総領娘様には姉がいたようです   作:アリス姫

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・495年目の来客

 

 

「なぁ、さっきのやつは能力かなにかか?」

 

暗い廊下で自分たちの足音だけが響く静寂を壊したのは魔理沙のほうからだった。

私が魔理沙のほうを向き足を止め、先ほどの質問に問い返す

 

「さっきのとは?」

 

「さっきの、魔力が上がらなくなった現象だよ。どう考えても程度の能力が関係してるとしか思えん。」

 

魔理沙は先ほどの一連の流れのことが気になっていたようだ。

確かに私の能力ではある。だがそう簡単に教えるべきなのか。これから共闘するから能力は教えるべきなのか。

そう渋々と悩む素振りを見せていると。

 

「私が予想している通りなら、『静止させる程度の能力』なんてところか?さっき魔力が上がらなかったとは言ったが厳密には、魔力の流れが止まっている感覚に近かったんだ。まるで静止したかのように…」

 

魔理沙は自信の表情に満ち溢れていた

確信があるからこそのこの表情だ。

 

「顔がすごいことになってますよ?」

 

私がそう返すと魔理沙は顔を赤くして顔を隠す。「乙女の顔にケチをつけるんじゃないぜ」と付けて

私は正面向き歩きながら、口を開く

 

「魔理沙さんの予想は半分正解、半分不正解。確かにあなたの言う『静止させる程度の能力』に近いものは持っています。…ですがその能力はこの右眼、【蛇白眼】の能力です。そもそもが程度能力じゃないんです。『静止させる能力』なんです。」

 

淡々と告げる現実に驚いた魔理沙は私の足を止め問いかけてくる。

 

「じゃああれか!?それとは別に自分特有の程度能力を持っているのか?」

 

「そうなりますね。半分正解ということで、私のもうひとつの能力を教えしましょう。他言無用でお願いしますよ?私もこの能力、あまり好きじゃないんですから。」

 

魔理沙は「…おう」とひとつ返事で返す。

 

「私の程度能力は__」

 

 

 

 

私の回答を聞き、苦虫をつぶしたような表情をしながら小声で「勘弁してほしいぜ」とつぶやいていた。

 

薄暗い廊下も終わりが来たかのように、カンテラの灯りが見えている

その横には頑丈そうな赤くすこし錆び付いている扉があった。

 

「ここだな。」

 

魔理沙は私の顔を見てアイコンタクトを送る

私はウィンクで答え、魔理沙はパチュリーから受け取っていた鍵を使い、扉を開ける。

 

 

 

扉を開け、私たちが目の当たりにした部屋は

灯りは点いているが全体的紅く、薄暗く感じる。

古く不気味さを感じさせる人形。

アンティークなプリンセスベット、そこに座っている7色の羽を生やした人形のような少女は

この部屋にいっそう溶け込んでいた。

人形のような少女は私たちに目を向け言葉を発する

 

「だぁれ?」

 

隣で魔理沙が息を飲んだのが分かる。

それほどの圧倒的覇気が纏っていた。

魔理沙は妖怪には慣れている。だがしかし、見たことも聞いたこともない妖怪。恐怖を抱くのは何も間違ってなどいない。

だが、話をしなければ何も始まらないのもまた事実。

私から声をかけることにした。

 

「こんにちは、誰かに教わりませんでしたか?名を名乗る時は自分からと。」

 

少女は目を丸くし、困惑した顔を、そして笑顔に戻り無邪気な返答を返す。

 

「そうなんだ!知らなかったわ。私はフラン、フランドール・スカーレットよ、あなたは?」

 

「私は比那名居天姫です。気軽に天姫とお呼びください、彼女は霧雨魔理沙。私の相棒です。」

 

フランは私と魔理沙を交互にみて、「天姫に魔理沙ね!」と無邪気な素振りを見せる。だが、さっきとは打って変わって表情暗くになり。

俯き、言葉を紡ぎ始めた。

 

「…私ね。この部屋に495年間閉じ込められていたの。ずっとね。」

 

「だからね、私、初めてなの。外の人とお話するの。正直こんな日が来ると思ってなかった!」

 

「あなたたちがこの部屋に来た時から心臓が痛いくらい鼓動してるの。何でかな?」

 

顔を上げ、悪意を全く感じさせない紅い瞳が真っ直ぐと私たちを見つめて疑問をぶつけている。そんな視線の中魔理沙が耳打ちをしてくる。

 

「…割と普通なんじゃないか?」

 

その耳打ち耳を傾けつつ私は疑問の回答を答える。

 

「それは緊張しているのですよ、きっと。」

 

その回答にフランは「そっか、これが緊張なのね、知らなかったわ」と反応する。

 

魔理沙はすっかり本調子を取り戻したようで、1歩前に出てフランに問いかける。

 

「なぁ、495年間この部屋にいたんだよな?外に出ようとは思わなかったのか?」

 

「…うん、何度も思ったけど、フランは…フランは外に出ちゃいけないんだよ。」

 

ベットに足を上げ体育座りをし、苦笑いをしながら私たちに答えた。

 

 

__私は…壊れている(狂っている)から

 

 

___________________________________

 

弱々しくうずくまっている少女の言葉を聞いてからだ。

気づいた時には私は八卦炉を構えていた。

感情的になりながら話を聞いていたが、どこか昔の私に見えてしまい、イラつき始め、次第には八卦炉を構えて私は怒りを露にするかのように問いかける。

 

「なぁ、いじけている時間ってどれだけ無駄か知っているか?」

 

「努力をする時間や楽しく遊ぶ時間。寝る時間やご飯を食べる時間、それぞれ意味がある。だけどな、いじけている時間は誰に対しても意味は持たないし、自分自身にすら意味を持たないんだ。だからお前のそのいじけている時間に対して意味を成していないことは私が誰よりもわかっている。」

 

「そんな無駄な時間を使うくらいなら、反抗でもしろよ。自分のために!!」

 

「495年間もの間おまえは、我慢してきたんだろ?他人のことも自分のことも!」

 

「明日の自分のために時間をつくってやれよ!!」

 

八卦炉を向けながら話すことでは無いのは自分でも分かっている。

実質フランドールも驚いて目を見開いていた。だが、私の中の堪忍袋が切れたのか。次々に言葉が口から出ていく。

 

「いじけているお前に私の時間を割くのも無駄だ、だから時間をかけることなくお前を倒して私は異変を解決するぜ!」

 

____________________________________

 

高らかに倒す宣言をする魔理沙

それとはうって変わって、フランドールはひどく怒っていた。

 

「……何にも知らないくせに。後で後悔してもおそいからね。」

 

紅く深い瞳の瞳孔が開きながら、彼女は満面の笑みを浮かべる。

まるでの道化師(ジョーカー)のように。

 

 

 

 

 

 




お待たせしました。なかなか言葉を選ぶの時間が掛かりました。
次回は、戦闘にはいります。

天子とアリスの百合展開ないかな。

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