コミュ2
天城救出後。
「花村」
「ん?」
放課後。ジュネスのフードコートにて僕は花村を捕まえた。理由は言わずもがな、アレだ。
「ジュネスって不定期バイトは無理なの?」
「無理に決まってるだろ」
即答で返された。即答だったよ即答。
「そんな即答で言わなくても……」
「俺だってテレビの中行くときは仕方なく休みもらってるよ? だからってさ……」
「仕方なくなの? 助けたいとか男前なこと一番に言ってたのは誰? どこのジュネス王子?」
「それ俺しかいねーだろ」
花村はいろいろと考えてる。ツッコミだと負けるけど今なら勝てる気がする。
「よし。有里、手紙書いてこい」
「……は? メールが主流になってるこの世の中で手紙? 何で?」
「親父に見せる。そんで親父に直談判してもらう」
「その方がてっとり早い」と呟く花村。僕はバックからノートを取りだし一枚紙を切り取る。そう。ここで書くつもりだ。
「はいこれ」
「早いな」
「来月だと金欠ルートで餓死の可能性アップだから早めに」
「お、おう」
「早く渡さないとジライヤにジオダインうつから」
「それ覚えてるの持ってるのか?」
「……たぶん」
花村は渡した紙を持ってバイトに戻っていった。夜ごはん、ここで食べよう。そんで売り上げ貢献してやろう。と思いたこ焼きを買った。ここのたこ焼きは美味しい。いくらでも食べれる気がする。
「……やっぱ暇だな」
あのガソスタ店員の言っていたことが分かった気がする。バイトとかしないとホント暇。
「前から思ってたけどよく食べるよなぁ」
「……ん。花村」
食べはじめてから数分。花村が来た。
「おまえに餓死でもされちゃ貴重な戦力が大幅ダウンだからな。さっそく見せてきてやったぜ」
「ありがひゃい(ありがたい)。ふぉれで?(それで?)」
「食べ終わってから喋れって。……ふふ。俺に感謝しろよ? 不定期バイトの許可出たぜ! これで気軽にテレビの中に行ける」
「感謝するのは花村じゃなくて親父さんだよね?」
「頼んだのは俺だからな」
仕方ないので、小声で感謝を言っておいた。それと……。
「売り上げ貢献に協力。たこ焼き食べよ」
「まだ食べるの!?」
「これ今日の夜ごはん」
そう言ったら「俺ん家食べにくるか?」とか言われたが断っておいた。流石にそこまで面倒を見てもらうワケにはいかないから。
「花村」
「何だ?」
今度はちゃんと食べてから言った。
「絶対。犯人見つけて捕まえよう」
「……あぁ。小西先輩を殺したヤツを必ず見つけてやる」
少し怖い顔をした花村。すぐにいつもの笑顔に戻った。
「有里のことも頼ってるから。一緒に頑張ろうな」
「……ほどほどにね」
花村は、見た目チャラそうに見えて実は……スゴいいい人なんだ、と思った。
ーーランクアップ。「魔術師:花村陽介コミュ2」