学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。居酒屋でくつろぐ私の前になんどもやってきて、愛想よく酒を進める。魔法学院学園長は男前でしびれます、などとなんども媚を売り売り言いよって……終いにゃ尻を撫でても怒らない。惚れてる? とか思うじゃろ? なあ? ねえ?」

 

 コルベールは、思えば自分もフーケのその手にやられ、宝物庫の壁の弱点について語ってしまったことを思い出した。

 

「そ、そうですな! 美人はただそれだけで、いけない魔法使いですな!」

「そのとおりじゃ! 君は上手いことを言うなコルベール君!」

 

 そんな2人の様子を、4人は呆れて見つめていた。生徒たちのそんな視線に気づき、オスマン氏は恥ずかしそうに咳払いをすると、切り替えて厳しい顔をした。

 

「さてと、君たちはよくぞフーケを捕まえ、『破壊の杖』を取り返してきた。フーケは、城の衛兵に引き渡した。そして『破壊の杖』は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」

 

 オスマン氏はそうして嬉しそうに、1人ずつ頭を撫でた。

 

「君たちの『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。といっても、ミス・タバサはすでに『シュヴァリエ』の爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」

 

 3人の顔がぱっと輝いた。キュルケが驚いた声をあげる。

 

「ほんとうですか?」

「ほんとじゃ。いいのじゃ、君たちは、それぐらいのことをしたんじゃから」

 

 ふとルイズは、先ほどからつまらなそうな顔で立っているジェヴォーダンを見つめた。

 

「……オールド・オスマン。ジェヴォーダンには、何もないんですか?」

「……残念ながら、彼は貴族ではない」

 

 ジェヴォーダンは言った。

 

「使い魔の功績は主人のものだ。素直に受け取れ」

「……でも」

「よかったな、ルイズ」

 

 ジェヴォーダンは、ルイズの使い魔として召喚されてきてから、初めて見せる優しい表情を浮かべた。ルイズもそれに答え、すこし不器用に笑った。

 それを見て、オスマン氏は満足そうに微笑むと、ぽんぽんと手を打った。

 

「さてと、今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。このとおり、『破壊の杖』も戻ってきたし、予定通り執り行う」

 

 キュルケがパッと顔を輝かせた。

 

「そうでしたわ! フーケの騒ぎで忘れておりました!」

「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。せいぜい、着飾るのじゃぞ」

 

 3人は、礼をするとドアに向かった。ジェヴォーダンだけが動かず、そこに立っている。ルイズはそんなジェヴォーダンをちらと見つめた。

 

「先に行っていろ。後で俺も向かう」

 

 ジェヴォーダンがそう言うので、ルイズは心配そうに彼を見つめたが……そのまま頷いて、部屋を出た。

 オスマン氏は、そんなジェヴォーダンをじっくりと見やった。

 

「なにか、私に聞きたいことがあるようじゃな、狩人よ」

「……!?」

 

 『狩人』。その言葉自体は珍しい言葉でもなんでもない。だが、そこに込められた意味をいちはやく察知したジェヴォーダンは、驚いて息を飲んだ。

 この老人は、自分が何者かを知っている。おそらく、これまでもずっと。

 ジェヴォーダンは思わずデルフリンガーに手をかけ……オスマン氏は慌てて手をあげてそれを静止した。

 

「まてまて、落ち着くのじゃ。少なくとも私は君の敵ではない。少々縁があって、君が何者かを知っているというだけじゃ。深いことは知らない。だからこそ、君が気にしていることを言ってごらんなさい、できるだけ力になろう。君に爵位を授けることはできんが、せめてものお礼じゃ」

 

 優しく、静かな声だった。ジェヴォーダンはその中に確かに他意がないことを感じ、デルフリンガーから手を離した。

 それからオスマン氏は、コルベールに退室を促した。わくわくしながらジェヴォーダンの話を待っていたコルベールは、しぶしぶ部屋を出ていった。

 コルベールが出て行ったあと、ジェヴォーダンは口を開いた。

 

「……あの『破壊の杖』は、俺が元いた宇宙の狩り道具だ」

 

 オスマン氏の目が光った。

 

「ふむ、元いた宇宙とは?」

「俺は、この宇宙の人間ではない」

「本当かね」

「本当だ。俺は、あのルイズの『召喚』に応え、果てしない宇宙の向こうから来た」

「ふむ……」

 

 オスマン氏は眼を細める。さらに、ジェヴォーダンは続けた。

 

「もっと言えば……俺はすでに人間じゃない」

「………」

「俺の体に流れる血は、人間のそれじゃない。ここに来る直前、すっかり『上位の者』の血と取り替えてしまった。あなたは、俺を知っている。なぜだ? あの『小さなトニトルス』はなぜここにある!? あなたは一体……」

「まぁ待て、落ち着きたまえ」

 

 オスマン氏はフーッとため息をつき、ゆっくりと髭を撫でた。

 

「1つずつ答えよう。あれを私にくれたのは、私の命の恩人じゃ」

「その狩人は?」

「死んでしまった。今から、もう30年も前の話じゃ」

「なんだと!?」

「30年前、森を散策していた私は、ワイバーンに襲われた。そこを救ってくれたのが、あの『破壊の杖』の持ち主じゃ。彼はあの『破壊の杖』でワイバーンを吹き飛ばすと、ばったりと倒れおった。……普通の人間なら、死んでいる怪我じゃった。私は彼を学園に運び込み、手厚く看護した。しかし、看護の甲斐なく……」

「そんな……」

 

 オスマン氏は俯いた。

 

「私は、彼が使った道具を『破壊の杖』と名づけ、宝物庫にしまいこんだ。恩人の形見としてな……」

 

 そう語り、オスマン氏は遠くを見つめるように眼を細めた。

 

「彼は、不思議なほど落ち着いていた。瀕死の重傷を負っているとはとても思えないほど。そして彼は語ってくれた、自分が『狩人』という存在であること、『上位者』の存在、『逆さ吊りのルーン』……君の左手に現れたそれじゃ」

 

 ジェヴォーダンはハッとして左手のルーンを見る。自分には読めない文字の上に浮かび上がったのは、狩人なら誰もが知る徴だった。

 

「彼は自らを教会の狩人だと語っていた。死に際に彼は安心した様子だった。『これで悪夢を見ることなくゆっくりと眠れる』と……。彼がどこから来たのか、どのような方法でこの地に来たのか、最後までわからんかった」

「くそっ、手がかりを見つけたと思っていたが……」

 

 ジェヴォーダンは歯噛むしかなかった。見つけた手がかりは、あっという間に消えてしまったのだ。

 おそらく彼は医療教会の名もなき狩人だったのだろう。何かしらの方法でこちらの世界へ来たのだろうが、今となっては知るすべはない。

 オスマン氏は、次にジェヴォーダンの左手を掴んだ。

 

「おぬしのこのルーン……」

「……こちらについても聞きたかった。これが光ると、どういうわけか体が軽くなる。それだけでなく、本来なら俺が使えないはずの狩り道具まで、自在に扱うことができた」

 

 オスマン氏は、話そうかどうかしばし悩み、仕方ないとばかりに口を開いた。

 

「これなら知っておるよ。ガンダールヴの徴じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」

「伝説の使い魔?」

「そうじゃ。その伝説の使い魔は、ありとあらゆる『武器』を使いこなしたそうじゃ。だがお主は、並大抵の武器ならすでに扱いに長けておる。だから身体能力の向上、そして、本来使えるはずのない武具を使いこなせたのじゃろう」

 

 ジェヴォーダンは、思わず息を飲んだ。

 

「……伝説の、使い魔だと? だとすれば、俺の主人のルイズは」

「それは、わからん」

 

 その意図を汲み、オスマン氏が先手を打って答えた。

 

「お主も知ってるであろうが、彼女はとても素晴らしい人物じゃ。強くしたたかな芯のある人間じゃ。それと同時に、決して優秀なメイジとは言い難い。なぜ彼女の使い魔であるお主が伝説の『ガンダールヴ』を持って召喚されたのかはわからん。だが、おぬしがこちらの宇宙にやってきたことと、そのガンダールヴの印は、何か関係があるのかもしれん」

 

 ジェヴォーダンはため息をついた。どれも有益な情報ばかりだったのだが、かといってこの現象の全体像は決して見えてこない。かつてこの地にやってきた狩人のことも、よくわからないままだった。

 

「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私はおぬしの味方じゃ、狩人よ」

 

 そういうと、オスマン氏はジェヴォーダンを抱きしめた。

 

「よくぞ、恩人の杖を取り戻してくれた。改めて、礼を言う。『破壊の杖』、いや、『小さなトニトルス』というのか? これはお主が持って行きたまえ」

 

 なんとオスマン氏は、懐から件の『小さなトニトルス』を取り出した。ジェヴォーダンが驚きの声をあげる。

 

「これは!? いや、宝物庫に戻したはずでは?」

「ふふ、よいのじゃ。宝物庫にはよく似た鉄製のワンドを飾っておる。何、誰も彼も興味など持たずに眺めておったものじゃ、気付くまいて」

「しかし、あなたの恩人の……」

「よいのじゃ。言うたであろう、せめてもの礼じゃ。おぬしがどういう理屈でこちらの宇宙にやってきたのか、私なりにしらべるつもりじゃ。だが、何もわからんでも恨まんでくれよ。なに、こちらの宇宙も住めば都じゃ、嫁さんだって探してやる」

 

 ジェヴォーダンは、『小さなトニトルス』を受け取り、静かに礼をする。帰る手がかりは、簡単に指の間からすり抜けていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 アルヴィースの食堂の上の階が、大きなホールになっており、舞踏会はそこで行われていた。ジェヴォーダンはバルコニーの枠にもたれ、2つの月を眺めていた。

 中では着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している。ジャヴォーダンも料理のおこぼれにありついてはいたものの、場違いな気がして中に入る気にならなかった。

 そばには、シエスタが持って来てくれた肉料理の皿とワインの瓶が乗っかっていた。この宇宙の料理にあれほど感動していたはずなのに、なぜか手をつける気にはならない。

 

「お前、何をしょぼくれてるんだ?」

 

 バルコニーの枠に立てかけた抜き身のデルフリンガーが、心配そうに言った。

 

「……狩人は、夜を駆け抜ける風だ」

「あぁ?」

「姿はなく、ただ獣だけを狩る。この宇宙に獣はいない。帰る方法への糸口が見つかるかと思ったが……このざまだからな」

 

 先ほどまで、綺麗なドレスに身を包んだキュルケがジェヴォーダンを誘い続けていたが、パーティーが始まるや中に入って男たちに囲まれて笑っている。

 黒いパーティドレスを着たタバサは、一生懸命にテーブルの上に山と盛られた料理と格闘している。

 

「それで……つまりお前、疎外感でも感じてんのか」

「……狩人の居場所がない夜だ。疎外感じゃない、疎外されてるんだよ」

 

 それぞれに、みんなパーティを満喫している。

 それで……先ほどのこともあって意気消沈しているジェヴォーダンは、なんとなく居場所を感じられずにいたのだ。

 

 突然、ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現した。

 

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな〜〜り〜〜〜〜〜!」

 

 ルイズは、長い桃色がかった髪をバレッタにまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を包んでいた。肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さをいやになるくらい演出し、胸元のあいたつくりのドレスが、ルイズの小さい顔を宝石のように輝かせる。

 主役が全員揃ったことを確認した楽士たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始めた。

 ルイズの周りには、これまでゼロのルイズとからかっていたノーマークの女の子の美貌に気づいた男たちが、いちはやく唾をつけておこうと慌てて群がり、さかんにダンスを申し込んでいる。

 ホールでは、貴族たちが優雅にダンスを踊り始めた。ルイズは誰の誘いも断り、バルコニーで月を眺めるジェヴォーダンに近づいた。

 ルイズが隣に来ても2つの月から目を離さないジェヴォーダンに、ルイズは首をかしげた。

 

「……楽しんでいるみたいね?」

「そう見えるか?」

 

 ジェヴォーダンはため息をつき、いい加減にと帽子を外した。銀色の髪が月光を反射し、鈍く光っている。

 

「……何が見える?」

「……『月』。あんたは?」

「『月』と『空』が見える」

 

 ルイズは、息を飲んだ。啓蒙の本質を、垣間見たのだ。

 そしてルイズは重苦しく俯くと、ジェヴォーダンの声色を真似たのか、低い声で言った。

 

「何が見える?」

「……『月』と『空』。お前は」

「……空に開いた穴かもしれないわよ」

 

 思わぬ返答に、ジェヴォーダンは吹き出した。つられてルイズも吹き出し……ジェヴォーダンにとっては、もうどれほどぶりか思い出せないほど久しぶりに……2人で、笑った。

 

「……お前は踊らないのか」

「相手がいないのよ」

「……? あれほど誘われていたろう」

 

 ジェヴォーダンのその問いかけに答えず……ルイズは、手を差し伸べた。

 

「踊ってあげても、よくってよ」

 

 ジェヴォーダンは驚き……そして帽子をかぶり直すと、薄い笑みを浮かべてその手を取った。

 

「喜んでお受けいたします、ご主人様」

 

 2人は並んで、ホールへと向かった。

 

 

 

 ジェヴォーダンのエスコートで、ルイズは軽いステップを踏む。ダンスまでこなせるなんて、この男はどこまで有能なのだろうかと、思わず関心してしまった。

 

「……ねぇ、ジェヴォーダン。信じてあげるわ」

「? 何をだ」

「……あんたが別の宇宙からやってきたってこと」

 

 ルイズはステップを踏みながら、そう呟いた。

 

「なんだ、信じていなかったのか」

「今まで、半信半疑だったけど……あの『破壊の杖』、あれを見せられちゃったら、さすがに信じるしかないわね」

 

 それからルイズは、少し俯いた。

 

「ねぇ、帰りたい?」

「……帰りたい、というのとは、少し違う。もし自分の願いだけを唱えるなら、帰りたくはない。ずっとここにいて、お前の使い魔をするのも悪くはない」

 

 ルイズの顔が一瞬明るくなった。だがその文脈を読み取れば、そう都合のいい話じゃないことがすぐわかり、また俯いた。

 

「俺は、帰らなくちゃならない。狩りはまだ、終わっていない。狩りを、成就しなければならない」

 

 そうよね……、と呟いて、ルイズはしばらく無言で踊り始めた。

 背の高いジェヴォーダンのエスコートで、ルイズはくるくると廻る。また向き直って踊り始め……ルイズは顔を赤らめると、思い切ったように口を開いた。

 

「ありがとう。その……フーケのゴーレムに潰されそうになった時、助けてくれて。良い貴族だって、言ってくれて」

 

 ジェヴォーダンは、答えない。ルイズは何か誤魔化すように呟いて、俯いた。

 楽士たちが奏でる曲のテンポが上がり始め、2人も軽やかになっていく。ジェヴォーダンは正直、こういう時に返すべき言葉がよくわからなかったのだ。だから今は、少しでもこの小さな娘が楽しめるようにしてやればいい。軽いステップを踏みながら、そう思えるだけで十分な気がした。

 

「当然だ」

「どうして?」

「俺は、お前の使い魔だからな」

 

 ジェヴォーダンはそう言って、ルイズをエスコートした。

 

 

 

 そんな様子をバルコニーから見ていたデルフリンガーが、こそっと呟いた。

 

「おでれーた!」

 

 2つの月がホールに月明かりを送る。何者の意思もない、溶け出すような月明かりを。

 何も潜まない、静かな宇宙を辿ってやってくる月明かりを。

 

「相棒! てーしたもんだ!」

 

 踊る相棒とその主人を見つめながら、デルフリンガーは、おでれーた! と繰り返した。

 

「おでれーた! 主人のダンスの相手をつとめる使い魔なんて、初めて見たぜ!」

 

 




小さなトニトルス

医療工房の異端、アーチボルドの手になる神秘の触媒
地面に突き刺し、黒獣が纏うという青い雷光を人工的に再現する。
使い魔のルーンの効果により、その本来の力を呼び起こす事ができる。

『破壊の杖』とは、決して買い被りではないだろう。
雷光とは、ただ破壊することしかできないのだ。

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