タイトル詐欺です、本当に(ry
一応戦闘回。攻防のバランス難しい。
ところでいつの間にかUAが900越えてるんですが一体何が起きてるんです???
「キョアアアアアアアアアアア!!」
鱗粉で姿を隠した状態で上空から高らかに咆哮。意識が逸れた所で急降下、ドスマッカォへ回転ダイブを仕掛ける。
普段は咆哮なんてしないで無音で仕掛けるけれど、今回は追われてる彼らを助けるのが目的。大声というのは相手の気を引くには最適だから。
おっと、まだ鱗粉が落ちきってないか…結構勢いよく回転したんだけれど。このままではハンターが私を視認出来ない、振り落としついでに翼爪を大きく振るってマッカォ達を吹き飛ばす。やっと取れた。
「なっ……ホロロホルル!?姿を消せるなんて聞いた事ねぇぞ!?」
あら、朧隠の事はご存知じゃなかったのね。ま、後で報告した時にでも聞くだろうし気にしないでおくか。んじゃ、これ以上離れる前に言っとこう。銃口こっち向いてるし撃たれちゃ敵わん。
「ココ、マカセテ、ハヤク、ニゲテ!」
「喋ったァ!!?」
盛大に混乱(鱗粉撒いてないよ?)したらしいハンターの手が止まってる間にアプトノス車はどんどん遠ざかっていく。これだけ離れればもう大丈夫だろう、二重の意味で。結構飛ばしてるようだし。
「(それじゃ、寝ててもらおうかな)」
マッカォ達が遠巻きに警戒している内にゆっくりと息を吸い、睡眠液を溜めながら大きく羽ばたき、それを乗せた超音波を放つ。
超音波で辺り一帯薙払えば、マッカォ達はすっかり夢の中にいた。
……体の大きいドスマッカォまで眠らせ切れるとは……別に殺生する気は無いのでこれ以上は手を出さないが。
あれだけ騒いでいたマッカォ達が全て眠ってしまった為に辺りが静寂に包まれる。軽く飛んでアプトノス車が走って行った方向を確認するが影もなし。無事逃げ切ったようで何よりだ。
そう言えば翼爪で薙いだマッカォは……あちゃー。1匹当たりどころが悪かったらしい……息絶えてしまっている。
無駄な殺生はしないとは何だったのか……しょうがない、今日のご飯に貰って帰ろう……ごめんよマッカォ。残さず食べるから許しておくれ。
一度そのマッカォの上に着地し、掴んで再び飛び立とうとした、その時――――
「グルウウウオオオオオオオオ!!」
聞いた者に恐れや警戒を抱かせ、脚を竦ませる威圧感を含む咆哮が轟く。見回して出処を探すが……
「(――――ッ!)」
直感だった。咄嗟に飛び立った直後、私の体があった辺りを火球が通り抜け、着弾。小さく爆発して地を燃やす。その弾道を辿るように視線を動かした先には―――――
「(………空の王者…リオレウス……)」
上空から迫ってくるリオレウス。よく見ると手負いだ。弱点の頭を中心に切れ味の鋭い物で付けられたであろう傷が多数ある。さっきのハンターの仲間がやったのだろうか。
もしかしたら、アプトノス車はリオレウスから逃げたのちマッカォ達に追われてたのかもしれない。なんて災難な……私なら泣くね。
「(現在進行形で泣きたいけどねぇぇぇ!)」
火球を躱して飛んだ私を襲ってくるリオレウス。ちょ、なんでだよ!手負いってんならそこで寝てるドスマッカォでも食べなよ!今なら隙だらけだよ!なんでわざわざ元気な方狙うの!火竜とか勘弁してよ!
なんて聞いてくれる筈もなく。ブレスを吐き、爪を振るい、突撃してくる。やめてってば!もしかして私を食べようとしてるんだろうか!今日は鳥の気分なのか!あっちだって鳥竜だよ?!
堪らずその場を離れる(一応アプトノス車とは逆の方へ)がピッタリと追い縋って来る。後ろからブレスも飛んでくる。鱗粉を纏う暇もない。知らなかったのか?空の王者からは逃げられない!とでもいうのか!
ああもういいやってやる。いずれ他の大型との戦いだって起こりうるんだ、それが思いの外早かったってだけだ。
腹を括り、高度を上げてから振り向きざまに鱗粉カッターで牽制をかける。狙いが定まっていないので外したが、思わぬ反撃に驚いたのか僅かに動きが止まる。
相手は手負いとはいえ、体格も素のスタミナや筋力も劣っているので長期戦になればこちらが不利。短期で無力化しなければやられる。幸い、ホロロホルルは搦手は得意な方だ。
「(悪く思わないでよ……!)」
更にもう1発鱗粉カッターを繰り出して目眩し。怯んだ隙に真上を取り急降下で突撃、眼球目掛けて脚の爪を突き立てるが、同時に放たれたブレスが体を掠め火が燃え移る。掠めただけでも身を焼かれるその威力に力が緩みそうになるのを堪え、広げた翼爪でハンターに付けられたであろう傷を周りの甲殻諸共深々と切りつける。
片目と傷を抉られた激痛に呻き暴れるリオレウスに振り落とされた挙句、尻尾で薙ぎ払われた私の体は軽々と宙へ舞う。
「(ぐうっ……!)」
体を覆うのは羽鱗のみで、飛竜の様に甲殻がある訳ではないこの体には痛い。咄嗟に翼爪でガードはしたが如何せん尻尾に対して面積が狭い。直撃を僅かに避けられただけで、鋭利な尾の棘が身を裂き、骨が軋む。
だが尻尾による風圧で体に燃え移っていた炎は消えた。それに……
「ガ、アア……!?グァ、オオ……!!」
――――ガードの際に飛散させた鱗粉をもろに吸い込んだらしい。前後不覚に陥ったのか先程以上に滅茶苦茶に暴れながら落ちていくリオレウス。睡眠液といい、鱗粉といい、大型モンスターにも普通に効いているのが意外ではあるが、これを逃す手はない。
振り回される翼や尻尾、飛び出す火球に警戒しつつ間合いを詰めながら睡眠液を溜め、墜落して尚暴れている所へ顔面に浴びせかける。今度は霧状ではなく直接だ。口内へは勿論、傷口からも染み込んだのか程なくして動かなくなり、寝息を立て始めた。
「(……疲れた)」
ゆっくりと降り立ち息を吐く。先程までは気にする暇も無かったが、尻尾の棘で裂かれた傷とブレスによる火傷がじくじく痛む。相手がリオレイアでなくて良かった、この上毒に侵されたら耐えられる自信がない。尤も、展開はまた違っただろうが。
全く……初戦闘の相手が火竜だなんて笑えない。手負いだったから搦手でどうにか無力化出来たものの、無傷の状態であったならやられていたかもしれない。
そもそも夜鳥で火竜とまともにやり合って勝てるかは正直微妙だ。
「(はぁ……今日はもう休もう……)」
追われていた人間を助けるという目的は関われる範囲では達成した。その後で思わぬ来客があっただけだ。怪我したままうろついてまた別の大型に遭遇でもしたら今度こそやられる。そんなの御免だ。
息絶えたマッカォを頂戴して巣へ帰る。ついでにエリア4で薬草、アオキノコ、ハチミツを採ってきた。回復薬グレートの材料だが、調合は分からないので取り敢えず纏めて食べる。放置よりはマシだろう。実際少し楽になった。
そう言えば素材の見分けも自然と付くな。ハチミツはともかく草やキノコは……まあ、面倒でなくていいけど。
痛みが治まった所でマッカォを食べてさっさと眠りに就いた。
*****
護衛していた竜車を襲ってきたリオレウスと、助太刀するように現れたリオレイアを撃退した俺達は先に行かせた後輩ハンターを追ってベースキャンプに着き、共にベルナ村に帰還した。
クエストの結果は成功。御者にも行商人にも特に怪我はないし荷物も無事だ。
ただ、後輩が語ったその経緯に不可解な点があった。
「……ホロロホルルが、喋った?」
「はい……俺も、信じられないんですが……」
後輩曰く、リオレウスとリオレイアから逃れた少し後でドスマッカォの率いる群れに追われ、ボウガンで応戦していたところまるで助けに入るかのようにホロロホルルが乱入。群れを蹴散らしながらここは任せて早く逃げてと言ったらしい。
……確かに信じられない。信じられないが……こいつは妙な所で正直だ。嘘や冗談を言う時は顔が笑っているし、真面目な話なら真面目な表情になる。それも無意識に、だ。
偶然や勘違いという可能性はあるが……少なくとも、こいつにとっては本当の話だろう。それよりも気になるのは……
「……姿を消していた、か」
姿を消すホロロホルルと言うと、G級の更に一部のハンターのみに狩猟許可が下りる二つ名、“朧隠”にその能力があると聞いた事がある。勿論俺は上位ハンターだから許可なんか下りないし話や資料で知っているだけだが。
だが聞いた限りは見た目は普通のホロロホルルとそこまで大きな違いは無かったらしい……強いて言うなら尻尾の形が少し違ったらしいが。
「ギルドと龍歴院に報告しておくか……」
初戦闘という事もあり難産でした……
あと詰め込みすぎた……
主人公が人間側に認知されました、果たしてどうなるか。(※1話先すら考えずに書いてます)
あ、別に作者はリオレウス嫌いではありません、念の為。
隻眼レウス可愛いよ隻眼レウス。
一番好きなのはジンオウガですが(
※6/10少し訂正+戦闘などの描写をちょっぴり水増し