※ご注意
この作品に登場希望の事件案ですがこの投稿サイトのルールで活動報告の方でのご回答が望ましいという事なので今後、そちらでされる事をお勧めします。
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日が昇り、別荘から下山した一同は高橋を警察に引き渡して事情聴取を受けていた。聴取の順番を待つコナンと百々月は署が用意してくれた休憩室で休んでいた。
「よくも私の声で暴れてくれたな」
「痛い痛い!」
コナンの両方の頬を引っ張りあげる百々月。顔の形が完全に変形している彼をジト目で睨みながらお仕置きを加える。
「どうやって私の声を再現したんだ?これか」
「あぁ!」
コナンの首につけていたネクタイを取り上げると裏に仕込んであった機械を発見。そこにあったダイヤルを回して声を吹き込む。
《テステス…》
そこから出てきたのは園子の声。
「……」
「あはは…」
明らかに気まずそうに笑うコナンを見て百々月は彼がただの子供でないことは確信する。それと同時に人には言えないであろう事情があることも薄々気づいた。
「なにを隠しているとは聞かない。人はそれぞれ隠し事の1つや2つ、持っているからな」
「もも…」
「まぁ、お前といると中々、面白いことになりそうだし手伝いがいるなら私も協力しよう」
今回は彼に何度も命を救われているのだ。これぐらいのことはしてやらないと罰が当たるというものだろう。
それに今回の件で自身の心の中で渦巻いていた表現しきれない感情。あれは一体何だったのか、彼と居ればそれが掴める気がする。
休憩室にいるのは2人だけ、他の人たちはまだ聴取を受けている。
「犯罪は醜く悲しいものだな」
「もも…」
2人の間に流れた沈黙の中、百々月は独り言のように言葉を吐く。それに対しコナンは信念を持った強い口調で言葉を口にした。
「人を殺せばそれなりの罪を背負わなくちゃならない。俺は人を殺して逃げおおせようとする奴らを許せないだけだ」
「それが探偵というものなのだろうな」
コナンの言うことは正しい、まさに純然たる正義そのものなのだろう。
(しかし、奴は殺されて当然なのかもしれない)
事件を思い返していた百々月はフッとそう思った。手を下したという点を除けば知佳子は敦子を殺したも同然のことをしている。
だが彼女は彼女を殺した罪を背負うどころか優秀な新人脚本家という栄光を手にしたのだ。
もし世間にその事がバレたとしても殺人容疑では裁かれない。
「目には目を、歯には歯を、死には死を…か」
まぁ、どれだけ考えても答なんて出てくるわけがない。それは己の中にあるだけ、他人に測れるようなものではないのだ。
「おう、ここに居たのか」
「目暮警部」
「今回も大変だったなコナン君」
一応、東京都の管轄だったこの包帯男事件は当然ながら目暮警部が出張って来ていたのだ。
「君が羽部百々月さんだね」
「はい」
「事件を解決してくれたようで助かったよ。話を聞く限り見事にやってくれたそうだな。まるで工藤くんのようだな」
「いえいえ、たまたまですよ」
「これからは世話になるかもしれないな」
目暮は彼女を褒めながら手を差し出すと百々月は笑いながら互いに手を取り合い握手を交わす。
「それで高橋さんはどうですか?」
「あぁ、素直に自供しているよ。蘭くんたちももうすぐ終わる頃だ、君の話を聞きたいのだが良いかね?」
「えぇ…」
「着いてきたまえ」
そう言って百々月は目暮の後を追って事情聴取に向かう。休憩所に取り残されたコナンは彼女が買ってくれたオレンジジュースをのカンを開けたのだった。
こうして百々月が初めて解決した事件がこれで終わった。これが彼女が事件という抜けられない渦に巻き込まれた瞬間でもあった。
ーー
それから1週間後。
「へぇ、良かったじゃない。お姉さん元気になって」
「うん、やっと大学院に通えるようになったみたい」
学校を終えその下校途中、蘭たちは山荘の一件を話しながら歩いていた。
「本当に良かったよ。姉貴は別荘で起きたあの事件の後、1週間も寝込んでたから」
「仕方ないよ、友達があんな事になっちゃったんだもの。でも事件が解決したのもみんな羽部さんの名推理のおかげだね」
「そうよ、凄い推理だったわね」
「まぁな、偶然が重なっただけだ。それに私の命がかかっていたからな」
マイボトルでお茶を飲んでいた百々月は少しだけ恥ずかしそうに2人の賞賛を受け取ると照れ隠しなのかボトルの中身を飲み干した。
「まぁ、私に執着しなければ分からなかったかもしれないがな」
執拗以上に百々月を狙ったために今回の事件解決に繋がった。知佳子を殺した後、なにもしなければ百々月もコナンもただの殺人鬼が起こした事件として終わっていたかもしれない。
「特に最後の怒号は格好良かったわね」
「分かる、《今のお前は正義の使者なんかじゃない。ただの醜い血に餓えた殺人鬼なんだよ!》って」
「あはは…」
朗らかに笑っている百々月だがこめかみ付近に力が入り怒っているのが分かる。彼女の左手は一緒に歩いていたコナンの頭を掴む。
(痛い痛い痛い!)
彼の声にならない悲鳴を無視しつつ彼女は彼の頭を力一杯掴むのだった。
「そういえば園子は太田さんと上手くいってるの?」
「あぁ、あんな腰抜けダメダメ。それに私には達也がいるし」
「「達也?」」
園子の言葉に全員が疑問の声を上げると彼女は喜々として話を続ける。
「ほら、今、売り出し中のロックバンド《レックス》の木村達也。そういえば今度の日曜に私、彼らのライブの打ち上げに混ぜて貰える事になったのよ」
「え!達也様に会えるの!?」
今、女子高生に人気を集めている《レックス》のボーカルである木村達也は絶大な人気を誇っているのだ。
「レックス…達也?」
園子の話を聞き蘭が喜ぶ中、百々月は訳が分からんと言った風に首を傾げる。彼女はロックバンドやアイドルなどといったものに興味が全くないのだ。
「知らないの?1回見れば達也様の良さが分かるわよ」
「いや、私は…」
「良いわね、もも も来なさいよ!」
2人の喜びようから見て有名人なのは察しがつく。ファンである2人ならともかく名前すら知らない人物が行くのは流石に向こうに失礼だろう。
「本当に知らないから」
誘いを断ろうとする百々月に対し園子と蘭の2人は良いからっといった具合に話を進める。その様子をコナンは呆れた顔で見つめていた。
そんな2人の強力な誘いもあって彼女はそのロックバンドが集まるカラオケボックスに行くこととなったのだった。
詳細プロフィール
羽部百々月
誕生日…6月1日
身長…172㎝
好き…日本の歴史、日本茶、甘い物全て
得意…剣道、日本舞踊、推理
苦手…紅茶、スカート、ハイヒール
歴史好きで定期的に京都に通っている。家系的には京都の大きな家の分家、両親が殺されたがまだ繋がりは強い。
スカートやハイヒールが苦手で制服以外でスカートははかない。私服は絶対にズボン系統で統一されている。
周囲の人間からの信頼が厚く、常に冷静沈着な寡黙な女性。