うしろのしょうめんだぁれ   作:砂岩改(やや復活)

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ノリと勢いで書き殴ってみた。




プロローグ
無垢なる殺人鬼


 何故、こうなってしまったのだろう。

 

 彼女は実に聡明な女性であり人の死どころか生き物の死というものにも程遠い人間だったというのに。

 

 何故 という疑問は全ての人が抱いた素直な感想だろう。老若男女問わず彼女の変貌には全ての人が信じられなかった。

 

 彼女は帝丹高校に通うごく普通の生徒だった。財閥の令嬢や空手好きの友人と共に彼女なりの青春時代を謳歌していたはずだった。

 

 羽部(はべ)百々月(ももづき)、それが彼女の名でありとある人物の影響で大きく変化してしまった存在であった。

 

――

 

 帝丹高校、2年B組に所属していた彼女の運命が動いたのはとある人物が失踪してしまってからだった。

 

 工藤新一、平成のホームズと呼ばれた天才高校生探偵が少なくとも目の前からは消え、それと入れ替わるように随分と賢い少年が彼女の目の前に現れた。

 

 江戸川コナンと名乗っていた少年の周りで巻き起こる様々な事件、彼と近い距離に居た彼女も例外なく巻き込まれていく。それが触れてはいけない劇薬だと知らぬまま。

 

――

 

「どうしてなの、羽部さん」

 

「答えなさいよ、もも!」

 

 取調室、そこで手錠をかけられ椅子に座り込んでいた彼女は親友であった毛利蘭と鈴木園子の質問に対し目線を動かすだけで何も言わない。

 

 長い黒髪を1つに纏めたポニーテール、鋭い目付きに剣道でしっかり鍛えられた体、可愛らしい名前とは正反対の彼女は品行方正で成績優秀な生徒。

 

 しかし推定15人もの人を殺害した殺人鬼。

 

 だが彼女の周囲に居た誰もがその事実が発覚する15人目の殺人まで悟ることも出来ずその犯罪を見過ごしていた。

 

 何故殺した?それはある意味、大きな問題ではなかった。何故彼女がこの様なことをするまでに至ったかが問題だったのだ。

 

「感謝している。江戸川コナン、いや工藤新一」

 

 全てが明るみになった時、彼女はそう言い放った。

 

 その言葉を聞いた彼は思わず言葉を失い絶句する。ただ冷静に狂うこともなく言い渡された言葉は事実だけを示す。

 

 彼女は人殺しというものを肌で感じ、目で見て、耳にして解析し、学習し、練り上げる。何故今までの犯人たちは負けたのか、不様に散っていったのか。

 

 どのような方法が最も効率的だろうか、誰にも気付かれないか、そしてどれが一番 美しい だろうか。

 

 華麗に事件を次々と解決している彼を見ていてある思いが体の奥底から湧き上がるのを感じた。

 

 回答する側は実につまらない、出題する方が絶対に楽しいはずだ。

 

 14という練習問題を得て次は本番、どれだけ彼を苦しめられるだろう。

 

 江戸川コナンという探偵の後ろに居た筈の1人がいつの間にか彼の目の前に立ち、静かに笑っていた。

 

 これは江戸川コナンという人物を通して人の死を見たただの人が殺人鬼になるまでのお話。

 

 




―追記―

 思った以上に好評だったので連載することに決めました。掛け持ちもあるので連載開始は時期は未定ですが…。

 という事で皆様がこの主人公に味合わせたい事件の要望を活動報告の方でアンケートにして意見募集いたします。

 この事件は主人公に見せてあげたい。

 この事件は主人公の狂気を加速させるのに役に立つだろう。

 等々、そういった意見を募集します。もちろん、この事件は好きだからという事でも全然構いません。映画でも構いません。

 現在、予定しているのは《山荘包帯男殺人事件》《闇の男爵殺人事件》ぐらいです。
 映画では作者が一番好きな《ベイカー街の亡霊》をやってみたいと思ってます。

 主人公の立ち位置的には園子のような準レギュラーみたいなものなのでいくつか事件をピックアップして主人公に活躍して貰う形式です。

―無垢な少女を殺人鬼に成長させるのは貴方たち―

 ご意見、お待ちしております!


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