コミュ2
天城を救出後。僕たち特別捜査隊はしばしの日常を過ごしていた。
「……暇だ」
放課後、鮫川河川敷。ベンチに座り横にいる男性に向かって愚痴ってた。
「暇すぎる」
「音楽でも聴いてれば? つか愚痴るために野球の練習付き合ってたワケ?」
「だって暇なんだもん」
「可愛く言っても無駄ですー」
横にいるのは順平だ。もちろん、別世界の順平だから僕とはこの前会った少年、となってるだろう。
僕は暇潰しに少年野球チームの練習に付き合ってたのだ。
「別に暇なことがいけない、とかそうは思ってはない」
「お、おう」
「刺激的な非日常を多く過ごしてしまったせい(影時間にテレビの中)だと思うんだ」
熱心に演説っぽく言った僕を見て順平は「おう」としか言えなかった。むしろ引いてる?
「まぁでも、その気持ちは分からんでもない。オレも二年前、高二の頃なんかスッゲー非日常過ごしてたからな」
「へー」
「むっ。信じてないな湊。このオレ様が活躍したところを見せてやりたかったぜ」
知ってる。僕の世界の順平だけど。十分カッコよかった。……てか見せたいならテレビの中来れば。
「……でもさ、本当にカッコよかったのはオレの友だちっつーか親友でさ。女なんだ」
「順平女子にカッコいいとこ取られたの?」
「えっ、まぁそう……かな?」
「まぁ。順平はいるだけで役にたってたと思う」
「それはある意味ヒデーな」
「いるだけで空気が和やかになるって意味」
暗い雰囲気が多かった寮では順平みたいな明るい存在はとても頼もしかった。ギスギスしてた感じがなくなる気がしていた。
「って非日常についてオマエ信じてんだな」
「嘘なの? 人知れず戦う。その女子も仲間も頼もしかったんじゃない?」
「ホント……だとハッキリは言えねぇんだけどよ。それでも、オレの仲間は頼もしいって。それはハッキリ言えるな」
順平は笑っていた。順平の仲間は頼もしいのは僕も知ってる。だから、僕もつい笑った。二人して、夕方に笑いあった。
「オマエも、そんな仲間……友だちいないのか」
「……いるよ。順平みたいにバカだけど。やるときはやるんだ。そいつが突っ走ったら止めてくれる仲間もいる。僕にとって、そいつは相棒なんだ」
僕は、相棒を思い浮かべた。
「アイツは、オレのこと相棒だと思っていたのかね……」
順平は呟いた。その女子は以前ファルロスが言っていた「汐見琴音」という人なのだろうか。僕に雰囲気が似てる女子。
「思っていると思うよ。僕だって、そいつのことをちゃんと相棒だと思ってる。僕に雰囲気が似てるなら思ってるって僕と同じ気持ちだ」
「……そっか! サンキューな!」
そろそろ夜になりそうなので順平と別れた。
「……汐見琴音。君は、“この世界”に……“未練”を残した? それとも“期待”を残した?」
僕はそれだけを呟き。帰り道をゆっくりと歩きだした。
ーーランクアップ。「正義:伊織順平コミュ2」