ペルソナ4 有里湊のif世界での物語 番外編   作:雨扇

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コミュ5

 完二救出後の夜。

 

『やぁ。久しぶりのファルロス君だよ』

 

「何のノリそれ。テンション高いねファルロス」

 

 久しぶりだからとてもテンションが高いファルロス。今回は昔の仲間の話よりシャドウ完二の愚痴が多かった。

 

「ファルロスも見た? あのシャドウ完二。ツッコミだらけだった。ああいうシャドウは二度と会いたくないね」

 

『まぁ、わからない訳ではないよ。でも天城さんの逆ナンみたいにその人の心情が巡りに巡ってああなったせいかもしれない』

 

 確かにファルロスの言うとおりかもしれない。天城だって逆ナンしたかったわけではない。

 

「完二のペルソナ、タケミカヅチ。物理系のペルソナかな」

 

『本人が肉弾戦が得意だからね。さぁ湊、いつもの話にいこうか』

 

 いつもの話。新たにペルソナを得た人が活動部で言うと誰に似てるのか。

 

「真田先輩だろうね。肉弾戦得意って言ったら真田先輩でしょ」

 

『うん、僕もそう思う』

 

 女子力で言えば完二の圧勝だけど。真田先輩料理全然しないし、美鶴先輩によると一ヶ月牛丼を食べていたこともある、と言っていた。……一ヶ月牛丼?

 

「真田先輩ってお金たくさんあったのかな」

 

『あったんじゃない? じゃないと一ヶ月牛丼は無理でしょ』

 

 そう言えば一回順平の時と同じく訊いたことがあった。「何故料理しないのか」と。

 

◇◇◇

 

 九月。寮内にて。

 

「先輩、料理しないんですか?」

 

「料理、か。しないな。別に出来ない訳じゃない」

 

 真田先輩は小さな声で「山岸よりは出来る」と言った。……そりゃ風花と比べたら誰でも出来ると言えてしまう。

 

「じゃあ何で?」

 

「する必要がないと思ってるから、と何かめんどうだ。栄養さえ取れれば問題ないからな」

 

 いや問題あるでしょ。

 栄養が取れるからって「飽きる飽きない」の問題だと思う。一ヶ月牛丼は絶対飽きる。せいぜい……一週間?

 

「それに昔はシンジがよく作ってくれてたからな」

 

「シンジ? もしかして病院で会った……」

 

 真田先輩は頷く。その時の僕はまだ荒垣先輩のことをよく知らなかった。けれど不良のたまり場に行って危なくなった時に助けてくれた人。真田先輩の知り合いならいい人だ。そう思っていた。

 

「つまり真田先輩は意外とめんどくさがり屋、ということですね」

 

「有里よりはあるぞ」

 

「僕は先輩より料理出来ますよ」

 

 僕が荒垣先輩に料理を教えてもらおうと頼もうと考えたのもこの時だった。

 

◇◇◇

 

『へぇ。なるほどね。教えてもらってから君の料理の腕前はかなり成長したね』

 

「感覚を覚えているの?」

 

『記憶も感覚もないよ。でも、そういう“事実”があることは知ってる』

 

 料理の腕前を誉められることはやっぱり嬉しい。今度特別捜査隊のみんなに作ってあげようかな、と思う。

 

 ファルロスに誉められるのは嬉しい。けど、僕は「ありがとう」の代わりに一言言うよ。

 

「もう、寝ていい?」

 

 ファルロスは『仕方ないなぁ』と言って消えていった。次はいつ来るのだろか、そう思いつつ僕は寝た。

 

ーーランクアップ。「死神:ファルロスコミュ5」


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