どうせ転生するなら更識姉妹と仲良くしたい   作:ibura

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原作関係ないオリジナルの話になると執筆のペースが格段に速くなる。


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刀奈とのデートから1週間後、俺たちはとある墓地に来ていた。

 

今日は以前より準備していた京子さんの墓参りの日だ。

楯無である刀奈の仕切りのもと、全員で手を合わせる。

今この場には多くの権力者や有名人が来ている。和佳奈さんをはじめとする政治家の人達に投資家、警察のお偉いさんに大学病院のお偉いさん。あとはIS学園の学園長である轡木さんも来ている。

更識関係者も当然来ている。

 

色んな人が来ているが、共通する点はこの国の中心となっていることだろう。

そして、京子さんの死を悲しんだ人達だ。

 

 

「では皆さん、更識の本家に移動しましょう」

 

墓参りがひと段落し、刀奈の言葉で各々移動を開始する。

 

ちなみに俺たちが今いる墓地は、地図には載っていない。更識の関係者が管理している墓地だ。

これだけの有名人が集まるのだから、セキュリティはしっかりしている。メディアへの情報流出も規制しているし、今も現地警備は仁さんを中心に行なっている。

 

 

この後は、例年通り本家で宴会が始まる。

いい歳したおっさん達が嬉しそうに移動してる。

名目上は京子さんを含める、歴代の楯無やその側近、更識の関係者・協力者の墓参りなのだが……。

宴会と墓参り、どちらがメインイベントなのか分からない。

 

たしかに堅苦しい話は抜きだし、色々と隠さなくてもいいという点では、単純に宴会を楽しむことができる。そのせいで毎年どんちゃん騒ぎになるんだけど……。

このイベントに参加している人達は、全員信頼できる人物だ。歴代の楯無達が築いてきた人脈の賜物だと思う。

そして、その人達から絶大な信頼を得ていた京子さんは凄いの一言だ。槍一郎さんが自分よりも京子さんへの信頼が厚かったという事実をちょっと気にしているけど。

 

それぞれが自由に会話しながら歩いている中で俺が1人で歩いていると、和佳奈さんが近づいてきた。

 

「翔平君」

「あ、和佳奈さん。この前はありがとうございました」

「いいのよ。元は私の方の問題だったから。それよりも、楯無ちゃんとの話を聞かせなさいよ」

 

 

周りには聞こえない声で聞いてくる。この後公表するけど、一応今はオフレコなので周りには聞こえないよう小声で聞いてきてくれる辺り、この人は良い人だ。

 

 

「……この後全体に公表するからそれまで待ってくださいよ」

「そしたらおっさん共に囲まれて詳しく聞けなくなるじゃない」

「まぁ、確かに……」

「楯無ちゃんからは後から聞くとして、翔平君はここで洗いざらい吐いちゃいなさい」

「何でそんな取り調べみたいなんですか」

「いいじゃない。教えてくれたら、今度また何かあった時に融通利かせてあげるわよ」

「………仕方ないですね」

 

結局、俺が折れて色々と聞き出されてしまった。

和佳奈さんに貸しを作るのは後々物凄く役に立つのだ。本当に、融通が利くから。

そういうチャンスは作っておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本家の大広間に移動して始まった宴会。まずは楯無である刀奈が軽く挨拶をした。

そして、刀奈俺と交際していることを発表した。当然会場が騒めく。

初耳の人は驚きつつも「やっとか」って顔してるし、既に知ってた人はニヤニヤしてるし。

 

そして、続けて簪も豊と交際を始めたことを発表した。これに最も反応したのは本音だった。まぁ当然か。

簪はその後、交際していることはここにいる人だけの秘密で、オフレコにしてほしいと頼み、全員がそれを了承した。本音には何度も釘を刺してたけど。まぁあいつもこれまでで痛い目を見てるから流石にやらかさないだろう。豊は学園とは関係ない人物だし。

 

 

その後刀奈の音頭で乾杯し、宴会が始まった。

 

開始してからは、刀奈は虚を引き連れて挨拶周りを開始した。刀奈は手にグラスを持っているが、その中はアルコールではない。楯無として形式上、乾杯の時にアルコールを持っていたがそれ以降はソフトドリンクに変更している。

刀奈は体質的にアルコールが全然飲めないのだ。京子さんもアルコールはダメだったので、やっぱり親子だなと思う。槍一郎さんはめちゃくちゃ飲むけど。

ちなみに、京子さんはアルコール飲んでなくても宴会になるといつもテンションが上がって、酔っ払いと騒いでいた。まぁ酔っては無かったから、その後は普通に酔い潰れたおっさん共を介抱してたけど。

 

そういう訳で、現楯無である刀奈は酒が飲めない。けど今日来ているおっさん達と付き合いで、飲むのに付き合う必要がある。なので……

 

「あら翔平君、グラス空いてるわよ」

「……いただきます」

「おう、飲め飲め!!」

 

俺が刀奈の代わりに酔っ払いの相手をする事になる。

 

更識の普段の宴会ではいつも座る席順が固定され、ある程度のマナーは守って大人しく飲み食いするのだが、今日のこの宴会に限っては、マナーもへったくれも無くなる。無法地帯だ。

俺も未成年なのだがら普段はアルコールは避けるが、この日に限っては「今日は無礼講じゃあぁぁぁ」と言われて捕まる。

まぁ17代続いてる楯無達の中にも10代で襲名した人は何人かいたらしく、その人達はこういった席では酒を飲んでいたらしい。

刀奈の代わりという事で俺も特例で許されている。

 

……言っとくけど普段は飲んでないから。これでも転生前は20歳超えてたんだから、飲みたいのは飲みたいけど最近は学園にいる事で我慢できている。

 

「さぁ翔平君!!楯無ちゃんとの事を吐いてもらうわよ!!」

「「「そうだそうだ」」」

「何て告白したの?というか、どこまでいったの!?」

「「「酒飲んで吐いちまえ!!!」」」

「あぁ鬱陶しい……。というか和佳奈さんは昼間に色々話したでしょうが!?」

「もう一度聞かせなさい」

「「「俺達は聞いてないぞぉぉぉ!?」」」

「……うぜぇぇ」

 

 

しつこい酔っ払いをあしらいつつ周りを見る。

簪と豊は2人でいるが、楠姉妹や本音に詰め寄られている。それ以外にも何人かはその周りで話を聞いている。恐らく俺と刀奈の関係を既に知っていた人達はそっちの話が気になるのだろう。

刀奈の方を見ると、挨拶周りは終わったのか虚と休んでいた。ちょうど刀奈もこっちを見ていたので、必然的に目が合う。

 

–-ごめんね翔平

---いや、大丈夫

 

 

手を合わせて謝るポーズを取る刀奈。

俺は片手を挙げてそれに応える。

 

 

「話聞かずにイチャついてんじゃねぇぞごらぁぁ」

「「「羨ましいな畜生!!!」」」

「あんたら全員既婚者でしょうに……」

「「「とっくに冷めきってんだよ!!!」」」

 

結局、酔っ払いのおっさん達を引き連れた和佳奈さんからの質問責めから抜け出せず、俺はたらふく酒を飲まされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁ……気持ち悪い、頭痛い」

「大丈夫翔平?水飲む?」

 

酔っ払いのおっさん達が酔い潰れた頃、俺はようやく解放された。刀奈から水を飲んで落ち着く。

俺は比較的酒に強い。といっても、人より酒が強くても酔うことは酔うのだ。全く影響が出ないわけがない。

これ以上飲まされたら間違いなく吐く。

 

 

「だらしないわね」

「和佳奈さん、俺まだ未成年なんですけど」

 

 

和佳奈さんだけは、酔い潰れることもなく未だに酒を飲み続けている。飲むペースも最も早く、飲んだ量も最も多かったはずなのだけど……。

この人が参加するせいで、毎年宴会用に用意する酒の量が倍増しているらしい。まぁ本人からある程度は代金を払ってもらってるらしいけど。

 

「ごめんなさい翔平、助けに行こうと思ったんだけど……」

「いや、ほんと近づかなくて良かったよ」

 

さっきまでの場の状況じゃ、べろんべろんになったおっさんに刀奈が酒を飲まされてたかもしれない。そうならなくて良かった。

 

「大丈夫?お兄ちゃん」

「大丈夫ですか?」

 

こっちも解放されたらしい簪と豊がこっちに移動してきた。

 

「何とかな……、2人もお疲れ」

「お疲れ」

「お疲れ様です」

 

2人とも顔が少しやつれている。まぁ軽く2時間ぐらいは楠姉妹を中心とした質問責めにあってたからな。そりゃ疲れるわ。

 

「お嬢様、一先ず自力で帰れる人は皆さんお帰りになりました」

「ありがとう虚」

 

本来なら刀奈も見送りに向かうのだが、今日は俺の方に付いておけと言われたらしい。曰く、「旦那が潰れそうなんだから介抱してやりなさい」と言っていたらしい。

ほんと、そこら辺で寝転がってる人達も見習ってほしい。

 

「和佳奈さんも今日は泊まっていかれるんですよね??」

「えぇ、そのつもりよ。まだ飲み足りないし」

「……まだ飲むんですか」

「当然」

 

虚の問いかけに平然と返す和佳奈さん。酒豪って、こういう人の事をいうんだろうな。

 

「翔平」

 

水を飲みながら落ち着いてきていると、一升瓶を抱えた槍一郎さんがやってきた。

この人も和佳奈さんに負けず劣らず酒豪なんだよな。最近は療養中だから控えてたはずだけど、今日は結構飲んでいた。

 

「明日の夕方に学園に戻るんだったかな?」

「えぇそのつもりです」

「なら、今から時間あるな」

 

………ん?

嫌な予感がする。

 

「今夜は徹夜で麻雀だ」

「…え、俺結構疲れてるんですけど」

「和佳奈君もやるかね?」

「いいわね、やりましょう!!」

「なら、あと1人だな」

 

あ、俺に拒否権は無いんだ。勝手に面子入れられてるし。

 

「藤丸には逃げられたし」

「葵か仁君でいいんじゃない?」

「そうだな、私が探してこよう。では30分後に私の部屋で」

 

そう言って、槍一郎さんは去って行った。

 

「俺、死ぬかも」

 

 

結局、朝まで付き合わされました。

 




「何で教えてくれなかったのかんちゃん!?」
「だってあなたに言ったら、言いふらされるかもしれない」
「もうそんな事しないよ!?」
「本音、説得力がありませんよ」
「もしかしてお姉ちゃんも知ってたの!?」
「はい」
「みんな酷い!!」


次は刀奈目線の話にします。

麻雀打つ描写を入れるか悩む……。
個人的には書きたいけど興味がない人にとってはどうでもいいだろうからなぁ。

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