どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

38 / 40
あれ、3年ぶりの投稿…
書きかけの下書きが残ってたので、勢いで書きました。


35

夕食を終えて、自由時間となった。

 

 

友人と集まって駄弁ったり、旅館の設備にある卓球台を利用したり、売店で土産を選んだりと、各々好きな事をしている。

 

そんな中俺は、刀奈と共に館内を巡回していた。

 

学年の中では、というか学園の中ではかなり顔も知れ渡っている事もあり、俺たちに気づいた生徒達は、声をかけてくれる。

 

「あ、上代君と楯無会長だ」

「上代君、また自由時間に楯無会長の見回り手伝ってるの?」

「ラブラブだね〜……コーヒー飲みたい」

「お疲れ様〜」

「ビーチバレー見たよ!!凄かったね」

「さすがに学園最強夫婦も織斑先生には勝てなかったか」

「山田先生も凄かったよね」

「山ちゃん器用貧乏…」

 

話を聞いていると、どうも昼間のビーチバレーを観ていた人が多いみたいだ。

器用貧乏は言っちゃいけない。俺も確かに思ったけど、山田先生は意外と気にしてるから。

 

 

話かけてくる生徒達と話しつつ巡回を続けていると、景子さんに出会した。俺達を見つけた瞬間、ニヤニヤしながら近づいてきたので無視して逃げたかったが、急な話にも関わらず部屋を増やしてもらった件もあるので、渋々諦めて話すことにした。

 

「こんばんは、翔平君、楯無ちゃん」

「どうも」

「こんばんは」

 

事もなく話しかけてくる景子さんに対して、応答する俺と刀奈。

どうせ昼間言ってた"後で色々と聞かせてもらう"の件だろう。

 

 

「自由時間なのに楯無ちゃんの仕事に付き合ってるという話は本当だったのですね」

「"自由"時間ですので」

「話は本当だった、というのは?」

 

当たり前のように言い返す俺と、景子さんの言葉を聞き返す刀奈。

 

「IS学園の生徒さん達がお話ししてるのを、たまたま耳にしました。お二人共、有名人ですね」

「あぁ、なるほど…」

 

噂話がすぐ広がるのは、学園の外でも変わらないらしい。

 

 

「改めて、おめでとうございます。翔平くん、楯無さん」

「「ありがとうございます」」

 

景子さんの祝福の言葉に、俺と刀奈は揃って感謝の言葉を返した。

何に対する祝福かなど、言わずもがなだろう。

 

「貴方達もようやくお付き合いを始めたのですね。昔から貴方達のことを知る者としては、色々と思うところがあります」

「た、例えば?」

「ようやくですか…とかですね。散々言われてるとは思いますが」

 

仰る通り、これまで散々言われてきましたよ…多方面から。

更識家関係者やら政界の方々やら和佳奈さんやら…。

 

「色々と聞きたい話がありますが…と言いたいところですが、実は和佳奈から既に話は聞いています」

「いや、まぁそんな気はしてましたが」

 

景子さんと和佳奈さんはプライベートで仲が良い。もう大親友と言えるレベルだろう。

もっと言えば生前の京子さんともとても仲が良かった。

 

それぞれ立場や仕事があるのでそこまでの頻度では無かったが、それでも定期的に食事や、休暇を合わせて旅行に行ったりしていた。

何年経っても変わらない、同性の親友って良いものだと思う。

 

なのでこの3人は、1人が知っていることは3人とも知っていると思っておいた方がいい。流石に仕事の話は話せない内容もあるが、プライベートの話だとまず確実に共有されている。

この3人を前に、プライバシーや個人情報など関係ない。まぁ3人の共通の知人の話に限るが。

 

「新婚旅行はうちを使っていいですよ?」

「話が飛躍しすぎじゃありません?」

「あ、やはり海外の方を考えてますか?」

「そういう話ではないです」

 

まだ付き合ったばかりなんですが。婚約はしてるけどさ。俺達まだ高校生ですよ?

ほら見ろ、隣の刀奈が顔真っ赤にしてるじゃんか。可愛いなちくしょう。

 

「でも、ゆくゆくはご結婚されるのでしょう?」

「そりゃ勿論」

 

むしろ刀奈以外と結婚するなんて考えられない。というか刀奈と別れるとか考えられない。

もし仮に別れを切り出されたら首吊って死ぬまである。

 

即答で結婚する気であることを答えると、刀奈がより顔を赤くしながら、俺の脇腹を抓ってきた。

照れ隠しだと分かるので微笑ましいが、抓る力が割と強いから普通に痛い。

 

「楯無さんも、ご結婚されるおつもりなのでしょう?」

「え!? いや、はい…それは、勿論…そうです、けど…」

 

俺の方に攻撃が集中していたので、急に振られるとは思ってなかったのだろう。刀奈があたふたしながら返した。

結婚されるおつもりなんですね、めちゃくちゃ嬉しいです。

心の中でガッツポーズしてはしゃぐ俺と恥ずかしさが頂点に達したのかさらに顔を赤くして俯いてしまった刀奈を見て、景子さんはふふっと笑っていた。

この人、揶揄い癖が凄いんだよな。

 

「しかし、こうしてみると貴方達もやはり子供ですね。更識としての普段のお二人を見ていると、凛々しい姿が目立ちますので」

「実際子供ですからね。立場がある以上甘えるわけにはいかないですが」

 

復活した刀奈が応えると、一度景子さんから視線を俺に移した。

 

「支えてくれる人が隣にいるので、頑張ることができます」

 

俺に対してニコッと笑みを浮かべる刀奈と、今度はこっちが顔を赤くしてしまう俺。

それを見て満足そうに頷く景子さん。

 

「元より心配していませんでしたが、その様子なら大丈夫そうですね。あとごちそうさまです」

 

惚気に対するその一言はこっちが恥ずかしいからやめてほしい。今はそれ以上に刀奈の言葉で舞い上がってるので大丈夫だけど。

 

「では私は仕事に戻ります。お二人共、忙しいでしょうけど、時間が有ればまたプライベートでいらしてください。特別に景色が最高の部屋を用意しますよ」

「ありがとうございます」

「その際は連絡させてもらいます」

 

最後に会釈して、景子さんは仕事に戻っていった。

その後を見回りを続け、刀奈が担当の範囲、時間帯の見回りが完了した。

 

「一旦部屋に戻って風呂行くか」

「そうね」

 

普段は寮で、風呂の男性陣の利用時間が決められているが、今日はそもそも男湯と女湯が分かれてるので、時間を気にせず利用できる。

女子は人数が多いのでクラス別である程度利用時間を区切っているが、刀奈は教員枠なのでどの時間でもOKらしい。

 

刀奈と話しながら部屋に戻ってくると、そこには異様な光景が広がっていた。俺たちの隣の部屋、織斑姉弟の部屋の前だが。

 

「お前ら何やってんだ」

「「「「「ッッ!?!?!?」」」」」

 

織斑姉弟の部屋の扉に耳を押し当てて、部屋の中の音を聞き取ろうと必死になっているヒロインズ5人に声をかけると、全員ビクッとして慌ててこちらに振り返った。

 

「ちょっ!!静かにして!!」

「気づかれるだろう!!」

 

すごい小声で言ってくる鈴と箒。

おい、距離が近い。後ろに刀奈いるからやめて、お願いだから。

 

とりあえずなんでこんな馬鹿なことしているのか聞いてみると、曰く部屋の中から織斑先生の甘い声が聞こえてくるとか。

 

促されて俺も扉に耳を押し当て聞いてみると、微かにだが織斑先生の声が聞こえた。けどこれ、確かに似てるけど喘ぎ声ではなくないか?

 

…あ、分かった。

 

「上代です。入っていいですか?」

 

扉から耳を離し、躊躇なくノックして中に声をかけた。

後ろの5人が俺の行動に驚いてパニクってるが知らん。

どうせ一夏がマッサージでもしてるんだろう。前にマッサージが得意で織斑先生にも家でよくしていたって言ってたし。

第一こんな時間から、自室とはいえ他の学生もいる施設で、しかも姉弟でおっ始める訳ないだろう。

…姉弟だけど大丈夫だよね?

 

 

『あぁ、問題ない』

 

ほら、普通に中から織斑先生の返答があった。

致してると思い込んでるヒロインズが、普通に返答があったことでギョッとしている中、俺は一言声をかけて扉を開いた。

 

「お疲れ様です。マッサージ中でしたか」

「あぁ。一夏にマッサージしてもらう機会も久々だったからな。お前もどうだ?腕は保証するぞ」

「今から風呂行くんで、その後時間が有れば頼もうかなと思います」

 

え、マッサージ?という顔をしているヒロインズを尻目に俺と刀奈は部屋の中に入る。

ヒロインズの反応とマッサージをしていたという状況から、こいつらが何を勘違いしていたかある程度察したらしい刀奈は苦笑している。

 

可哀想だから話は広げないけど。多分完全オフモードの織斑先生が揶揄ってくるだろうし。

正直、刀奈と寮で色々(・・)やってるから、あんまりその手の話は振られたくない。ボロが出るとまずい。

 

「それで、何か用か?」

「今から風呂行くけど一夏はどうするかと思いまして。一夏、どうする?」

「俺も行くよ」

 

という訳で野郎2人は必要なものを持って、大浴場へと向かうことになった。…男2人で大浴場使わしてもらえるのって凄い贅沢だな。

 

 

「楯無はどうする?」

「私もお風呂行こうかしら」

「まぁ待て更織」

 

俺が風呂に行くということで、刀奈もそれに合わせようとしたところ、織斑先生から待ったが入った。

 

「折角の機会だ。彼氏持ちのお前からこの小娘どもに話でも聞かせてやれ」

 

そう言いながら、ごく自然な動作で冷蔵庫から缶ビールを取り出し、それを口にした。

…いや、教員が普通にアルコール飲んでいいのかよ。

 

「織斑先生、生徒の前でお酒は流石に…」

「今回お前の同行を特例で認めてやったんだ。これくらい大目に見てくれ」

 

刀奈の言葉にも平然と返す織斑先生。この人お酒好きなんだな。

織斑先生の言動に呆気に取られたヒロインズだったが、いろんな意味で先輩である刀奈からアドバイスが貰えると思って、キラキラした瞳で刀奈を見ている。

 

「……少しだけなら」

 

最終的には、刀奈が折れて了承した。

一夏は終始、ヒロインズがそこまで懇願の眼差しを向けている理由が分からないのか、首を傾げて不思議そうにしていた。お前に関する話なんだけどな。

 

 

女性連中は恋バナするそうだし、野郎2人も昼間の話の続きでもしますかね。

 

 

 

 

 

 




この後の構想もぼんやりとはあるので書いていくことはできるにはできるんですが、そのモチベーションと時間が全く無い状態ですすみません。

正直、本編ぶった斬って、1話完結の短編で、翔平君と刀奈のほのぼのした日常イチャイチャの方が書きたいしモチベーションもある…。

次回投稿の予定が全くの未定ですが、今回みたいにゲリラで勢いだけで投稿することはある…かもです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。