ほんとうに申し訳ないです。
仕事が忙しいとか言い訳させてください。
待っていてくれている人がいるか分かりませんが、これからも時間見つけて少しずつでも投稿していきますので、こんなのあったな程度で読んで頂けたら幸いです。
あと、いつも感想書いてくださっている方々、返答出来なくて申し訳ありません。
下さった感想については全て目を通しているので、今後も良ければ感想下さい。
…返答できないかもしれないですが、作者のモチベーションには繋がります。
それではどうぞ、お楽しみください。
「ハァッ!!」
ズドォォォォォォォォォン
砂浜にビーチバレーとは到底思えない音が響き渡り、俺と刀奈はそれを呆然と見送った。
「これで1-0だ」
音の正体は織斑先生のスパイクで、スパイクを決めた織斑先生は挑発するように俺と刀奈にスコアを言ってきた。
いや、人間のスパイクで出てる音じゃないだろ、今の。軽く砂浜抉れてるし。
スパイクを受け抉れた地面を刀奈とならしながら、相手のコートに立つ織斑先生と山田先生を見る。
山田先生は苦笑いだが、織斑先生はドヤ顔でこっちを見ている。
「…これは中々骨が折れそうね」
「…織斑先生ガチになっちゃってるしな」
さて、どうやってあの化け物に勝とうか…。
何とかして織斑先生の体勢を崩して、山田先生にスパイクを打たせるようにしたいけど、山田先生は多分サポートに徹するだろうし…。
結局はあの化け物スパイクを拾うしかないのか…。あれモロに喰らったら骨折れるんじゃね?
いや、筋肉あるし何とかなるか…。少なくとも刀奈にあんなものを受けさせるわけにはいかない。
山田先生のサーブでゲームが再開される。
ボールを上げる山田先生の手元を注視していると、ボールを包むよう持ちつつ、回転を加えながら上に上げた。
そのまま、回転のかかったドライブサーブが、俺たちのコートに決まった。
「ドライブサーブかよ…」
「山田先生って、本当に器用ね…」
パワーの織斑先生に、テクニックの山田先生ね…。この人達良いコンビだよな。
なんて、関心してる場合じゃない!!
再び山田先生がサーブを放つ。こっちに考える隙を与えてくれない。
山田先生のサーブは再びドライブサーブ、しかも俺と刀奈の斜め前、2人のちょうど真ん中を狙ってきた。
「おら!!」
手では間に合わないと判断した俺は、足で何とか上にあげた。
サッカーやってたから、手より足の方がやりやすかったりする。
トスを上げるため、俺があげたボールの落下地へと刀奈が移動する。
あの2人の反応速度を超えるには普通に打っても簡単に決まらないよな…。どうするか…。
……よし、やっぱ足でいこう。女子用だったからネット低いし。
あとはトスだけど…刀奈と目線があった。
--足でいく
--了解
刀奈のあげたトスを、セパタクローの要領で打ったスパイクは、コートギリギリに決まった。
「ねぇ、今上代君手使わなかったよね…?」
「1タッチ目はまだしも、スパイクの時の動きが…」
「上代君も大概人間やめてるよね…」
あれ、凄いとか言われると思ったら、周りから引かれてる。そこそこの身体能力あれば誰でも出来ると思うんだけどな。
その後は、お返しとばかりに刀奈がドライブサーブを出したり、織斑先生の人外サーブを俺が何とか足で上げたり、人外サーブと思ったことが織斑先生にバレて球威がさらに上がったエゲツないスパイクが俺の顔面に飛んできたり(何とか避けたらアウトになった)、刀奈とのハイタッチを見た独身2人の顔から笑顔が消えたり、何だかんだあった。
--やぁ、何だか楽しそうな事をしているね。
なんだベル、起きたのか。
--翔平の命に危機が迫ってる、みたいな予感がしたんだよ。
ISコアであるベルが、こうして突然話しかけてくる事にもようやく慣れてきた。
といっても、普段はほとんど寝ているらしく、俺からの呼びかけにもほとんど反応がない。時々こうして、突然話しかけてくるのだ。
ちなみに、ベルの存在についてはごく僅かな人間にだけ伝えている。
出雲の楠姉妹に藤丸さん、槍一郎さんに葵さん、そして刀奈だ。
内容が内容なので、他の人には伝えていない。学園では無く、あくまで更識家の話として、最低限の人にのみ伝えた。
…楠姉妹の興奮が凄まじかったけど。
--生命に危機を感じるビーチバレーってどうなんだい?
俺に言われてもなぁ…。
--刀奈ちゃんとハグでもしてみたら?
火に油注いでどうするんだよ。俺マジで死ぬぞ?
--大丈夫。死なない程度に絶対防御で守ってあげるよ。
そこはしっかり守ってくれよ。ビーチバレーで怪我はしたくないから。
自由時間のビーチバレーで負傷など、いろいろなところで問題になる。
--じゃあ僕はまた寝るよ
お前ほんとよく寝るよな。
--そもそも待機形態が眠っているようなものだからね。じゃあお休み、死なないでね。
さらっと恐ろしい事を言い残して、ベルからの反応は無くなった。
相変わらず自由な奴だ。
さて、ビーチバレーに集中しよう。
大人気なさの詰まった一進一退のビーチバレー対決は、現在14-14のデュースとなっている。
このゲームは15点先取の1ゲームマッチなので、先に2点取れば勝ちとなる。正直この2人に連続得点は無理な気がするけど…。
山田先生のサーブでゲーム再開。
ボールを上げる山田先生だが、さっきまでとフォームが少し違っているのを、俺も刀奈も見逃さなかった。
ここにきてさらに奥の手かよ!?
山田先生から放たれたサーブは、やはり先ほどまでのドライブサーブとは異なり、不規則に揺れる軌道で刀奈を襲った。
やっぱりフローターサーブか。
山田先生がこのタイミングで出してきた、これまでとは全く違うサーブを、刀奈が流石の反応でなんとか拾う。
しかし、相手にチャンスボールが渡ってしまい、織斑先生にあっさりと決められてしまった。
「山田先生って…」
「本当に器用ね…」
ハイタッチする教師2人を見ながら、俺と刀奈は呟いた。
"器用貧乏"という言葉が頭に浮かんだよ。
試合は結局、そのままの勢いで1点を決めた教師ペアの勝利で終わった。
なんか最後の方は気迫が凄まじかったな。俺も刀奈も完全に引いてたし。
時折ボソッと、「独身の底力を見せてやる」とか「リア充には負けられません」とか聞こえてきたし。
山田先生の口からリア充という単語が出てくるとは思わなかった。
怖いよ。
ビーチバレー対決が終わった後は、周りを固めていたギャラリーも含めて解散となった。
それぞれ、泳ぎに行ったり部屋に戻ったりとしているが、みんな口々に「凄かったね」とか「ちょっと怖かった…」とか言っている。
やはりさっきの織斑先生と山田先生は、外から見ていても怖かったのか。
…怖いよ。
ビーチバレー対決から時間が経ち、夕食の時間となった。
「翔平、席はどっちにする?」
当然刀奈と一緒に食べるのだが、この夕食では座敷席かテーブル席を選べるようになっている。
さすが女子校か、座敷席では正座で座るのがマナーになっている。教養を育むっていう観点からするといいんだろうけど、あくまで日本の文化だからなぁ。
別に俺は正座が苦手っていう訳でもないが、刀奈と相談し夕食は静かに食べたいのでテーブル席を選択した。
一夏は座敷の方にいったから、そっちはどうせ騒がしくなるだろ。
刀奈と一緒にテーブル席に移ると、簪と本音の姿もあった。
俺達と同じく夕食は静かに食べたいので、比較的人数の少ないテーブル席を選んだようだ。
テーブル席を選択したことによって、俺たちはゆっくりと絶品の料理を楽しむことができた。
更識家がここを気に入ってるのは、料理が格別っていうのが大きいんだよな。
「やっぱりここの料理は美味しいわね」
「ほんと、最高だよ」
「豊も、話だけは聞いてるみたいだから、食べてみたいって言ってた」
簪は豊とうまくやってるようだ。
更識家の枠を使って、また今度2人で来れるように調整してやるか。
いつものように、豊との話をネタに本音が簪を弄ってるのを見つつ、
といっても、学園で他にいる男といえば一夏ぐらいか。あとは、轡木さん……、うん犯罪臭しかしないな。
そういえば、一夏の恋愛相談はどうするかなぁ。昼間もちょくちょく様子を見てみたけど、表面上はいつものようにしつつ、内心あーだこーだ考えてるようだった。
恋愛については思う存分悩んでもらって構わないんだが、このままの状態だと明日起きるであろう福音戦が心配で仕方ない。
食べ終わった後も自由時間だし、風呂入るときにでも話聞いてやろう。どうせ団体行動大好きな一夏のことだ、風呂行くときは誘ってくるだろう。
虚「半年以上、何もしゃべっていない気がします」
ごめんなさい。