賢者な英霊(仮)はとにかくヤりたい(真顔)   作:おき太さんかわゆい

11 / 24
やった! 私は勝ったぞ……!
漸く2万字超える病を克服したんだ! ザマァみやがれ!
私は運命に打ち勝ったんだ!(大袈裟)



────という展開にしたかったが、治らなかった(愕然)
執筆途中だがこのままだと絶対超える(白目)

ただ、救いだったのは比較的分割しやすかった点

おかげで予定通り約1万字に抑えられたよ! やったね!
……こういうのは予定通りって言わない()


てな訳(?)で第5特異点『イ・プルーリバス・ウナム』編第3話始まります


今回ぶっちゃけ全然汚くないし前回より短いので物足りないかもです
まあ、溜め回みたいなもんですよ

※ここまで最初から読んできた読者ならこの程度は軽いレベルの汚さ。つまりボクシングでいうジャブ

それではどうぞ!


実は俺、○○○○○○○なんだ(逮捕)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居場所のわからない女性を探すのに最適な方法があるのは、常識としてみんなご存じかと思う。

 

 

 

 手がかりとなる女性が身に着けていた物やその女性とよく一緒にいた人、その女性がよく訪れた場所といった、探したい女性の痕跡が存在するのならあとは簡単。

 その最適な手段を使えばほぼ9割の確率で見つけ出せるはずだ。

 

 

 

 だが知ってはいても、実行に移すだけの実力が無ければ話にならない。

 

 

 

 この技術を使う上で、重要な部位が機能さえしていれば誰でも使えはする。

 誰でも使えはするものの、広範囲を捜索するのならば、それ相応の熟練度が必要となる。

 

 

 

 その技術をもって、アメリカ大陸全土を網羅できる熟練度を有する者は、この特異点においてその技術を極めぬいた俺だけだったってだけの話。

 何せ俺はこの技術を用いて本気を出せば、感覚を極限まで研ぎ澄ますことで、隔てた世界に閉じこもる女性すらも、我が部位は感知する程なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、では何故この技能をフル活用することになったのか?

 

 

 

 

 

 そのいきさつを語るには昨日に遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 藤丸立香率いるカルデア御一行+現地の看護師(狂)は、仲間の賢者(仮)な復讐者が捕らえた見た目は美少女、中身はおばあちゃまなレディを人質にして、眼からビームなサーヴァント・ランチャーと交渉し、現アメリカ────通称アメリカ西部合衆国の本拠地があるデンバーに出向くこととなり、そこの王に会うこととなった。

 

 そうしてなんだかんだで王の間的な場所に案内され、待つこと数分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現れたのは風貌が筋骨隆々な体に、某スーパーな男のマント無し版みたいな格好をした、二足歩行のライオンキングだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真名をトーマス・アルバ・エジソンだと彼は宣った。

 

 かの有名な発明王であり今は大統王だと言う。

 

 どう考えても生前と違いすぎる上、とても人間とは言えない獅子頭。

 

 エジソン要素は肩にある彼の発明品である白熱電球くらいなものだろう。

 

 

 

 

 

 

 この時点で違和感は凄いが、人(?)を外見だけで判断するのはそれこそ愚の骨頂。

 まずは会話を交わしてみて、その上で見極めなければならない。

 

 

 

 

 

 

 会話をしてみてわかったことは、生前はただの人間であったが召喚されたら獅子の頭だったという事態に遭遇したにもかかわらず、知能が劣化した訳ではないので問題ないという結論に至った合理主義の化身。

 

 カルデアの異なる時代へと繋げる魔術的遠隔通信に興味を持ち、純粋な科学技術だけでそれを再現できないか試そうと考え、話が脱線しかける程のやたらと高い発明意欲。

 

 

 

 

 

 

 少し会話をしただけでも、エジソンだとわかるほどの発明への情熱。魔術よりも科学重視な思考。獅子頭で召喚されたことを些細なことと切り捨て、増殖するケルト軍へ対抗すべく即刻大量生産ラインを確保する効率主義。

 

 

 

 

 

 

 ここまではまだ良かった。

 エレナ絡みで人質云々では一悶着あり、賢者自身が己にのみヘイトが行くように調整したりなどの小競り合いはあったものの、概ね大丈夫だった。

 

 だが獅子頭となった弊害か、やはり致命的な問題が巣くっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 彼が掲げる新体制とは『常人の三倍遊び、三倍働き、三倍勝ち続ける』ことを基本理念とするものだった。

 結論から言ってそんなことは不可能でしかない。

 

 国難打破が目的とはいえ、戦力拡充の為に国民へ1日20時間監視込みの過度な労働を強いり大量生産ラインを維持。

 それに対する救済措置が最上級の娯楽。

 だが、言わずもがな1日は24時間しかない。

 残り4時間では娯楽に興じる暇などない。人間は眠らなければまともに活動できなくなる。

 食事や体の汗を流す時間を最大限短縮したとしても、睡眠時間は約3時間。

 これでは倒れる人が続出するのは目に見えている。

 

 なおかつ、最終的にはすべての国民を機械化兵団にしようとしている上、その数を武器にケルトを殲滅するつもりだ。

 しかし、根本的な問題としてケルト兵は、聖杯がケルトの手にある限りノーコストで無限に湧いてくるのだから何の解決にもなっていない。

 使える資源も人材も限られ、戦力の質や数でも劣っている現状では、辛うじて戦線を維持できているに過ぎないのだ。

 このままでは敗北は濃厚。

 

 エジソンはその事実に薄々気付いているはずなのに、目を逸らしているのだ。

 合理主義なはずな彼が非合理な作戦を断行しているという矛盾。

 

 

 

 

 

 

 

 紛うことなきアウト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いかにして世界を救うつもりなのか?

 そんなナイチンゲールの質問に対する彼の返答。

 

『時代を修正する必要はない。聖杯を手に入れたら改良を施して他の時代とは全く異なる時間軸に、このアメリカという世界を新生させることで時代の焼却から免れることが可能になる。他の時代? 知らんな。私の発明が作り直したこのアメリカは永遠に残る。ならば他は別に滅びても構わん』

 

 こんなようなニュアンスの答えだった。

 反英雄のような存在ならこの返答もわからなくもないが、エジソンは正真正銘の英雄。

 であれば、世界を守る義務が、理想が、願いがあるはずだった。

 ここまで歪んだ思想を生前のエジソンが考えていたとはとても考え難い。

 それ以前に人類史を正常に取り戻すことを信条とするカルデア側からすれば、とても許容できる意見ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よって、ツーアウト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、さらに問題なのは世界を救う意志の否定からの開き直り。

 

『王たる私が愛国者で何が悪い? 我々────私にとってはアメリカが全て。王たるもの、まず何より自国を守護する義務がある』

 

 といった具合の、人類史なんざ二の次、アメリカ第一主義。このアメリカさえ時代から切り離し無事であれば、他はどうなろうが知ったこっちゃないのスタンスだ。

 いくらなんでも、史実のエジソンから逸脱し過ぎている感が否めない。

 外見の話ではなく中身も、と注釈が入るくらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 つまりスリーアウト、チェンジ!

 

 ここからはカルデア組のターンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外見だけでなく中身まで違和感だらけのエジソンの姿を見て、賢者のアヴェンジャーはスキル・二次元シミュレーションを密かに行使していた。

 

 エジソンの状態に既視感を覚えたのだ。

 

 今までプレイしてきた数多のゲームと照らし合わせてこの違和感を払拭できれば、あのプレジデントライオンの異様に凝り固まった思考回路を、解きほぐす打開策を提示できる。

 そんな可能性があることを彼は見出した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、答えは得た。

 この既視感は異空間でプレイしてきたゲームではない。

 数刻前に二人の英霊によって気付かされた事実。

 エジソンと己自身の状況が酷似していることに、賢者のアヴェンジャーは気付いたのだ。

 そこまで気が付けば後は簡単だ。同じ手法で知覚すれば問題ない。

 

 

 

「……エジソン、お前が何故大統王と名乗っているのか、生前とは似ても似つかないクリちゃ……クリーチャーな姿なのか、漸く理解したぞ」

 

「なにをだね? ブラヴァツキーを人質にした卑怯者風情が」

 

「悪いが無駄な消耗は互いに抑えるべきと判断した。これは不要な争いを避けるための処置だ、許せ。……それはともかくとして、お前の中にはいるんだろう? 数えるのも億劫な程の大統領の魂が我には視えるぞ」

 

 

 

 賢者の思わぬ発言に場の時間が一瞬止まったように感じられた。

 

 

 

「…………なんと。出会って間もない君に看破されるとは。何故わかったのだ?」

 

「我も似たようなモノを中で飼ってるのさ。……そこの看護師に指摘されてついさっき自覚したばかりだかな」

 

 

 

 くいっと賢者は後ろに控えていた看護師、ナイチンゲールを指差す。

 彼女は今までの会話とエジソンの様子を見て得心がいった面持ちで口を挟んだ。

 

 

 

「なるほど。これで納得がいきました。ミスター・エジソン、貴方も彼と似た病気ですね。治療しましょう」

 

「あー……本人を前に言い切っちゃったかー……」

 

「……手心を加えてもらえると助かるが……望みは薄いか」

 

 

 

 未だにネバネバマットレスで拘束されているエレナと、ライオンの隣で静観していたカルナは何かを悟った表情で呟いていた。

 彼らはエジソンの現状をわかっていたのだ。

 わかっていた上で、彼の方針に従っていたのだろう。

 

 

 

「なっ!? 私が病気だと! いきなり無礼な。私のどこが病んでいると──」

 

「黙りなさい。病人に病を告げることの、どこが無礼ですか」

 

「……諦めろエジソン。我も病気と診断されたんだ。我よりも重そうな症状のお前が病気じゃない訳ないだろう?」

 

 

 

 エジソンが獅子の頭を持っていたという記録など存在しない。

 ましてや小競り合いをした時に、力の一端を確認したが、歴史上のエジソンがそこまで強大な力を持っているはずがないのだ。

 その原因にして、真相。

 

 

 ケルトに打ち勝つ為の苦肉の策。

 世界的な知名度を誇るアメリカの英雄(トーマス・アルバ・エジソン)に、アメリカの初代から最後の代までの歴代大統領の力を結集させた。

 

 

 いわば、エジソンという霊基に歴代大統領の集積思念をぶちこんだのだ。

 それはあまりにも無茶な手段。

 憑依の経験もろくにない彼に、一人ならまだしも無数の人間の思念を憑依させるなど、何処かがイカれてもおかしくはない。

 その証拠として外見へ顕著に現れている。

 そして、外見が変わりすぎているからこそ、中身だって変貌していても何ら不思議はないのだ。

 だから不具合が生じた。

 

 

 

「お前と我はそういう意味では似ている。だが、決定的に違うこともある。それはお前が中にいる存在の意志やら使命に影響され過ぎていることだ」

 

「な、に……?」

 

「アメリカさえ救えればそれ以外はどうでもいい。そんな願いがお前自身から生じたものだとは、我にはとても思えないんだが?」

 

「ぐっ、しかし私は彼らからアメリカという未来を託されたのだ! そんな彼らの意志を蔑ろにしろと言うのか!?」

 

 

 

 エジソンはアメリカだけを救おうとする集積思念の影響を受け過ぎていた。

 だが、英雄の本質には世界を救う使命がある。

 特に多数の民族から成立した国家であるアメリカ合衆国は、あらゆる国家の子供に等しい。

 ならば、エジソンもその中の歴代大統領にだって、世界を救う義務があるのだ。

 

 

 

「律儀なんだなお前は。……だが言わせてもらうぞ。我は中にいる存在の意見に、ほぼ答えてやったことがない。我は己自身から生じる意思にのみ今まで従ってきた」

 

「なんという薄情者だ」

 

「かもな。中の連中からやめろと言われたことも平然とやったし、汚いことにも積極的に手を染めてきた。中の奴らの意思に左右されず常に我の意思でな」

 

「…………」

 

「……そんな我ですら世界を救うべきだと理性の端で感じるんだ。全うな英雄とは言い難い汚れ仕事も躊躇なくやってきた復讐者である我が、だぞ? であればお前にその意志がないとは言わせない。目を逸らすなよエジソン。自分の意志を蔑ろにして、アメリカだけを救おうとするから苦悩してるんだと自覚しろ」

 

「ぬ……ぐ……」

 

 

 

 この時点でエジソンにとってはクリティカルヒット。

 しかし、容赦はしてもらえないらしい。

 バトンタッチ、フローレンス・ナイチンゲール。

 

 

 

「では、私からも言わせていただきます。貴方はもう1つ目を逸らしている事実がある」

 

「ま、まだあるのかね!?」

 

 

 

 そこからはライオンが可哀想なことになった。

 

 容赦なき正論で治療しにかかる(殺しにくる)婦長の猛口撃(もうこうげき)

 目を逸らしていた、ケルトに自身の得意分野で勝てない事実を突き付けられ、大量生産におけるプライドを盛大に抉られた挙げ句、「そんなだから電流戦争における生涯の不倶戴天の怨敵(ライバル)、ニコラ・テスラに敗北するのです」という、重すぎる一撃によりオーバーキルされたのだ。

 

 エジソンはあまりのショックで一時人語を忘れた悲鳴を挙げ、全身を痙攣させながら気絶。

 幸い床には倒れなかった。

 賢者のアヴェンジャーが気を利かせたのか、白濁マットレスを瞬時に彼が倒れる方向に展開したからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その時の復讐者は、普段の仏頂面からは考えられない程に、不憫なものを見る目をしていたと彼の仲間達は語る。

 

 

 

 

 

 

 

 結局、ナイチンゲールの説得により、メンタル面が多大に疲弊したエジソンはエレナとカルナに鼓舞され、マスターからも手を差し伸べられて何とか復活を果たした。

 それも柔軟な思考と人理の為に戦う意志を取り戻した上で、立ち直ったのだ。

 

 

 

 こうして反目する関係には至らず、カルデア組とアメリカ軍は協力関係を結ぶことに成功。

 もちろん、エレナ・ブラヴァツキーも自由の身となった。

 

 漸くこの特異点の人理を修正する為の第一歩を踏み出せたのである。

 しかし、まだこれでも戦力は足りていない。

 

 サーヴァントの数は全体で見れば増えたとはいえ、まだ足りない。

 何せケルト兵はひとりひとりが、戦いに明け暮れた猛者揃いであり、それが無限に湧いて軍勢と化している。

 この時代の人間を戦えるように急造の機械化歩兵にしたところで、戦力差を覆すには至らない。

 

 サーヴァントであれば確かに容易く倒せるが、なにぶん敵の数が多すぎる。

 一々相手取っていたら魔力枯渇は必至。

 倒しても倒しても増える現状、もう少しサーヴァントの数を揃えたいところだ。

 

 だからまずは他に召喚された、ケルト陣営にまだついていないサーヴァントを味方にする作戦に舵を取る結論となった。

 

 であれば、そのサーヴァント達を早々に見つけ出す必要がある。

 

 

 

 

 そこで白羽の矢が立ったのが賢者のアヴェンジャーなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳でエジソン説得完了。

 つい昨日の出来事だ。

 

 (婦長が)殺っちゃったぜ。

 ご冥福をお祈りします、惜しいライオンを亡くした(死んでません)

 

 ……茶化さないとやってられんのよ、不憫過ぎて。

 正直、秘蔵の封印無かったら明日は我が身的な感じで婦長にハートフルボッコにされた挙げ句、股間切除されてた可能性もなきにしもあらずじゃん?

 

 エジソンの悲惨な姿見て流石に同情したわ。

 

 

 

 

 

 いやー、二大勢力に別れて争ってる以上、聖杯使ってぽこじゃが戦士を産みまくってるケルト勢に立ち向かうなら、やっぱりここは片側のアメリカ勢力を味方に付けておかないと流石に厳しいしな。

 

 物量には物量で立ち向かうべし。

 

 いくら一騎当千のサーヴァントが複数いても、無限増殖の数の暴力をまともに相手取ってたら、こちらの魔力が尽きかねん。

 ケルト兵自体を蹴散らすのは訳ないが、無尽蔵に増える敵という点で分が悪い。

 一々戦っていたら、敵の将とまみえる前に消耗が酷すぎる事態に陥りかねんし。

 

 

 

 

 

 

 出会った当初、本能がエジソンに性具の注文をしようとしたけど、なけなしの理性とスキル・秘蔵の封印、『外側』と『内側』のガヤが喧しいのと、何故か突如眉間に音もなく炸裂した透明な銃弾によって、その気は失せてしまった。

 危うくカルデアに退場するところだったわ。オイ、誰だ発砲許可したの(私だ)

 

 お前だったのか…………いや誰だよ!?

 声しか聞こえないから誰が誰だか……って射殺許可求めてきた奴と声一緒じゃねーか!?

 許可求めておいて自ら許可出して殺しに来るとかお前なんやねん!(そこは死んどけよな)

 ……その言い方でわかったわ。

 毎度毎度辛辣かつ過激な意見ばっか言う奴だろお前。声も一緒みたいだしな(ギクリ)

 

 

 いったい何が目的だ?(……嫌がらせ)

 

 

 嫌がらせって……何処ぞの小学生かな? いやまあ嫌がらせで眉間に発砲してくる小学生なんざいないだろうが。

 何の恨みがあってこんなことをする?

 

 

 だんまりかいな。

 過去の俺がやらかしたことに恨みを持ってるなら、正直困るぜ?

 今の俺は記憶に抜け穴が多いんだからさ。

 

 

 《未来で今のアンタがやらかすことにキレてんだよこっちは》

 

 

 は? 何これ? 今までよりも声がはっきりしてる? めっちゃクリアに聞こえるようになったんだが。まるで脳内に直接音が広がるような……。

 

 

 《正確には次の特異点でやらかすんだアンタは》

 

 

 いやー……いやいやいやいや未来の話をされましても困るんですけどお客さん?

 つーか、どうやってんのこれ?

 

 

 《現代知識で言えば……モノラルからバイノーラルに切り替えたような感じかな?》

 

 

 いやだからそれをどうやってんのって話なんだが!

 それにその未来が確定してる訳でもあるまいに文句を言われてもなー。

 

 

 《私はアンタのおかげで順風満帆ではあったけど、ある一点においては『不幸』って事態に陥ったんだ》

 

 

 うん? 順風満帆なら良かったじゃん(全然よくない)

 

 

 急に戻るなし! てかなんだよ? 不幸って? …………えぇ、また無視?

 まあ、良いか。

 勝手に考えても栓無きことだし(ちっ)

 

 舌打ちしやがったよね今!? 言いたいことがあるなら詳しく話せや!

 

 

 《アンタに事情を説明したら未来が逆に確定しそうだから断る。というか嬉々としてやりそうだから絶対嫌だ》

 

 

 何それますます聴きたいんだが(ウズウズすんな)

 その切り替えどうやんのマジで。

 つーか、普段からバイノーラルの方でよくない?

 聞き取りやすいし(疲れるから却下)

 

 あ、疲れるんだそれ。どういう仕組みなんだ(変換作業がダルい)

 

 …………俺の体、謎多すぎんだろ。今まで500年以上疑問にも思わなかったのがぶっちゃけ怖い。

 というか俺よりも俺のこと知ってそうなのはいったい……。

 

 

 

 

 

 

 それよりも、根本的なこと忘れてたわ。

 

 

 

 

 

 

 お前らは結局のところ誰なんだよ?

 特に『内側』と『外側』は別の存在なのか?

 

 まあ、訊いたところでそう簡単に答えてくれるとは思ってな……えっ?

 

 なんだって? 『内側』は童貞のまま死んでいった無念を抱えた者達の魂の集合体? …………あっさり答えてんじゃねーか!?

 いや、なんでだよぉ! お前ら今まで謎の存在気取ってたんじゃないのかよ!?

 

 は? 訊かれなかったので……って、えぇ……。

 いや、確かに脳内フレンズだと思い込んでた……というか過去の俺とやらに思い込まされてたからか、疑問にも思わなかったし訊く気なんざまるっきり無かったけどさぁ。

 

 にしたって、そんな簡単に明かすかね?

 ……500年以上、お前に生殖細胞として出され続けてもう色々とどうでもよくなった? 世界への復讐もどうでもいい? むしろ出されるのがクセになった? 特にカルデアに来てからは合法的に女の子の体に付着したり、霊基に飛び込めるから最高?

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 ファッ!? ま、まさかお前ら、俺の精子に憑依してますのんっ!?

 えっ、厳密には精巣に憑依してて、出される時に個人に分離してる? どうでもええわ!!!!

 

 

 つまりあれか、見イキやらフルバーストでも常にお前らは射出されてたってことか!

 それどころか俺が白濁光を操作したり、宝具(こかん)でブッカケをかますたんびにお前らは射出されてた、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだそれは! 後者については普通に羨ましいぞ!(ダメだコイツ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、てか純粋な疑問なんだが吐き出された後はどうなってんの? フルバーストした時なんか全部射出してる訳だし、お前らとはさよならって感じで、また新しい連中が中に入ってくるのか?

 

 秘蔵の封印で縛り付けられてるから、吐き出された後も時間経過で強制的に精巣に戻される?

 リサイクルかよっ!

 あとメンバーが増えることはあっても減ることはないのか……精子の数が増加する度に、復讐心を携えた無念のまま死に絶えた童貞の魂が補填される仕組み、と。

 

 ……なんつーえげつないシステム構築してんだ。

 いったい誰の仕業やねん(過去のお前だよ)

 

 うわっマジかよ……悪魔みたいな奴だったんだな過去の俺。

 今の俺なんか聖人みたいに清らかで似ても似つかないやんけ(えっ)

 

 

 ……ん? なんで『内側』も『外側』も静まり返ってんだ? 耳元の声も急に失せたし。

 

 

 なんかおかしなこと言った俺? ……ッ!? うおっ!? いきなりブーイングの嵐はやめろ!!

 頭が割れそうになるわい!

 

 

 

 なぁ、ものは相談なんだがこのサラウンド状態も何とかならんかね? 超うるさくてかなわんのだが。

 ん? ダイヤルを回すイメージ?

 ……こうか? …………おおう! 音量が下がった!

 

 これでオーディエンスのことを気にせず盛大に見イキできるぜ! まあ、誰かに見られながらとか知られながらオナるのも、それはそれで快感だから、こうやって切り替えが利くのは幅広いプレイを楽しめそうで大歓迎だがな(変態末期)

 

 

 

 

 

 うっ! …………ふぅ。

 落ち着くのにはやっぱり射精が一番ですわー。

 

 

 

 さてと、『中』の連中と『外』の連中……あと別枠なのか知らんが『耳元で一人ずつ囁く』奴らのこととかは、一先ず置いておこうかね。

 

 

 

 ぶっちゃけアイツらがどこの誰だろうと知ったこっちゃないし、過去の俺がどうとかも正直どうでもいい。

 今まで通り今の俺を貫き通すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 俺の願いは童・貞・卒・業!!

 

 

 

 

 

 

 何者が邪魔をしようと、たとえそれが俺自身であろうと関係ねぇ!

 手を伸ばし続ければ願いは叶う。

 それを俺はロンドンで知った。

 

 

 

 

 手を伸ばし続けたからこそ、願い(おっぱい)を掴むことができたんだと!

 

 

 

 

 そうやって夢に向かって一歩ずつ前進できればそれでいい。

 さて、次の目先の目標はどうするか……。

 胸をクリアしたなら今度は尻か?

 

 せっかく中にも外にもいっぱいいるんだし、アンケート取ってみるってのもありかもなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがその前に今はやるべきことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は今いる場所はアメリカ西部合衆国の本拠地デンバーではない。

 俺はマスターや仲間と共に西部の小さな町デミングに来ている。

 仲間になった三人のサーヴァントはそのままデンバーに置いてきたけどな。

 

 戦力拡充と戦線維持の為に、残ってもらった方がいいってマスターが判断したんよ。

 

 立香ちゃんが、まだケルト側についていないサーヴァント達を味方に引き入れ、戦力を整えてから敵側の戦力把握の為に偵察メンバーを選出しよう、って言い出したんだわ。

 まさか彼女からそんな進言というか、提案が来るとは思ってなかったから正直驚いた。

 しかも外に出向く前に、エジソン達の方に連絡手段確立のため、幾つかの通信機も自主的に注文していた。

 散り散りになっているサーヴァントをかき集める時に、手分けして探すのを考えてのことみたいだ。

 

 魔術師としては未熟だと自覚してるからなのか、マスターとサーヴァントならではの念話には、どうやら頼る気がないらしい。

 まあ、念話って元が一般人な彼女がさらっと使うにはだいぶセンスがいるし難しいだろうしなー。

 

 そして、通信機の準備をしてもらっている間に、新たに協力関係を結ぶことになったエジソン、エレナ、カルナと、積極的にコミュニケーションを交わしていた。

 

 

 ……それがやべーのよ立香ちゃんってば、コミュ力がどっかおかしい。

 ものの数分で3人と仲良くなっちまいやがったのよ。

 いや、マジでどうなってんの?

 

 俺なんて未だにカルデア来てからまともに会話できそうな相手とか…………………………………………………………あれ?

 ついさっき意気投合したばっかのフォウくんだけじゃね?(ボッチ並み感)

 悲しみが溢れ出すぜ……!

 

 

 この後、アメリカ西部合衆国からマスターを救い出す為に近くまで来ていたジェロニモとも接触して、その凄まじいコミュ力で事情を説明したところ。

 

 

『……流石はマスターというべきか。あのエジソンを会って間もないにもかかわらず改心させるとは。特異点を既に半分以上解決してきただけはある』

 

 

 と、ものすごく感心していた。

 そんで、今はそのジェロニモに案内されて、一刻も早く治療が必要な、しかも復活すればかなりの戦力になるサーヴァントがいるデミングへとやって来た訳だ。

 マスターのおかげでトントン拍子に仲間のサーヴァントが増えてくぜ!

 

 

 …………立香ちゃんは生粋の魔術師に実力じゃ遥かに劣るだろうが、それを帳消しにしてあまりあるどころか、上回りすぎる程の才能『サーヴァントたらし』ってとこだ……。

 流石は人類最後のマスター……正直なるべくして最後の希望になる器だったのかもな。

 

 

 

 

 でも、なんか最近気負い過ぎてる感もあるんだよな……。

 覚悟決まってるっていうかなんというか、立香ちゃんってば何かあったんかね?(鈍感)

 

 知っているのかブラザー!?

 ………………って、教えてはくれないのかよっ!

 こうなりゃ二次元シミュレーションで! ……いや。

 

 乙女の秘密を覗き見るのは敵対者相手にのみ許される行為だ。

 情報収集は基本だから、それが許されるのは当然の帰結。

 だが仲間の、ましてやマスターの情報を読み取ったり詮索するのは紳士の行いとして間違っている(マスターのパンティーの色は)

 

 

 

 今日はバックレースのコーラルオレンジだな。

 ちなみにマシュはスタンダードなシームレスのネイビーで、正面にリボンが……あ(罠かけ成功)

 

 

 

 そ、卒業候補の下着の色を知っておくのは紳士の嗜みだから(震え声)

 

 え、デザインとか種類までは訊いてないんだよなーって?

 

 おのれ孔明……謀ったな!(いつもの風評被害)

 

 迂闊だったぜ……習慣が仇となるとは。

 だがセーフ! ブラザー共相手に心の中で口走っただけだから!

 これが現実だったら墓穴掘りまくり展開からの、最低でもお縄不可避。

 最悪変態の汚名を霊基に刻まれてから、惨殺されてもおかしくない。

 

 ……そう考えれば失敗は成功の元だし。

 大丈夫だ、問題ない。

 

 

 

 うっ! ………………ふぅ。

 

 

 

 ステンバーイ……ステンバーイ……よし、冷静になった。

 

 で、だ。

 漸く本題な訳だが(遅い)

 いやだってさ、目を逸らしたくもなるぜ?

 あんなえげつない傷とか、なぁ?

 

 一刻も早く治療が必要なサーヴァントには実は現在進行形でもう会ってんのよ。

 

 その英霊は『ラーマヤーナ』の主人公。

 ラーマきゅ……いや、ラーマだ。

 カルデアにもラーマいるけど、このラーマはこの特異点のラーマな訳だが。

 怪我が、その、見るに耐えんレベルなのだよ。

 

 心臓が半ば抉られてるという状態を直視し続けるのはちょっときつくない?

 いやー、リョナ描写もイケる口なんだけども、ただ痛々しいだけの姿はちょっとねー……あと心臓見てると、蛮神の心臓欲しくなってくるよね(不謹慎)

 

 サーセン、じゃあ俺も仕事するか。

 ラーマの治療効果を向上させる為、彼のことをというか設計図(にくたい)をよく知る人物、ラーマの妻シータを見つけ出す任を受けた。

 

 だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずにおいを嗅ぎます(何を言ってるんだお前は)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、最後まで聞けよブラザー。

 

 そのにおいを記憶したら、あとは別の場所にそのにおいがあるかを感じ取れば良い。

 そうすればすんなり居場所特定。

 ね? 簡単でしょ?

 

 

 もう既にハロウィン、ブレイブと同じにおいをダラスから感じたのでそこにはエリちゃんが。

 

 女のローマ臭をアレクサンドリアから感じたので、恐らくネロちゃまがいるだろうことも判明している。

 

 あ? 男? ……できなくもないけど、精度はめちゃくちゃ下がるよ? 主に俺のやる気の問題で。

 もちろん性的対象に含まれる性別上ではオスってだけなら問題なく探せるがな(ドヤァ)

 

 

 つまりラーマのにおいを嗅げば、妻のシータを見つけ出すのも余裕綽々って訳さ。

 夫婦だからね、お互いの残り香的なのが霊基に含まれてるはずなんよ。

 では失礼して、クンカクンカ……ふむ。

 

 

「ラーマの妻がいるのはここから西だな」

 

「賢者さん、もう居場所がわかったんですか……!? 」

 

「流石賢者さん! それでジェロニモさん、ここから西って何があるかわかるかな?」

 

「……ここから西にあるのはアルカトラズ島だけだな」

 

「アルカトラズ島……だと……!? うぐっ!」

 

『ちょ、脱出不可能と謳われたあの島か!?』

 

「ということは、やはりシータさんは囚われの身なんでしょうか?」

 

「ラーマ君、急に起き上がらないで下さい。傷に響きます」

 

「ナ、ナイチンゲール女史。もう少し手加減をしてやってくれないかね? 力ずくで押さえつけては逆に傷が広がりそうなのだが」

 

 

 ほれ、これで次の目的地は決まったぜ! アルカトラズ島に直行だな!

 まあ、こんな早く見つけ出せるようになるにはソムリエの資格を得るくらいの修行が不可欠だったりするけども。幸い俺は無駄に時間もあったしその資格を持ってた訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は俺、女体臭ソムリエなんだ(逮捕)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや何でだよ!?

 まったく逮捕案件に直結するような内容じゃなかっただろ!(内容だよ)

 やったことだってラーマきゅんの香り(スメル)と、彼に付着したシータちゃんの香り(スメル)をクンカクンカしただけだぞ?

 

 その行為になんの問題があるって言うんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 Oh……これがツッコミ不在の恐怖か。

 ツッコミは大事だな……やっぱ。

 

 

 

 ラーマきゅんの香り(スメル)はいらないだろ! ってツッコミが来ないのは恐いわー(違わないけどそうじゃない)

 

 

 

 えっ。

 他のどこにツッコミを入れる要素が……?

 

 

「賢者のアヴェンジャー。ラーマ君を看護しながら運べるようにあのストレッチャーを出していただけますか?」

 

「……ストレッチャー?」

 

 

 あのー……思索に耽ってる最中に、いきなり話しかけてくるのやめてもらえます婦長? ビビッて出ちゃったじゃんか白いの(汚い)

 てか、ストレッチャー? 確か担架のことだっけ? そんなもん用意した覚え無いんだが……。

 

 

「私達が失神していた時に乗せられていたアレです」

 

「…………ああ、我が光の術で形成した浮遊式マットレスのことか。少し待て」

 

 

 ああ! 白濁マットレスのことか。まあ、確かに担架の代わりになるか。ほれ!

 

 

「ありがとうございます。では早速治療します」

 

「ぐっ……よろしくたのイダダダダダ! ぐおおおおおおおおおお!? け、賢者と言ったな? この者を止めてくれ! せめて手加減を、このままでは余がァァァああああああああ!!??」

 

 

 あーあー! 少年の断末魔とか聞こえないー。…………いたたまれないし音量上げよ、ダイヤルを回すイメージだったな……やったね! 嫌な音はシャットアウト(目逸らし)

 

 

 

 

 

 

 

 さぁ! シータちゃんを一刻も早く救うため、アルカトラズ島へレッツゴー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ジェロニモとエミヤは別行動でエリちゃんとネロちゃまの確保よろしくゥ!(理由付けてパーティから男を追い出す屑)

 

 

 

 

 

 

 




前回明かされた要素を利用してエジソン陣営と出会ったその日に手を組む方向に。もう一回会いに行くのは二度手間だからね仕方ないね()
その後もだいぶ原作本編とは違うルートに移行
賢者が変態的に有能なのが原因なんでこれも仕方ないね
そのせいで時系列が色々面倒なことに……ったく、つくづく作者泣かせな主人公だぜ(白目)


さて、次回は分割した関係上今回の話の後編なんで、そんなに間隔あけずに投稿できると思います
少々お待ち下さい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。