とうとう評価に色が付きました。お気に入りが70件超えました。震えてます……喜びとプレッシャーで
本当にノープランで書いてるので夜鳥さんの行く末は自分にもわかりません、それでも宜しければお気楽にお付き合い下さいませ!
「(……やばいね、やっぱり少し怖いよ)」
まだ多少距離はあるが、奴から発せられる威圧感が半端ない。けれどこのまま放っても置けない、逃げるのは遠くへ撒いてからだ。
頭上を旋回し、我が物顔で突き進んでくる燼滅刃の死角から頭を蹴り付ける。……常に赤熱してるってマジなのね、蹴っただけで脚の裏がジリジリする。沸騰したヤカンをうっかり触ったあの感じ、で伝わるかな。一応モンスターだからそんなに酷い事にはなっていないけど。
「ガ?」
しかし意識を逸らす事は出来たらしい。足を止めて頭に当たった物を探している……。まだ私には気付いていないか、ならもういっちょ。
今度は真上から背中目掛けてボディプレスをかましてすぐに離脱。ダメージを受けた様子は無さそうだが、流石にバレたのか「何すんだテメェ」と言わんばかりに威嚇しながらこちらを睨み付けてくる。
「グオォォォォアアアアアアァァ!!」
「(釣れたッ……!)」
凄まじい咆哮に目を細めつつ大きく旋回し、追ってくる事を確認してから隠れ家と逆方向へ飛ぶ。
さて、まずは整理しよう。
体格差、20メートル以上。私からの攻撃、あまり効いていない。相手からの攻撃、恐らく即致命傷。アドバンテージ、空を飛べる事だけ。
「(……いや)」
それともう一つ……知識だ。
相手の特徴、主な攻撃、フィールドの地形や採れる素材etc.。
勿論それだけでなんとかなる程この世界は甘くはないのも理解している。だがあるとないとではかなりの開きがあるはずだ。
卑怯だろうがなんだろうが、利用できる物は利用してやる。猪口才?小細工?上等だよ。死ぬよりマシだ。
相手の強さを知っているからこそ油断はしない。
「(一泡位は吹かせてやるかね)」
……火属性なのに一泡吹かせるとはこれ如何に。
もちろん、最優先はいのちをだいじに、だけど。いのちおだいじに、じゃないよ。
古代林にあるものを記憶から引っ張り出して組み立てる。
さあ、開戦だ。
*****
「珍しいな、ベースキャンプからなんて」
「他のモンスターが燼滅刃を警戒してなりを潜めているかららしいぞ」
「成る程な、まあやりやすくて助かるが」
古代林に到着したコトネとミヤビはもう一度装備とポーチの確認を済ませ、アイルーの隠れ家を目指してキャンプを出る。
いつもなら草食モンスターがよく植物を食むエリア1には誰も居らず、エリア6方面も遠目に見てもリモセトスの影も形も見えない。草食モンスターがいなければ必然的にそれを餌とする大型モンスターも現れない。それ故、安全にベースキャンプへ降ろして貰えた訳だ。
「……ん?なんだか騒がしいな」
隠れ家のあるエリア2が見えてくるが何やらざわついていた。互いに顔を見合わせ、警戒は怠らずに駆け寄るとアイルー達がこちらに気づいて飛びつき懇願する。
近くに居た小柄なイャンクックは驚いて逃げ隠れてしまったが、コトネはそれが無害と知っているので特に気にはしない、しない、が。
アイルー達から話しかけられはするが流石にこんな事はない為、驚いた様子でアイルーを宥めるコトネ。
「コトネさんニャ!」
「助けて欲しいニャ!」
「お、おい、どうしたんだ、何があった?」
「赤くて黒くておっかないのが居たのニャ!!」
「なに?……尻尾は剣みたいな奴か?」
「それだニャ!爆発して怖いのニャ!」
既に目的のモンスターに遭遇していたとは。後ろからミヤビがぽつりと呟く。しかし、それなら肝心のそいつは一体何処に?
「……私達はそいつ……燼滅刃ディノバルドの狩猟に来たんだ。今、何処に居るかわかるか?」
「うにゃ……正確な位置はわかんないニャ……でも……多分今、戦ってるニャ……」
「戦ってる?何とだ?」
「ちょっと変わった、ホロロホルルだニャ…」
ちょっと変わったホロロホルル。
2人は既視感があった。このクエストを受けるほんの少し前にも朧慧と名付けられた特殊な夜鳥の話を聞いていたからだ。
まさか、同一の個体なのか?
話を聞けば、外見の特徴も当て嵌る。
ここから引き離す為に向かっていったらしい。
戦っている?夜鳥が?燼滅刃と?
「……それは」
あまりにも無謀ではなかろうか。
確かに、朧隠と燼滅刃の危険度は同等ランクとされている。しかしそれは、「人間から見れば」の話。
モンスター同士の戦いとなれば話は違う。
そもそもとして燼滅刃の体長はおおよそ30メートル前後はあり、対してホロロホルルの体長は6メートル前後、朧隠でも8メートル前後しかない。件の朧慧は大きめの個体のようだが、それでも圧倒的な体格差がある。
その上体を覆う強固な甲殻もなく、身を守るものは羽鱗と翼爪のみだ。一撃でもまともに貰えばタダでは済まない。
「ハンターさん、ハンターさん…」
横からまた別のアイルーが話しかけてくる。視線をやれば、周りよりも幼い、大人しそうな子と活発そうな子の二匹の三毛アイルー。
「あのモンスターを、助けてあげて欲しい……ニャ」
「迷ってた僕らを助けてくれたニャ!今もここを守ろうとしてるのニャ!だから……!」
「わかったわかった、落ち着いてくれ。」
どうどう、と活発な方のアイルーを宥める。
元より燼滅刃を狩に来たのであるし、コトネ自身も朧慧に興味津々なのだ。会う前に狩られていた、は流石に困る。
正確な場所は不明だが、燼滅刃に遭遇したアイルーが逃げ帰ってきた方向、朧慧が飛んでいった方向はエリア4方面らしいのでひとまずそちらに向かう事にする。
「行くぞミヤビ」
「はいよ」
*****
「ガァァ!グオォォォォ!!」
「(待てと言われて待つ馬鹿は居ないでしょうよ)」
いや正確に言葉が分かるわけじゃなくてなんとなく「待てやゴラァ!」って意味合いなのがわかるだけだけど。
モンスター同士でも意思疎通できるのかね。こないだのリオレウスはそんな事無かった気がするけど……モンスターの体に馴染んだからだとしたらちょっと複雑なんだけどさ……
まあそんな事はさておいて。この体の話をばひとつ。
私も今の今まで忘れていたんだけど、朧隠には鱗粉をカッターのように飛ばしたり、姿を隠せる事の他にもうひとつ、物凄く厄介な能力があるよね。
そう、アイテム盗み。朧隠は脚の爪での攻撃時にポーチからアイテムを掠め取る事があるのだ。秘薬とかを盗られて泣いたプレイヤーは結構いるのでは?あ、私は勿論そんな事するつもりはないけどね。
んでなんでこんな話をしているかと言うと、私は今反撃を貰わない程度に時々姿を消して撹乱したり軽く攻撃を仕掛けつつ作戦の為にアイテムを調達しているんだけど。
特に減速したりしなくても飛び越えざまにサッと脚で採れるんです……多分この能力のお陰だよね、ホロロホルル器用でしょう。
今にして思えば、初めての狩りなのにあっさりマッカォを捕まえられたり、初戦闘で的確にリオレウスの目を攻撃するなんて芸当が出来たのもこれのお陰かもしれない。
……もう少しで準備が整う。
「謀」は「はかりごと」と読みます。計略の意。
……そんな大層でもないかもしれない。作者の頭が⑨なもので……
番外編とかも書いてみたい欲に駆られている……どうしましょうかね。